腎臓病

健康自衛の 気構えと知識を

 最近どうも体がむくんでしまって、なかなかとれないので病院で診てもらったら急性腎臓炎といわれたとか、長いこと腎臓が悪かったが、ついに人工透析をしなくては生きていけなくなったといわれたという話を良く聞くようになりました。
 因みに腎臓悪化による人工透析と糖尿病によるインスリン注射は病院が安定的に収益をあげることができる方法です。病院倒産の件数が増えている昨今、悪徳病院の経済注射(病院経営上の隠語で、本当は必要がないのに、病院側が採算の必要上打つ注射)の犠牲者にならぬよう注意したいものです。
 肝臓病の場合もそうですが、なってしまってから、どうしようかと悩んだり、悔しい思いをする前に、ならないよう十全の気配りをし、手を打っておくべきだと思うのです。
 打とうと思えば打てたのに、その手を打たずに病気になったという話は、その原因はどこにあったというべきでしょうか。きつい言い方をすれば、その人自身に求められるべきではないでしょうか。
 自分のうかつさゆえで、一生棒に振らなくてはならないとしたらこんな悔しいことはありません。
 なってから後悔の涙にくれないよう、転ばぬ先の杖として、健康に関する知識・情報を自分のものにしておきたいものです。そのお役にたちたいというのが私たち自然食ニュースの願いです。

腎臓病も全身病

 そういう意味では、特に腎臓がどうのこうのというのもおかしな話ではあります。
 全身どの器官をとっても全体として命を養なう構成要素です。全体がその器官の存在を保証し、その器官も全体に影響を及ぼしているわけです。俗な言葉でも「小指の痛みは全身の痛み」ともいいます。腎臓のトラブルもただその腎臓だけを切り離して考えるだけではなく、やはり全身の健康管理をしていくなかでバランスを考えて対処すべきものでしょう。

気をつけたい悪循環

 ただ、私たちの体はどこかに弱点があるとそこに犠牲がしわ寄せになりやすいということがあります。その傾向が悪循環的に進行してしまうと、特定の器官に急速に負担がかかるようになります。そういう意味では腎臓は他の器官にさきがけて壊れてしまいやすい器官だということはあります。肝臓や心臓のほうがその後から壊れるという傾向にあるようです。
 そういう意味で今回は弱点になりやすい腎臓に注目して対策を考えてみたいと思います。

VA、VC、コリン不足

 腎臓が悪くなる前段階として、長期にわたる栄養失調、とくにビタミンAの不足がいわれています。
 近頃人気のあるベータカロチンは体内でビタミンAになってくれますから、カロチンを充分摂っていればビタミンAの摂取はそれで相当補えます。
 出血をおこしているときはまず腎炎が疑われます。
 腎臓の極細な血管はビタミンAが不足すると一番細い部分が炎症をおこし出血しやすくなります。
 腎臓が悪くなると、小便中に出血が見られるのはこのためが多いのです。弱い血管が破れるもととしては、ビタミンC、ビタミンB群の一つコリンの不足も引き金となります。
 本人が腎臓がおかしいのではないかと気がつくのは、この出血によることが多いのですが、風邪をひいて咽喉部が連鎖球菌の感染を受け炎症をおこしたような後とかにも多いようです。また、大便の細菌が膀胱から遡行して膀胱炎をおこし、腎臓にひろがっていくということもあります。

病名の詳細は あまり意味がない

 腎臓病というと急性腎炎、慢性腎炎、ネフローゼ症候群、急性腎不全、慢性腎不全などと分類されますが、これらは、腎臓という器官のどの部分がもっとも障害をうけているかということで、同じ病気の移行状態をいろいろ分類しているだけのことで、病名自体にはたいした意味はありません。
 腎臓のガンはガン一般で述べますし、腎結石は他の結石と一緒にまとめて述べることとします。

細菌性の 腎炎の時は…

 さて腎臓は極く細い毛細血管が集中し、血液を・過して、血液を酸・アルカリのバランスをとりつつ尿素などの不要物を捨てる巧妙な仕組みになっています。
 炎症が細菌性の場合は、酸性食品だけをとり、野菜・果実などのアルカリ性の食品は一週間程度、摂らない方がよく治ります。それは、尿が酸性になって、殺菌作用をするからです。アルカリ尿は殺菌しません。
 腎炎に先立って膀胱炎がおきたときはその炎症に対する処置も必要になります。

