第146回

安保徹先生の著作に学ぶE c 『免疫革命』『免疫革命・実践編』を読む

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『免疫革命』『免疫革命・実践編』を購入して座右の書に
 自然食ニュースもサポートしてきた日本綜合医学会の東京大会での安保徹先生のご講演も終わり、この安保先生の著作に学ぶ六回コーナーも最後の第六回目となりました。
 最後は、少し難しいのですが、やはり安保ブームに本格的に火をつけたといわれる本書のご案内となります。いつもお話しているように、このページは書評ではなく、皆様が本屋さんで買って読んでいただくためのよすがにしていただくためのガイド役です。
 初め『免疫革命』が出版され、出版社の講談社インターナショナルと近縁の『週刊現代』(講談社発行)などで、この本の紹介も兼ねて安保先生のお考えが広くスピーディーに爆発的に世間に知られるようになりました。『週刊現代』は権威もあり発行部数が多いので、その影響力は相当なものがあります。
 そのためもあり、『免疫革命』を読んだ人が、週刊誌的感覚で軽く読み飛ばし、安保先生の唱える自律神経免疫療法をやりさえすれば、というか、例えばがんなどで現に命の危機にある方が、今かかっている外科療法・放射線・抗がん剤しか視野にいれていない現代医学を全面的に否定して、自律神経免疫療法だけに賭け、かえって命をはやく落としてしまうという結果になる人も出ているようだということもあり、出版社が『免疫革命』を読んで浅いレベルでの思いこみで安保イズムにしびれた人をあわてて、自律神経免疫療法を信仰的にとらえるのではなく、もう少し縦
からも横からも裏からもよく見て考えて、認識を深めるようにとの思いから急いで出した本が『実践編』であると見ると、出版社の責任感の強さ、良心も見えてくるように思えます。
 本誌の読者は、この両者を揃って読むことで、何か一冊の本を読むよりも、認識が立体的に深まると思えますので、今までご紹介した本を読まれた人も、あらためてこの双子の本を購入して二冊を熟読されることをお勧めいたします。


現代医学は なぜ病気を治せないのか

 最近、免疫力を上げれば病気が治る、病気を防げる、という話をたくさん耳にします。新聞や雑誌の広告で、免疫力を上げる民間療法の広告を目にしない日はないほどです。とくに、ガンやアトピー性皮膚炎、膠原病といった、現代の難病に免疫療法が効く、という話は、ちまたにあふれています。
 ところが、それらは、どれも経験に基づいて治癒例を並べるばかりです。どうして免疫力を上げると病気から逃れることができるのか、という裏づけがきちんとなされていることはほとんどありません。一方で、いわゆる医学部で学ぶ免疫学の分野では、免疫の化学的なメカニズムについての分析研究が圧倒的に主流を占めていて、病がなぜ起こり、なぜ治癒するのかという過程やしくみを解説するとりくみは、ほとんど行っていません。ですから、一般の人の視点にたってみれば、同じ「免疫」という言葉がついていても、免疫力と免疫の研究は、まったく別物であるかのよう
に見えてもおかしくありません。
 また、免疫療法が注目を浴びる一方で、現代医学は病気の治療に芳しい効果を上げているように思えないのが現状です。遺伝子だ、ゲノムだ、タンパク分子解析だ、と人間の身体のとてつもなく微細なしくみを解明する分野で、現代医学はたしかにめざましい成果をあげてきました。しかし、それらが直接的に、治癒をもたらす医療に反映されたという例が、ほとんど見あたらないのです。現代医学は病気を治せない、と非難されてもしかたがない状況にあると思います。

