「鼻呼吸でよく噛み、よく眠り、冷中毒に打ち克ち、体を温める5つの健康法普及国民運動」
【1】鼻で呼吸しよう 【2】よく噛んで食べよう 【3】骨休め(睡眠) 【4】冷たいものは体に毒 【5】体を温めよう
日本免疫病治療研究会 会長「顔と口腔の医学」西原研究所 所長 西原克成先生
1.鼻で呼吸しよう――日本人は口呼吸が多い
西原 それでは第一番に呼吸についてお話しいたします。
今の医学は、体の使い方や呼吸の仕方を「きちっと正しい使い方をしなさい」というようなことが一切ないと思います。
動物は動くことを特徴としていますから、正しい動きをしないと我々は正しい生活を維持することができません。呼吸は、この動きの中で一番重要なもので、呼吸が5分間止まると命はダメになってしまいます。
その呼吸には「鼻呼吸」と「口呼吸」の2種類があります。そのうち口呼吸できるのは哺乳動物では人類だけですから、そのことをよく考えないといけません。人類はしゃべることによって構造欠陥ができ、口呼吸できるようになりました。しゃべりすぎたり、歌いすぎたり、口で息をするだけで、大変な病気が起きるということです。
なぜかといいますと、喉には扁桃リンパ輪という5種類の扁桃腺があり、それが口の中にいるいろいろな特殊なバイ菌、特にクラミジアとかマイコプラズマとか、リケッチアのようなものが簡単に扁桃リンパ輪から白血球の中に入り込み、いきなり内頸動脈に取り込まれて脳下垂体の方向に流れていくわけです。そうしますと、脳下垂体後葉には血液脳関門がないので、下下垂体動脈からバイ菌入りの白血球が下垂体後葉を介して脳の中に自在に入り込み、脳神経細胞(ニューロン)内にバイ菌を播種(ばらまく)します。こうして脳のニューロンが細胞
内感染症を起こします。上下垂体動脈から脳下垂体門脈の方に血液が、すなわち白血球がバイ菌を抱えたまま入って、これが脳下垂体の中のホルモンをバイ菌入りの顆粒球が運んでしまうのです。
寝ている時にいびきをかいて口で息をしているだけで、睡眠中に分泌される成長ホルモンはバイ菌入りの顆粒球によって内臓全部に運ばれます。膵臓に運ばれれば糖尿病に、腎臓に運ばれれば腎性高血圧、さらに進むと腎臓炎になってしまいます。
日本人は体型の割には糖尿病が世界1位、腎臓病も世界1位なのは、日本人には口呼吸が非常に多く、いびきをかいて寝ているだけでなってしまう病気ということで、こんなに代謝性の疾患が多いのです。
日本人に口呼吸が多いのは、
(1)まず、おしゃぶりを使わない
これは生まれた時から日本の子育てに欠陥があるからです。生まれたらすぐおしゃぶりを使わなければいけないのです。
哺乳動物の特徴であるお乳を吸うということは、お乳を吸いながら鼻で呼吸をするということでもありまして、これがおしゃぶりによって助長されると同時に、おしゃぶりを使っていると舌が動く、頬全体も動く。このことによって脳が極端に発達するのです。特に言語中枢が発達します。脳というのは筋肉のシステムですから、使えば使うほど発達するのです。
(2)そして、離乳食が早い(口呼吸・離乳食病になりやすい)
今、日本で行われている育児法は非常に離乳食の時期が早い。そうすると何が起こるかというと、離乳食を嫌がる。
お乳だけしか吸えないのが哺乳動物の赤ちゃんの特徴です。昔の日本の育児法ですと2歳過ぎまで母乳中心です。今も世界のスタンダードは母乳中心です。ところが今、日本では5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月と、非常に早い離乳食で、これを赤ちゃんはものすごく嫌がります。いや、いや、いやとやって最後はクッと丸呑みして離乳食から逃げる。
そうすると、あとはどうなるかといいますと吸啜(きゅうてつ)運動、すなわちお乳を吸うというのは舌を動かしながら頬と口全部をモグモグする運動ですが、これが全部すっ飛んでしまいます。このモグモグしながら鼻で息をするのが赤ちゃんです。お乳を吸いながら立体交差している喉のところで呼吸ができるんです。ところが早い離乳食ではそれが全部ダメになって、クッと丸呑みすると共に吸啜運動を殺してしまいます。
ですから、早い離乳食は本能を殺す育児法なんです。そうすると完璧な口呼吸と丸呑みで、噛むことができなくなってしまう。これが今の日本の育児法の最大の欠陥です。
そして、口呼吸をつくると同時に、離乳食病が起きます。離乳食で腸のバイ菌が驚くほど大人型の悪玉菌に変わってしまいます。
