肝炎b

――食事・栄養療法と 自分でできる肝炎対策――
慢性肝炎と薬剤治療――無効と副作用のはざま

 これまで、ウイルス性慢性肝炎で完治の可能性が認められている治療は唯一、副作用が強い割に有効率の低い「インターフェロン」のみでした。
 一昨年、昨年と相次いでインターフェロンとの併用で高い効果を発揮する抗ウイルス薬、「ゼフィックス(B型肝炎)」、「リバビリン(C型肝炎)」が承認され、C型慢性肝炎の場合、インターフェロンだけでは約30%だった有効率が50%に上がりました。さらに副作用の少ない新型インターフェロン「コンセンサスインターフェロン」の承認で従来の3倍量の投与が可能になり、現行医療によるウイルス陰性率は以前より高まっています。
 また、GPTやGOTを下げ(表1参照)、炎症を抑える薬としては従来より、強力ネオミノファーゲンC、ウルソ、小柴胡湯などが適用されます。
 しかし、薬剤治療は副作用が問題視され、インターフェロンとリバビリンの併用で早くも脳出血による死者が出ています。副作用が少ないと思われていた漢方薬の小柴胡湯でも死亡例が相次いで問題になりました。
 肝炎、中でも慢性肝炎の改善には、薬の害を減らす上でも、食事・栄養療法が非常に重要になります。食事・栄養療法だけで完治した例もあり、完治しないまでも正常な人と変わらない日常を送り天寿を全うできる可能性はとても大きいのです。
 肝炎にかからずとも、日頃のストレスに加え、食品添加物や農薬、公害物質や環境ホルモン、バランスの悪い高蛋白食品、過剰アルコール||等々、肝臓が痛めつけられている現代、食生活をはじめ生活習慣の改善で肝臓を守ることが求められています。

化学物質をできるだけ 取り込まない
||薬剤・アルコール性肝炎||

 医薬品やアルコール、農薬や食品添加物など有害化学物質を解毒してくれる肝臓を守るには、有害物質はできるだけ取り込まない注意が必要です。特に化学物質に過敏な人は極力避けることです。
 医薬品や毒物による肝炎には、医薬品や毒物が直接肝臓を障害するものと、それらの代謝産物が高分子化合物と結合して抗原性を獲得し、それに対してアレルギー反応が起きるものがあります。薬剤肝炎は多くの医薬品が原因となりますが、特に抗生物質や解熱・鎮痛剤が多いことが知られています。
 アルコールも一種の薬物です。何年にもわたってかなりの量の酒を飲み続けていると、アルコール依存症にならなくとも脂肪肝になり、そこに活性酸素や免疫反応が関与すると肝線維症から肝炎、最終的には肝硬変になります。適量には個人差があり、週2回の休肝日でも安全とはいえません。

肝細胞の修復と蛋白質
||高蛋白より 各種アミノ酸と核酸の摂取||
〈蛋白質とアミノ酸〉

 肝細胞の修復に、原料となる蛋白質の摂取は非常に重要です。肝機能の低下で蛋白質の合成が悪くなり、蛋白栄養障害を起こすと、免疫能も低下してきます。
 そのため、昔は肝炎の患者には高カロリー・高蛋白食がすすめられていました。しかし、飽食の現代では蛋白質不足はまずありえず、むしろ肥満や脂肪肝をもたらす高カロリー・高蛋白食は禁忌とされています。
 蛋白質は高蛋白より、必須アミノ酸を中心に各種のアミノ酸を、いろいろな食品から満遍なくとることが重要です。
 本誌が推進する「根本的食生活改善」では動物性蛋白質は、a有害・腐敗物質の産生、bアレルギー、c高カロリー等をもたらしやすいところから、植物性蛋白質をすすめています。この場合、アミノ酸スコアを100とするために米と大豆食品(味噌・納豆・豆腐など)の組み合わせを基本とします。これに麦や雑穀、芋類、バナナなどの果実類、野菜類、海草類をとり合わせ、多種類のアミノ酸をバランスよくとります。植物性蛋白質だけでは不安なら、新鮮な魚介類(薬漬養殖魚・輸入貝は避ける)を適量加えます。

