筋肉の痙攣とこむら返り

なぜ、 筋肉はけいれんするの?

 寝ている時に足がつって痛くて目が覚めたり、水泳などの運動中に急に足がつったという経験はありませんか。
 このように、足のふくらはぎが収縮・けいれんして強く痛むことを「こむら返り」と言います。
 しかし、筋肉のけいれん・収縮はふくらはぎだけに起きるわけではありません。足の裏、首の筋肉、まぶた、果ては心臓の筋肉(心筋)とあらゆる筋肉におきます。
 原因としては、a薬の副作用(高血圧薬、抗がん剤、胃潰瘍薬など)や、b病気が引き金となるもの(肝臓障害、座骨神経痛、脊髄疾患など)もありますが、基礎的には、c体内のミネラルのアンバランスによるものが圧倒的です。
 いずれにしても、原因を突き止めてそれを正さない限り、いくら外から足をもんだり、温めたりして一時的に痛みを抑えても、根本的な解決にはなりません。
 栄養療法的には、ミネラルバランスをとることがキーポイントになります。

カルシウムとマグネシウムのミネラルバランスが鍵

 鍵となるミネラルは、カルシウムとマグネシウムです。
 ミネラルには、細胞の中に多い「細胞内ミネラル」と、細胞を取り囲んでいる細胞外液に多い「細胞外ミネラル」があります。
 カルシウムは細胞外液に圧倒的に多く、反対に、マグネシウムは細胞内液に多いミネラルで、この二つのミネラルは、拮抗したり助け合ったりしながら、互いにバランスをとって働いています。
 このカルシウムとマグネシウムのバランスによって、脳の活発な働きや正常な脈拍なども保たれているのです。
 ところが、このバランスが崩れて、カルシウムが過剰に細胞の中に入り込むと、神経細胞が興奮したり、筋肉細胞が収縮したりします。
 マグネシウムは、カルシウムが細胞内に入り過ぎないように調節する働きをしています。しかし、aマグネシウムが細胞の中に十分に蓄えられていない、bあるいは、血中のカルシウムが過剰にある場合、カルシウムはマグネシウムを細胞の外にどんどん追い出して、細胞の中に大量に入り込んでしまいます。
 こうした事が、神経細胞でおきると神経は興奮しっぱなしになってイライラしたり、筋肉細胞に起きれば筋肉が縮みっぱなしになってけいれんなどの異常がおこってきます。
 心臓の筋肉でこうしたことがおきるのが狭心症で、こうなると命にもかかわってきます。聖マリアンナ医科大学の田辺一彦講師は、働き盛りを襲う心臓突然死の多くは、睡眠不足や過労などでマグネシウムが欠乏した結果おこる冠動脈攣縮が元凶であると、指摘しています。
 さらに、肩こりや五十肩、ギックリ腰、高血圧などの引き金にもなります。
※血中カルシウムの過剰
 カルシウムの大量摂取や、反対に、カルシウム不足やリン過剰などで副甲状腺が働いて骨からカルシウムがどんどん溶けて抜け出る(脱灰)のが原因になる。

カルシウム・マグネシウムの 理想的な摂取比

 骨のカルシウムが不足して、細胞内のカルシウムが過剰になることを「カルシウムパラドックス」といいますが、カルシウムパラドックスを防ぐには、カルシウムとマグネシウムのいずれも過不足なく、バランスよくとることが重要になります。
 日本人のカルシウム不足は、以前から指摘されていますが、伝統的な日本型食生活では不足することはなかったマグネシウムも、食生活の欧米化、精製穀類、精製塩など精製食品の氾濫、加工食品や外食の多い昨今、不足が指摘されるようになっています。
 骨のミネラルバランスからいうとカルシウム2に対してマグネシウムは1とされていますが、細胞内外のミネラルバランスをとる上では、吸収率を考慮し1対1に近い比が望ましいとされています。
 なお、マグネシウムが日本より不足しやすい欧米では、ユーゴスラビアではマグネシウムはカルシウムの約2分の1、アメリカやオランダでは3分の1、フィンランドでは4分の1となっています。
 カルシウムに対するマグネシウムの摂取比率が小さくなるにつれ、狭心症や心筋梗塞の死亡率が上がることが確認されています。
※マグネシウム摂取源 未精製の穀類や緑黄色野菜、海藻、豆類、自然塩など

和食+総合サプリメントで予防

 カルシウムやマグネシウムも、未精白穀物や野菜・海藻類や大豆製品など伝統的な和食で精一杯とろうと本誌は考えています。
 しかし、こむら返りなどの筋肉けいれんを予防・改善するには、食事だけでカルシウムとマグネシウムを十分量補うのには無理があります。
 毎回の食事ごとに、カルシウムとマグネシウムを十分量とるには、総合微量栄養素サプリメント(栄養補助食品)の毎食ごとの摂取がおすすめです。
 カルシウムのサプリメントは、吸収が良いと宣伝されているものほど、マグネシウムが十分入っていないと、その相対的不足が心配になります。

筋肉は冷やさず運動はストレッチが

 激しい運動は、筋肉を酸素不足にしたり、筋肉細胞の中に疲労物質と言われる乳酸が蓄積するもとになり、筋肉けいれんなどのトラブルをおこしやすくします。
 ゆっくり筋肉を伸ばすストレッチ体操などがおすすめです。筋肉は冷やすと縮まります。運動の前後はウォーミングアップが大切です。