健康セミナー健康講座

─ヒトはなぜ生活習慣病になるのか
高血圧再考─診断基準変更に寄せて

高血圧の基準が 変更に

 今年初め、日本高血圧学会は、高血圧の診断基準を5年ぶりに改定し「高血圧治療ガイドライン2009」を発表しました。
 医師たちは、上が130、下が85の「正常高値血圧」でも脳卒中が危険で対策を要すると日本全土で判定することとしました。高血圧だと知らず知らずのうちに動脈硬化が進み、脳梗塞や脳出血などの脳卒中、心筋梗塞、狭心症、腎不全など命取りの病気を引き起こすとして徹底的に取り締まり?を強めています。そのように繰り返し教育宣伝活動を展開し、血圧を正常範囲にコントロールする薬をどんどん処方していくわけです。
 その結果、国民の多くが「血圧のお薬」を処方される事態となっています。昔は年寄りに多かった高血圧も、このガイドラインだと結構若い人も高血圧で取り締まられる!ようになりました。

呆けが増えてきた のはなぜ?

 先日、沖縄のある離島を訪問しました。その時、現地のおばあたちがこんなことをいっていました。
「この島じゃ、ほとんどの年寄りが血圧の薬を医者にもらって飲んでいる」
「えっ?それじゃあ、呆けている人が増えているのでは?」
「一番年寄りの◯◯さんは飲んでいないが、呆けていないな。この頃はこのあたりの年寄りはほとんど呆けているなぁ」
「昔は呆けている年寄りはいなかったなぁ」
 うっかり医者というか病医院で血圧を測られると、昔はセーフだった値でも今は簡単に高血圧の烙印を押され、血圧を下げる薬を処方されます。その時、医師は知っているのに、この薬を飲んでいるうちに呆け出したら、この薬のせいかもという警告は受けません。医師は自覚しているかどうかは別として、製薬メジャーの手先かと錯覚されるくらい、薬に頼ります。そのように洗脳というか教育されてきて、視野狭窄になってしまった医師は、その世界での上からの指示から逸脱しないよう、一生懸命、降圧剤での高血圧対策に邁進します。かくして「
三角山のマジルー」で知られるこの精霊が守っているという辺境の地まで、やがて薬のお陰で高血圧は抑えられているかも知れませんが、動脈硬化だらけ、呆けだらけの島になってしまう危険性大と危機感を募らせて本土に戻ってきた旅となりました。日本は基本的に高度情報化社会になっているので、健康保険で暮らしを立てる医師は、全国どこでも姿勢は一貫しているので、この離島で見た社会現象は日本全土で共通現象になるのです。
 今回は、この問題を取り上げてみます。

有名な悪循環

 よく知られたことですが、動脈硬化は高血圧を招き、高血圧になると動脈硬化が進行するというメカニズムがあります。そこで、何とか血圧をコントロールしようと血圧を安定させる薬が処方されます。多くの場合、血液中の塩分をコントロールする働きのあるアンジオテンシン2阻害剤と血管拡張剤の合剤が基本といわれます。
 血中の塩分が血液の水分を増やして血液のボリュームを増やす結果、高血圧になるので、製薬メジャーの手先という立場からすれば、この薬の処方は当然ですし、それで収益が上がるというかおこぼれにあずかる社会の仕組みですから、医師がホイホイこの薬を処方するのは、わからないわけではありませんが、実は、塩分をとらないように減塩に努めるよう食事の指導をすればいいだけの話なのです。
 次に血管拡張剤ですが、心臓より下部の血管も拡張される結果、血液は今までより心臓より下に流れる量が増え、結果として脳に回ってくる血液のボリュームが減ります。
その結果が呆けの多発につながるのです。
 血圧を薬で強力にコントロールした結果、動脈硬化が治りましたというならまだ救いはありますが、動脈硬化は治りませんでした、加齢とともに動脈硬化が進んできたのでもっと強い薬でないとコントロールできません、という大半のコースでは老人の呆けは増える一方ということになりかねません。すでにその兆候は南方の離島にとどまらず、全国的に著明な傾向となりつつあることに気づいている人は多いはずです。医師も製薬メジャーも『母に襁褓をあてるとき』で知られた舛添さんの厚生労働省も気づいているはずです。でも、誰もストップがか
けられない。

高血圧患者の数は驚異的

 高血圧患者は四千万人、予備群はざっと千五百万人いるといわれています。
進歩したはずの医学で何故、この問題が解決されないのか?
 私たちの答えは明瞭です。現代医学と現代無栄養学は基盤を共通としてセットになっており、ヒトを雑食動物と見立て、栄養のバランスをとると称して、肉も卵も乳製品も血管が傷むほど平気で食べさせるからです。そのような栄養学で栄養士を育成し国民を教育するからです。そして病人を増やして製薬メジャーや医師の生活基盤をつくる社会構造になっているからです。

どうしたら良いのか?