赤ちゃんの腸の中には、お産の時に母親からもらってくる4千種類の腸のバイ菌がしまい込まれています。赤ちゃんは、母親の膣を抜け出す時に母親のビフィズス菌を肺と腸いっぱいに飲み込んでくるわけです。そのあとに、特殊な大腸のバイ菌をもらってくるわけでありますが、ビフィズス菌がいっぱいだとそれがキューッと飲み込まれて盲腸のところにしまわれ、これが離乳食を食べた途端に5分か10分で増えてきて、このバイ菌が脳に入れば今流行りの自閉症やその他になります。
最も有名なのが、クロストリジウムという破傷風を起こすバイ菌。これが脳に入ると自閉症になります。これはヨーロッパでも明らかにされていることですが、そういうバイ菌までもらってきているから、だからこそ離乳食を早くしてはいけない。この常識が日本の小児科医には一切ないので、口呼吸と離乳食病で今、日本は全滅寸前です。
こういうことを放置していくと一生涯、その赤ちゃんは病気を抱えて苦労する人生が待っているわけです。そして同時に、完璧な口呼吸と離乳食で寝相がめちゃくちゃになると顔がつぶれ、背骨が歪み、とんでもない形になってしまいます。
ですから、子育てから始まって今の誤った状況を続けていけば、際限なく口呼吸から、体の歪み、寝相、片噛み、口呼吸とグルグル回って変形症が助長されるわけです。
ぜひとも鼻呼吸を習得するようにしないといけないわけです。それにはいろんな補助道具がありますので、そういうものを使いながらやっていくことが肝要です。
2.よく噛んで食べよう――咀嚼不足・片噛みの弊害
西原 それでは次に「よく噛んで食べよう」というお話をいたします。
まず噛むということは、口でものを細かく砕いていくことですが進化を考える上で下等動物は大体が全部丸呑みです。そして、よく噛んで食べるのは主として哺乳動物だけです。もう一つ、温血動物では鳥がいますが、鳥は極端に代謝が活発でそれで温血動物になっております。鳥も細かいものを大体丸呑みするようになっていますが、冷血動物は丸呑みのままよく噛まないで消化するわけです。
その消化されたものを何が使うかといいますとミトコンドリアが使うわけでありますから、よく噛むというのはミトコンドリアが効率良く細胞呼吸に使えるためのシステムです。
呼吸というものと、噛み砕く、すなわち咀嚼というものは、酸素という気体も栄養の一種として食べるというのと同じでありますから、結局は細胞呼吸のためのシステムとしてあるわけです。元々原始脊椎動物のサメの時代には鰓(えら)と口と頭が同じように動いていたわけです。その2つが呼吸器官と咀嚼器官に分かれたわけです。
丸呑みの動物、例えばワニのような動物では、ライオン1頭分のエサで同じ体重のワニを10頭飼うことができます。ということはエサの10分の1しか消化できないということになります。そのくらい、丸呑みの動物というのは細胞呼吸、すなわちミトコンドリアの代謝が低いわけです。
細かく砕くというのは、地球の軸に従って重い歯が食物に当たって上下でつぶされる。つまり重力の作用を利用して食べものを細かく砕いているわけです。そうすると、非常に消化されやすくなり、効率良くミトコンドリアがエネルギー源に使うことができるようになるシステムなのです。
これも噛み方がありまして、口を閉ざした状態で、大体一口均等に50回くらいリズミカルに噛むのがいいのです。
口呼吸になりますと普通、利き腕側が利きアゴになり、利きアゴ側の奥歯でクチャクチャ噛むという片噛みの癖が始まります。そうなると顔から全身歪んできます。
そして、寝相が連鎖しますから片噛み・寝相・口呼吸の3つの癖がグルグル回ってしまいます。寝相が片噛み側に従って癖がつきますと、必ず口呼吸が連鎖します。これは、鼻腔の血液が重力作用によって静脈がうっ血してしまうためになることです。従って上向きに寝て鼻に均等に空気を通すようにしながら小の字になって寝るのが正しいのです。
そして常に左右均等に噛む癖をつけないといけません。テレビを観ながらなど片側を向いて噛むと噛む側が縮み、逆側を向いて噛めば逆側が縮んでしまいます。ですから、真っ直ぐ正しい姿勢で噛むことも大切です。
このように正しい姿勢でしっかり噛むことで“細胞内のミトコンドリアを養う”ということが、咀嚼の最も重要なポイントとなります。
そのためには、細胞呼吸を活性化させるための「呼吸体操」を行うと咀嚼が正しく行えるようになります。私どもの呼吸体操は咀嚼筋を常に動かす体操であります。咀嚼筋は元々鰓の呼吸筋肉でありましたから、これを常に動かすのが咀嚼の一環としての呼吸ということになるのです。
