ミネラル各論・(水銀Hg、鉛Pb、カドミウムCb、砒素As、 アルミニウムAl、ニッケルNi、ベリリウムBe) ガン・ 水銀
無機水銀も体にとりこまれると有機水銀になります。
歯科の治療でアマルガムをつめた人は、その中の水銀が徐々に溶け出し有機化して吸収されていることが多いので要注意です。
水銀は、脳神経と親和性が強く、ごく少量でも、ゆううつ、いらいら、集中力欠如、記憶障害のもとになります。
魚介類やマグロなどにも水銀は意外と多いので、毛髪分析で水銀が一定以上見つかった人は、ご注意ください。
亜鉛、セレニウムを多目にとると、水銀の毒はある程度抑えられ、デクアシンというサプリメントを摂ると、尿から出ていってくれます。
運動やサウナ(遠赤外線のサウナが特にいい)などで汗をかくと、その汗から水銀がでていってくれます。
毛髪も水銀排泄の道ということになります。
鉛
古代のミイラの毛の鉛と現代人の毛の鉛を比べると、現代人は数千倍も沢山の鉛をもっていることがわかります。
鉛が脳神経に多くなってくると、子供も大人も集中力・落ちつきがなくなる、学習意欲減退、うつ状になる、発作的に暴力をふるう、といった様子を示します。
クリスマスカードのような特殊な印刷物には、鉛をつかうことがあるので、幼児などがなめないように注意して下さい。
かんづめのハンダ部分から鉛がとけだすことも多く、また白髪染めの薬にも鉛をつかっていることがあります。
肌からしみて侵入してくることがありますので要注意です。
水銀同様、デクアシンと発汗促進、養毛促進が有効な対策となります。
カドミウム
体内では肺と腎臓に悪い影響を与えます。
紙まきタバコから入ってくることがあるので要注意です。
古い缶づめからも入ってくることがあります。
神通川流域のイタイイタイ病はカドミウムが原因でした。
毛髪分析で、一定以上みつかった場合は、亜鉛サプリメントの投与、デクアシンの摂取、発汗促進、養毛促進が有効な対策となります。
砒素
ナポレオンの遺髪から大量の砒素がみつかって、毒殺が疑われたように、昔は毒殺用の薬として有名でした。
今では、ごくごく微量な砒素は、かえって有効とみなされていますが、森永砒素ミルク赤ちゃん事故死事件でわかるように、やはり有毒ミネラルなのです。
発癌性もあります。
一定量以上あると、神経炎のもとになります。
対策は、セレニウム摂取、デクアシン摂取、発汗促進、養毛促進ということになります。
アルミニウム
アルミニウムが脳神経にたまると、アルツハイマ
ー型のボケとよく似た症状を示すようになります。
また、副甲状腺や腎臓にもたまりやすく、副甲状腺にたまると血中にそのホルモンが出て、骨から血中にカルシウムを溶け出させるので、一方では骨粗鬆症、他方では動脈硬化症(動脈血管壁にカルシウムが沈着する)を招きます。
公害の影響で酸性雨が降るようになって、土中のアルミニウムが溶けて作物に入りやすくなっています。
また、お茶や水道水にもアルミは結構入っています。
水道水中のアルミニウムは特に吸収しやすいので、蛇口には活性炭の浄水器などを取り付けることが大事です。
ベーキングパウダー、ケーキミックスなどにもアルミの化合物が入っていることが多く、食品色素、胃薬、ナス漬物の保色剤などのほか、調理器具からも溶け出してきます。
酸性のものには溶けやすいので、注意が必要です。
毛髪分析で一定量以上みつかったら、デクアシンを摂取して小便からの排出させましょう。
セレニウム摂取、発汗促進、養毛促進も有効です。
ニッケル
核酸の代謝に微量のニッケルは必要ですが、量が多くなってくると毒性を発揮し、各種のアレルギー症状を示します。
装身具(特にピアスの被害が多い)に酸性の汗がふれ、そのニッケルを溶かして皮膚から吸収されることも多いので、メッキものは特に要注意です。
金属製ネックレス、イヤリングは純金のものをどうぞ。
ベリリウム
核物質を扱う産業で働く人に多くなります。
肺ガンのもとになるといわれますが日本では今のところ気にする必要はないようです。
第6章 ガン
不気味に増えるガン
ガンは全体として、相当ないきおいで増えている命とりの病気です。
特に肺ガン、大腸ガンが増えると予想されていますから、お互いガンでは死なないよう気をつけたいものです。
肺ガンがふえているというのは、やはり大気汚染がガンと相関関係にあるということであり、車や工場などからの排気ガス、タバコ、そして車のブレーキをかけるたびに空中にまきちらされる石綿の繊維なども、肺ガンのもとになるということがハッキリしています。