腎炎と いわれたら…

 炎症に対する対策は肝炎でも述べましたように、活性酸素が暴発するのを防ぐように工夫された抗酸化物質のサプリメントを摂るのがよいわけです。
 これは炎症の場所がどこであってもいえるわけですから、一般的な健康自衛法として、私たちの常識としたいものです。
 その常識の範疇としては、有毒ミネラルの悪影響はないか、核酸の新陳代謝は充分か、ということもいつも意識していただきたいと思います。
 そこで、次に腎臓の特殊性について考察を進めましょう。
 腎動脈や尿細管にコレステロールなど脂肪性物質が沈着すると、腎臓への血液供給量がへり、老廃物を排泄する量が減ってきます。
 この沈着自体も脂肪性物質が過酸化脂質化したときにもひどくなります。
 こうなると腎臓自体への新鮮な血液供給も減りますから新陳代謝が狂いだし、次第に組織が瘢痕化して、活動力は、グンとさがります。
 尿細管は脱落した細胞の死骸で詰り、大きな集合管も次第に壊れ始め、浮腫や組織の変性を招きます。
 その結果、腎炎になると、大量のアルブミンが尿から失われ浮腫の発生がおきるようになります。
 この対策としては活性酸素対策とともに、核酸を意識して腎臓組織のリニューアルを可能にするようなメニューにすべきでしょう。
 核酸の多い食物としては魚ではイワシ、貝類、植物ではタマネギなどが良く知られています。
 腎動脈や尿細管にコレステロールなど脂肪性物質が沈着するのはVBの一つコリン不足でもおこります。
 高カロリー食、高アルコール、精製糖の多食はコリンを消耗します。
 これを予防するには、高カロリー、酒や砂糖の多摂取をおさえるとともに普段からレシチン、VB12、葉酸、アミノ酸のメチオニンを充分摂取することです。
 コリンはメチオニンからもつくられますが、生体内の優先順位からいって、なかなか現実にその量を確保するのは容易ではありません。やはり、レシチンの投与が一番効果的です。
 栄養素の一つとしてレシチンは時として思わぬほど人を元気にするというところがありますが、このあたりのメカニズムも寄与しているものと思われます。
 腎性の出血予防対策の一つにビタミンCを先程あげましたが、ビタミンCはフラボノイドを一緒に摂取すると効果がグンと高くなることが知られています。フラボノイドは柑橘類の皮の内側の白い部分を多目に摂れば必要量は摂れます。
 動脈硬化が進行すると、肝臓やら心臓も重大なダメージをうけますが、それに先立ってはるかにデリケートな腎臓から先に被害が出るということなのでしょう。
 腎臓の尿細管は粘膜で覆われています。この粘膜はビタミンAが不足すると過酸化脂質化したあと瘢痕組織化します。ビタミンAは粘膜の健康維持に大変重要な働きをしてくれます。しかしいったん粘膜に障害がおこるとビタミンAはそこから流れ出てしまいます。ここにもまた生体の悪循環のメカニズムがあります。
 これにストップをかけようとしたら5万IUから七万五千IU程度のビタミンAを三〜四日でも集中して摂取すると良いのです。
 これは瘢痕化をふせぎ、すでに瘢痕化した組織もしだいに回復させます。
 鉛や水銀の中毒、各種医薬品の副作用としての毒性の発揮、極度のストレス、塩辛すぎる食物の摂りすぎ、副腎ホルモン・コーチゾンの不足なども一般的に腎臓にダメージを与える要因として知られていますが、弱り目にたたり目というか、ダメージを受け始めた腎臓にはこれらのことが今まで以上にひびきだします。これも悪循環が起こりやすいメカニズムの一つです。

自家製の コーチゾンで…

 このコーチゾンが生体内(副腎)で順調に作られるためにはパントテン酸、VB、B12などが必要です。
 腎臓が悪くなると浮腫がきますが、それに輪をかけるのが過剰なナトリウムと不足するカリウムです。腎臓が悪くなると極端な減塩を言渡されることがありますが、このような時でも500ミリグラムを切ってはなりません。また、カリウム塩を摂るようにすれば、これがナトリウムの排出に役立つので無理な減塩はしなくても良いようになります。

利尿剤のリスク

 利尿剤がかえって重大な障害をもたらすということがあります。水溶性の栄養素、コリン、パントテン酸、VC、マグネシウムなどを流出させてしまうからです。
 病院などで薬を沢山出された時、これは全部飲むべきか否か迷う気持になりますね。また、その上、微量栄養素のサプリメントなどと聞くと、副作用は大丈夫なんだろうかと不安になることがあると思います。
 サプリメントは余程の場合でないと副作用ということはありません。むしろ薬の副作用が心配です。これも微量栄養素が足りているときと不足しているときの薬の効き方は全然違う筈ですし、副作用の出方も違ってくる筈です。栄養失調のほうが薬の効きも悪いし、副作用も出やすいのです。そういう意味では止むなく薬に頼る時こそ総合的なサプリメントを是非積極的に摂りたいものです。

Bスポット療法

 さて、さきほど風邪をひいて咽喉部が連鎖球菌の感染を受け炎症をおこしたような後に腎炎がおきやすいということを述べましたが、ここで思いだすのが、かつて本誌のインタビューで取り上げた医科歯科大名誉教授の堀口申作先生の「Bスポット療法」です。
 殆どの人は鼻の奥の院、鼻咽腔に炎症をもっており、これが全身の免疫力を落としているので、塩化亜鉛を塗布するなどして、ここの炎症を解消することができるならば、その人の免疫力は賦活されいかなる病気も回復させることができるという療法です。自然食ニュースは、この療法を支持させていただいています。
 たまたま咽喉部が連鎖球菌の感染を受け炎症をおこしたような後に腎炎がおきやすいという相関性があるということなのでなおさらです。
 腎臓のトラブルのある方はカッパサイエンス(光文社)「Bスポット療法の発見」をお読みになられてはいかがでしょうか。この本はすでに絶版になっているため、新本屋では手にはいりませんが、図書館などで読めると思います。また、堀口申作先生はご高齢にもかかわらず横浜洋光台でお元気に施療をしておられます。