物忘れ・認知症69
治せる医者が見つからない難病も治る時代到来かも!!

 7年前、ノーベル賞を受賞した京都大学・山中先生のiPS幹細胞の応用技術では、眼の角膜や網膜再生、脊椎損傷回復など、再生医学のめざましい成果が毎月のようにマスコミで報じられ、あきらめていた障害や傷害も治るのでは? という希望が持てる時代がついに来た感じを得ておられる方も多いと思います。
 しかし、この技術は残念ながらまだ未熟で、現時点では様々なリスクがあり、安全性と有効性はまだ確立されてはいないという評価があるのも事実です。
 ところが最近、この幹細胞を培養する時の液体には、幹細胞が育つ過程で出す様々な分泌物・成長因子・サイトカインなどが含まれており、これが幹細胞が分化して細胞を生み育てる時の成長因子になって多量に得られる上に、この液体は再生医学での幹細胞特有のリスクもなく、望む効果が得やすいと注目を浴びるようになってきました。今回はこの問題を考えてみます。

幹細胞培養液(上清・ じょうせい)

 この液体は、幹細胞培養上清と呼ばれ、上澄み液なので、幹細胞そのものは入っておらず、他人の幹細胞の培養上清でも自分の体内で拒絶反応のようなことが起こらず、簡単に使える利点があります。
 皮膚に付けて上手に浸透させると、表皮の下の真皮の基底層にある皮膚の角質に育つ幹細胞を刺激して、老齢期になっていても20歳の乙女並みの28日周期で新陳代謝が起きる肌になれるというので、化粧品としても人気が急上昇しています。
 今は花粉症のシーズンですが、幹細胞培養上清を1滴鼻孔に垂らしてすすると、鼻腔粘膜から吸収され、結果的に花粉症が数日で治まった人がいたと書いてある本が出版されています。
 初期から再生医療に取り組んでおられる名古屋大学・上田実教授の『驚異の再生医療』という本で、出版社は扶桑社です。
 これは、鼻腔粘膜から幹細胞培養上清が吸収され、その成分が花粉に対する抗体が増えるのを防ぐ働きをして、免疫の仕組みを本来の姿に導くからだということのようです。
 幹細胞そのものは医者の資格がなければ触れませんし、様々なリスクも心配ですが、培養上清はその原液が化粧品として一般に販売されているものもあるくらいですから、普通の人でもその気になって探せば手に入るものです。
 花粉症もアレルギーですが、アトピー性皮膚炎もアレルギーです。あれこれやっても治らなくて困っている人は、この幹細胞培養上清を上手に使ってアトピー性皮膚炎が解決した話も出ていますから、この本を手に入れられて、よく読まれて参考にされ、ご本人があれこれ試してみるのは自由です。人にやってあげたら、おそらく医事法違反です。プロでなくても、常識の範囲内でやっていれば、リスクや危険性の心配はまずしなくて大丈夫だそうですから、これで快方に向かえばいうことはありませんね。

関節リウマチ、がん治療後の再発予防

 この本には、関節リウマチ、がん治療後の再発予防にも幹細胞培養上清を使って効果が見られた話も出ており、当事者には深刻な悩みとなる難病がいとも簡単に解決できそうだと期待を持たせてくれます。
 そして、幹細胞培養上清を使うやり方の特徴として、「再生医療等安全性保護法」の対象外であり、細胞移植を必要としないやり方なのに、効果は医師の手にかかる幹細胞再生医療と同等であり、急性期にも使用でき、経鼻・経肺・経皮・経静脈など多彩な投与経路を持ち、コストが安い(約100分の1)などが挙げられています。舌下に垂らせば、注射はしなくても経静脈になりますね。もしかして、夢の素人自己手当法に巡り会っているのかもしれません。
 興味を持たれたら、まず、この書をお求めになり、読書百遍意自ずから通ずの精神で繰り返し読んで書かれていることを試してみられたらいかがでしょうか?

テレビでも幹細胞治療の紹介が…

 幹細胞治療の一つとして、東北大学のミューズ細胞治療法の話が昨年秋、テレビで大々的に取り上げられていました。
 誰でも生きていく過程で壊れていく細胞を修復していくための幹細胞が骨髄の中にあり、壊れた細胞が発する信号に反応して血流に流れ出し、患部に到達すると数を増やしつつ場の論理で壊れた細胞に変身してその部位を修理修繕している。その幹細胞をあらかじめ提供者から手に入れ試験管の中で増やしておいて、100万個レベルで故障者に点滴すると、自分の幹細胞だけでは大規模な故障に間に合わないのが、間に合うようになるので、心臓発作や脳卒中もすぐ治る可能性があり、後遺症も軽くなることが期待できると報じられていました。
 これが、現行医療における検査に次ぐ検査、難しい手術や副作用が心配される投薬に代わって、大病院でなくても点滴ができれば良いので小さな診療所でもできるようになれば、医学が変わると報じられていましたが、これはやはり幹細胞そのものを使うので医師でなければできません。このレベルの幹細胞治療と同等の効果が上げられる幹細胞培養上清の自己投与が知られてくると、これは医学の革命か? という話になってきますね。

研究はベトナム戦争から

 2010年のNHKスペシャルで「人体“製造”〜再生医療の衝撃〜」という番組がありましたが、この中で豚膀胱の細胞外マトリックスからできた粉を切断された指に振りかけると、指が再生されるシーンが放映されていました。
 この魔法のような粉を米軍では「妖精の粉」と呼んでいるそうですが、ベトナム戦争の傷病兵の回復研究から生まれたと報じていました。
 トカゲのしっぽを切断すると生えてくるという話は聞いたことがあると思いますが、これはトカゲのしっぽには幹細胞が沢山あって、幹細胞は万能細胞といって、場の論理に従い指のところにある幹細胞は指になる(分化する)ので爪まで生えてくるのです。
 豚膀胱の細胞外マトリックスには豚の普通の細胞は残っていませんが、成長因子などは沢山付着しているので、これを凍結乾燥させたものを切断直後の指に振りかければ、そこに少数でも幹細胞があればそれにスイッチが入って働き出し、新たな指の細胞になり、それを増殖させて、切断されて失った指が再生されることが期待できるというのです。
 作り方は違いますが、美容液になっている間葉系幹細胞培養上清の原液に含まれている成分は、この「妖精の粉」とそっくりといって良いほど似ているそうです。だから魔法のようなことが起こるのでしょう。

幹細胞は大人になっても結構残存

 ちなみに人も肝臓は手術で半分くらい切り取っても半年くらいで元通りになるというのは、トカゲのしっぽと同じで人の肝臓には幹細胞が沢山あるからだそうです。
 一昔前は大人の脳には幹細胞はなく、毎日脳神経細胞は10万個レベルで壊れて減っていくといわれていましたが、今では大人でも記憶を担当する海馬にも幹細胞は残っていて、条件が整えば年配になっても脳神経を増やせるといわれています。これは認知症にならない決め手の一つになりそうですね。
 幹細胞培養上清を使って花粉症にならないようにしていたら、認知症が良くなってきたなどということがある時代が来ているのかもしれません。