物忘れ・認知症L

ボケない脳づくり 七つの実験

 最近、李白社発行の対談本、『絶対「ボケない脳」を作る7つの実験』、渡部昇一・加藤俊徳の本をとても面白く読みました。
 「はじめに」に七つのボケない工夫を実験テーマとして提示し、この七つのボケない実験を読者の方ご自身やご家族をモデルに検証して欲しいのです、と、呼びかけています。
 本誌愛読者の方も是非、この本をお買い求めになり、熟読の上、この検証に参加されてみては? と思うにいたりましたので、このところを引用紹介させていただきます。

ボケない実験の仮説

 こうしたらボケないはずという仮説を七つ示すので、検証に参加して欲しいということです。いわく、
 「私(加藤俊徳医学博士)は、今、全国民どんな人にもボケない脳の実験が必要なのだと考えています。そこで、七つのボケない実験の仮説を提案したいと思います。
 ● ボケない実験 積極的に先の予定を立てる人、未来像に向かう自分がある人、未来をつくろうとする人はボケない
 未来に向けた計画を実行する日をワクワクしながら考えることは、脳へのいい刺激になります。海馬は未来の記憶が好きなのです。
 ● ボケない実験 時間を意識して生活する人はボケない(時間の流れを意識して[脳時計]を寂れさせない)
 いつも時間の流れを意識して、上手に時間を使える能力のある人はボケません。絶えず時間の流れを意識し、何を優先して物事を処理すればいいかという順序を考えながら一日を過ごしてみましょう。海馬を動かすには時間へのこだわりを持つことです。
● ボケない実験 先入観を持たず、人に接したり、新しいことに挑戦する人はボケない、いやみのない人はボケない   まず得意分野で楽しめることを見つけ、それを長く続ける。そして少しずつ新しいことにも挑戦していく。そうした前向きなチャレンジ精神が脳を育てる基本となります。海馬は、新しいことに接すると元気にイキイキします。
● ボケない実験 普段の生活と反対の立場や考え方でも行動できる人はボケない
 定年後の隠居生活は避けるべきです。なぜなら脳は、外界からの刺激によって活性化するからです。町内会の会合、ボランティア活動、趣味のサークルなど……様々な人々と出会うことができ、社会とかかわることができる場に足を運びましょう。
● ボケない実験 自分のすべき価値、プライドを信じて行動する人はボケない、後輩や日本への思いやりや使命感を実現しようとしている人はボケない
 年を取るほどに利他心が高まっていく人はボケません。また、プライドとは、その人が一生かかって築いてきた道徳心ともいえるでしょう。道徳心が抗加齢作用があるという仮説が成り立ちます。
● ボケない実験 運動時間、睡眠時間をきちっととる人はボケない
 運動は、脳の中の酸素消費を促すだけでなく酸素供給も促します。海馬は酸素ストレスに弱いのです。
● ボケない実験 健康な食生活を保つ人はボケない、健康のために守って続けていることが一つ以上はある人はボケない 生活習慣病はボケの大敵です。自分の体の健康を守るには、まずは食生活からです。食の基本は、体にいいことをまず一つ決め、それを長く実行することです。
 以上の七つのボケない実験を読者の方ご自身やご家族をモデルに検証して欲しいのです。」
 と、あります。実験の解説一つ一つに書かれている文章が、本誌では紹介できませんが、また素晴らしいのです。是非、本屋さんで李白社のこの本をお求めになり、この仮説検証実験に参加されることをお勧めいたします。

97歳までピンピン、 そしてコロリ

 また、この加藤俊徳先生は、この本で、先生のおじいさまが85歳まで漁に出るために家から船着場までをバイクに乗って往復していたこと、97歳の手前で亡くなるまでボケることなく、傍で見ていて、むしろ年々、頭が良くなっていくようにさえ感じておられたそうです。そして、このおじいさまの生活習慣と日常の行動を分析し、ボケないための七項目を提示されています。
1. 食べ物は腹八分目を若いころから保つ。間食はしない。肉類、乳製品、洋風料理は食べない。魚と野菜、米、麺類を主体とした生活。
2. 起床時間、睡眠時間を保ち、時間を守って生活する。
3. 人の悪口は一切、言わない。怒らない。
4. 自分のすべき役割を家長として80歳過ぎても保つ。
5. 定年が80歳を超えてもなく、85歳まで現役。
6. 料理や野良仕事は自分で90歳までしていた。
7. 自分の決めたことはきっちり実行に移す。
 この七項目が加藤先生から見た主観なので、これらを検証するために、ボケない実験を読者の協力を得て積み重ねてみたいということなのです。是非、ご協力を。
 協力してみようと思い、この本を本屋さんで手に入れるところから始まって、何回も読み返してみるということになれば、そしてご自分も見習って生活をしてみれば、それだけボケから遠ざかることになるはずです。