免疫革命・実践編
(はじめに)より

編集部 二〇〇三年七月に『免疫革命』を出版して以来、読者の方々からたいへんな反響がありました。この反響は、一年近くが経ったいまも続いていて、ある意味では、『免疫革命』が世間に免疫ブームを巻き起こしたといえるほどの、多大な影響をいろいろな方面に及ぼしました。こうしたことについてまず、少し話していただきたいのですが。
安保 『免疫革命』が出版されるまでは、病気の成り立ち、あるいはガンの成り立ちを考えるとき、遺伝子診断や遺伝子治療などを最先端ととらえるのが当たりまえになっていました。病気の原因については、病気にかかる人の身体の中の遺伝子に異常や調節障害があり、その体の破綻によって病気が起こる、ととらえていたのです。すると、遺伝子の謎がとけるまでは、結局対症療法しかないという選択になり、病気は治せなくても当然、という、そういう流れで医学が進んできたと思うのです。医学の進むべき方向、進もうとしている方向は、それでいいのだ、という考え
ェありました。
 しかし、『免疫革命』で私が何を言いたかったかというと、私たちの身体というのは、生物としての三十五億年の流れがあって進化してきたものですから、めったなことで調節障害を起こすようなしくみで進化してきたわけではない、ということです。むしろ、なぜ病気になるかというと、私たちが病気になるのは、三十五億年の進化で得た適応力を超えて無理をする、あるいは悩んだりするために、過剰な交感神経緊張状態になって破綻をきたすためなのです。
 また、私たちの身体を観察してみると、筋肉や関節が発達しています。動物としての基本の能力をもっていますが、そういう能力を全然使ってあげないと、その人は活力がなくなったり、筋力がなくなったりして破綻をきたします。逆に、そういう能力を使いすぎても、負担となって、破綻にいたります。つまり、基本的に私たちの身体は健康に生きられるようにできているのですが、それが病気になるのは、身体の能力に応じた適応を超えた生き方をしたり、反対に適応にふさわしくない活力のない生き方をしたりしたから、破綻をきたすためではないか、と私は考えてい
るのです。
 まず、ガンを例にとって話しましょう。ガン患者の場合、白血球のバランスを見てみると、たいていの場合、顆粒球が多くてリンパ球が少ないのですが、これは、いわゆる無理をした、あるいは苦悩した生き方の白血球パターンです。こうした白血球のアンバランスが今度は、本来細菌を処理するという重要な役割を担っている顆粒球の過剰反応を起こしてしまい、その結果、とくに常在菌のいる粘膜を破壊します。すると、粘膜は上皮細胞や腺組織の腺細胞がつねに再生を繰り返しているところですから、そこの再生が過剰にうながされると、再生のプロセスででる活性酸素などにDNAが傷つ
けられて、ついには発ガンしてしまうのです。これが、発ガンの基本的なしくみだと考えられます。
 また、いままでのガンの三大療法(手術、抗ガン剤、放射線)がさかんに行われる背景にも、ガンの発症については、特定の発ガン物質が大量に長期間遺伝子を刺激したり、あるいは別の要因で遺伝子に不具合ができたりして起こっているのだから、これに対応するにしても、ガンをあるものとして取り去るか、小さくするのが治療だ、というような発想しかないわけです。しかし、私のように、ガンは人の生き方自体に問題があって起こっているのだととらえれば、対応としても『免疫革命』で述べた「ガンから逃れる四ヵ条」といった対処法が可能になるのです。とくに四ヵ条の
ナ初にあげた生き方を見直すというのは大切です。そういうことから、ガン治療の新しい流れがどんどんはじまっていきます。

序 章 現代医学は
なぜ病気を治せないのか
第一章 病気のほんとうの原因
第二章 もうガンも怖くない
第三章 薬に頼らずアトピーを治す
第四章 慢性病の治し方
第五章 病気と体調の謎が解ける免疫学
第六章 健康も病気も、
すべては生き方にかかっている
あとがき
「免疫革命・実践編」目次
はじめに〜自律神経免疫療法の実際
安保徹(新潟大学大学院教授)
免疫革命の現場から
〜三人の臨床医からの報告
第一章 西洋医学と東洋医学の
科学的統合をめざす
 水嶋丈雄(水嶋クリニック院長)
第二章 ガン専門で
自律神経免疫療法にとりくむ
 真柄俊一
(素問八王子クリニック院長)
第三章 漢方を大いに取りいれた
治療の実際
 木下和之(木下内科院長)
「免疫革命」序章 見出し
病気の本当の原因はストレスだった
古いようで新しい免疫学の歴史
免疫学はたこつぼ化の危機にある
身体と生命を
全体的にとらえる免疫学をめざして
免疫学から、
ガンのほんとうの原因が見えた
三大療法でガンは治らない
免疫力を上げればガンは自然退縮する
免疫力を上げるとどうしてガンが治るのか
ガンは怖くない
現代医療がガンの痛みをもたらしている
いまの医療は薬に頼り切っている
強力な現代薬が病を深くした
対症療法では慢性疾患は治らない
身体のシステム全体をとらえる統合医学へ
生命をはぐくみ体調を整える
三つの体内システムを理解せよ
すべての生体活動に関わる
自律神経に着目する
エネルギーのシステムから
新しい医療が見える
食と呼吸こそ生命エネルギーの源だ
クーラーと冷蔵庫が病気を増やした
自律神経はすべての細胞を統合する
現代医学は分析におぼれている
いまの医学は
「知識はあれど、知恵は回らず」
「やわらかい」頭で
パーキンソン病の謎にとりくむ
知識ではなく知恵のある医療をめざせ
心の問題がたいへん重要
自然に従って生きるのが、
生物としての人間の当たり前の姿
 ガン=ストレス説に多くの患者さんが共感、納得した
 自律神経免疫療法=刺絡療法ではない
 アトピーの治癒には時間がかかることを理解してほしい
 自律神経免疫療法を受けるだけでは病気は治らない
 自律神経免疫療法はQOLを上げる治療法
 治癒率のデータが揃うにはあと数年は必要
 治療を選択する主役は患者
 リンパ球があって発ガンするのは低体温が原因
 痛みのある患者には頓服として鎮痛剤を使う
 転移ガンが治癒した例も三例ある
 脳腫瘍などは必要に応じて放射線治療を少し行う
 「ガンになってよかった」といえる人がガンから逃れる