関節炎

 全身いたるところの「節々が痛む」関節炎は痛みを伴うのでなかなかつらいものがあります。
 最近になって、単なる関節炎の多くも何らかの免疫異常と関係があるのではないかとみられるようになってきました。
 関節炎を病む人は、関節炎をおこすようなウイルスに対する抗体を充分つくれないため、その関節部への侵入を容易に許してしまうということがあります。
 関節部に入ってから、その内部で白血球がウイルスを殺そうとするわけですが、その時、白血球は盛んに活性酸素を放出するわけです。
 そのタイミングに、抗酸化微量栄養素の摂取が不足していると、関節部はその自分の白血球の出した活性酸素の流れ玉で自壊作用をしてしまうというわけです。
 関節の中で、このようなことが起きるのは、必ずしもウイルスだけが白血球に活性酸素を放出させるものということではありません。
 たとえば、食物に由来する異蛋白などが引き起こすアレルギーがおこった結果、肥満細胞などから放出されるヒスタミン、ロイコトリエンなど起炎物質は白血球に活性酸素を放出させ、炎症↓活性酸素放出↓更なる炎症の悪化という悪循環をおこさせます。
 関節部は人によっては弱いのに酷使されるということで、この悪循環が起こりやすいのです。赤ちゃんの時から、皮膚が弱い(たとえば粉ミルクで育てられたとか母乳で育てられたにしても、妊娠中あるいは授乳期にお母さんが牛乳を飲んでいたとかいう理由で、赤ちゃんが皮膚をむずがゆがって、しょっちゅう掻いていたということがあると、掻いた皮膚は弱くなる)子供などに、俗にいう「アトピー性皮膚炎」などがおきてしまうのは、皮膚が今の話の関節部のようなことになって、炎症の悪循環になっているのです。
 比較的年をとっておきる関節炎は、軟骨部がすりへった結果うまれることが多いのです。運動選手などの関節炎もこのタイプが多いようです。
 骨(長管骨)の末端は、やわらかいなめらかな軟骨でカバーされています。
 年をとったり、酷使されたりすると、この軟骨は新発生より摩耗の量が多くなり、硬骨部の粗い面どうしがぶつかるようになります。
 また、股関節や膝などには意外なほどの重みがいつもかかっていますから、軟骨も摩耗しやすいのです。太っている人は体重を減らすよう、食物を減らしたり適切な運動をこころがけましょう。
 関節の痛みは関節を酷使したあとの他、何故か湿気の多い天候の時の朝、起きやすいことがわかっています。
 また、関節炎の1タイプとしてリウマチと呼ばれる慢性の関節炎もあります。
 朝、手の指もこわばりを感じるところから始まるといわれますが、一種の自己免疫性疾患(免疫の働きが狂って、自分の組織を体内にまぎれこんだ異物とみなして、白血球が自分の関節部の滑膜などに活性酸素を放出し、炎症の悪循環がおきてしまう)といわれます。
 その結果、関節部のさまざまなところが損傷し、瘢痕組織化していくために、関節の間の空間は狭くなり、硬骨どうしがぶつかりあって、溶けて水になったりすることがあります。これはリウマチでなくてもおこり、よくみられる膝に水がたまるという現象になっていきます。
 リウマチは慢性化してゆく中で、腫れあがったり発熱したりしますので、本人にとってはとても苦痛で、疲れやすくなります。
 血液中のミネラルを調べてみると(毛髪にも当然反映しますが)銅の水準が高く、亜鉛、マンガン、鉄、硫黄の水準が低い(食品からの摂取が少いため)ことが多いことがわかっています。
 鉄、マンガン、亜鉛などを充分摂取していると銅は相対的に少なくなってきます。
 ビタミンCが不足をしていると関節部の滑膜などが壊れやすくなるので、出血、腫張が起きやすくなります。
 また、ビタミン類ではβカロチンのほか、ビタミンB12、その他B群全般を充分に摂りましょう。
 炎症の悪循環にストップをかけるエースは何といっても、活性酸素消去酵素であるSOD、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼを十全に働かせることです。これはほとんどの人の場合、亜鉛とセレニウムの充分な摂取がポイントとなります。
 痛いからといって関節部を動かさないといちはやく硬化がきてしまうので、炎症ストップのこれらの微量栄養素を充分に摂取しつつ、あとは良い姿勢を心がけましょう。
 これらの微量栄養素は三度三度の食事のたびに総合微量栄養素サプリメント(栄養補助食品)を摂り続ければ、十分摂れます。ただ、リウマチの人だけはあと毎日200〜400マイクログラムのセレニウムをサプリメントで摂ると良いでしょう。
 一度変型し固まってしまった患部は完治はあまり期待できませんが、血液の循環は良くなり、苦痛が少なくなることと、それ以上の悪化は避けることが期待できます。