不整脈

Q

 この夏休みに家族でキャンプに行き、朝早起きして子供と近くにある山に登ったところ、三十分位して心臓にズキーンというショックが走り、急に不安になりました。登山は途中でしたが少し休んでから無事下山し、その日は一日ゴロゴロして翌日車を運転して帰って来ました。その後特別異常はありませんが、先行きとても不安です。
 普段はあまり気にしていませんが、疲れた時など不整脈としか言いようの無い心臓の不規則な鼓動も何回か経験したことがあります。今後微量栄養素摂取の上で気をつけなければならないことをご指導下さい。 (H・M 四十三才)

A

 普段仕事はハードなのに、頭ばかり使って車に乗ることが多く、万歩計などが計ってみると一日の歩行数が三千歩程度という人が、夏休みでハリきるとこういうことになりかねないのです。心臓のトラブルは油断大敵です。健康で長生きしようと思ったら、是非、以下の諸点に気をつけて下さい。
・心臓の不整脈に大きな悪影響を及ぼしていることに、カフェインがあげられます。このあたりは如何ですか?
 コーヒー・紅茶などは意外にカフェインが多く、その割に一日に気軽に何杯も飲んでしまいます。愛飲していると、気分だけでなく、肉体的にもカフェイン依存症になってしまい、やめようと思ってもなかなか足を洗えません。
 カフェインは心臓に不整脈をもたらしやすい物質であることは医学的にもハッキリしていますから、Mさんも、もしコーヒー党であれば、とりあえず砂糖ミルク抜きで一日一〜二杯に抑え、近い将来のどこかでキッパリやめるようにして下さい。

微量栄養素では

 銅
 マグネシウム
 カリウム
 セレニウム
 ビタミンE・C
 タウリン
などの摂取が不足しないように心がけて下さい。具体的にはサプリメントで補充していくのが一番現実的でしょう。
・銅の不足は不整脈の引き金となる心室の早期収縮をもたらします。体内の銅の量を考えるときは同時に亜鉛の量を考える必要があります。亜鉛は基本的に必要な大事なミネラルですが、不整脈の不安のある人は銅と拮抗する亜鉛はサプリメントなどで過度に摂ることは控えて下さい。
 マグネシムはおそらく不足していると思われます。キャンプなどで張り切って活動するときは、マグネシムが不足しないよう、数日前からサプリメントでしっかり補っておくことがノープロブレムで楽しく過ごすコツです。
 心臓は筋肉で出来た袋といっても過言ではありません。これが疲れ知らずで働いてくれるためには、すべての筋肉がそうであるように、マグネシムが充分あることが必要です。筋肉が働くときに細胞内に入ってくるナトリウムはポンプをまわして直ちに強制的に出してやらなくてはならないのです。その動力源はアデノシン三リン酸ですが、ナトリウムポンプをまわすときはマグネシムがセットされていないとポンプは機能出来ません。
 現代の食生活ではマグネシムはただでさえ不足になりがちなのに、普段使わない筋肉を大いに使うキャンプ生活では、その不足は深刻になっている筈です。そこに山登りときては急性マグネシム不足になったとしても仕方ないですね。
 前の晩はアルコールはやりませんでしたか?
 アルコールはマグネシムを尿から排泄させるので、量をすごさないこと、カシューナッツなどマグネシウムの多いものをツマミにすることが大事です。
・カリウム
 カリウムの不足が不整脈を招くことも知られています。不整脈に対する医薬品として昔から知られているジギタリスも、摂取を続けていると細胞内のカリウムを損失するもとになるので要注意です。
 カリウムと拮抗するナトリウム(食塩)を摂りすぎると相対的にカリウム不足になりやすいのでご注意ください。
・マグネシウムとカリウムは肉体労働で同時に不足しやすいミネラルなので、不整脈を起しやすい時はこの点もご注意下さい。
・セレニウム 不整脈の不安のある人は一日五百マイクロは摂るようにしたいものです。普通の食事からは一日二百マイクロ程度しか摂れません。
・ビタミンE・C サプリメントで十分摂りましょう。心臓の長持ちには酸化防止はとても大事です。
・核酸 低核酸食を続けていると心臓はへたってきて、次第に繊維化部分が多くなってしまいます。
・タウリン タコなどに多いタウリンは心臓の筋肉の膜の興奮性の正常化に役立つことが知られています。
・なおタバコを吸っている人は心臓発作の危険性が四倍も多いことは既にご存じだとおもいます。念の為。