物忘れ・認知症40

猛暑の後は 認知症ラッシュ

 去年の八月、我が国に認知症になった方が305万人いて、その数は十年前に比べ倍増していると厚労省の発表があり、ずいぶんとびっくりさせられたものでした。しかし、今年の六月初め、同じ厚労省が我が国の認知症は462万人と推計されると発表、ついでのように、その予備軍は約400万人いて、合わせると65歳以上の高齢者の4人に1人が認知症か、そのなりかかりになっていると推計されるとの発表がありました。
 この調子では、来年の今頃は、また、どれだけ増えました、あるいは増えそうだとの発表がなされるかも知れませんね?
 何故、こんなに認知症やらウツ、統合失調症で脳が壊れる人が増えるのでしょうか?
 単に年をとったからというのではなく、「太陽がいっぱい」の夏だったからなのかも知れません。
 百歳くらいまでは健康に生きられるはずの動物ヒトにしては、65歳というのは、ずいぶん早くから故障が起きているのではないでしょうか? 単にお年のせいでしょとはいえない何かがあるはずです。そのお年でぼけてない人は沢山いるからです。
 原因のない結果はありません。きっと何か原因があるのです。しかし、真因は盲点のようになっていて、見ても見えない状況になっているのではないでしょうか?

 食性の無視

 私どもヒトは、本来もっぱら植物で栄養をとる性質の動物のはずなのに、その自然に与えられた食性を無視して、何でも食べる雑食をやり、その程度が肉食動物も顔負けするくらい沢山食べるようになってきて、それに適応できない人がガンになったり、認知症になったりするとの論陣を張っています。しかし、肉をたらふく食べて元気な人はいくらもいる、元気な人は肉食派がむしろ多いということをいい立てる人々も多く、その大声に負けて、この食性論に耳を傾ける人は少なく、おいしいもので生活させて、それで病気になったら、医薬品に頼ろう
頼らせようという社会的風潮が強いのです。
 だから、多くの人々が食性論に気づき、食生活の改善をするというのも期待薄で、今年後半以降もガンや糖尿病、認知症のリスクは増大する傾向になるに違いないとの予言が導き出されてしまうのです。
 身内にガンや糖尿病や認知症の家族が出たときには、どうか我々の唱える食性論に気づいてください。
 下手すれば、今までは無事で過ごしてこられたあなたご自身が肉食礼讃の風潮に呑まれかねません。それくらい西風が東風を圧倒している世の中なのです。

地球温暖化の被害

 ところで、今夏の暑さは半端じゃありませんでしたね。地球温暖化は海水温度を0・5度も上げ、深海までその熱で暖まっているそうですから、簡単には元には戻らないでしょう。来夏はもっと暑くなるでしょう。夏の暑さに耐えかねて冷たいものの飲食をしてしまった人は、秋以降、認知症を含む心の病が出ることを覚悟してください。
 去年の夏も暑かったのです。そこで冷たいものを飲食する人が激増。それが認知症を1年たったら統計数字もいじらねばならないほど飛躍的に増やしているのではないでしょうか?
 夏が暑いと何故認知症は増えるのでしょうか?それは冷たいものを沢山飲んでしまうからです。去年も沢山飲みました。今年も熱中症にならないように水を飲め飲めとテレビでも洗脳されました。アルツになってもクスリはある、アリセプトが効かなければ新薬メマンがある。それより熱中症になればその場で死んでしまう危険がある、ぐずぐずしないで、さぁ、水を飲めと公共放送が繰り返し警告していても、そんなことをしていたら世界的な大製薬業界の資本が一人勝ちを続ける結果になると気がまわる人は極端に少ないのが現状ではないでしょうか

