健康セミナー健康講座

─ヒトはなぜ生活習慣病になるのか
高血圧再考─診断基準変更に寄せて
〜遅筋を使うスローな運動を!〜

おすすめの運動
〜腰と膝の直角曲げ 立体バランスボールストレッチ&スロージョギング〜

 私たちは、高血圧や糖尿病の方をはじめ、どの方にもおすすめしている運動があります。
 まず、バランスボールを使った腰と膝の「直角曲げ立体ストレッチ」運動です。この運動は毎日食事30分後、壁につけた直径65cm以上の大きめのバランスボールの前に両足を広げて立ちはだかり、ボールが逃げていかないようにした上で、ゆっくりとした速さでボールに腰を落としたり弾んだりして、約10分行います。
 さらに、時速4kmの歩くスピードでごくゆっくり歩くスロージョギングを約20分行います。バランスボールとスロージョギング合わせて、一日合計30分行います。
 これに加えて、動脈硬化と高血圧対策には日中の折々、両肩を上げてストンと落としたり、両足首を回す運動をおすすめしています。この時、今月の血液像(16頁)で検証しているプロトン水をその都度、肩部と足首、両耳に振りかけてから行えば、体が硬い方にも、きっと喜んでいただけると思います。

運動のコツは ゆっくり
〜速筋を使わず、 遅筋だけ動かす〜

 運動のコツは出来るだけゆっくりと行うことで、疲労物質である乳酸が出来てしまう速筋は使わず、長時間でも疲労なしで運動することが可能になる遅筋だけでの運動にすることです。
 そうすると、疲労感が全くといって良いほどないのです。
 バランスボールとスロージョギングは連続的に行わなくても効果は同じです。一日の中で10分ずつ、バランスボール1回、ジョギング2回と3回に分けても良いのです。
 時間の余裕があるという人は、仮に倍の1時間やったとしても、速筋を使わないので、疲れは全く感じないはずです。
 限られた時間で、メニューをこなそうというのでスピードを上げると速筋が使われてしまいます。そうすると、運動量に比例して疲労物質・乳酸が産生されてしまうので、どうしても疲労を伴います。
 中国などで早朝、太極拳をスローにやっている映像などを見たことがあると思いますが、これらはまさに遅筋だけを使っているので、いくらやっても運動の疲れがないのと同じです。

高齢者の 高血圧だけでなく 呆けも防ぐ!

 スローな動きですから高齢者でも行えます。脳が活性化し、容量も大きくなってくるので呆けにくくもなります。
 若い人でも高齢者でも、続けていると全身の筋肉に毛細血管が発達してくるので、血糖値もコレステロール値や中性脂肪値も望ましい値を目指して下がってくるようになりますし、何より血管の新陳代謝が活発になり、動脈硬化も次第に解消されてくるので、高血圧も解決されるようになります。

ジョギングは 高血圧の人には 危険なスポーツ

 最近、フランスのサルコジ大統領がジョギングで気分が悪くなって緊急入院したというニュースが世界を駆け巡りましたが、ジョギングの創始者がジョギングの最中、心臓発作で亡くなったというのは有名な話です。それだけ血管心臓系には負担がきつい運動だということです。
 それでも、高血圧学会のスポークスマンの役割を担ってNHKで国民洗脳の役割を果たしている医師代表は、高血圧患者の生活習慣改善の一翼を担う運動は、一日30分のジョギングと強くすすめます。
 ジョギングを激しくない有酸素運動と思い込んでいるからです。
 ランニングに比べれば比較的激しくはなくとも、動脈硬化・高血圧を抱えて、それを何とかしようと思っている人にとっては、ジョギング自体、命のリスクを負わせる負担が大きい危険な運動です。
 正常高値血圧という怪しげな概念を発明し、その範囲に該当する人には、脳卒中・心筋梗塞・慢性腎臓病などの既往症・糖尿病・メタボ・高齢・喫煙──などの危険因子を挙げ、これらが一つである低リスク、二つでaある中等リスクのうちは生活習慣の見直しを優先させての上での薬物療法、危険因子が三つ以上重なった場合は高リスクとして直ちに薬物療法に入るべしという細かいガイドラインを作った割にはお粗末な運動指導です。

薬物療法を 推し進めたい狙いの ガイドライン改定に 要注意!

 65歳を過ぎた高齢者には、より低いリスクでも、とにかく薬物療法をスタートさせたいという思惑が見え見えのガイドラインを推し進めようとしているわけです。
 しかし、その生活習慣改善の内容は、食事改善では先月号で述べたような、減塩を最優先し、野菜・果物・魚をすすめ、カロリー制限という腸に炎症を起こさせかねない雑食リスクや冷たいもの中毒などを問題ともしないお粗末なものであり、運動も、死者が出かねない毎日30分のジョギングを、激しくない有酸素運動として例示してすすめているのですから、これらで高血圧患者が法則的に治っていくはずがないのです。
 むしろ逆に、呆け老人の急速な増加という結果を招き、呆け老々介護地獄を招きかねない降圧剤の売り上げバブルを意図する、とても危険なガイドライン改定といわざるを得ません。