進化を考えていくと、哺乳動物は上陸した時に進化が起こるわけでありますが、この時に、鰓呼吸という状態から肺呼吸に劇的に変わる――この仕組みが今までわからなかったわけでありますが、心臓の周りに囲心腔という空洞があり、心臓がせっせと動くと、薄いペラペラの心臓から酸素と炭酸ガスが排出されて空気が溜まってくる。そうして、生物が上陸した時に大暴れすると、その空気が大きく膨れて口で破れると、これが肺になってきます。ですから、この肺を使って大事に呼吸していかなければいけないんです。
そういう意味では哺乳動物は、鰓呼吸のような、本来の鰓腸(さいちょう)の平滑筋(へいかつきん)の蠕動運動がなくなってしまいまして、鰓の筋肉が舌に変わったわけであります。もう一つは、アゴの噛む筋肉にも変わっています。ですから、肺には呼吸専用の筋肉がほとんどないのです。それで、赤ちゃんは非常に肺呼吸が下手だということです。
哺乳動物は一般に肺呼吸が非常に下手なので、実験動物でも麻酔をかけて重ねて置いておくだけで死んでしまいます。ですからいつも揺らしていなければいけないんです。それは赤ちゃんも同じです。常に手や足をバタバタさせておかないといけない。うつぶせに寝かせて手を動かなくしておくだけで、しばしば自分の吐いた炭酸ガスを吸いながら眠るように死んでしまいます。
このことはもう50年くらい前にアメリカで実験で示していますが、日本ではそれをいくらいっても聞かない。未だにうつぶせ寝で赤ちゃんが死んでいます。哺乳動物の赤ちゃんは肺呼吸が非常に下手だということも知っておかなければいけないんです。ですから、昔のように揺りかごに上向きで寝かせて常に手や足をバタバタとさせないと肺呼吸がうまくいかないから、小さい時からそれを練習することです。
そして吸啜運動、つまりお乳を吸う運動がよく噛む咀嚼運動に引き継がれることをよく承知して、その上でおしゃぶりを使ってせっせと吸啜をさせるんです。そうすると、よく噛む子ができます。
そして歯並びもずっと発達し、寝相と歯並びが正しく発達すれば均整のある具合の良い顔になって、昭和40年まで育ってきた日本の子供の元気な賢い子たちができるということです。早急に子育てを昔流に戻さないと、日本は非常に危うい状態になっております。
3.骨休め(睡眠)――重力解除の重要性
西原 それでは骨休めについてお話しいたします。骨休めとは一般には睡眠のことですが、これは重力を解除するということです。
動物は知らない間に常時重力の作用を受けております。ところが我々哺乳動物には重力に対するセンサーはありません。ですからよほど敏感な人じゃないと、重力を忘れてしまうことがあるんです。
我々動物は超多細胞でできておりますが、大体60兆個の細胞を全部生かしておくには相当の血圧を保って血液をめぐらせなければいけません。このことがほとんど忘れられているのです。生命進化の中で、血圧を考えた人がどこにもおりません。
原始脊椎動物、水の中の動物が陸に上がる時には重力作用が6倍化して、ものすごく大きくなるわけです。これはアルキメデスの原理によって浮力で相殺されたものがなくなるからですが、空中に出た時の重力作用は泳いだあとに陸に上がる時にわかるように、その重力作用はものすごいものがあります。
これが忘れられているから、悟りを開いたことで高名な道元禅師ですら座禅に次ぐ座禅で、座禅中にわずか52〜53歳でお亡くなりになってしまった。これはまさにエコノミー症候群ということであります。それほど我々にとって重力はわからないことなのであります。
しかしながら、血液が重いから地球の地軸に向かって引っ張られるということで、厳然として重力が作用する。それによって寿命が縮んでしまうということです。そのことをよく承知した上で、我々の体が非常に重いために寝相一つで体が歪んでしまうこともあります。従って、寝相を正す矯正体操も必要になってくるのです。
それで、骨休めを怠ると何がいけないか。骨髄の中に存在する造血器官がリモデリング(つくり換え)することができなくなってしまいます。また、脳下垂体から分泌される成長ホルモンその他が骨休めをして眠っている時だけしか分泌されないという問題もあります。
