豚インフルエンザ考

冷静な対応を! 

 四月末、メキシコで死者が出始めた新型の豚インフルエンザは、五月になって日本にも伝染をもたらし、舛添厚労大臣がテレビで度々引きつった顔と上ずった声で「冷静な対応を」と国民に呼びかけまくったせいもあり、マスコミはここぞとばかり時間をたっぷりと使い報道特集を組んだので、不安を引き起こす大騒ぎをもたらしました。
 良くも悪くも熱しやすく飽きっぽい日本社会といわれますが、震源地メキシコでも一応の収束傾向が見え始めた今、今月号は予定を変えて、今後のためにこの騒ぎから得られる教訓を我々なりに考察しておきたいと思います。

シベリアからの 渡り鳥

 流行性感冒といわれるインフルエンザは、単なる風邪とは違い、高熱、激しい頭痛、嘔吐、下痢、筋肉痛などがまずやってきて、免疫力が落ちていると肺炎を起こさせて急死に至らせることもある感染症です。世界的大流行が心配なインフルエンザは鳥インフルであろうと豚インフルであろうと人インフルであろうと、すべて元はといえば鴨などのシベリアからの渡り鳥がもたらすH1〜16、N1〜9を組み合わせた鳥インフルエンザウイルスです。単なる風邪とはウイルスの種類、毒性、怖さが違います。
 世界的には、約60年に一度は大流行してきましたし、1918年のスペイン風邪から60年たった頃から、そろそろ免疫を持った人が少なくなってきたから、また大流行しても不思議じゃない頃合いになってきたと警戒の声が上がっていました。
 もし、流行り始めるインフルエンザウイルスが強毒性のH5N1タイプの鳥インフルエンザウイルスだとすると、基礎免疫を持っている人が殆どいないので、爆発的にヒトからヒトに伝染を始めたら、日本だけでも数十万から数百万人の死者が出るかも知れないといわれており、厚生当局もそれを想定した対策プログラムを急遽策定したわけです。
 今回のH1N1の弱毒性ウイルスにも、その対策マニュアルで対応したために、国際空港などで水際防止作戦を展開したため、結果的に感染力も毒性も強くなかった今回の伝染の実態からは、過剰な取り組みをしたことになり、「オオカミがきたぞ」騒ぎをやってしまったことになります。
 一度、感染力が強く、毒性も強いウイルスに備える防御態勢を国家レベルで組むと、図体が大きいだけに、そのシフトを変えるのは容易ではないようです。今回の豚インフルエンザは、感染力が強く毒性が弱いとして、水際作戦は誤りではなかったと強弁している向きがありますが、感染力も秋から冬に流行る季節性インフルエンザ並の弱いウイルスということになってきました。
 中には、このウイルスが変身して、この秋から冬に毒性の強いインフルエンザとして流行るリスクが高いから、「毒性の弱い今の内にかかっておいた方が、免疫力が出来てトータルではより安全」と報道するところもあります。
 しかしウイルスが変身すれば免疫が通用するかどうか保証はなく、弱毒性だからかかった人は肺炎に進まないという保証もないことはお忘れなく。

日本の若者の 免疫力の弱さが露呈

 従来インフルエンザは体力、抵抗力の弱いお年寄りに感染者・重症者・死者が沢山出る疾患でしたが、今回はお年寄りに被害は少なく、子供と高校生など若者たち中心に伝染が広がりました。
 これは子供や若者たちの免疫力が落ちていることを示しています。
 昔に比べると遙かに栄養にも恵まれてきた筈、衛生的環境に育った筈なのに、今回のように感染力の強くないインフルエンザにかかってしまうほど免疫力が落ちているのは何故かを考えて改革の手を打っておかないと、感染力も毒性も強いウイルスに変身されるのは時間の問題ともいわれていますから、その時は、日本は爆発的な感染でばたばたと死人が出るレ・ミゼラブルになりかねません。もしかしたら、今回の騒ぎはそれに備える訓練の恩寵だったのかも知れません。
 目の前の危機をやり過ごしつつ、子供、若者、ご老人の健康力を涵養する根本策を考えて広めたいものです。

