ひどいニキビと 微量栄養素

 最近、ひどいニキビのハイティーン少女から相談をうけました。
 今、人気のハンバーガー屋さんでアルバイトをしているそうですが、一緒のバイト仲間もたいてい大なり小なりニキビの悩みをもっているそうです。
 日に何回も油取り紙で油をとったり、友達から教わったパックをしたり、洗顔したりいろいろ対策手段をとっているようですが、まるでニキビの根があるかのように次から次へと腫れたニキビがでてきます。
 今、一番の心配は、これが肌にクレーターをつくり、一生残ってしまわないかということです。
 こんなことがあったので、今月はニキビ対策を考えてみました。

西欧風食生活の蔓延が ニキビの根源

 昔といっても、明治までのということですが、日本人はそもそもニキビなんかできる人はすごく少なかったのです。
 それまで日本人と言えば、みどりの黒髪、玉の肌というのが定評でした。
 それが、今では赤ちゃけたバサバサの髪、荒れた肌、ひどいニキビに悩む女性だらけです。
 勿論男の肌もそうです。
 ニキビやこれらの皮膚トラブルは西欧風食生活が流行りだしてから現れ出した皮膚トラブルです。
 これは、日本人だけでなく、世界各国で言えることです。
 例えば、西欧風食生活の本場、アメリカでも、今、黒人もひどいニキビに悩まされている人が多いのですが、彼らのふるさとアフリカでは、同じ民族が未だに昔ながらの伝統的食生活をしているようなケースがあります。そういうところでは、若者の間にもニキビは殆ど見られないそうです。
 また、エスキモーなども西欧化したのは第二次世界大戦後ですが、ガンが増えたり、心臓血管病が顕著に増えてしまったことが、知られていますが、彼らもまた、若い人を中心にニキビで悩む人が増えてきたことで知られています。
 結論的に言えば、ニキビも決して遺伝的必然性で出来るものではなく、食生活を中心とした環境の変化のなせる技というところでしょう。
 従って、食べ物、栄養に気をつけることで、ニキビの悩みは案外簡単に解決できる筈です。
 西洋風食事の特質は、多すぎる脂肪と砂糖(単純糖質)そして少なすぎる食物繊維が一番問題です。食物繊維は穀物由来の繊維が特にニキビ対策としては良い効果があがるようです。

微量栄養素対策

 次の何れかが効果があることがわかっています。
 実際には、総合的にミネラルやビタミンが入っている総合微量栄養素サプリメント(栄養補助食品)と食物繊維を組み合わせて摂るのが一番現実的だと思います。
・葉酸(ビタミンB群の一つ) 毎日5〜10mgの葉酸を摂りましょう。
・ピリドキシン(ビタミンB6) 毎日50mgを摂るとよいのです。特に女性は月経時とその直前に。
・ビタミンAは大量療法がニキビにも効果があると言われています。三ヵ月を目途に、毎日30万単位を摂ります。
 但し、ビタミンAは日量10万単位を越すと、人によっては肝臓にダメージを与える場合があるので、肝臓検査は受けながらやっていただきたい方法です。
 ビタミンAは10万単位に抑え、ビタミンEを同時に800単位摂るという方法も知られています。これもビタミンAの大量療法の一つですが、こちらのほうが安全性が高いわけです。
・セレニウム ニキビに悩まされている人の多くは血中グルタチオンペルオキシダーゼの水準が低いといいます。セレニウムの補給でこれはかなり良くなります。膿を持っているニキビを治したければ、セレニウム200μg、ビタミンE10mgを摂ってみて下さい。グルタチオンペルオキシダーゼが活性化し、消炎作用が活発化します。
・亜鉛 血中亜鉛水準の低下もニキビの原因になります。三ヵ月間、毎日50mg程度の亜鉛摂取で効果が出てきます。
・クロム 毎日、三価クロムを400μg程度摂ってみて下さい。
 ニキビが出始めると、皮膚の耐糖能力がとても弱くなります。クロムはこの回復に役立ちます。
・ニキビが出やすい食物
 アーモンド、麦芽、卵の白身、ミルク、チーズ、辛子、唐辛子、小麦粉、白砂糖。

石油合成界面活性剤 シャンプーと縁切り

 食生活の不適合で、体全体・皮膚が弱くなってきたところへ、石油系合成界面活性剤が破壊の手を下しニキビをつくります。
 具体的にはテレビコマーシャルでお馴染みのシャンプー、洗剤などは、ほとんど石油系合成界面活性剤を使っています。好感がもてるタレントが宣伝していても、決して騙されてはいけません。
 これは、かなり浸透力が強いので、頭を洗った残りが顔についた程度でも、弱くなっている顔の肌の毛穴に入り、角質から保湿成分を取り去ったり、基底層を刺激して炎症を起こさせます。
 毛穴内部の炎症は、毛穴の壁に添って全体に拡大します。
 そうすると、毛穴からの皮脂の分泌が物理的にスムーズにいかなくなり、さらに皮脂も酸化を始め、炎症がひどくなります。
 ここにニキビ特有のアクネ菌など、細菌が棲みつく環境が出来上がったことになり、ニキビの炎症は菌で皮膚を内部からひどく破壊するようになります。
 よく、ニキビに効く薬というのもテレビのコマーシャルにでてきますが、これはこの細菌を殺す役目をします。しかし、基剤に軟膏を使っているため、この軟膏中の界面活性剤が皮膚破壊の役目もします。つまり、これはマッチポンプの要素があるのです。薬はよくても軟膏が駄目なのです。
 本誌は古典的な石鹸洗顔・石鹸シャンプーによるこまめな洗浄(少なくとも一日3回)をお勧めします。現に肌が弱くなってしまっている現状では、このこと抜きには、つまり、石油系合成界面活性剤で作ったシャンプー、ボディーシャンプー、洗顔クリーム(クレンジングクリームなど)を使っている限り、いくら食生活改善をしてみても、速やかな回復は望めません。
 肌着、タオルなどの洗濯もニキビと縁を切りたいと思うのだったら石油系合成界面活性剤の使用をやめてください。
 結論的には、ふだんの食生活を自然食にする。ビタミン・ミネラルが総合的に摂れるサプリメント(栄養補助食品)をきちんと摂る。石油系合成界面活性剤を身の回りから追放する。
 この三つを守ればニキビがあなたを悩ませることは出来なくなります。