微量栄養素と健康

自然食ニュースが提唱する『日本人の食事指針』について

バイオミネラル研究所所長 仙石紘二

(9) 以上は、健康な生活の実現に必要ではあるが、微量ながら有毒金属で慢性的に中毒させられる
公害社会で、高ストレスにさらされ、何かと活性酸素の毒性に痛めつけられている現代では、これらさ
え守れば充分だとはいいきれない。ミネラル・ビタミン等の微量栄養素、アミノ酸等の不足分は適切な
サプリメントで補うことが望ましい。ミネラルバランスをチェックし、調整していくために、最低年1
回、誕生日に毛髪分析を。(その一)

グルメは短命

 今まで食事指針を、食事は楽しく良く噛んで、栄養確保で少食に!のキャッチフレーズから始まって(1)から(8)まで詳しく解説してきたわけですが、如何でしたでしょうか。
 健康なうちは、美味しくて、珍しい物が食べられて、食べる楽しみが満足させられればいいやと思っていても、よほど生れつき丈夫でないと、グルメ派は大概大きな病気をして、短命で終わってしまうのがオチです。
 もっともこれも考えようで、太く(?)短く生きるんだという方は、止めようがないですし、地球の人口は多すぎるので、早くこの世におさらばして下さっても異議は申立てません。
 ただ、実際には、いざ健康を害してみると、なにはともあれ健康回復を願うのが普通ですし、命にかかわる病気になってからあわてても遅いのです。
 病気になる時は、急になったように思えても、実ははるか前から体内では徐々に進行していたというケースが殆どです。

免疫システムは しっかりと

 私たちの生命を維持する仕組みの一つに免疫システムがあります。
 体内に侵入した異物を排除したり、ウイルスなど体内で繁殖するものは殺したりして、私たちも気がつかないうちに私たちの命を守ってくれています。
 この免疫システムが順調に働いている限り、感染症で命を落とす危険は少なくてすみます。
 食べ物の選択を誤ってアレルギーをおこすような食生活を続けていると、私たちの免疫システムはダメージをうけてしまいます。
 アレルギーと自覚しないような程度の抗原抗体反応でも、免疫システムにはそれなりのダメージを与えてしまいますから、油断は大敵です。
 特に牛乳と卵には注意をしてください。
 アレルギーをおこしにくい人は、抗体の産生を抑止するように遺伝的にセットされている人です。
 アレルギーを起こさないからといって油断していると、いつの日か抑止の限界を越え、一気に免疫システムを壊してしまう危険もあるのです。
 アレルギー体質の人は、何でアレルギーをおこすのか、良く調べておくことが大事です。
 こういう体質の人がアレルギーを起こすものを食べると、大抵皮膚がカサカサしたり、荒れたり、吹きで物がでたりしますから良く観察していればたいていわかります。
 殆どは牛乳、卵、大豆、肉などの高蛋白食品でアレルギーをおこますが、なかにはお米でアレルギーをおこす人もいます。
 こういう人はいくら玄米がいいからといっても玄米ご飯を食べることはしないほうがいいのです。無理をして食べていると免疫のシステムがダメージをうけ、それまで何でもなかった食品にまでアレルギーをおこすようになります。
 日本は昔から豊葦原瑞穂の国として米を主食としてきた国ですが、現実にはお米のご飯でアレルギーをおこす人は少数ながらいます。
 小麦でアレルギーをおこす人は米のアレルギーの人より沢山います。パンやクッキーなどを食べると調子の良くない人は小麦アレルギーを疑ってみる必要があります。

自然食とは

 自然食というのは、単に化学的な食品添加物などが入っていない自然の食品だけを指していう言葉ではありません。自然の掟に従った食生活、体内の自然生命力を旺盛にしてくれる食品を意味しています。
 その人にアレルギーをおこす食品は自然食とは言いかねるわけです。
 ところで、免疫システムがうまく働かず、なんらかの感染症になったとしても、今は抗生物質があり、大概のものはこれで抑えられる時代になりました。
 そのためか、人々は病気になったら医者に治してもらうからいいやとばかり、栄養の摂り方に気をつけるということをあまりしなくなってしまったようです。
 そのせいもあって、今は食生活の誤りが主たる原因でなる病気が主流に成った観があります。
 俗に成人病といわれるものは全部そうです。
 死亡原因一位のガンも誤った食生活と関係が深いのは勿論、二位と三位はそれぞれ心臓病、脳卒中ですが、これを血栓病と一括すると死亡原因の第一位になります。
 これは勿論自然の掟に従った食生活をしていれば予防できる病気であることはいうまでもありません。
 ここに解説してきた日本人の食事指針を生活に生かしてくださるなら、多くの病気になることを未然に防ぐことに大いに役立つことは確かです。
 さて、しかし、それではこれだけ守っていれば充分かというと、そうだとは言い切れないのが現代の厳しいところです。
 数学的にいうと、健康生活実現のためには、これらを守っていただくことが必要条件ではありますけれど、充分条件は満たしていないのです。
 水銀、鉛、カドミウム、ヒ素、アルミニウムなどの有毒金属は、ミイラが残っている昔と比べると、驚異的に生活環境の中で増えています。
 水銀などは、もっと増えると一億総水俣病のような事態を引起こしかねません。
 今は、そこまでは増えていないが、無視できるほど少なくはない、その量に応じて何らかの異常がおきていることは想像できるが、まだ、特定できるほどではないというところでしょう。
 有毒金属は脳神経を侵すことが多く、人類の多くがすでに、その脳を侵されているわけです。
 しかし、まだ、どの程度の障害かはわからないわけです。
 当然自律神経も侵入された分だけはおかしくなっているはずです。
 健康障害もそれなりに起きている筈です。
 有毒金属による微量慢性中毒は、まだ研究が進んでいませんが、人類に深刻に進行していることは確かです。