「豚は食べて大丈夫」 に隠されている鍵

 今回目立ったQAに「豚は食べても大丈夫ですか?」「火を通していれば大丈夫です」というのが随分ありました。
 ここが問題なのです。この期に及んでも、豚を食べるように教育というか洗脳しているから、商品として、豚を家畜として飼う仕事が成り立つ。
 この家畜豚の鼻の気道に渡り鳥のインフルエンザが取り込まれるレセプター糖鎖があるから豚インフルエンザのウイルスが生まれているわけで、豚はヒトの風邪のウイルスのレセプターもあるので、同時に鳥インフルエンザとヒトの風邪にかかった豚の体内では、確率と時間の問題でヒトからヒトに移るタイプの新型インフルエンザのウイルスが生まれてしまうのです。
 強毒性パンデミックになる命取りのウイルスが生まれるのは、偶然ではない、必然なんだということに気がついて、豚を食べない人になりましょう。家畜制度が成り立たない世にしましょう。
 ヒトはもともと植物食性の生き物だからブタやウシやトリなんか食べない方が自然なんですよという観点を教育宣伝していこうという世直しのムーブメントを起こしていかないと、人類は淘汰され自滅しかねないぞという考え方がすっぽり抜け落ちているわけです。
 もしかしたら、その陰に薬を売りまくりたいという製薬メジャーの陰謀だけでなく、人類の数を減らそうという勢力の戦略があるのかも知れません。
 それはともかく、怖いパンデミックをなくそうと思ったら、草食動物出身のヒトにブタを食べさせようという世界的流れ、ここにこそ根本的にメスを入れなければなりません。ブタを食べることを奨励しつつパンデミックを防ごうというのが矛盾もいいとこの無理筋なのです。識者は気がつかないわけはないのに、社会的リーダーになると、そこは口を塞がれ、目は閉ざされ、耳は栓をされているとしたら大いに問題です。「豚は食べても大丈夫ですか?」「大丈夫です!」の問答が人類を危機に陥れる問答です。

抗菌グッズに 囲まれた生活も あぶない

 子供・若者たちは生まれ落ちてから抗菌グッズに囲まれ、衛生的にはなったが、バイキン・ウイルスと闘う日常がなくなって、免疫力の即応体制が薄れて感染力の弱いインフルエンザウイルスにも侵入されるひ弱な体質になったとも考えられます。
 豊かになった後に生まれた若者は、栄養状態も良くなったといわれますが、口当たりの良くないものを食べないので微量栄養素は必ずしも満遍なく摂っているとはいえません。
 動物性食品と甘い糖質、脂質が多くなったこと、体温より冷たいものを頻繁に摂ることになり腸が冷えたり臭いオナラが頻繁に出るようになり、その毒ガスが原因で腸が慢性的に炎症を起こしているケースが多く、免疫力の慢性的弱化をもたらされた若者が多くなったのが今回のインフルエンザに若者が多く感染した理由の第一と思われます。
 そこに思い至らず、さらに衛生的にというので手洗いが励行されたり、親指をよく洗いましょう、という世界に意識が引きずり込まれていくのはピントのずれもいいところです。トイレットペーパー騒ぎを彷彿させるマスク確保合戦も異常です。普段の免疫力を上げる生活をきちんとすることがおろそかにされて、そこに意識を集中させられるおかしさに気がついて欲しいものです。
 手洗い、うがい、咳エチケットとマスク着用が不要というのではありません。また、休養と栄養が叫ばれるのが無駄といっているのではありません。
 栄養を指導すべき栄養士が、ヒトを雑食動物とみなして、何でも好き嫌いなく一日三十品目食べましょう、蛋白質は動物性タンパクと植物性タンパクを半分ずつ食べましょうと、小さい頃から教育というか洗脳というか、批判の気持ちも芽生えないくらい徹底して脳にすり込み作業を自分の職務として徹底して繰り返している社会になっています。その内容で栄養をとり続ければ、本来植物食性のヒトは上手に消化出来なかった食物を腸内で腐敗させ、腸に慢性的炎症を起こさせ、腸内細菌やらウイルスを腸の壁から体内に止めどもない数で侵入させ、体
内にそれらを巡らせるので、至るところ細菌の毒性とそれを迎え撃つ白血球の発する活性酸素で傷つくので、免疫力も追いつきません。
 和食といえども、本来、肉食動物ではないので消化が苦手な卵も肉もふんだんに使い、冷たいものは冷たい内に召し上がれ、などといっているのですから、腸に炎症を起こさせたり腸内細菌を体内にすり抜けさせるリスクは決して低くはない和食もあります。

重症化を防ぐ

 糖尿病があると弱毒性のウイルスであってもダメージが大きい、また妊娠中は胎児との関係で免疫力が下がっているのでやはりダメージが大きいと今回だいぶ警告されました。
 糖尿病にやられている人は1600万人ともいわれ、この人たちが、免疫力が落ちているが故に、感染もしやすく重症化しやすい、つまり症状も重く、治りにくく肺炎で死に至るリスクが高い。何とかして今回のインフルエンザが沈静化している間に、私どもが提案しているあの手この手で治しておきたいものです。
 秋から冬に流行るいわゆる季節性インフルエンザというのは、スペイン風邪、香港風邪、アジア風邪、ソ連風邪など過去に流行って免疫力を大方の国民が持っているインフルエンザです。今回のような新型インフルエンザが怖いのは、まだ大流行が未経験で大方の国民が免疫力を持っていないから爆発的に感染するからです。
 一般的に免疫力を上げる方法としては体温を上げておく、微弱放射線を取り入れる、よく眠るです。そして糖尿病など生活習慣病を治しておく、これらを今回の教訓のまとめとしてあげておきたいと思います。