こういうものが肺から入ってきますと、たとえば石綿の繊維などがつきささったようになりますと、体の防衛軍の白血球が盛んに攻撃をしかけるわけです。細菌や何かと同じように、包み込んで活性酸素を放出してやっつけようとするわけですが、石綿にはさっぱり通じない。
しかし、周辺の自分の細胞膜は、その活性酸素のために過酸化脂質化してしまい、その遺伝子もそれを包んでいる核膜の過酸化脂質化などによって破壊され、変質させられ、ガン細胞の遺伝子になってしまう。
そしてガン細胞特有の三つの性質をもった細胞と化して、それまでとはガラッとかわった生存のしかたをはじめるようになるのです。
大腸ガンでも結局似たような経緯で、それまでは正常だった自分の細胞が、自分の細胞をやっつけて増えていく細胞に変質してしまうわけです。
欧米風の食事の特長である動物性脂肪の過多、繊維分の過少が大腸ガンの原因といわれますが、これは動物性の脂肪が腸内で消化される過程で、発ガン物質に変化し、それが大腸の細胞の遺伝子をガンの遺伝子にかえてしまうということです。
食物繊維が充分にあれば、動物性脂肪やその分解産物である発ガン物質を、そのネットの中に包み込んで、大腸の細胞と接触しないようにすることができるわけです。
また、便秘にならないので、その接触の危険性は一段と減ります。
かたや石綿、かたや動物性脂肪の分解産物と違っても、発ガン物質といわれるものの共通点は、白血球に活性酸素を多量に放出させ、細胞膜や核膜を破り、そのスキに遺伝子に突然変異をおこさせるというところにあります。
発ガンは二段階を経ることが観測されていますが、イニシエーションといわれる第一段階では、この遺伝子のDNAに突然変異がおき、それが固定化されるという現象がみられます。
この段階では生体側の修復作業が成果をあげることも期待できますし、また、他の細胞同様、その細胞自体の寿命というものもありますから、その全部が第二段階にすすむとは限りません。
むしろガン細胞となりながら、人知れず死滅していく、あるいは正常化するケースが意外と多いといわれます。
そういう意味では、私たちの体には六十兆もの細胞があるので、これだけ発ガン物質が増えている現在、そのいくつかは常時ガン細胞化していると考えた方が現実的なのかも知れません。
これを第二段階にすすませないようにするよう気を配ることも大事なガン対策ということになります。
発ガンの第二段階
第二段階はプログレッションとよばれます。
細胞膜はおおむねリン脂質(不飽和脂肪酸)でおおわれていますが、その中にところどころコレステロールや糖蛋白とよばれる羽毛状のものがうめこまれています。
この羽毛状のものが隣の細胞を感知して、隣に自分と同じような細胞があると、それ以上には増殖しないようになっているわけです。
ところが第一段階で遺伝子に突然変異をきたした細胞が生きのびると、次にこの糖蛋白の羽毛状アンテナに突然変異の影響が及び、隣に細胞があろうとなかろうと、一切おかまいなく増殖するようになります。
これがガン細胞の三つの特長の一つである無制限発育性ということなのです。これがはじまると発ガンは第二段階にいたったと判断されます。
三つの特長のあと二つは侵襲性と転移性です。
侵襲性というのは、普通の細胞ですと、胃袋の細胞が分裂して増殖していくときには、あくまで胃袋という器官のワク内で増殖するだけであって、となりに腸や肝臓があれば、そっちまでとび出してはいかないんですが、ガンになりますと、そういう秩序は無関係です。
隣の器官が外胚葉由来であろうが、中胚葉由来であろうが、内胚葉由来であろうが関係ありません。
遠慮というものを知らないのがガン細胞です。
もう一つは転移性ということです。
血液やリンパ液の流れに身をまかせ、全身に転移し、とどまった先でどんどん増えていきます。肺に転移すると呼吸ができず、死に至ります。転移の一番怖い点です。
ガン細胞内のエネルギー発生器官であるミトコンドリアは過熱気味に活性化しています。
ここでは電子のやりとりで、酸化熱を出しているのですが、ここが活性化しているということは並の細胞より養分をどんどん消耗しているということであり、また、活性酸素も多量に発生しているということも意味しています。
そして、ガン細胞の内部にはナトリウムが多いというのも、その特長の一つです。