物忘れ・認知症35

認知症激増中

 アメリカでは、お金持ちがアルツハイマーになりやすく、日本人の十倍もの確率でアルツハイマーになりやすいとか。経済的に恵まれて、何不自由なく贅沢な暮らしができたとしても、最後が認知症では考えてしまいますね。
 アメリカ生まれ、アメリカ育ちのアメリカ人でなくて良かったなぁ、と思っていたら、今の日本でも認知症の増加ぶりはすさまじく、現在305
万人(厚労省推計)、十年前の149万人から見たら二倍になるほどの急ピッチで増えているそうです。
 どうもアメリカ人だからアルツハイマーになりやすいのではなく、アメリカ的お金持ち生活をしているとアルツハイマーになりやすくなるのであって、日本で生活をしている日本人でも、それを真似した生活ぶりをしていると認知症になりやすくなると考えると理解しやすいですね。
 ちなみに厚生労働省の予想によれば、2015年には345万人、20
25年には470万人になるだろうと予想しています。この頃、私が順調に生き延びていれば、八十歳代前半になっているはずなので、周りの同世代は認知症だらけということになるようです。自分も怪しいというだけでなく、人生を悲劇で終わらせたくないので、何とか認知症にならない知恵に巡り会いたいと切に思ってしまう今日この頃です。

アイスクリームが 犯人か

 アメリカ人の金持ちにアルツハイマーが増えるのは、本来植食動物であるというヒトの食性を無視した肉食やり過ぎのなれの果てと思っていましたが、西原克成先生の新著、『難病克服マニュアル』によれば、食後デザートのアイスクリームの食べ過ぎ習慣が一番の原因だと喝破しておられます。関心のある方は、このビジネス社からの新著を本屋さんでご購入の上、お読みください。
 大量に食べ込むアイスクリームで腸が冷えたら、百兆とも千兆ともいわれる腸内細菌が体内に大量に入り込み、血液脳関門がない脳下垂体を通じて海馬などの諸器官に脳内細胞内感染を起こした結果がアルツハイマーの驚異的増加になっているということです。
 アメリカ人も肉食動物ではないので、肉食過多をしていれば消化能力を超えてしまい、それによる便秘が起これば大腸、直腸で腐敗毒素が増え、それに伴って悪玉腸内細菌が体内に侵入して、血流に乗って脳内に入り込めば、アルツハイマー・認知症など様々なトラブルが引き起こされることは目に見えています。
 日本人の食生活がアメリカ人の食生活の後を追いかけていれば、日本人の方が腸の長さがより長く、植食動物の原型に近いことからいって、生活習慣病の増加もアルツハイマー・認知症の増加も、より急ピッチになっても不思議はありません。

意識障害と認知症

 認知症になると意識が定かでなくなり、朝起きたときなど、今がいつか、自分がどこにいて、今日一日、何をしなくてはいけないかが明確でなくなります。
 出張が多い私は、月に半分近く全国に散在する低価格で清潔が売り物の「東横イン」というビジネスホテルのベッドで目が覚めます。
 朝、目覚めた瞬間、どこの東横インも部屋の中はそっくりさんなので、「えーっと、ここは札幌だっけか、八戸だったかな?」と思うことがありました。すぐ、記憶がよみがえって、ああ、ここは札幌だとわかるのですが、認知症になるとこれがなかなかはっきりせず、混乱してしまうのでしょう。
 こうならないようにアイスクリームは食べないようにしなくてはなりませんが、これはアイスクリームだから危険なのではなく、冷たいものの飲食だから危険なのです。冷たいビールをゴクゴク飲んでいればアイスクリームを食べ過ぎたのと、認知症をもたらす危険性においては何の変わりもありません。これは健康に良い水だというので、冷たい水を多量に飲んでいても話は同じです。
 腸のあるべき温度は37・2度だそうです。これが1度でも2度でも下がったら、腸内細菌も腐敗毒素も腸壁をすり抜けて人体内に入り込む危険性を持つので、冷たさも何もアイスクリームのように溶解熱を奪うものだけでなく、冷えたビールや冷たい水も当然危険ですし、いわゆる常温の水も25度程度でしょうから、程度の差はあっても腸を冷やす方に作用します。腸の温度より冷たい飲食物は、口や食道・胃袋で温められることはあっても十分に温められてから腸に流れ込むのではなく、低い温度のまま、腸に流れ込みます。
 つまり、生活習慣病や認知症になりたくなければ体温より冷たいものは飲食しないようにしなくてはいけないということです。
 アルツハイマーというのは脳の神経細胞にベータアミロイドと呼ばれるタンパクがたまるという特徴がありますが、これの蓄積が始まってから二十年から三十年してから記憶障害が起こるといわれています。
 だから、転ばぬ先の杖といいますが、老化してからの認知症を防ごうと思ったら、若いうちから冷たいものの飲み食いをしないことです。
 この警告が足りないために、アメリカでも日本でも冷たいものの飲食が危険視されず、誰でも彼でも平気で長期間飲食しているので、認知症も生活習慣病もどんどん増えまくっているのが実情ではないでしょうか?

