――健康づくりとミネラル――

核酸

Q ビタミンバイブルの新版が出たと聞いて早速読みました。

 確か、週刊誌で丸元淑生さんが書いていたと記憶していますが、新版では以前は言ってなかった核酸のサプリメント(RNA―DNA)を摂るように勧めていました。
 自然食ニュースも最近核酸の摂取を勧めているようですが、核酸はビタミン、ミネラルと同じように論じられるべき微量栄養素なのでしょうか。
A アール・ミンデル氏のビタミンバイブルの新版(小学館刊)では、「若くエネルギッシュでセクシーでいるために」という章(第20章)があり、いくつかの方法が述べられています。
 その中で、核酸についてもそのサプリメントによる摂取がすすめられています。
 私達も多くの成人病は、早老に伴うものなので、老化を遅らすことができれば、成人病の多くはその分、姿を消すに違いないと思っています。
 従って、いつまでも若さを保つということは、単に長生きをするということだけでなく、成人病を予防する一番確かな方法ということにもなります。
 逆に言えば、成人病にならないことが、健康に長生きできることにつながるとも言えます。

細胞レベルで 考えると

 私達の体は、約60兆個もの細胞で構成されていると言われています。
 もとはと言えば、母の卵子に父の精子が合体して、1個の細胞が新生したところから出発して、1つの細胞から2つの細胞を作る細胞分裂過程を繰り返して、細胞の数を60兆個にも増やして来たわけです。
 おびただしい数の細胞から組織や器官を作り上げているわけです。それを構成している個々の細胞には、それぞれの寿命があります。
 私たちの体は、器官や組織の部品としての細胞のうち古くなったり、故障したりしたものををどんどん入れ替えて組織や器官の老化防止を普段からおこなっているわけです。
 どんどん消耗される器官の細胞、たとえば胃袋の粘膜の細胞は、たった1日から2日の寿命といわれていますし、赤血球などは約100日の寿命といわれています。寿命が最も長いのは脳神経の細胞や心臓(心筋)の細胞で、成長のピークを過ぎると脳の細胞などは1日十万個位の単位で壊れていきますが、本人がこの世と別れを告げる最後の日まで大部分は働きつづけます。この脳神経細胞と心筋の細胞はそれぞれの組織の成長のピークを迎えた後は、細胞分裂によって増えることはないといわれているので、人の天寿はこの細胞群の寿命如何で決るというわけです。
 それ以外の細胞は壊れたらすぐ隣の細胞が分裂して二個の細胞になり、その穴うめをしているわけです。
 実際、多くの人が天寿といわれる百二十才〜百五十才を迎える以前に何らかの病気で倒れてしまうのは、故障を起こした部分の細胞の交替がうまくいかず、この組織や器官が壊れて致命傷になるケースがほとんどなのです。
 多くの人にみられる老化ということ自体この細胞の交替に何らかの支障があったため、新しい細胞が出来ず、その部分が繊維細胞化してしまったことが引き金になっているからに他なりません。
 赤ちゃんが生まれるまでまた生まれた赤ちゃんが順調に小児になっていく間のように、全身の細胞がどんどん分裂して増加する傾向にあるときと同じような勢いが生涯続けば、成人病がしのびよることもなく、その人は天寿を全っとう出来るのです。

細胞分裂の 促進因子・阻害因子

 さてこのように細胞が順調に分裂して増えていくにあたって、それを促進する因子は何か、妨害する因子は何かということを考えてみましょう。
 まず、促進する因子は新規に細胞をつくるに当って必要な部品を現場にタイムリーに供給するということです。
 妨害する因子は、脂質を酸化し、過酸化脂質やフリ
ーラジカルをつくる活性酸素や有害物の存在でしょう。
 必要部品のうち、もっとも基本的なものが遺伝子そのものをつくる材料・核酸です。
 赤ちゃん、子供時代は腸内細菌の中に食物中の糖質などから核酸をつくりあげる腸内細菌類が多くすみついているのに、大人になるに従い、その菌相が後退し造られる核酸量が減ってくるために、食物から核酸を供給されないと間に合わなくなってきます。
 今の栄養学の常識では体を構成している蛋白質を重点的にとるべしということになっていますが、鶏の卵や牛乳は典型的な低核酸食品です。そして、これらの多食が腸内で核酸を合成してくれる細菌相を後退させるといわれています。

核酸の供給源

 日常の食品で核酸の多いものというと、魚ですとイワシかニシン、あとはそれらの白子や魚卵、植物性のものではタマネギが代表格です。
 それらを充分に摂ることを心掛けていても一日に7、000億も壊れる細胞の遺伝子を組み立てる核酸を十分供給するのは容易なことではありません。
 私たちは核酸もビタミンの一種として位置づけるのが論旨明快ではないかと考えています。そして、日常の食事では圧倒的多数が早老化している現実からいって、核酸摂取が不足していることは明白なので、毎日1、000mgないし1、500mg程度はサプリメントで補給するのが正しい対処の仕方であるとも考えています。