 ヒトは元来、植物食性の動物だという認識を社会的常識にまで広げ、排泄物やガスが悪臭を放つほど動物性のものを食べたら、腸が炎症を起こし、腸内細菌が夥しい量で炎症でバリアが壊れた腸壁を透過して人体内を漂流し、リンパ液やら血液の流れに乗って、全身ばい菌だらけにするので、当然、血管にも巣食いますよ、これは動脈に橋頭堡を構えられたら動脈硬化で高血圧のもとになるのですよ、ということを医師や栄養士が率先して教えるようになれば良いのです。
 動脈硬化は末梢血管から次第にひろがり、最後は脳や心筋の冠動脈などの基幹動脈もやられるといわれます。タイムラグがありますから、早くから気づけば、対策を立てる時間は十分あるのです。

腸内細菌の体内侵入 の怖さに気づけ

 顕微鏡で末梢血管から一滴の血液を採ってみると、ばい菌ウヨウヨというのは容易に見ることができます。白血球が懸命にそれらを食べて消化しようとしているのも見えますが、必ずしもうまくいきません。
 血管は浄血機能があり、マクロファージというタイプの白血球が血管壁に潜んでいて、目の前を流れる異物をパクッと食べて浄血に努めてくれます。血液中を流れていく腸内細菌を白血球が食べて処理しようというとき、白血球は武器として活性酸素をつくって放出することが多いのですが、それが血中を流れる脂肪に当たれば過酸化脂質をつくることになります。血中で生まれる活性酸素の八割は、白血球がこのような必要に迫られてつくるものといわれますから、血中に腸内細菌が流れ出さないように、腸壁に炎症を起こさせる毒ガスの生成を防ぐこ
とは基本的にとても大事なことなのです。肉類を食べ過ぎたときのアンモニアガスとか卵を食べ過ぎた後の硫化水素ガスとかインドール、スカトール、みな腸壁に炎症を起こさせる毒ガスです。純粋な草食動物の馬に人間が食べるほどのビフテキ・豚カツ・卵焼きなど与えたら、その晩に草食専門ゆえに上手に消化できなかった肉や卵が温かい腸内で腐敗し、腸ガスがどうしようもなく多量に出て、腸閉塞を起こせば毒ガスによる腸破裂で一晩で死ぬことが多いといわれます。
 ヒトは雑食の歴史を重ねてきたので、今は純粋な草食動物ではありません。動物性食品も全く消化できないわけではありませんが、オナラが臭い人は、食べたものが上手に消化できなかったわけで、それが動物性食品が原因だとすると、その毒性ゆえに腸壁に炎症をきたし、バリアが壊れれば膨大な数の腸内細菌が、腸壁を透過して人体内になだれ込み、全身に細胞内感染症を起こすのです。毒性が弱い、あるいは不顕性の細菌でも白血球がその退治のために活性酸素を放出させる契機になりますし、まともな細胞がそれによって傷つくきっかけになりま
す。これこそ、病気の正体であり、細菌の種類、毒性や感染力如何によって、また、どの臓器が被害を受けるかによって病気は千差万別となりますが、ほとんどの病気の共通点はここにあると思い定めれば、難病も正体と解決法が理解ができるようになります。本誌に連載をお願いしている西原克成先生こそ、このことを喝破されたノーベル賞ものの功績をあげられた先生です。そして西原先生は、本来37度あるべき腸壁の温度が1度でも下がれば、やはり腸内細菌は夥しい数で腸壁(パイエル板M細胞)を透過して全身至る所に漂流していくと警告を発し
ておられます。体温より低い温度の飲食物こそ腸を冷やして全身病で泣く羽目になるもとと警鐘を鳴らしておられます。そして40度のものの飲食が望ましいと勧めておられます。
 高血圧のもとの動脈硬化は、基本的にこういうメカニズムで知らず知らずのうちに末梢血管から進行するのです。
 私たちは、高血圧が見つかったら、動脈硬化を治す薬はないのだから、医師は処方してくれず、血圧をコントロールしてくれる薬は、常用し始めたら、やめられなくなるし、動脈硬化は加齢とともにますます進行してしまうので、薬に頼るのではなく食事療法と運動療法がいいよと勧めています。

食事療法の基本

 動物性食品はオナラが臭くなくなる量まで減らし、多少味気なくても、すぐ慣れて食べ物本来の味がわかるようになるから塩分をセーブした薄味でいけといっております。血管でも、どの内臓でも、人間の肉体は新陳代謝で細胞レベルで毎日というか毎晩、平均一兆個という数で入れ替わるといわれています。これを血管細胞で、できる限り理想的に近い規模で起こり続けるようにすれば、理屈の上では、年相応の若さを保った血管(動脈も静脈も)で生きていけるはずといっております。これこそが動脈硬化をできるだけ遅らせ、高血圧の不安から逃れ
る王道であるといっております。他の臓器も同じ原理で若さを保て、年より老化が進んでいるのを改善するのは基本的に薬の問題ではなく、栄養の問題であると考えています。基本的に毒ガスが発生しない本来の食性にマッチした食べ物、つまり穀物、豆類、野菜類で三大栄養素を満たし、体内で働く代謝酵素を活動させる補酵素は相対的には微量でも多種多様あり、これは、食事のたびに栄養剤というか微量栄養素が総合的にとれるサプリメントで補い続けるのが新陳代謝をうまく進行させるコツと考えています。製薬メジャーもこの方面で活路を開いて
欲しいものです。ちなみに「せせらぎ」ではミネラル・ビタミン・アミノ酸・カロテン類・核酸・糖鎖・酵素などがまとめてとれる理想的なサプリメントが食事のたびに出てきます。