ミネラル総論・ミネラル各論a(ナトリウムNa、カリウムK カルシウムCa)

ミネラル総論

必須ミネラル

 ミネラルと人間の健康の関係についての研究は、生科学の最先端で日進月歩的に進歩中です。
 人間が生きていくのに、もしそのミネラルがないと、肉眼や顕微鏡でみるとわかる形の異常(形態的異常)をおこしてしまうミネラルを必須ミネラルと呼びます。今のところ以下の8つが必須ミネラルとみなされています。
 亜鉛、銅、クロム、ヨウ素、コバルト、セレン、マンガン、モリブデン
 動物実験だと簡単にわかることでも、人間になると人権問題がからむので究極の実験ができないことが多く仲々わからない面があるので、時代とともにこの認識がかわる可能性はあります。

有毒ミネラル

 ミネラルの中には、私たちの体に有毒なものもあります。
 よく知られているものは、水銀、カドミウム、鉛、ヒ素、アルミニウムです。これらは主として脳・神経系に有害なのです。
 この他、ニッケル、ベリリウムも有害ミネラルに分類されます。
 少なすぎては生きていけない必須ミネラルでもそのほとんどが一定量以上、つまり過剰に体内にあると有害です。
 有益か有害かはある意味では程度問題です。
 毛髪分析は公害時代に生き抜かなくてはならない私たちの体内がこの有害ミネラルでどの程度汚染されているかをみつけ、対策をたてるよすがとなってくれます。
 ネコも狂死した水俣病(水銀汚染)とかイタイイタイ病(カドミウム汚染)はふだんから毛髪分析を受けていれば、ひどくなる前に充分警戒し予防できた筈です。
 日本のどこか遠くでおきた病気で、自分は関係ないとは思えない状況に、あなたがすでにおかれているということに気づいてください。
 うすめられた公害物質もプランクトンが食べ、それを、より大型の魚が次々と食べるという食物連鎖の中で、人間が食べるときにはかなり濃度が濃くなっているということがあるのです。
 天に唾をすることはこのことです。
 日本は世界で名だたる公害列島です。
 車は鉛をはき出して走りまわり、タバコの煙にはカドミウムが含まれています。
 アルミの調理器具を使い、井戸水や水道の水を分析してみると発ガン物質が検出される世の中です。
 便利生活を保障してくれる科学技術の進歩には有毒物質の汚染という大きなおとし穴がしかけられています。
 現代を健康面でつまづかないでわたっていこうというあなたには転ばぬ先の杖が必要です。
 毛髪分析と生体ミネラルの知識こそ、その杖になってくれる頼もしい味方です。
 現代人の健康をおびやかす二大問題は、微量な有毒ミネラルによる慢性中毒と、体内での脂質の過酸化の進行だと私達は考えています。
 この二つは体内では相互関係にあります。
 というのは、体内で脂質の過酸化の進行を食止めてくれる酵素はいずれも亜鉛、銅、マンガン、セレニウム、鉄というミネラルを活性化の源とする酵素であり、有害ミネラルは、そのミネラルと酵素の結合を壊し、これらのミネラルをその重力でぶっとばしたあとに入りこんで酵素本来の活動ができなくしてしまうという関係にあるからです。
 そういう意味では、これらの必須ミネラルを多めに摂っていくことが有害ミネラルの影響を最少限度に食止めることにつながり、有害ミネラルを多くとると、必須ミネラルの働く効率がその分悪くなってしまうという関係になります。

ミネラル各論
ナトリウム Na

 血液や細胞外液に多く溶けており、細胞の新陳代謝を活発にするとともに、体内の水分の調節をしています。
 筋肉の細胞が神経の刺激で働く時(何らかの運動をする時)は、瞬間的にナトリウムイオンが細胞の中に入ってきて、その分カリウムが細胞の外に出ます。
 普通はナトリウムポンプのシステムが働いて、ただちにナトリウムを細胞の外に汲み出すのですが、それが何らかの事情でうまくいかないと、細胞内にナトリウムが増えたままになってしまい、それは浸透圧の関係で水分を細胞内に呼び込むので、細胞の中に水分が多くなってしまいます。
 これがむくみの典型的なパターンです。
 一日立ちっぱなしの仕事をしている人は、夕方になると足が太くなっています。
 これも、生理的に見ると、このむくみ(水ぶくれ)です。
 もし、それが血管の細胞ですと、血管が水膨れで厚くなるので、血管の内腔を狭くしてしまい、高血圧のもとになります。
 このナトリウムポンプが正常に働くには、細胞内にマグネシウムが充分にあることが必要です。
 また、ナトリウムは、カリウムと対抗的かつ相補的に働いて、神経刺激の伝達をする場面でなくてはならないミネラルです。
 カリウムが神経や筋肉の興奮をさせる働きをしますが、ナトリウムはこの興奮をととのえる働きをします。
 ナトリウムは食塩から十分に摂れるので、通常は不足するということはありません。
 代謝の調節は副腎皮質ホルモンがしています。
 排泄は90%が尿からで残りは汗から出ます。
 のぞましい摂取量は1日10グラム以下といわれますが、日本人は実際には平均値で12グラム程度摂っているのです。
 食品にもともと入っている量は3グラム。
 加工業者が加える分が3グラム。
 残り6グラムは消費者が塩としてふりかけています。
 つけものは特に塩からいので要注意です。
 化学調味料や甘い清涼飲料水などからもナトリウムは入ってきます。
 高ナトリウムは胃ガンを誘発することもわかっていますから塩からいものは思い切ってカットした方がいいということです。
 どんなにカットしたつもりでも必要量程度は摂取しているのです。