〈核酸〉

 遺伝子レベルで考えると、遺伝子の再建には主原料たる核酸(DNA)を必要十分量補給することも大事です。
 核酸を多く含む食品はイワシ、ハマグリ、牡蛎、牛肉、豚肉、カブ、赤カブ、タマネギ、アスパラガス、カリフラワー、マッシュルームなどがあります。動物性食品に多く、また食品だけからでは十分量とれないので、核酸の入っている総合サプリメントなどからの摂取が望まれます。
肝機能を高め消炎に働く
 ビタミン・ミネラル 肝機能が低下するとビタミンやミネラルの利用率が低下し、それがもとで全身倦怠感や悪性貧血、神経障害なども起きてきます。またビタミンやミネラルは、体の防衛力や免疫力をつける上でも重要です。
 ビタミンやミネラルも十分量満遍なくとることが大事です。特に肝炎では、一日1000〜2000mgのビタミンCに、パントテン酸やビタミンB、Eなどを多くとることがすすめられます。
 炎症には活性酸素が大きく関与し、消炎にはビタミンA(カロチン)、B群、C、Eなどのビタミン、抗酸化酵素を活性化する亜鉛、銅、鉄、マンガン、セレニウムなどのミネラルが必要です。
 こうした微量栄養素は食事からだけでは十分とはいえず、ビタミンやミネラルは総合的かつバランスよくとれる総合サプリメントで補い、さらにビタミンCをサプリメントで補うとよいでしょう。

肝炎の増悪因子となる 亜鉛不足と鉄過剰〈肝臓とミネラル〉

 肝臓という生化学工場を円滑に運転させるには酵素が必要です。肝臓の酵素の多くは、亜鉛などのミネラルを必要とする酵素で、そうしたミネラルが低下していると酵素がうまく働かず、代謝サイクルの機能が低下してきます。
 逆に、肝炎の進行過程では、いろいろなミネラルの代謝異常が起き、血中のカルシウム、マグネシウム、リン、亜鉛などの低下、銅などの上昇をもたらし、それがまた肝炎の悪化につながります。

〈亜鉛不足と肝機能の悪化〉

 中でも亜鉛は肝臓での代謝に一番重要なことがわかっています。
 肝臓に亜鉛が不足すると亜鉛含有酵素の働きが鈍って肝機能に支障を来すだけでなく、深刻な病態が引き起こされることもあります。例えば、アルコールもアンモニアも代謝には亜鉛が必要ですが、肝硬変ではアンモニアの代謝が著しく低下して脳にアンモニアがいく肝性脳症を起こす場合があります。
 現代の食生活では亜鉛が不足気味の上に、肝機能が低下すればするほど、亜鉛の尿からの排泄量が増えますから、亜鉛の不足には十分な注意が必要です。
 亜鉛は穀類、豆類、種実類、海草類などに多く、精製加工品に多く使われるポリリン酸塩は亜鉛の利用を妨げます。バランスのとれた日本の伝統食プラス総合サプリメントの根本的食生活改善に取り組むことが大事です。

〈危険な貯蔵鉄の過剰〉

 C型慢性肝炎などでは鉄の代謝異常が起きて、鉄が血液や肝臓中に増えて肝炎を悪化させることがわかっています。ただでさえ弱っている肝細胞に、鉄が活性酸素を活性化して細胞を傷害するからです。
 瀉血によって貯蔵鉄(フェリチンという蛋白質に貯蔵されている)を除去する「除鉄療法」や、「鉄制限食」で肝機能の改善が見られています。特にインターフェロンが効かない、あるいは行えないケースに安全な治療法として注目されています。また、インターフェロンが無効なケースほど血清フェリチン量が多い傾向が見られ、瀉血療法をしながらインターフェロンを併用すると効果が上がるという報告もあります。
 鉄は肉や魚の赤身や内臓に非常に多いのでとらないことが肝心です。また、緑の強い野菜のスープは過剰鉄の活性酸素の害を防ぐ作用があります。年に数回の献血も貯蔵鉄を増やさない有効な方法です。
 食後の安静と
 適度な運動 就寝・起床、食事時間等を守り、休日はゆっくり休養をとって規則正しい生活を送ることが大切です。
 食後、胃腸から吸収された栄養は血液を通して肝臓に送られ、体に合った栄養素に作り替えられます。肝臓に効率よく血液が流れるように、食後30分程度は横になって肝臓を休めた方がよいといわれています。
 過労や無理は禁物ですが、慢性肝炎の場合、過度の安静はかえってマイナスに働きます。適度に体を動かすことは肥満予防や体力増強に必須です。運動不足では筋肉が落ちて、体力がなくなり、かえって疲れやすくなります。運動は、ウォーキングや散歩などが理想的といわれます。
 過度の精神的ストレスも体の防御力や免疫力を落とします。日頃から生きがいや趣味、笑いのある生活に心がけましょう。