物忘れ・認知症J

生理的物忘れは 認知症ではない

 認知症とは「記憶したり、考えたり、判断する力が障害を受け、社会生活に支障をきたすようになった状態」をいいます。
 一般的には、人がものを覚える能力は、どうも30歳から40歳くらいがピークで、殆どの人が歳をとるに従って物覚えは悪くなるし、物忘れは良くなるしということになります。
 この物忘れには歳相応に起こる本人にその自覚がある「ど忘れ」など生理的な物忘れと、同じことを何度も聞いたり話したり、時空の感覚が定かではなくなる病的な物忘れがあるといわれますが、アルツハイマーなどの深刻な認知症になるのが心配なのは、後者だといわれます。
 認知症かどうか判定するツールとされ、前回ご紹介した改訂長谷川式試験法は、この生理的物忘れが起きやすい人も認知症と認定されるリスクが大きいとの批判も一部であります。高齢者がホントは認知症ではないのに、認知症と認定されてしまうと、そこで不必要な投薬をされるきっかけになり、不適切な過剰投薬・薬漬けを強いられている内に副作用で脳が壊れて本格的な認知症になりかねないという心配をする向きも出てくるわけです。
 精神科とか心療内科では厚生労働省の指導もあって、大多数が改訂長谷川式を使っています。従って認知症かどうかを判定する問診は「今日は何月何日ですか」「ここはどこですか」という質問から始まるのが定番です。患者さんに付き添っている方は、まず、ここを繰り返し患者ににわか仕立てで「今日は1月20日よ」、「ここは病院よ」とか、答えを吹き込むケースもあるのでは? と心配されています。
 今、大手の本屋さんで断然売れている本は、
100万部突破という柴田トヨさんの『くじけないで』という詩集だそうです。NHKの特別ドキュメント番組で年末に「99歳の詩人 心を救う言葉」が放映されたことで大ブレークしているのです。
 その中にこんな詩があります。

先生に

私を
おばあちゃん と
呼ばないで
「今日は何曜日?」
「9+9は幾つ?」
そんな バカな質問も
しないでほしい
「柴田さん
西条八十の詩は
好きですか?
小泉内閣を
どう思います?」
こんな質問なら
うれしいわ
 これは、まさに改訂長谷川式で行われる問診に対するトヨさんの気持ちではないでしょうか?。
 こんなレベルのテストで認知症かどうか仕分けされたくないということではないでしょうか。
 こんな詩もあります。

忘れる

歳をとるたびに
いろいろなものを
忘れてゆくような
気がする
人の名前
幾つもの文字
思い出の数々
それを 寂しいと
思わなくなったのは
どうしてだろう
忘れてゆくことの幸福
忘れてゆくことへの
あきらめ
ひぐらしの声が
聞こえる
 加齢とともに起こる生理的物忘れは、柴田さんの実例で判るように決して認知症ではありません。
 物事をすじ道立てて考えたり、正しい判断が出来なくなり、生活に支障をきたすようになったときが認知症です。
 あれこれ大事なことも忘れてしまい、ひぐらしの声に聞きほれる柴田さんを改訂長谷川式でテストすれば、基準点に満たないとして認知症の判定が出て、とりあえずアリセプト(認知症の人に出されるポピュラーな薬)を処方しておきますから、飲みながら様子を見てくださいなどといわれるかも知れません。
 これが薬漬けの始まりで、日を追って薬の種類が増やされ、よほど慎重に対処しないと薬害廃人コースを死に向かって行進させられかねません。
 精神科・心療内科では、通常十種類以上の薬が処方されているのです。
 しかし、詩集を出すという立派な社会生活を自立して行っている柴田さんは断じて認知症ではありません。だから記憶力に決定的重点をおいて、それを決め手とする認知症認定方式に振り回されては危険ではないでしょうか?

認知症発見の もうひとつの手立て

 そこで私の視野に最近入ってきた情報がTKW式認知症診断検査です。
TKWはそれぞれ東海大学・慶應大学・早稲田大学の略称で、作動記憶理論に基づくテスト法になっています。つまり知能の働きの基盤となる最小単位のワーキングメモリーが成している情報処理と短期の貯蔵に着目した認知症発見問題で認知症がわかるというものです。一例が最後のぺージの迷路問題です。
 これは早稲田大学で教えておられる並木博先生がお考えになったもので、記憶力より判断力に力点をおいている優れものです。記憶力のみで判断するのではなく、当然それはベースにおきながらも、考える力に力点をおいて、それが試されるやり方です。もし、認知症の人がこのテストをやったら、これは正解出来ないはずです。直前に今日は何年何月何日とか、ここは○○病院ですなどの答えを吹き込んでカンニングさせることも不可能です。皆様是非、認知症が疑わしい方に試してみられたらいかがでしょうか? 結果のご報告がいただけたら幸いで
キ。

アルツハイマーは 進行する

 アルツハイマーかどうかは、病院ではCTスキャンやMRIなどの画像診断で、脳室が拡大し、脳回という皺が開き、大脳が萎縮していることを決め手にして、診断を下します。
 アルツハイマーなら症状的には、記憶障害・判断能力低下から始まって、家事や仕事でのトラブルが続発するようになり、次第に日時・場所も判らなくなり、徘徊など異常行動で周りが振り回されるようになりますが、この病状の程度が進行し
続けるというか、どんどん
エスカレートしていくというのがアルツハイマー認知症の特徴です。この十年以上の長丁場続くという進行過程をいかにして遅らせるかというのが次のテーマとなります。
 私達が提唱する「ヒトの食性を基本的に守りつつ微量栄養素サプリメントを用いる栄養療法を試みる食生活改善」、「万病対策にしているマイルド加温療法と微弱放射線ホルミシス療法」はアルツハイマーの予防と進行遅延化にも有効、少なくとも試してみる価値ありとお勧めしています。
 なるべく早期にTKW式で認知症を発見し、まず食生活の根本的改善に取り組んでいただきたいと思います。これだけで、だいぶ呆けが来ていた80歳後半の方が1ヶ月もしない内に戻ってきたという程度の実例ならかなりあります。
 糖尿病の合併症も血管の老化というか酸化で悲劇になっていきます。アルツハイマーをはじめとする様々な認知症もバックグラウンドに脳血管の傷みで脳内血流が思わしくない状況が続いたということが考えられます。脳のような神経システムも、血管をはじめ全身すべてのパーツに対する適切な栄養補給 ・ 新陳代謝・デトックスの流れで支えられているのです。
 最近、ボディチェッカーという最新の機器で小生の血管年齢の測定をしていただくチャンスがありました。結果は測定してくれた先生もびっくりという、68歳なのに21歳若い47歳並みの血管の若さと出ました。私どもが提唱している生活改善法の長年の実践者として、その正しさが証明された、多くの人々にこの情報を伝え、健康になっていただきたいという思いはますます募り、意気軒昂になっている昨今です。
 歳相応の物忘れはしますが、TKW式認知症発見テストには、勿論引っかかりません。皆様も、どうぞ積極的にお試しあれ。