突然死b

――食事・栄養療法――
突然死は防げる!――前兆を見逃すな――

 突然死というと、ある日突然何の前触れもなく死んでしまうイメージがありますが、突然死した人の7割には高血圧など何らかの基礎疾患があったことが明らかになっています。
 また、心筋梗塞や脳梗塞の発作には、胸痛や頭痛などの前兆がおこっているケースが多く(図1、2)、突然死は体が発する危険信号を本人が見落としていた可能性が高いと、東邦大学医学部の吉井信夫教授は指摘しています。
 突然死は決して、未然に防げない病気ではありません。食事・栄養療法を中心に、予防策について考えてみましょう。

ストレスが引き金
――突然死につながる ビタミン・ミネラル不足――ストレス↓

ビタミン・ミネラルの大量消費↓活性酸素の暴発↓血管を直撃 突然死、中でも働き盛りの男性を襲う過労死は、慢性的な疲労や心労などのストレスが引き金となります。
 ストレスは体内のビタミンやミネラルを湯水の如く消費し、ビタミン・ミネラルが不足すると、活性酸素の被害をくいとめることができなくなってしまいます。
 悪玉といわれるLDL(低比重リポ蛋白)コレステロールが活性酸素によって酸化されると超悪玉の酸化LDLとなり、血管壁の細胞を酸化してボロボロにし、動脈硬化の元凶となります。ボロボロになった血管に高血圧や血栓などの因子が単一に、あるいは複合的に加わると致死的ダメージがおこり、脳卒中や心筋梗塞などの発作が引き起こされるのです。
 活性酸素による酸化の害を防ぐには、抗酸化ビタミンACE、抗酸化酵素を活性化させる亜鉛、セレン、鉄、銅などのミネラル、フラボノイドやポリフェノールなどの植物性抗酸化成分を十分に確保することが大事です。マグネシウムの不足でも
血管がボロボロ さらに、細胞内外のミネラルバランスが重要です。
 体内のミネラルには、細胞内に多いものと細胞外に多いものがあり、細胞内外のミネラルバランスの調節に重要な役割を果たしているのがマグネシウムです。
 カルシウムに対してマグネシウムのとり方が少ないと、本来は細胞外ミネラルであるカルシウムとナトリウムが細胞内に大量に入り込み、代わりに細胞内ミネラルのマグネシウムとカリウムは追い出されてしまいます。その結果、細胞は膨張し、ちょっとした刺激に対しても収縮しやすくなります。
 これが血管壁の細胞でおこると、血管が肥厚したり攣縮(けいれん)したりして血流が妨げられ、高血圧や虚血性心疾患、脳卒中などをおこしやすくなります。
 マグネシウム不足だけでなくカルシウムの不足も、骨からカルシウムが溶け出して(脱灰)、細胞内にとりこまれる一因となります(カルシウムパラドックス)。カルシウムとマグネシウムはどちらも過不足なく、バランス良く摂取することが大事です(図3)。
〃死の四重奏〃を防ぎ、 血液をサラサラにする
 根本的食生活改善 高脂肪食、白砂糖、アルコール、清涼飲料水、インスタント食品などの多い現代型食生活は、ビタミンやミネラルが欠乏しており、また、"死の四重奏"といわれる高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などの原因にもなります。
 「麦を混ぜた分搗き米に、納豆、具沢山の味噌汁、魚少々」を基本に総合サプリメントの摂取という根本的食生活改善では、カルシウムとマグネシウムも十分とれ、抗酸化ビタミン・ミネラルや植物性抗酸化成分も豊富で、突然死の予防に役立ちます(表)。
 根本的食生活改善では食物繊維も豊富。麦や海藻類に多い水溶性の食物繊維には、コレステロールやナトリウムを吸着して排泄したり、糖質の消化吸収をゆるやかにする働きがあり、高脂血症や高血圧、糖尿病、肥満の予防・改善に役立ちます。
 突然死の約8割は心筋梗塞や脳卒中などの循環器疾患ですが、欧米型食生活が血液をドロドロにして血栓や動脈硬化をもたらすのに対し、伝統的和食は必須脂肪酸のバランスも良く、虚血性心疾患や脳卒中を防ぎます(図4)。
 この他、血液サラサラ食品としては、納豆のナットウキナーゼ、ゴマのセサミン、玉ネギやニンニクのイオウ化合物、黒酢、梅肉エキス、羅漢果液、黒豆の煮汁などが知られており、これらを食生活に上手に取り入れていくことがすすめられます。
 また、赤ミミズに含まれるルンブロキナーゼという酵素にも強力な血栓溶解作用があり、こうした成分を健康食品で補うのも一考です。
 強いストレスにさらされたり、糖尿病をはじめとする生活習慣病などがあると、ビタミンやミネラルは尿中に多量に捨てられてしまうので、微量栄養素が総合的にバランス良く含まれている総合サプリメント(栄養補助食品)の利用はどうしても必要です。直接の引き金になる
交感神経の過剰緊張を
予防する 働き盛りの中高年男性に突然死が多いのは、糖尿病や高血圧などの生活習慣病を発症しやすい年代である上に、仕事上のストレスや過労が重なるためです。
 過労や睡眠不足、精神的ストレスなどがあると、自律神経の交感神経は緊張状態になり、血圧や心拍数が上昇したり、血流が阻害されて血栓ができやすくなったり、活性酸素が過剰に生成されたりします。
 日常的には、入浴やスポーツ時に突然死がおこりやすいので、細心の注意が必要です。
〈ぬるめの半身浴がポイント〉
 42℃以上の「高温浴」では交感神経が緊張し、血圧や心拍数が急上昇するので、39℃前後のぬるめのお湯に下半身だけつかる「半身浴」が理想的です。
 寒い脱衣所や浴室と熱い湯船との温度差が血圧の急上昇を招くので、あらかじめ脱衣所や浴室を暖めておくことも大事です。
 早朝は交感神経が優位になり、血液の粘度や血圧が高まるので、朝風呂は避けましょう。
 入浴前後には水分をしっかり補給し、飲酒後の入浴は禁物です。

