物忘れ・認知症M

薬害と認知症

 今回は薬害と認知症の関係について考えてみたいと思います。
降圧剤

 一番ポピュラーなのが、降圧剤を長期使用しているとボケやすくなるということでしょう。高齢化に伴い、血管が老化し、動脈硬化も進むと、血液の通り道が細くなり、圧力を上げないと、脳のように心臓から見て高いところに十分な血液が回らなくなります。そうなれば、大事な脳に酸素も栄養も十分回らず、老廃物の除去もスムーズにいかなくなることは誰が考えても当然です。
 そのため、自動コントロールが効いて血圧を上げているのに、それを薬で血管を拡げたり、塩分と水分を減らしたり、血圧を上げるホルモンができないようにしたり、カルシウムの供給をブロックしたりなどして血圧を下げてしまえば脳が正常に働けず、へたをすれば脳が壊れ出し、結果的にボケが進行してしまう人が増えます。

認知症二百万

 認知症の人は、今、大体二百万人だそうですが、その多くが降圧剤や抗うつ剤や睡眠誘導剤、またの名を催眠鎮静剤など向精神薬の長期服用をしているはずです。検査で血圧が高いと言われ、そのままにしておくと動脈硬化が進行し、果ては脳卒中で倒れてヨイヨイになり家族に迷惑をかけるようになるから、今のうちに薬で血圧をコントロールした方がいいよと言われ血圧の薬を常時飲むようになって数年すると呆けてくるというのは、よくあるケースです。

向精神薬も危ない

 今回は脳に働きかけて心の働きに影響する向精神薬について少し考えてみたいと思います。人気度が高い薬としては、眠剤と言われる睡眠導入剤があります。眠れないとか、夜中に目が覚めてしまうとかの悩みを相談された医者が気軽に出す薬で、大抵はベンゾジアゼピン系と言われるもので、最初はぐっすり眠れたという人が多いのですが、次第に体が慣れてしまい、効きが悪くなりましたというと、医師はすぐ増量処方をします。この繰り返しで増量しているうちに、飲まないと眠れなくなってしまうという困った依存性が現れてくるものが殆どです
。こういう状況を中毒というのですが、ご信頼申し上げている医師の指示でやっているので、「まさか、覚醒剤やめますか? 人間やめますか?」状態に落とされたとは夢にも思っていない人が殆どです。不眠を訴える人にも処方されるハルちゃんと言われる人気のクスリは、向精神薬トリアゾラムを含む鎮静・抗不安剤です。銃器が気安く買える某国でたびたび起こる銃乱射事件では、その多くがハルちゃん中毒者が事件を起こしていると言われます。鎮静剤とは言いながら、人によって出るハルちゃんの強い依存性、錯乱性、興奮性が事件を起こさせる
のです。医師が好んで出す抗不安剤も中毒したら真逆に働くことがあり得るということです。また、医師はこの患者は不安症の段階を通り越したうつだなと思えば「いい薬がありますよ」とか言って抗うつ剤を実に気軽に処方する風潮になっています。何かの折りに、こんなにクスリに頼っていていいのだろうかと疑問を持ち、やめようと思ったりしても時、既に遅しで苦しい禁断症状に襲われて怖くなり、既に簡単にはやめられない状況になっていることが多いのです。次第に多量に服用するようになると、意識が飛んでいる間に奇妙な行動に走り、入院
させられる人が増えています。緊張から逃れるためにビールで飲んだり、朝から飲んだり。独特の幸せ感が満ちてくることがあるそうですが、徘徊して通行人に暴力的に絡んだり、警察沙汰になって仕事を失ったり、挙げ句の果て、自ら人間をやめてしまう人が多数出てきます。自死年間三万人超の中にまともだった脳をクスリで壊されてしまった人が数多く含まれていることは想像に難くありません。神経内科医は状況次第で合法的なヤクの売人になれるのです。麻薬と向精神薬との間に垣根はありません。麻薬・覚醒剤も医師が医療用と言い張れば向精
神薬として通用するのです。

うつ病は 五百万人?

 いわゆるうつ病として医師に抗うつ剤を投薬されている人はこの二十年間で十倍増え、約百万人いるそうですが、消息筋によれば、これはサラリーマンの約半分に「何らかの抑うつ症状が見られる」ところから推定すれば、うつは潜在者も勘定に入れればその数は一千万人に及ぶとも言われ、百万人というのは氷山の一角にすぎないそうです。
 うつ病の人は、大抵倦怠感と不眠、食欲低下を訴えます。「やる気が起きない」から始まって、「生きているのが嫌に」まで、うつの程度はいろいろでしょうが、軽い気持ちで心療内科に行けば抗うつ剤が処方されること必定です。
 うつ病患者への投薬の第一選択肢は「SSR1」薬剤です。人に暴力を振るうなどの他害行為を招く副作用があると厚労省に認定されている薬剤です。周辺の人に「激高」
「敵意」「攻撃性」を持つ困った副作用です。この攻撃性が自分に向けば自死です。この向精神薬の副作用は怖いので、この依存症になったら大変です。「うつは心の風邪です。放っておくより気軽に心療内科へ」のスローガンにだまされてはなりません。うつが治らないのはクスリを処方され、依存症にされていくからです。さらに最近中毒者が増えているクスリに「リタちゃん」というのがあります。これは化学構造が覚醒剤に酷似していると言われます。使用感も覚醒剤のような高揚感が得られ、依存性が強いと言われています。最近増えているまる
で落ち着きのない多動症の子供は、リタちゃんのお世話になった母親から生まれたケースが多いとか。このような化学物質は子供の脳の発達を阻害する恐れが強いのです。

心の病は脳のキズ

 健康セミナーのときにいつも紹介している本に『心の病は脳の傷』(西村書店刊)があります。この本によれば、うつと認知症、そして統合失調症は、みな脳内で感情を司る扁桃体にある角度でMRIで写るキズが見つかるということが書かれています。そういう意味でうつと認知症は互いに共通因子がある病気だとわかります。うつがこじれていけば認知症にもつながる脳の失調のリスクが高まり、うつを治そうとして向精神薬を使い出し、依存症になればうつもひどくなるし、認知症をもたらす区域にも悪影響が及べば認知症にもなっていく危険性が
高いことを覚悟しなくてはなりません。認知症と誤診されやすい「せん妄」という症状がありますが、これは普段は間違わないものを間違って認識するとか、自分が誰か、どこにいるのかわからなくなる、幻覚や妄想が起こる、異常な不安や怒り、泣き、笑いなどが現れます。記憶の障害を中心とする複合的な認知の障害が起きているのです。せん妄はニューロンが正常に働かないために起こる一時的な症状で、突然現れ、原因がなくなれば回復しますが、やられているときは認知症そのものです。同じかきわめて近いところにキズができるからでしょう。
向精神薬の副作用としてせん妄が引き起こされる人もいるということで、薬害の一つとして認知症を含む精神障害が現れることがあるということでもあります。この薬害は何も向精神薬に限られるわけではなく、テレビで人気俳優が宣伝しているH2ブロッカーと言われる胃薬でも起きることがあるとの報告もあります。こう考えてくると、薬物というのは毒物と同義であるという先人の教えが納得できますね。認知症になりたくなければ向精神薬(毒)には近づかないのが一番ですね。睡眠導入剤と言われるものが様々な向精神薬の導入剤になることを忘
れないようにしたいものです。