物忘れ・認知症48

 今月は『自然食ニュース』2014年1月号にご登場いただいた、脳の覚醒下手術をされることで有名な脳神経外科医(都立駒込病院脳神経外科部長)の篠浦伸禎先生のご本、『ボケない生き方』という本にある、認知症に関する、とても参考になる具体的な話をガイドというか、ご紹介させていただきます。
 この本はディスカヴァー・トゥエンティワン社から出版されており、関心を持たれたら本屋さんでご購入して愛読されることをお勧めします。

 ストレスの    コントロール

 まず篠浦伸禎先生は脳の活性化の鍵としてストレスのコントロールをあげられます。
 ヒトの脳は基本的に大脳の真ん中近くにある動物脳を人間脳が包み込むようにして成り立っていますが、この動物脳を人間脳が上手にコントロールできなくなると、認知症を含め様々な脳障害になるリスクが増します。
 動物脳は働きすぎても働かなくても脳の病気を招くとされ、帯状回を領域とする自我を強くしなやかにすることが脳の機能を良くするポイントになります。
 自我が強く、しっかりしているとは、自己主張が強いということではなく、不屈でしなやかな精神をもっており、どんな困難でも乗り越えることができるという意味です。

 動物脳

 生命を維持し脳を働かせるのに極めて大事な動物脳は、怒りや懼れのような情動にかかわるところです。この動物脳の過剰反応が起きると、視床下部を中心とする自律神経のバランスが崩れ、脳機能全体が落ちてしまいます。
 しかし、動物脳を完全に抑え込んだら、脳はやはりうまく働きません。動物脳の適度な刺激も必要です。
 ストレスで過剰に反応しがちな動物脳を人間脳がしっかりコントロールすること、そしてストレスを受けるたびに、さらに自我を成熟させていくことが、脳機能の改善にとても大事ということです。
 動物脳は適度に働くと人間にプラスになりますが、過剰に反応したり逆に機能が低下したりすると、認知症など様々な病気につながります。

ボケないための飲食物

 1、ニンニク
 ニンニクは、ガン細胞の分裂を抑えて増殖を抑制する効果が世界的に認められていますが、脳に関しては、ニンニクの成分アホエンには動脈硬化を予防して脳梗塞になりにくくするだけでなく、動脈と静脈の間にある微小循環を改善し、脳の記憶力を良くする作用があると篠浦先生はこの本に書かれています。
 顔色も良くなり、体からにじみ出る活力も感じられるようになるはず。

 アホエンオイル

 やがては「ぼけ」も招きかねない自律神経に問題のある患者さんに、篠浦先生がまず1番でススメるのは、にんにくとオリーブオイルで自分でつくれるアホエンオイルです。
 これは数年前にテレビで放映された情報ですが、ラーメン屋の店員が物覚えが悪く、お客が6人までなら何とかこなしていたのに、10人も超えるとそれぞれの注文の内容を覚えきれなかったのが、アホエンオイルを毎日大さじ3杯とか愛用するようになったら、まだそんなに日が経っていないのに、10人のお客の立て続けの注文を、1人ずつ全く間違えずに覚え、冴えた客さばきを見せたというのが印象にあり、熱海の「せせらぎ」でも設立当初からお客様に出しています。
 篠浦先生は患者さんから教わってアホエンオイルを愛用し始めたそうですが、毎朝大さじ4杯から8杯飲まれるそうです。そうすると昼までは気力を充実させて仕事に取り組めるそうです。そして、手術が終わった患者さんにも勧めるそうですが、評判上々だとか。
 アホエンオイルをつくるには、ニンニク3片、エクストラバージンオイル(ゴマ油でも可)150Nを用意します。ニンニクはみじん切り。耐熱容器にオリーブ油を入れ、湯煎します。80度以下程度に温まったオリーブ油にニンニクを入れ、自然と冷ましたらニンニクを漉しとれば出来上がり。蓋付き容器に入れて保存し、毎日大さじ1〜2杯以上を目安にとります。
 脳腫瘍治療中の方や、かつて脳梗塞を起こしたような方にも篠浦先生お勧め。