体に入ってくる全てのエネルギー、その他、刺激、情報系は全部、脳の大脳辺縁系に集中してくるわけですが、その最終段階で視床と視床下部から神経節がさまざまな物質を分泌します。特に、ペプチドホルモンとかリガンドというようなものが数え切れないほど今見つかっておりますが、全ての刺激情報は通常、脳神経では電位に変換されますが、最終段階で視床・視床下部では物質変換されてリガンドその他情報蛋白質として流れていくわけでありまして、それが脳下垂体の前葉と後葉に流れていって門脈を介して血液に入っていきます。
この時に脳下垂体にはバイ菌情報も入ってきます。これが血液を介して白血球に蓄えられたバイ菌が入ってきて、しかもそのホルモンその他を運ぶのがバイ菌入りの顆粒球だった場合は体中に、例えばアトピーが蔓延(まんえん)するということになるわけです。
こういう仕組みがわかってくると、いかに我々にとって睡眠が大事か、あるいは咀嚼が大事か、鼻呼吸が大事か、というのがわかってきます。一つずつわかってくると、自ずから健康維持方法も自動的にわかるようになるわけです。ですから、この重力作用に早く目覚めることが非常に大切です。
生物進化は、まさにこの重力によって起こるわけです。生物は多細胞でできておりますから、この多細胞は常にリモデリング(つくり換え)が起こるわけであります。つくり換えをする時に生物が移動をしていると、移動している力と鉛直の重力のベクトルで動物の形が変わってしまう。これが進化の始まりになるわけです。ですから、重力がなければ何事も起こらない、つまり森羅万象の中心に重力を据えない限り何事もわからないにもかかわらず、今の医学には全く重力が入っていない。何もかも入っていないから、何も治せない医学ができてしまっ
たということです。早く重力に目覚めないといけません。
重力以外にも、冷たいもの、熱いもの、全てが我々にとって質量のある物質と同様に重要なわけであります。どうして重要かといいますと、我々高等動物の細胞の遺伝子の引き金を引くのは、重力作用、力学作用、温熱エネルギー、あるいはブドウ糖とか酸素とか、質量のある物質が同等に触媒となって引き金を引きますから、両方を考えなければいけない。にもかかわらず今、重力をはじめとするエネルギーが完璧に無視されてきているわけであります。これをキチッと把握すれば、問題なく健康を維持する道ができてくるわけであります。
4.冷たいものは体に毒――不顕性の細胞内感染症を もたらす
西原 では、冷たいものは体に毒ということについてお話しいたします。
どうして冷たいものがいけないかといいますと、我々は進化の過程で原始系の時は冷血動物であったということを忘れてはいけません。冷血動物のゲノムサイズは、我々1万5千の哺乳動物に比べて大体30万から50万あります。これは全部、脊椎動物に共通の腸の「マイクロバイオーム」(体内に棲息している微生物の集合体)4千種類200兆個のウイルスとバイ菌が体の中の染色体の中にジャンクゲノムとして全部入ってしまったためです。
我々も冷血動物から進化してきておりますから、当然体を冷やすと、驚くほど腸内のありとあらゆるバイ菌が自動的に白血球の中に取り込まれ、一切消化されることなく体中そこら中の細胞にばら撒かれます。
これは実際に、日大脳神経外科の林成之(はやしなりゆき)教授が、脳低体温療法で体温を33℃に下げて脳外科手術が成功したが平熱に戻したら死んでしまったということで調べたところ、腸のバイ菌がありとあらゆる細胞の中に入り込んで33℃の体温では一切反応しないのに、平熱(37℃)に戻したところ重症の敗血症状を起こして死んでしまったことがわかったのです。以後、徹底的に手術前に腸洗浄をしたところ、見事に成功して事なきを得たということがあります。
これでわかるように体温を33℃まで下げると、完璧に自動的に冷血動物のシステムが作動して、体中の細胞の中にバイ菌が細胞内感染をするということです。つまり、細胞の中にバイ菌がミトコンドリアのように入ってしまうという冷血動物のシステムであります。
このことを知ってさえいれば、冷たいものはアルコールや麻薬よりも人類にとっては危険なものであるということがわかるはずです。これは発展的な進化を維持するための生きる規範としていかなければならない重要なことであります。このことが世界中の文明国中で忘れられているから、世界の医学が壊れてしまっているということです。
今日マイクロバイオームということがいわれておりますが、我々の体には驚くほどたくさんの共存しているバイ菌とウイルスがいるわけであります。それがなければまた生きてはいかれないくらいに重要なものとなっています。ところが、このマイクロバイオームの研究においても間違った自己・非自己の免疫学とか、自己免疫疾患という言葉が使われております。
