微量栄養素と健康自然食ニュースが提唱する

『日本人の食事指針』について
―食用油は新鮮な純胡麻油を。古い食用油は過酸化脂質の もと。
αオレイン酸系の脂肪もサプリメントで。―

バイオミネラル研究所所長 仙石紘二

油断大敵

 脂肪の摂り方が健康に大きな影響を持っていることは、皆さん既にご存じのことと思います。
 アメリカでも上院のマクガバン委員会でまとめたダイエットゴール(食生活改善目標)で、アメリカ人はもっと脂肪摂取量を減らさなくてはいけないとしています。
 脂肪、蛋白質、糖質のバランスの良い摂り方のモデルは日本食だと彼等は言っています。実際、アメリカ人は肉をよく食べます。安いし、おいしいし、食べごたえはあるし、栄養を充分摂った気にさせる要素が確かにあります。脂肪がおいしさの決め手でもありますから、脂肪をジュージューいわせて食べるわけです。
 動物性蛋白質を大いに摂ろうとすれば、動物性脂肪の摂取量も増えるのは必然です。その結果、コレステロールはたまり、血圧が高くなって、いろいろな成人病が増えたほか、ガン、アレルギー、その他容易に治らない病気が増える一方となりました。

アメリカで日本食志向 がはじまった

 この傾向は戦後日本に進駐してきたアメリカ人の体格に圧倒され、懸命になってアメリカ人の食生活を真似てきた日本人にも出てきました。
 アメリカ型のライフスタイルにあこがれる気分は、日本独自の文化、文明を軽く見る気持の延長線上に生まれているケースが多いせいか、日本食志向に傾きかけているアメリカの傾向には鈍感です。
 肉食の味になれてしまった人は、肉がなくなると、食事をした気になりません。特に肉はよくないとの自覚が持てない限り、和食を食べ出すということにはなりにくいのです。
 しかし、食生活の欧米化は病気の欧米化という結果を招来するという冷厳な事実は何人も否定できません。
 本家のアメリカでは既に肉食にブレーキがかかっています。
 日本でも、成人病の増加、若年化は食生活の欧米化と関連性が大きいということがわかってくるにつれ、放っておくわけにもいかず、動物性蛋白質は大事だが、動物性脂肪はできるだけ減らしましょうなどと、ベニスの商人のシャイロックまがいのことが言われてきました。
 そして、バターはやめてマーガリンにというように、脂肪はなるべく植物性のもので摂りましょう、動物性脂肪の摂りすぎは良くありません、植物性脂肪もバランス良く、というキャンペーンがはられてきました。
 このことはある程度常識化する程度までになり、かなり成果はあがったのですが、成人病は一向に減りません。
 相変らず、増加、若年化の様相を見せています。
 やはり、一方で動物性蛋白質に高い評価を与えているので、動物性脂肪の摂り方が一定程度以上は低くならないということもあります。
 そして、近頃では、悪いのは動物性脂肪だけではない、植物性の脂肪も過酸化脂質のもとになり易いので良くないといわれるようになってきました。

植物性脂肪の かかえる問題

 ガンをはじめ成人病は、体内で細胞膜の不飽和脂肪酸が活性酸素と反応して過酸化脂質化することが引き金をひいていることがわかってきたのです。
 活性酸素と脂質の反応がかなりの病気に関連していることはもはや否定できないようです。
 不飽和脂肪酸は細胞膜を始めとする、全身にある生体膜の大部分を構成している要素です。
 この生体膜は最大器官の肝臓の重量以上もあります。
 動物性脂肪は飽和脂肪酸ですから過酸化脂質にはなりません。
 リノール酸に富む植物性脂肪に不飽和脂肪酸が多いのです。
 この点からみると植物性脂肪の摂りすぎも確かにトラブルのもとのようです。
 一体どうしたらよいのでしょうか。
 結論からいいますと、脂肪は二つに分類して論じるのは無理があります。
 飽和脂肪酸(と、一価不飽和脂肪酸)、多価不飽和脂肪酸、αリノレイン酸系脂肪酸(魚油に多い)の三つに分けて考察すべきなのです。
 そして前二者はなるべく控え目に、不足しがちなαリノレイン酸系脂肪酸は酸化しやすいので、サプリメントで毎日補給というのが良いのです。
 自然食ニュースはもともと動物性食品はできるだけ摂らない方が良いという考えですから、動物性脂肪も摂りようがないのです。
 脂肪にも必須栄養素のものがありますが、動物性脂肪を摂らなくては摂れない必須脂肪酸というのはありません。蛋白質も同様です。
 だから栄養学的に見ても、動物性食品は摂らなくては栄養失調になるということはありません。
 植物性脂肪は確かに酸化の問題がありますから、私たちはその心配のない新鮮な純胡麻油を使いましょうと言ってきたわけです。
 植物性の油で何等かの酸化防止剤を入れなくても酸化の心配をしなくていいのは実は胡麻油だけです。
 なたね油にしろ、大豆油にしろ、べにばな油にしろ、光や空気にさらしておくと、じきに自動酸化がはじまります。
 過酸化脂質化していくわけです。
 市販の油は各種の酸化防止剤を入れて酸化を防いでいます。自然食の油も、胡麻油以外にはビタミンEを酸化防止剤としていれているものが殆どです。
 自然食です、純粋です、と言いたいのでしょうが、そうすると胡麻油以外の油は酸化が進行してしまうので健康に良くない油に変質してしまうからです。
 また、いくら新鮮でも体内で、過酸化し、過酸化脂質のもとになるおそれを指摘されても反論できません。しかし、胡麻の油だけは安心していられます。
唯一安心できる
植物油、胡麻油
 昔から高価なのに胡麻の油に人気が集まり、他の油を淘汰してきたのはあながち美味しいからだけではなかったのです。
 胡麻の油といえば、信長、秀吉、家康が活躍した戦国時代、美濃の国を乗っ取った斎藤道三を思い出しますね。胡麻の油を売りながら、やがて実力で美濃一国の主となりました。あの時代は酸化防止剤のありよう筈がありません。なたねの油など、酸化が早く、すぐ商品価値が下がります。酸化臭はプンと臭うので売れないのです。道三はなたねの油に胡麻の油を少々まぜ、その酸化を防いでよろこばれ、信用と財の基礎を作ったといわれています。どんな安い油でも胡麻の油をちょっと混ぜると酸化しにくい高級油になるところから「胡麻化す」という言葉ができてきたと
「うことです。
 胡麻の油にまつわる面白い話は西洋にもあります。アリババと四十七人の盗賊では「開けゴマ」というのが宝の山への隠し扉を開くキーワードでした。やがて帰ってきた盗賊を殲滅に追込んだのも熱した胡麻油でした。開けゴマ!は英語ではオープンセサミです。
 セサミというのが胡麻です。胡麻には胡麻だけにしか入っていないセサモールという成分があります。このセサミの派生語です。胡麻油にはビタミンEも豊富なのですが、セサモールこそ胡麻油を価値あらしめてきた主役です。これが脂肪の酸化を防いでくれるのです。(つづく)