微量栄養素と健康

自然食ニュースが提唱する 『日本人の食事指針』について
―肉・牛乳・卵などは、アレルギーのもと―

バイオミネラル研究所所長 仙石紘二

腹六分目の効用

 前号で高峰三枝子さんと美空ひばりさんの栄養失調と関係があると思われる死亡について述べましたが、少食は良いことだが、必要な栄養(必須栄養素)は確保することが大事だということが話の眼目でした。
 少食を保ちつつ必須微量栄養素を何一つ欠けることなく摂るためには、サプリメントを積極的に活用することが決め手となります。高峰・美空ショックで、玄米・少食で栄養失調にならぬようにというので、ついつい元の大食に戻るなどということのないようお気をつけください。
 これに関連して最近、東邦大学の後藤佐多良教授らが、腹六分目の効用を動物実験で確認したということですので、話のついでにご紹介しておきましょう。
 実は、乳離れ直後からの食事制限は寿命を延すということはネズミの実験で半世紀も前からわかっていたのですが、このほど発表された実験結果の面白いところは、人間でいうと六十才に当たる生後二十三ヵ月のハツカネズミを使ったところにあります。いつも充分にエサを与え続けて二十三ヵ月になったハツカネズミに対し、エサの量を満腹になる量の六割に制限したところ、七十日後には、老化の原因の一つと考えられる構造に異常のある蛋白質の量が減少し、人間でいうと三十才に相当するネズミとほぼ同量になったというのです。つまり、この面で若返りが見られたということ
ナす。若返りといっても本来の年齢より若くなるわけではなく、過食がもたらした早老が正常化したというこです。
 つまり中年以降からでも食事を控え目にすれば老化を遅らせ、本来の年相応の若さまでもどる効果がある筈だというのです。
 よく、年をとっても若い人がいますが、その人が当たり前で、圧倒的多数の後の人が早老化しているのかも知れません。
 玄米おにぎり二つにセンナ茶では、必須栄養素の確保はおぼつきません。少食を礼賛するあまり、極端な栄養失調になって、かえって早老化してしまい、気がついてみたら三途の川を渡っていたということのないように、この世でまだまだ成さねばならぬことが多いと思っている方は特にご用心ください。一般的には早老は早死を招きます。落命してからでは遅すぎるのです。

自覚のない アレルギーの恐さ

 さて、話を本題にもどしまして、「無自覚のアレルギーも、免疫系に打撃をあたえる」とあるところについてご一緒に考えてみたいと思います。
 肉、牛乳、卵などを食べても、なんらアレルギー症状が表れない人が結構います。また、体のなんらかの不調として表れてはいるが、それが食物によるアレルギーだとは気が付かない、関連性について意識の上で結びつかない人というのが結構います。
 サバを食べておこるジンマシン、これもアレルギーのひとつですが、多くの場合、食後ほどなく症状が表れるので、ああ、これはさっき食べたサバのせいだなとわかります。これを即時型と呼びます。
 これに対し、アレルギー症状が二日も三日もたって表れるものがあります。遅延型といいます。そしてその中間型もあるわけです。これは因果関係がわかりにくいのです。しかし、よくよく観察していれば自ずと心当りは浮び上がります。なんらアレルギー症状がでないのに比べると対処の仕方があるだけマシともいえます。
 というのも、症状の自覚がないケースでも、抗体の検査をしてみると、しっかりと抗体ができているケースがかなりあるのです。ただ、その抗体量が少ないため抗原抗体反応がおきないか、おきてもヒスタミン様物質の出方が少なくて反応が自覚できるほどには至らないというわけです。
 しかし、この自覚症状のないアレルギーも、水面下では我々の免疫システムにしっかりとダメージを与えているので、その原因となる食物を平気で食べ続ける行為は、いつ免疫システムが狂ってしまうかわからないまま、時限爆弾を抱え込んでいるようなものです。
 アレルギーは関係する抗体(免疫グロブリン)の性質によって食物性アレルギーとか、自己免疫疾患型とかいくつかの種類があるのですが、無自覚型の食物アレルギーを繰り返していると、免疫システムは受けた打撃のため、いつしか自己免疫疾患型アレルギーに転化することがあるのです。これが恐いのです。

リューマチも ガンも……

 リューマチとあるのは、リューマチがこの自己免疫疾患を代表する病気だからです。免疫機能が異常をきたした結果、強力な攻撃型白血球のT細胞が、本当は自分の体の一部なのに、自分の体ではないと誤認して攻撃してしまうタイプです。朝、起きた時に、指の関節部がこわばるなどというのは、この始りを意味することが多いのです。
 また、ガンとあるのは、ガンは自分の細胞から出発はしていますが、遺伝子が変更してしまったものですから、本質的にもはや自分の細胞ではないわけです。ですから本来は免疫機能の働きによって移植された臓器に対しおこす拒絶反応と同様な反応をおこしてT細胞がガンをボロボロにしてしまわなければならないのに、それがおきない。免疫の働きがボケてしまって、さっぱり攻撃しない。ついにガンが優勢になってしまい、宿主である人間を悪液質にしてしまって、死にいたらせる。
 これも免疫不全のなれの果てです。俗にアレルギー体質はガン体質といわれるのはこういうことなのです。
 ガンになって若死の悲哀の涙を流さないよう、はるか以前から食物性のアレルギーをおこさないよう、無自覚のアレルギーも恐いので、肉、牛乳、卵などはできるだけ敬遠したいものです。なんらかの事情で食べたときは、続けて食べないよう、少なくとも中三日はあけましょう。

同じものを 食べ続けない

 この項の解説の最後になりますが、玄米や麦、大豆の植物性蛋白質も人によってアレルギーのもとになることがあります。そういう人は稗とか粟とかを食べるしかないわけですが、これも続けて食べていると、アレルギー源になってしまうケースがあるのです。
 同じものは続けて食べない、中三日をあけるというやりかたで対処してほしいと思います。
 動物性蛋白質を摂らないと不安なら魚貝類でとありますが、魚貝類でアレルギーをおこす人がいることもお忘れなく。ただ、魚貝類は脂肪の性質が肉、牛乳、卵と違い、αオレイン酸系が多いので、その面でヒスタミン様物質の過剰生成がされにくく、アレルギーがでにくいということはあると思います。いずれにしろ、続けては食べないというのがアレルギーに対して有効な対策となるのです。