カリウム K

 カリウムは、細胞内液に多く含まれており、ナトリウムと対抗しつつ相補的に働いて筋肉や神経の働きを正常に保つのに必要なミネラルです。
 不足すると筋肉の収縮・弛緩がうまくいかなくなり、脱力感が生まれます。
 心臓の筋肉中に不足してくると、心臓発作のもとになります。
 消化器に不足をすると、腸管の運動麻痺から便秘のもとになります。
(長期不足は下痢をおこし、ますますカリウム不足を招き悪循環になります)。
 こうなると月経困難、頭痛、視力障害、貧血のもとになります。
 血清中にカリウムが多くなりすぎると尿毒症をおこし、最後は心停止を招きます。
 カリウムは、糖代謝(インシュリンの合成に不可欠)と蛋白代謝(蛋白合成に必要)になくてはならない大事なミネラルです。
 緑黄野菜や果物に多く含まれています。
 緑黄野菜はカリウムだけでなく他のミネラルやビタミンも多く含んでいます。
 野菜を一定量以上採るろうと思ったらサラダだけでは無理です。煮たりいためたりすると相当量食べられる筈です。

カルシウム Ca

 細胞外液に多いミネラルです。
 歯や骨をつくるミネラルとしてよく知られていますが、摂取量は不足がちです。
 神経の伝達や筋肉の収縮、ホルモンの分泌にも、マグネシウムと対抗的かつ相補的に働きながら大事な役割を果たしています。
 私たちの体は60兆個もの細胞でなりたっていますが、これだけ多くの細胞を生体の一部として、統一的機能を保ちつつ働かせるためには、強力な神経が必要です。
 カルシウムはその神経の働きになくてはならないミネラルです。
 日本は火山灰で大地をおおわれているため、普通の食事では不足しがちです。大地にカルシウムがたっぷりのイギリス人に比べて、日本人が短気でイライラしやすいのは、カルシウムの摂取量が英国人は多く、日本人は少ないためといわれます。
 食品中のカルシウムはリンと結合していることが多いので、腸からの吸収率がよくありません。
 せっかくとっても吸収されないのでは何もなりません。
 加工食品や自動販売機で買うジュースなどの中には、リンが多いので注意が必要です。サプリメント(栄養補助食品)や電解イオン水で毎日の補給をした方がいいミネラルの一つです。
 血中のカルシウムが不足してくると、血液が酸性に傾こうとします。
 そうなると副甲状腺のホルモンが自動的に血液中に流れ出し、その働きで骨からカルシウムが血液中に溶け出して、血中のカルシウム不足を補い、酸アルカリのバランスをとろうとします。
 この時、どうしてもカルシウムが多目に溶け出してしまうので、余分なカルシウムが動脈硬化部にたまって動脈硬化をひどくしたり、結石のもとになったり、毛髪中に多量に出たりします。
 逆に、カルシウムを特に沢山摂っているわけではないのに、毛髪分析で多く出ると(マグネシウムも多くでる)骨からカルシウムが溶け出していることが推定できます。
 こういう時は他の主要なミネラルが少なくてもカルシウムとマグネシウムは多く出てきます。
 カルシウムの吸収にはビタミンDが必要です。
 ビタミンDが活性化するためには日光浴が必要です。
 吸収を妨害する要素としては、植物繊維に多いフィチン酸、しゅう酸、亜鉛の大量投与、脂肪のとりすぎなどがあります。

☆高カルシウム

 カルシウムの大量投与をつづけていると、毛髪分析のグラフのカルシウムの量はふえてきます。
 カルシウム欠乏がつづくと、骨からカルシウムが溶け出して、血中カルシウム濃度が高くなり、毛髪分析の結果もふえます。
 この時、副甲状腺(上皮小体)ホルモンが仲介役をするので、副甲状腺自体が病気になっても、このホルモンが血中に溶け出し、骨からカルシウムが血中に溶け出すこともあります。
 アルミニウムの摂取量が多くなっても副甲状腺を刺激して同じようなことがおこります。
 また、体の中にガンがあって骨に転移すると、カルシウム値が多くなることもあります。
 毛髪分析の結果、カルシウムが多く検出された時は、カルシウムとマグネシウムのサプリメントをつづけて摂ってみます。
 一ヶ月ほどして、その間伸びた分だけ再度毛髪分析をしてみると、たいてい正常化しています。
 この時は、単にカルシウムの摂取量が少なすぎたため、骨からカルシウムが溶け出していたためとわかります。
(つづく)