〈スポーツは 活性酸素とストレスを生む〉

 東京大学理学部の加藤邦彦先生は、「スポーツは、酸素消費量の増大などに伴って活性酸素の発生を飛躍的に増やし、また、交感神経が緊張状態になり、ストレス反応を人為的に生み出したものにほかならない」と指摘。激しいスポーツは、活性酸素とストレスのダブルパンチで、突然死の危険性が高まります。
 東京大学医学部の川久保清助教授は、動脈硬化をおこしやすい40歳以上の男性は特に突然死リスクが高いので、高コレステロール、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、ストレス――の一つでも当てはまるなら急激な運動はすべきではないと警告。
 川久保教授はまた、運動習慣のない人が急に激しい運動を始めると危険なので、週2回以上、定期的な運動習慣をつけることをアドバイスしています。
 入念な準備体操を行い、微熱や疲れなどを感じたら無理はしないこと、汗をかいて血液が粘りやすくなるので、水分を十分にとることも大事です。
 死亡した人の9割が、一般の健康診断では事前に異常が発見されていないので、機会があれば運動負荷心電図の検査を受けるのが望ましいでしょう。

〈ポックリ病の一因は 睡眠時無呼吸症候群!?〉

 就寝中に突然苦しそうなうなり声を上げ、数秒以内に死亡する「青壮年急死症候群(ポックリ病)」。特徴的な心電図波形(ST上昇)を示す心臓の病気「ブルガダ症候群」が、睡眠中の突然死の主因といわれています。
 また、昭和大学医学部法医学教室の角田健司助教授は、「以前、ポックリ病からの生還者とみられる例がいくつかあったが、今ではこれらは睡眠時無呼吸症候群と考えられる。ポックリ病もいくつかの病因が混じり合っている可能性があり、睡眠時無呼吸症候群が一因になり得ることは否定できない」と注意を促しています。
 睡眠時無呼吸症候群対策には、aノーズリフトを使って鼻孔や鼻腔を広げ、bマウスピースやブレストレーナーで下顎の落ち込みを防ぎ、c気道を塞ぐ高い枕の使用はやめる、d日頃から口呼吸を改め、鼻呼吸の習慣をつける――といった工夫が必要です。
〈効果的な爪もみ療法〉
 自律神経のバランスを整えるには、爪もみ療法(写真)がおすすめです。通勤時や仕事の合間、テレビを見ながらなど、爪もみを習慣づけるといいでしょう。