ベータカロチンについて

 最近、ベータカロチンについて、多くのニュースが発表されるようになってきました。
 巻頭の記事でもお知らせしましたようにベータカロチン・ビタミンE・セレニウムの入ったサプリメントを与えられていた(中国リンシャン地方の人達は)画期的に死亡率を下げ、ガンで死ぬ人も胃ガンに至っては何と21%も減少したというのです。
 今までも動物実験ではベータカロチンがガンの予防だけでなく、治癒に効を奏したとか、老化を遅らせるとか(早すぎる老化にストップをかけ、年相応の状態にまで戻してくれるので見かけ上は若返りをしたようにみえる)、いろいろすぐれた効果が報告されていましたが、今回の中国のケースはベータカロチンを与えた群はガン死亡率が下がったというわけです。
 よくニンジンやパセリなど緑や黄色の濃い色にはカロチンが多いといわれますが、カロチンというのは一種の色素です。
 このカロチンは葉緑素が多ければ多いほど量が多いのです。つまり太陽エネルギーを取り入れて炭酸ガスと水から糖類をつくる葉緑素の働きで生じる活性酸素を消去する働きをしているのです。
 このカロチンは植物だけが作っていますが、これを動物が食べると、動物の中でも活性酸素を消去する働きをしてくれるというわけです。
 従来のカロチンというのは、体の中でビタミンAにかわる物質とだけ知られていました。それはそうなのですが、最近ではそれ以外にカロチン自体の働きがすごいということがわかってきたわけです。人間がカロチンを食べると、必要に応じてその三分の一程度がビタミンAにかわりますが、むしろ量の多い部分は独自に活性酸素を消去してくれる栄養成分として働いてくれるのです。
 その上、カロチンは体内の免疫力を高める働きをしてくれることがわかってきました。
 アレルギーなども免疫のシステムのトラブルからおこる悪循環です。様々なアレルギーに悩む人は、カロチンの大量摂取にトライしてみる価値があります。
 更に免疫システムの働きが悪くなった結果が、リューマチなどの自己免疫や、ガンです。ガンは遺伝子が変質してしまうのですから、本来ならば非自己として、免疫システムの攻撃の対象にならなくてはなりません。それが宿主である人間を倒すまでに巨大化する根本は免疫のボケです。それにカツを入れてくれるのがカロチン等の微量栄養素群です。
 ガン研究者がカロチンに注目し、熱い期待をよせるのはそういう意味があるからです。