やはり普\い脂肪肝

食事・栄養療法

食生活の見直しが第一
脂肪肝は食事や飲酒が大きな引き金となるので、予防・改善には食生活の見直しが不可欠です。
〈アルコール性脂肪肝対策〉

 何といっても禁酒・節酒が第一。許容量は、1日に日本酒なら1合、ビールなら大瓶1本、ウイスキーならダブル1杯程度です。アルコールでダメージを受けた肝細胞の修復には2〜3日かかるので、週に2日は休肝日を設けることも大切です。
 つまみには、納豆や豆腐などの大豆製品がおすすめ。豊富な蛋白質が肝細胞の再生を助け、肝臓への負担を軽くします。
 肝硬変まで進行すると、禁酒しても進行を遅らせるのが精一杯だといわれます。早い段階で肝臓に優しい飲み方を心がけ、脂肪肝を防ぎましょう。

〈非アルコール性脂肪肝対策〉●脂肪・砂糖・果物を控える

 卵・牛乳・肉・油などの高脂肪食を控えるのはもちろん、甘い物や果物などのとり過ぎにも注意が必要です。
 東京女子医大付属成人医学センターの栗原毅助教授は、「脂肪肝患者には、果物のとり過ぎと果汁100%などのジュースの飲み過ぎが共通している」と指摘。果物に多く含まれる果糖は中性脂肪に変化しやすい上、今の果物は人工的に糖度を高く改良しているものが多いので、食べ過ぎは禁物です(表2)。
●根本的食生活改善のすすめ
 脂肪肝を防ぐには、本誌がすすめる「麦飯(麦2〜5割に、米は二分搗米か発芽玄米)+納豆+具沢山の味噌汁(野菜類・海藻類・芋類・キノコ類など)+魚少々」を基本とした根本的食生活改善が、一番です。
 肝臓内で各種の代謝に働く酵素や、中性脂肪を肝臓から運び出すリポ蛋白はすべて蛋白質でできていますし、肝細胞の再生には蛋白質が不可欠なので、穀物と豆類の組み合わせで良質の蛋白質をしっかり確保することが大切です。
 食物繊維は、脂質や糖質の消化吸収を遅らせたり、余分な脂肪を吸着して排泄するのに役立ちます。昆布やワカメに含まれる食物繊維成分のフコイダンには、肝細胞増殖因子(HGF)の分泌を高め、傷ついた肝細胞を修復する効果もあります。
 大豆に含まれる配糖体の一種、大豆サポニンには、ブドウ糖が中性脂肪に変化するのを抑えたり、脂質の吸収を抑制して分解を促進するなど、脂肪肝予防に優れた効果があります。

●ドロドロ血液には "おさかなすきやね"

 東京女子医大付属成人医学センターの栗原毅助教授は、脂肪肝患者は血液のドロドロ度が最も高く、血液をサラサラにする食生活として、基本的には根本的食生活改善と同じ食事をアドバイスしています。
aお茶、魚、海藻、納豆、酢、キノコ、野菜、ネギの"おさかなすきやね"を食事にバランスよく取り入れる。
b血液サラサラ効果のある数十種類の食品を調べた結果、特に効果が高かった、黒酢、梅肉エキス、黒豆の煮汁、大豆イソフラボン、羅漢果を上手に利用する。

●脂肪のつきにくい食べ方

 食事時間が不規則で空腹時にまとめ喰いをすると、糖分の吸収が高まって脂肪になりやすくなります。寝る直前の飲食も脂肪がつきやすいので避けるべきです。
 また、現代人はよく噛まないで早喰いする傾向があり、満腹中枢が刺激される前に食べ過ぎてしまいがちです。一口30〜50回、ゆっくりよく噛んで食べる習慣をつけましょう。
 暴飲暴食が引き金となる脂肪肝ですが、反対に、過度のダイエットも肝臓から脂肪を運び出すリポ蛋白が十分につくられず、脂肪肝をおこしやすくなります。極端な食事制限や単品ダイエットはもっての外です。

