微量栄養素と健康

自然食ニュースが提唱する 『日本人の食事指針』について
―主食は未精白穀類(その二)―

バイオミネラル研究所所長 仙石紘二

日替りで麦や 雑穀を混ぜて

 さて、玄米は命を宿しているから微量栄養素が満遍なく含まれていると申上げましたが、全く問題がないわけではありません。それは、厳密に言えば玄米はコメの命を宿すのに必要なアミノ酸や酵素の働きに必要な補酵素たるビタミンやミネラル等の微量栄養素は何一つ欠けていないということであって、それを食べる人間にとって、その生活に必要な微量栄養素が全部揃っているというわけではないということです。
 例えば、ざっと考えただけでも、玄米御飯にはビタミンCはありませんし、玄米が酸性食品だということはカルシウムがそれを食べる人間の需要を満たすほど充分含んではいないということを意味しています。必須アミノ酸でも玄米はリジンやトリプトファンが制限因子になっています。
 これは玄米を人間の食料として見た場合、大変すぐれてはいるけれど、全ての栄養素が摂れる完全食品ではないということなのです。ですから、玄米だけを食べて少食に徹していたのではやはり、栄養が偏ってしまいます。それを避けるためには、玄米に麦やら、雑穀やら、豆類やらを炊き込むというのが良い方法なのです。例えば麦と大豆を炊き込むと必須アミノ酸やミネラルの致命的弱点はカバーされます。
 ビタミンCは新鮮な野菜や果物を副食にすれば補給できます。
 このような微量栄養素は玄米の胚芽の部分にかなり集中していますから、そこを取ってしまう白米は、玄米に比べると栄養素の量は相当少ないということになります。
 白米は玄米に比べると栄養価値はかなり低いのに、白米の方に圧倒的人気があるのは、やはり、その口当たりの良さ、美味しさ、見た目の良さ、贅沢気分が味わえる等の理由があるのでしょうが、中には白米の方が消化が良いから、玄米より良いのだという人もいます。確かに胃下垂に代表されるような内臓に力がない人にとっては玄米はうまく消化できないということもあります。しかし、白米を食べ続けたあげくの果ての内臓下垂ということを忘れてはなりません。その点は後から考えることにして、とりあえず消化が良いというのと、消化に良いということの違い
ノついて考えてみたいと思います。

消化が良い、と、 消化に良い

 玄米は圧力釜で上手に炊くと、もちもちした実においしいご飯になりますが、炊き方が下手だとボソボソしてまずいだけでなく、消化の点でも、難点が出てしまいます。人間は感情の動物であり、うまいと思う物には消化液の出方も良く、まずいと思うものには消化液も少量しか出ません。その上、消化しようにも人間の消化器では消化できない繊維分が多いので、玄米が白米に比べると吸収率が低いことはあきらかです。
 しかし、消化されない繊維分は消化器の働きを活発にするという、貴重な働きをしてくれることを見落してはなりません。食物繊維は胃や腸の壁を物理的に刺激して、蠕動運動を活発にさせ、消化器が元気に活動するようにしてくれます。食物が腸の中を移動していくのは、この腸の蠕動運動によるのですから、食物繊維が少ないと、この運動が不活発になって便秘になりがちということになります。食物繊維にもいろいろ種類があるのですが、穀物の糠の繊維は特に便秘を予防するパワーが強いのです。
 俗に消化が良いと言われるものは食物繊維が少ないのです。こういうものを食べれば食べるだけ蠕動は不活発になり、消化はスムーズにいかないということになります。つまり、消化が良いといわれるものは、消化の流れからみると良いとは言えないということですね。
 食物は便秘をしているうちに、水分がとられて固くなり、より排便しにくくなったり、動物性の食品などは腐敗が進行して、強い酸性の分解物や臭いガスを出すようになります。
 白米ご飯はこの便秘を招きやすいという致命的欠陥を持っています。白米と肉食の組合せは酸性腐敗便のもとです。
 脳卒中で倒れるとき、引金を引くのは、この酸性腐敗便から出た毒素が、腸から吸収され、血管を痙攣させるからだといいます。よく便秘は肌荒れの原因といわれますが、単なる美容上だけの問題では済まないのですね。だから白米肉食をしている家では、いちぢく潅腸は家庭常備薬の箱にいつも用意をしておいて、脳卒中で倒れた時はもちろん、なにか体に不調があるときはとにかく潅腸をしてみると良いのです。風邪やインフルエンザ、アレルギーなども例外ではありません。こんな病気が便秘と関係あるわけないよと、思わないことです。酸性腐敗便が引き金を引く自家中毒は
免疫力を低下させるのであらゆるトラブルのもとになるのです。