自己免疫疾患などあり得ない。これは自分の腸のバイ菌が細胞内に入り込んで、ミトコンドリアが障害されている状態であるということを全くわからないから、自己免疫疾患と呼んでいるだけの話でとんでもない間違いです。こんなことをやっているから今の医学が全く治せなくなっているのです。早くこういうバカげた間違った医学から脱却して、正しい細菌学について学ばなければいけません。
コッホやパスツールの時代は、一つのバイ菌で一つの病気が生まれ、あるバイ菌に感染すればそのバイ菌に感染した病気(感染症)が発症し、その病気からそのバイ菌が分類できるという、そういう極端に強い病原性のあるバイ菌の時代がありました。
しかし今は50年前に日和見感染症といわれた、要するにただのこじれた風邪症状は実は腸内常在菌の不顕性の感染症(はっきりしない感染)で、腸内常在菌が細胞の中に入ってしまった細胞内感染症を意味していたということであります。
細胞の中に(腸内)常在菌が入れば何が起こるか。命の源である、1粒の細胞の中に3千粒くらいいるミトコンドリアが命の源なわけでありますから、この命の源を正しく養っていかなければいけないのであります。このバクテリアとミトコンドリアの働きの要は何かといえば、1粒のアミノ酸であります。多数のアミノ酸をつなげてミトコンドリアのDNAとRNAの複製酵素をつくり出せば、我々の体は非常に元気になるわけであります。アミノ酸と全てのミネラルと酸素と水を使って、電流を流しながらエネルギー物質のATPをつくっていくのが
ミトコンドリアです。
この機能がダメになったのが、代謝性の疾患といわれる免疫病、あるいはがん、あるいは精神病ということであります。つまり病原菌の時代、あるいは感染症の時代はとっくに終わっているということでありまして、無害の常在菌による不顕性の細胞内感染症の時代がもう30年前から始まっているわけです。
私は20年前にこれにいち早く気づいたから、口呼吸をやめ、冷たいもの中毒をやめ、骨休めを十分にして、鼻呼吸にして、よく噛んで食べる。それだけでほとんど病気を克服することができるということがわかったのです。
そのために必要な補助器具、ノーズリフト、美呼吸トレーナー、美呼吸テープなどなどを全部つくって揃えて、これを活用して呼吸体操をすることによって初めて、長期的に健康が維持できることがわかったのであります。
5.体を温めよう――常に37度くらいに
西原 それでは、体を温めようというお話をいたします。
我々哺乳動物で恒温動物のヒトは、常に体温が37℃くらいなければいけません。日本人は少し36・5℃にこだわりすぎていて、少し低めです。37℃くらいがちょうど良いということです。
これは冷やすと冷血動物のシステムが自動的に作動するという怖い点があるからです。冷えると代謝が下がり、手がかじかみますが、これはミトコンドリアの働きが極度に低下するためにエネルギーがつくられなくなって動きが悪くなるということです。ですから常に温めておかないといけないのです。これが温血動物の哺乳動物の最も重要なポイントとなる点です。
ただし、温血動物の我々も温めすぎれば良いというものではなく、草津の湯のように45℃になると逆にものすごく体が消耗してしまいます。我々は体温を下げる術は汗しかありませんが、温泉のような中に入ってしまうと汗は全く無力になります。42℃になるとミトコンドリアが死んでしまいます。そうすると何をしても生き返ることはできません。
ですから温めすぎもまたいけないことであります。がんの温熱療法を医師に無断でやろうとして玉川温泉などに行き、極端に体温を上げて急激に悪くなる人もかなりいます。これはもう逆効果であり、温めるのは41℃までであります。
そして、赤ちゃんを育てる時のミルクの温度はあくまでも38℃くらいから41℃までです。これ以下に下がったら、とたんに赤ちゃんは機嫌が悪くなります。温かく育てる、これも非常に重要な点です。手や足を常に温かくしておかないといけない。
我々の手足もあまりに冷たくしていると良くないわけです。「冷たいのがいいんだ」という人がかなりいますが、驚くほど早く駆け抜けるように命を失っていく人たちがいます。冷たい状態で体を鍛えて、元気な世代のはずの人がポックリと死んでしまうこともしばしばあります。
体温は常に37℃を保つように心がけていかないといけないということです。適温を常に保つことに気をつけましょう。