ご一緒に ボケない道を

 本誌の読者は1. は問題ないと思います。腹七分目という見解もありますし、これは毎日でなくとも、1週間に2日定期的に七分目でも良いという赤毛ザルでの長期実験結果もあります。
 ヒトの食性は本来、植物食にありとの認識に立って応用していけば良いわけです。魚も排便の臭いが悪臭になるほどの食べ過ぎはしないということを守れば、現実生活では優等生の部類になるのでしょう。毎回の食事には必要な時間をかけ、ゆっくり落ち着いてよく噛んで食べることがボケの予防につながるということは有名な話です。奥歯下の血液たまり場がポンプ作用をして、脳から血液を引き出し、結果的に脳に酸素に満ちた新鮮な血液を送り込めます。
 加藤先生は、海馬の萎縮を招く脳内血流不全を防ぐために、脳動脈血管を収縮させる交感神経過興奮を防ぎ、海馬などが酸欠にならないことを重視しておられます。
 私どもは、そのために音楽療法、音響療法が大きな力を発揮すると見ています。食事の時に神経の安らぐ音楽を聴くのも良いですし、意外と大きな力があるのがオルゴールであるとの認識も持っています。生のオルゴールは、耳には聞こえない高周波、低周波の音の響きを持っており、これが脳幹に共鳴共振現象を起こして脳深部を活性化させるので、脳幹の温度も上がり自律神経を調整し、脳動脈を拡げ血流を活発にしてくれます。これはオルゴールの音を録音したCDでははかばかしい効果は得られないともいわれています。原音をCD化する時、人
間の耳に聞こえない高周波、低周波をカットしているので脳幹への共鳴共振がうまく起こらないせいといわれます。おじいちゃん、おばあちゃんへのプレゼントにオルゴールというのは認知症を防ぐのにもお勧めという話です。
 あと、やはり適宜な運動が脳の血流を良くして認知症を防ぐ力になります。これについては、私どもは最近、年を取ってもできるミニトランポリンに挑戦してみられることもお勧めしています。ホームセンターなどでも安く売っています。何もこれで空中に飛び上がれといっているわけではありません。つかまりながらでも、足の一部が浮き上がらないで跳躍面についていても良いので、瞬間的に無重力に近い感覚が得られる程度で良いので、ピョンピョンしてみて欲しい、そして、毎日
続けて欲しいと思っています。

早寝で7時間睡眠

 ヒトは睡眠時間中が修理修繕タイムです。夜10時から夜中の2時半くらいの間が一番成長ホルモンが出て新陳代謝が活発に行われる時間帯といわれています。そして睡眠時間は7時間の人が統計的には一番長生きともいわれています。布団との摩擦でも静電気が生まれるので、睡眠は7時間程度で切り上げるのが得策ともいわれています。この静電気が脳の中で生ま
れ悪さをすると海馬や扁桃体に傷がつき、認知症にもつながるともいわれています。また、電気毛布などにくるまっていると電磁波の悪影響で様々
なトラブルのもとになるといわれますが、この電磁波を味方に変える量子物理学レベルの簡単に使える発明品もあります。私もこれを愛用し、出張の時も、このウェルキャップという発明品とハーフサイズの電気毛布を持ち歩きプラスになる電磁波を至近距離で浴びながら睡眠をとっています。たいした金額ではないのでおおかたのボケたくない方にお勧めです。眠れないからといって睡眠薬に頼るとボケのハイリスクを負うことになります。このことは来月号でまとめてご注意を喚起させていただくことにいたします。

深呼吸

 海馬をはじめとして、脳は酸素を大量に消費するところです。新鮮な血液で酸素が十分に運ばれ続けないと深刻なダメージを受けてしまいます。先ほどの運動で血流を順調にさせたとしても、酸素が不足していたのでは何にもなりません。折に触れて適度適切な運動の前後に大きな深呼吸を繰り返して行う習慣もつけるようにしていただきたいものです。指先につける器具で簡単に血中の酸素濃度を測れる器具も売られています。場合によっては、こういう便利グッズも利用しつつ、酸素を脳に回すようにしたいものです。

人の悪口は言わない

 これはとても難しいボケ対策になります。人は誰でも常に周囲の人との関係を推し量って生きていますが、ついつい自分を高みに置き、人には厳しい目を向けてしまう困ったちゃんが殆どです。自分のことは見えないので、見える人の悪口を言いたい生き物なのです。でも、精神衛生上、つまるところ自律神経のバランスや海馬の健康を考えたら悪口は人のいないところで叫び、周囲の人には言わないで済ませることがボケないで長寿を保つことにつながります。怒らないことも難しいですね。怒りたくなったら、ご自分の将来的認知症のことを思い浮か
べ、そうならないのがより重要な選択肢と思い、気に入らないことを言ったりやってくれた相手も、何かそうせざるを得なかった事情があったのだろうと好意的に察することにして、上手にやり過ごす心を養いたいものです。こだわりをサラリと脱ぎ捨て、馬鹿のふりをして生きるのが本物の馬鹿にならない道なのかもしれませんね。
 ははは、認知症にならないのも人生修行の一つでしたの巻。