宇宙で一番 熱容量が高いのが水

 人間は恒温動物なので腸も37・2度を保ってくれています。しかし、暑さに耐えかねて冷え冷えの飲み物を多量に飲めば、この宇宙で一番温まりにくく、冷めにくいものは水ですから、それがなだれ込んできた腸はしばらくの間、この恒温性を保てず冷えが長引きます。腸で火を燃やしているわけでなく、体熱の元は細胞内のミトコンドリアがクエン酸サイクルで生み出すエネルギー物質・ATPだけですから、零度に近いビールなどをジョッキでググーッとやれば腸が当たり前の温度を取り戻すためにはかなりの時間が必要です。その間が病気のリスク
がとても高い時間帯になるわけです。
 熱中症にならないようにというので、水道の水をがぶがぶ飲んでいれば、水道の水は25度程度だとすると、腸の温度とは10度以上の落差がありますから、これも腸は冷えることになります。
 腸には百兆とも千兆ともいわれるほどの膨大な数の腸内細菌がいますが、ヒトはルーツが植食動物で、雑食の歴史があるとはいえ、未だに身長の4倍以上という長い植食動物型の腸を持っているので、本来的に消化が苦手な肉や卵を消化能力以上食べると、食べたものを腐敗させる性悪菌が増え、それが腸管の水分や栄養分を吸収するルートに潜り込んで腸壁を通過して人間の体内に入り、液体の流れに乗って全身にばらまかれる危険性があるのです。
 そうならないようにヒトは細菌類から身を守る白血球軍団の3分の2を腸壁およびその近辺に配置していますが、その白血球が働くための温度条件が、腸が冷えていたら得られません。その腸冷えで白血球が働けないというスキをつかれて、また、白血球まで性悪菌にトロイの馬のごとく乗っ取られて体中巡られたら、漂着した先々でトラブルを起こします。脳のど真ん中でホルモンバランスをとっている脳下垂体には血液脳関門という血中の細菌を血管から出させない仕組みがありません。脳下垂体の隣には感情を左右する扁桃体があります。ウツ・認
知症・統合失調症という病は、この扁桃体にCTスキャンで映るほどの傷があります。脳でトラブルを起こされた人が認知症、膵臓でトラブルを起こされた人が糖尿病です。糖尿病も国民の4人に1人。急増中の認知症と根本原因は共通なのです。双方の止めどない増加の陰に、冷たい飲食物で腸を冷やしているという共通点があるのです。食生活の欧米化は肉食を増やし、日本人の腸内に性悪菌を増やし、便秘を増やし、結果として糖尿病と認知症を含む生活習慣病を増やしているのです。

 閑話休題

 この原稿を書いている最中、NHKテレビで関連ニュースが飛び込んできました。アメリカの研究ですが、33歳から89歳までの男女18人の脳の海馬を詳しく調べたところ、老化に伴って、記憶力が低下している人の海馬では、「RbAp48」と命名されているタンパク質が次第に減っていることがわかり、ネズミで遺伝子を操作してネズミの海馬でこのタンパク質を増やしたところ、生後15ヶ月の老化したネズミの記憶力が、生後3ヶ月ほどの若いネズミと同じ程度まで回復した、ヒトでも老化による記憶力の低下は改善できる可能性がある、これからは
ヒトにも役立てられるよう研究を加速したいとのこと。研究陣はノーベル医学・生理学賞を受賞したコロンビア大学のエリック・カンデル教授のグループ。期待が持てますね。
 別の話ですが、先ほどの認知症薬・メマンは今のところアリセプトより遙かに評判がよいとのこと。脳中で神経刺激の伝達をしているグルタミン酸量の維持を目的としており、危険な向精神薬に比べたら副作用もあまり心配するほどでもないようで、ご家族の認知症でお困りの方は、かかりつけの医師に希望を伝えて、すぐ試してみることができるはずです。

認知症の兆候と 三つの特徴

 さて、冷たいもの中毒の夏を送っても、認知症もいきなり最終場面にくるわけではありません。普通、徐々に進行します。その兆候は?

@「ありがとう」の 消失

 まず、周辺に対する感謝の気持ちが薄れ、「ありがとう」と表明することが少なくなってきたら危ないといわれています。今まで、何かにつけ「ありがとう」といっていたのがいわなくなったというのは、その気持ちを持てなくなったからです。あなたも、ご自分が周辺に対し、「ありがとう」という気持ちがなくなってきたらいわなくなります。この気持ちの持続と表明の減少は、周辺から見ていたら感じられます。観察対象人物に何かサービスしてみて、「ありがとう」の言葉がなければ、もしかしたら相手はぼけ始めている可能性がありますから、
さらに積極的観察を続けてください。あまちゃんの夏ばっぱも春子に「ありがとう」といっていましたから、当分ぼけの心配はいらなそうですね。

A笑顔の消失

 認知症の二番目の兆候として笑顔の消失があります。今まで何かにつけて笑っていたのに笑わなくなる、これは認知症の兆候かも知れません。おかしくないから笑わないのでしょうが、ご自分の場合、折に触れて鏡などをのぞき込んで、ご自分に笑いかけることを習慣づけると良いといわれています。おかしくなくても、笑わなくとも、口角を上げるだけで、認知症から遠ざかる「笑い」の効果があるともいわれています。やがてくるかも知れない認知症をこさせぬよう、近寄せぬよう、何かにつけて「ありがとう」と笑顔でいう癖をつけておくと良いの
でしょうね。

B冗句・ジョーク

 三番目の兆候はユーモアを解さなくなるというか、認知症が進むと冗談をいえなくなるそうです。親父ギャグだと口を封じられそうになってもめげないで、せっせと冗談をいいまくりましょう。冗談をいい合える仲の友を持っていることも認知症にならないポイントなのですね。
 あまり深く考えず、猛暑対策の一つとして腸を冷やしてしまった方は、ご自分もこの三つのポイントを頼りに自己観察し、周辺の方々も観察して認知症の悪循環サイクルに捕まらないようにして、この秋をどうぞお元気に乗り切ってください。