〈NASH対策〉

 非アルコール性脂肪肝から肝炎・肝硬変へと進行する「非アルコール性脂肪肝炎(NASH)」は、ここ数年でにわかに注目されていますが、まだ治療法は確立されていません。
 現在、医療機関では、a食事療法と運動療法による減量、b肝臓にたまった鉄を減らす瀉血療法、c抗酸化ビタミンのC・Eの併用投与、d高脂血症治療薬や肝庇護薬、血糖降下剤の投与など――が行われています。
肝臓を強化する
微量栄養素・食物成分 脂肪肝を防ぎ、肝臓の健康を守るには次のような微量栄養素・食物成分が役立ちます。

●ビタミン・ミネラル

 肝臓では、栄養分をエネルギーに変えたり、アルコールや薬物を分解するために大量の酸素を使い、そのときに生じる活性酸素によって細胞が傷害されます。活性酸素から肝臓を守るには、抗酸化ビタミンACEやコエンザイムQ10、ポリフェノールやフラボノイドなどの植物性生理活性物質が役立ちます。
 アルコールや脂質・糖質の代謝にはビタミンB群が必須です。
 また、肝臓の酵素の多くは亜鉛などを必要とする金属酵素で、亜鉛が不足すると酵素の働きが鈍って肝機能に支障がおこります。亜鉛を不足させないことが大事です。
 ただし、鉄の過剰は肝臓内で活性酸素の過剰障害をもたらすので、とり過ぎには要注意です。

●ゴマのセサミン

 ゴマに含まれる抗酸化成分セサミンには、肝臓で発生する活性酸素や過酸化脂質を抑制したり、アルコールから脂肪肝の発生を防ぐなどの効果が報告されています(表3)。

●ウコンのクルクミン

 ウコンには、アルコールの代謝を促して肝障害を防ぐ効果が報告されています。有効成分の一つであるクルクミンが脂肪肝に効果があると考えられています。

●マリアアザミのシリマリン

 有効成分のシリマリンには、ダメージを受けた肝細胞を修復し、肝臓で活性酸素や過酸化脂質を減らす作用があります。
 東京の市ヶ谷柳沢クリニックの柳沢秀敏院長は、「アルコールの代謝で肝臓が忙しくなると、その他の代謝に使えるパワーがなくなってくるが、マリアアザミはそれを助けてくれる」として、特にアルコールを多く飲む人にすすめています。
日常生活での脂肪肝対策●重要なストレス対策
 新潟大学医学部の安保徹教授は、脂肪肝の根本的な原因はストレスによる自律神経の乱れにあると指摘しています。マウスを金網にはさむと脂肪肝になることからも、ストレスと脂肪肝が密接に関わっていることは明らかです。
 ストレスによる自律神経の交感神経の緊張状態をほぐす方法として、安保教授は爪もみ療法をすすめています(写真)。
 爪もみの他にも、趣味や入浴、音楽、アロマテラピーなど、自分なりのリラックス法をみつけて、ストレスを上手に解消していくことが大切です。

●脂肪燃焼に

欠かせない運動
 食事から取り入れた脂肪や糖質をエネルギーとして燃焼させるには、運動療法が役立ちます。中性脂肪が肝臓にたまるのを防ぎ、肝臓に蓄積した脂肪の燃焼も促します。また、基礎代謝量が上がり、太りにくい体質になります。
 ウォーキングやサイクリング、ラジオ体操、水泳などの有酸素運動を1日1時間(1回10分程度を1日5〜6回でも可)行いましょう。ダンベル体操やチューブ体操などの筋肉を鍛える運動も、体脂肪を燃焼しやすい体づくりに役立ちます。

●睡眠時無呼吸症候群対策

 睡眠時無呼吸症候群は、NASHの発症を促進する可能性が指摘されています。食事・運動療法で肥満を解消すると共に、睡眠時には、aノーズリフトを使って鼻孔や鼻腔を広げ、bマウスピースやブレストレーナーで下顎の落ち込みを防ぎ、c気道を塞ぐ高い枕の使用はやめる――といった対策に取り組みましょう。