「がん」にはこうして対処(1)

がん細胞は 誰でも持っている

 がんという病気の最大の特徴はがん細胞が非常に自分勝手に振る舞う、無制限に分裂増殖をし、転移をする||というところにあります。他の臓器に仲間を引っ越させてがん細胞を増やしていきます。例えば胃が原発の場合、腫瘍が胃の壁をどんどん掘り進んでその下にある血管に到達すると、がん細胞は血流に乗って肝臓とか肺とか他の組織に流れていき、引っ越し先でもまたがん細胞を増やし始めます。
 ですから、最後は体中がんだらけになって多臓器同時不全になり死んで行くというのが多くのがん患者の姿です。
 ところで今や、「自分の体の中にがんが出来ていない人は一人もいない」ということもよく言われています。誰でも自分の体の中にはがん細胞がすでに存在しており、しかも、がん一歩手前の、遺伝子に突然変異を起こしたがんの芽ともいうべき変異細胞に至っては毎日3000〜6000個も体の中で作られているということです。
 何故、健康体の人でも、がん化細胞を体の中に持っているのかと言いますと、この世の中は発がん物質が横行して食べる物からも吸う空気からも容赦なくどんどん体の中に入り込み、発がん物質が細胞の遺伝子に突然変異を起こさせるからです。あなたを四六時中とりまく電磁波にも危険な要素があると言われています。

発病してがん死に至るのは4人に1人

 このように、体の中ではがん化細胞が毎日沢山作られているのに、がんで死ぬ人というのは統計上4人に1人しかいません。これはつまり、4人に3人はがんになってはいるが、がんでは死んでいないということです。
 がんでは死んでいない人の方が圧倒的多数派だと言うのは何故でしょうか。
 それは、自分の体の中に、白血球が日々がんを殺すシステムがあるからと考えられています。

白血球と免疫

 血液の中に沢山含まれている白血球は、人間の体の中に入って来た異物を処理、排除しています。白血球のこのワークを「免疫」と言います。
 人間の体の中の異物を排除する働きで、一番わかりやすい例は臓器移植の時の拒絶反応の話でしょう。
 例えば、腎臓が悪くなってもう働いてくれないという時に、他の人から腎臓をいただきますね。腎臓は2つあるので、そのうち1つを我が子のため、兄弟のため、あるいは全く見も知らぬ他人のために提供することがあります。ところが、提供された腎臓を移植しても、大抵拒絶反応が起きてしまいます。腎臓は握りこぶし大の臓器ですけれど、移植されるとこれに対して自分の白血球が拒絶反応を起こし、移植された腎臓は10日もしたらボロボロにされてしまいます。何故か。それは自己の遺伝子ではない遺伝子を持った細胞が移植というかたちで大量に入り込んできたか
遉免疫のパワーが発動されたからです。
 この臓器移植を血液の流れに乗って全身をパトロールしている白血球の側から見ると、移植されたものが腎臓であるか肝臓であるかを見ている訳ではなく、自分の遺伝子を持っている「自己」なのか自分の遺伝子とは言い難い遺伝子を持っている「非自己」なのか、を見ているわけです。そして、これは自分の細胞ではないと見極めると、食い殺しにかかるので人体は全体として自己同一性を保って生きていられるわけです。
 翻って、自分の体の中に絶えず出来てしまうがん細胞というのは、白血球から見ると「自己」なのか「非自己」なのかというのが一番問題になるわけです。

がんが出来る迄の過程

 腫瘍が出来るまでの過程というのは、自分の細胞が分裂する時などに遺伝子が傷つき異常になるのが始まりです。遺伝子に異常を生じたからこそ、勝手に増殖してみたり、自由に体の中で転移をしてみたりという、アウト・オブ・コントロールが起きてくるわけです。
 全体のコントロールからはずれたものはもはや「自己」とはいえません。「非自己」に転化した、つまり自分の細胞ではなくなったのです。胃がんが出来た、肝臓がんが出来たと言っても、皆10年選手のつわものだと言われています。それは発がん物質が入って来たり放射線があたったりして活性酸素がうまれ、遺伝子が壊されて変異細胞化し(イニシエーション)、さらにこれを増殖、がん細胞化する刺激が続き(プロモーション)、更に刺激が加わって急速に大きな腫瘍になりはじめる(プログレッション)わけです。がんという病気は、こういう3段階を経て出来上がってくるのです。
 大抵の場合、その途中で白血球によって非自己と認知され殺されてしまうのですが、根っ子の所が残るとまたぞろ増え出す。そうするとまた白血球がそれを見つけて殺しにかかる。こんなことを繰り返している内に10年位すぐ経ってしまうわけです。

がんと白血球の死闘

 その10年間のうちには、自分の体の調子を崩す時もあるわけです。
 そういう時、いうなれば免疫力が落ちた時というのが、自分の体の中でいろんながんが増殖する時です。例えば風邪を引いた時、風邪はよく万病の元と言われますけれども、大して強くない風邪のウイルスが体内で暴れられるくらい、体の抵抗力つまり免疫を担当する白血球のパワーが落ちたということも意味しています。だからこういう時はいろんな病気になる。風邪もひきやすい。ところが、根本的食生活の改善を実行してみると風邪もひきにくくなるのは、体の冷えがとれてくることもあるからです。基礎体温があがり手足もあたたかくなり、元気になってくる。
 東洋医学では冷えが万病のもとと言われますが、冷えが無くなるので風邪もひかないし、諸病になりにくい。風邪は万病のもとというのはこういう意味もあるのです。
 がんが体の中にどんどん増え出したという時に自分の白血球が(食生活の根本的改善までは)ボケッとしていて、自分の体にできたがんと出合ってもがんだと分からないで見逃しているというのも多く見られるケースです。本当は体の中で「非自己」と言われる遺伝子をもった細胞がどんどん増えて来るんだから、白血球は仲間をよび集めてがんを食い殺すはずだったのが、何故かボケてまともに働かなくなって、がんと出合ってもそれを素通りして見逃してしまうのです。
 また、がんで亡くなった人のがん細胞を調べてみると、戦いに破れた沢山の白血球ががんの腫瘍中に見つかることがあります。これは白血球ががん細胞を「自分」ではないと見なし拒絶反応を起こし食い殺しにかかったのですが、がん細胞の分裂増殖の勢いの方が強くて白血球の拒絶反応が及ばず、がん細胞に白血球が食われてしまった跡だといわれます。
 白血球とがん細胞は、食うか食われるかの戦いをしているわけで、正義の味方、白血球がいつも勝つとは限らない。白血球が負けた時にがんになるわけです。せっかく「非自己」と見抜いて戦ったけれども白血球の方が弱くてがんに負ける。こういうこともあるんです。