健康セミナー健康講座

─ヒトはなぜ生活習慣病になるのか
その1 生活習慣の何が問題になるのか ──細胞内感染

腸管免疫を守る 腸の温度管理

 人間の腸の壁がバイ菌をフリーパスのように通すのは、腸の壁の温度が下がった時も危険なのです。1℃でも下がったら駄目。皆さんのあるべき腸の温度というのは37℃だそうです。1℃下がったら36℃。2℃下がったら35℃。
 がんになる方がいますけれど、がんになる人の特徴というのは体温が低いところにあります。
 体内に入ってきたバイ菌やウイルスを追いかけ回してやっつけてくれる白血球の働きを免疫の働きといいますが、この免疫力は体温に依存しているといわれます。
 つまり、体温が低いと駄目なんですね。健康に暮らし続けようと思ったら、いかにして体温を上げるかの工夫が大事ということ。
 特に腸の温度を上げる。腸の温度が下がってたら、腸内細菌やらウイルス・
バクテリア等がパイエル板M細胞から、わんわん入ってくるそうです。これが全身をおかしくするので、多臓器同時不全ということになるわけです。
 ですから体温計1本もあったら、自分ががんになる危険があるかないか、すぐわかるんです。36℃ない人は危ないですね。いかにして36・5℃にするか。そこに気をつけて生活の工夫をされるといいですね。
 で、そういう時にはまず、いかにして腸壁温を下げないかという工夫と、いかにして体温を上げるかという工夫を同時にやると良いのです。
 腸壁温を下げないためには、体温より冷たいものを飲んだり食べたりしないことが一番。アイスクリームを食べたり、冷たい水を飲んだり、冷たいビールを飲んだりしていれば、腸の温度は必ず下がります。
 こういうものを食べたり飲んだりする時には、ほんの一口だけにする。たくさんは食べたり飲んだりしない。時には一口以上は捨てるというアクションを起こす。もったいないと思わない。一口味わった後は、最初の一口以上の美味しさは味わえないということに気がついて残す、捨てる。
 今や夏でなくても冷たいものが周りにたくさんあります。冬でも部屋を暑くして冷たいビールを飲んで体中バイ菌だらけにする人が多いのです。冷蔵庫のような文明の利器は、使い方を誤ったら、家族中病気にする体温下げグッズなのです。
 和食だって要注意です。「熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに召し上がれ」等といっていますが、「冷たいものは温かくして召し上がれ」を実行しないと命取りになる恐ろしさを認識していないからです。
 食べ物は何といっても美味しくなくてはという美味至上主義が和食文化を支配しているうちは、和食といえども要注意です。ソバがいいからといってザルそばを氷で冷やしているところがありますが、これではいただけませんね。
 また、「この水はすごく健康にいいんだ」なんてよく自慢して、なんとか水っていうのを飲んでいる方がいますが、その水の内容はそのとおりに良いものだとしても、私だったらそのお水も、「体温より高い温度で飲んでください」とこう申し上げます。
 沸かす必要はありませんが、少なくとも40℃くらいにはして飲んでくださいといっているのです。どんなに良いお水だって、腸の温度を下げたら、仮に37℃より1℃でも下げたら腸内細菌が腸壁のパイエル板M細胞を通じ、大量に体の中に入ってきて体内の液体の流れに乗って、ありとあらゆるところに運ばれ、細胞内感染症の危険をもたらすと本誌連載の西原克成先生は警告しておられます。
 冷やすわけではなく室温ならどうですかとよく聞かれますが、室温というのは25℃程度を意味することが多いのですが、室温の液体をゴクゴクと飲めば腸壁の温度とは12℃の温度差がありますから、腸壁は必ず危険温度帯まで下がります。胃袋で37℃まで温まってから腸に流れ込むということは期待できません。胃袋をトンネルにして室温に近いまま腸内にどっと流れ込むと思っていた方が事実に近いようです。
 そして、温かい飲食物とはいっても、暴飲暴食が厳禁であることはいうまでもありません。

体温を支える ミトコンドリア

 体温を生み出しているのは、一つの細胞の中に800粒から2000粒くらいあるといわれるミトコンドリアです。人の体は細胞の数が60兆個というのですから、いかにたくさんのミトコンドリアが体温を支えているかということです。
 ミトコンドリアをたくさん抱えている細胞で一番増えやすいのは筋肉細胞です。体温は、ミトコンドリアがデンプンが消化されてできるブドウ糖をクエン酸サイクルで順次酸化させて作りますから、細胞内にブドウ糖が適時適切に入り、ミトコンドリアに到達して、その中に取り込まれれば体熱に変われるわけです。
 糖尿病は、血液からにじみ出たブドウ糖が細胞に吸収されるところがうまくいかないトラブルを起こしているので、体熱もなかなか上がらず、いわゆる冷え性になりやすいのです。
 別に糖尿病でないのに冷え性といわれる人は腸壁が炎症を起こしていたり、腸壁を冷やしてしまって、腸内細菌が止めどもなく雲霞のような膨大な数の敵兵士が万里の長城を乗り越えるがごとく腸壁を乗り越えられて入り込まれ、それが全身至る所に運ばれて、筋肉やら内臓やらの細胞内にも入り込まれてミトコンドリアがバイ菌にまみれてしまい機能不全になっている危険性大といわねばなりません。 (つづく)