 黒ニンニク

 この項目はこの本には書かれていませんが、アホエン成分は黒ニンニクにもたっぷりあります。黒ニンニクは炊飯器にニンニクを玉ごとクッキングシートを敷いて入れ保温スイッチを2週間入れっぱなしにしてから取り出し、1週間ほど冷蔵庫に入れて熟成させたら完成。毎日真っ黒になった甘酸っぱくてニンニク臭のないポリフェノールたっぷりの黒ニンニクを3片ほど食べれば、アホエンオイルを摂っているのと同様のアホエン効果が期待できます。

ボケないための飲食物

2、コーヒー
 目を覚まし、頭の
 回転が良くなる実感
 篠浦先生は普段はお忙しいので論文や本は休みの日にまとめて書かれるそうです。その時には、朝に運動をしたあと必ず昼寝をし、起きた直後にコーヒーを3〜4杯飲むと、普段よりはるかに頭の回転が速くなり、数時間の間で驚くほど仕事がはかどるとか。
 コーヒーがもつ覚醒作用は、カフェインによりますが、これには、認知機能、注意力を高める作用があります。その作用には自我の領域の一つである帯状回の活性化が関与しています。ストレスを軽減する作用も報告されているそうです。また、動脈硬化の予防に役立つポリフェノールが赤ワインなみに含まれています。ポリフェノールは抗酸化作用があり、摂取すると認知症や脳梗塞の予防効果も認められています。パーキンソン、アルツハイマー病の予防作用は、動物を使った基礎研究のレベルでもわかってきているそうです。コーヒーを普段から日
に4〜5杯飲むことで、認知症を含む脳の様々な病気を予防してくれますが、篠浦先生は、疲れている体や頭を鞭打つ感じで飲むのは反対、十分な休養と睡眠をとったときこそ飲むべきものとされます。大規模・長期の比較試験では、糖尿病と肝ガンの予防効果も認められているとか。

ボケないための飲食物

 3、お酒の活用
 「酒は飲んでも飲まれるな」ということわざがありますが、篠浦先生は「自我が主体となり脳を働かせるために適度なお酒を飲むと良い」とこの本で書かれています。脳の病気にならずに人生を幸せに生きるためにお酒とうまくつきあえというわけです。
 55歳以上であれば、お酒を軽く飲む人とそこそこ飲む人は、そうでない人に比べて、認知症になる確率が減ることも報告されているとか。
 いうまでもなく、多量の飲酒は脳に悪く、脳組織を傷め、記憶などの認知機能に悪い影響を与えたりするので、大酒飲みは例外なく悲惨な晩年を送ることに…。
 一日の労働の報酬として、お酒の量を適宜コントロールして飲むというのが、脳にとって一番良い飲み方で、全く飲まない日、少し飲む日、そこそこ飲む日をうまく組み合わせれば、お酒と一生つきあうことができ、脳にもプラスになるでしょうとのことです。

ボケないための飲食物

 4、野菜と魚中心の
 食事が認知症を防ぐ
 最近の研究で日本や南ヨーロッパのような自然が豊かな地域の伝統的な食事が脳のプラスに働き、認知症予防に良いことがわかったので、篠浦先生もこの頃はご自分もそうしているとのことです。すなわち、朝食はご飯、味噌汁、魚、納豆、生野菜、生卵を定番として、コーヒーと赤ブドウジュースも朝食後必ず飲まれるそうです。
 日本の研究でも、アルツハイマー患者は、魚と緑黄色野菜の摂取が少ない、偏食の人に多く発症することがわかったそうです。
 甘いものや肉類が美味しいからといって、それだけを食べていると認知症になりやすいということも最近の研究ではっきりしてきたそうです。
 食事は人間にとっていちばん根源的な行為ですが、篠浦先生は、こんな食生活をしていると認知症になるよという内容は、人と自然との共生という、人のあるべき姿をはからずも教えてくれているような気がするそうです。
 イチゴ、ブルーベリー、ブドウ、トマト、豆、クルミなども認知症を防ぐのにそれなりの効果があると学問的な調査研究からわかったとのことです。
(つづく)