認知症予防に 柑橘類という 耳より情報

 みんな、冷たいものの飲み食いをやめようよといっても、聞く耳持つ人はわずかだろうなと思えてしまうので、お先真っ暗とも思える認知症の驚異的増加が予想されるというのが実情ですが、一服の清涼剤にも感じられる、良さそうな情報に巡り会いました。
 大泉康先生のリードで東北大学や静岡県立大学薬学部で研究されているそうですが、ミカンの皮の芳香成分が食べても匂いをかいでもアルツハイマーの予防に効果があるようだというのです。柑橘類の果皮というのですから、漢方でいう陳皮にあたりますね。
 ノビレチンという成分だそうで、アルツハイマーにならせたマウスなど、記憶障害モデル動物で顕著な記憶障害改善作用が見られるというのです。海馬に染みついたベータアミロイドが薄れていく結果、記憶障害も取れていくというのです。
 柑橘類の種類によって、ノビレチンの多少はあったとしても、これは朗報です。インターネットでノビレチンと入れて検索すると、沖縄のシークワーサーが出てきます。
 今まではビタミンCの宝庫ということで注目する人が多かったと思いますが、これからはアルツハイマー予防の果実ということでも人気になれば良いですね。ガンの予防効果もあるということで、ジュースにして飲む人も増えるでしょうが、ここで注意しなくてはいけないことは、このジュースも体温より温めて飲むことがポイントだということです。
 ヒトの家族性アルツハイマー病遺伝子を導入したマウスは、大体生まれてから九ヶ月した頃から脳の海馬にベータアミロイドが蓄積してきて、記憶障害が目立つようになり始めます。このマウスにノビレチンを毎回の食物に混ぜて、体重1キログラムあたり10ミリグラム程度食べさせていると、ベータアミロイドの蓄積が目立って少なくなり、それとともに記憶力が普通のマウス並みくらいまで戻ってくるというのです。このノビレチンの量は、平均体重の人でシークワーサーの実であれば3個から5個くらい分の果皮を食べていればとれる量で、ミカン
、キンカンなど、大抵の柑橘類の果皮には含まれており、乾かしてもジャムにしても果皮ならばノビレチンの摂取は結構期待できるとのこと。
 この研究は是非引き続き進めていただくことをお願いしたいものですが、この希望が持てる話は、特に薬を使うわけでもなく誰でも心がければ実行できる話なので、是非、すでにアルツハイマー型認知症になっている方にも試してみる価値がある話ではないでしょうか?
 大体が予防効果が期待できる話だそうですが、マウスの実験を見る限り予防限定の話ではなく、なっている人が治ったとしても不思議ではない内容です。
 ミカン類など柑橘類の皮は、干すなどして保存を考え、毎日少量でも良いですから、十年、二十年と続けて摂りたいものですね。