発酵食品の力発酵は地球、人類を救う

東京農業大学名誉教授小泉武夫先生

 元気の源は発酵食

  「発酵」といえば、「発酵仮面」のあだ名を持つ東京農業大学名誉教授の小泉武夫先生。
 小泉先生のもう一つ、よく知られているあだ名が「味覚人飛行物体」。地球の果てまであらゆるところに神出鬼没し、行く先々で食べ飲みしているところからつけられたそうです。
 それでも、旅行中に体調を崩したり、お腹をこわすということは一切なく、70歳を超えた現在も日々元気溌剌、執筆、講演、旅と活躍されている秘訣は「納豆」。海外で、噛むと血の滴る「生焼うなぎ事件」や「スッポン・スープの危機」に遭遇した時も常に携行している納豆に助けられました。
 このエピソードを『納豆の快楽』(小泉武夫著・2000年講談社刊)で知っていた編集子、一度、
自己流・無手勝流で試作した怪しげな発酵乳でお腹をこわしかけた時、納豆1パックでたちどころに回復。その時の感想は「スゴイ!」の一言です。
 このような納豆の効用はもとより、発酵食品の健康効果は昔から知られていました。さらに近年、発酵微生物の生態などが次々に明らかになり、発酵食品は今改めて脚光を浴びています。
 また、発酵技術は、食品だけでなく、医療、環境浄化、農業の分野など広く応用されています。
 この10年は「農業を元気にするために、北海道や山梨、熊本など全国を飛び回って来た」といわれる小泉先生、発酵の知識を駆使して、おいしい地域特産品の開発に貢献するなど、日本の農業再生への道を開いています。
 「私に残された仕事は、日本の農業を再生させることだと思い定めています。発酵食の力で、あと10年は頑張れます」と意気尚盛んな小泉先生に、発酵食品とその健康パワーを伺いました。

 微生物が繰り広げる       発酵の世界
 「発酵」の仕組み    ──「腐敗」との違い

小泉 「発酵」とは、人間にとって有用な微生物が、人間のために役立つ結果を出してくれる様々な現象をいいます。
 微生物も人間と同じように、摂取した食べもの(栄養源)を酵素の作用で分解したり合成しながら、その際に発生するエネルギーを使って生きています。
 その過程で、代謝副産物、廃棄物が産生されます。それが発酵物であり、それを人間が巧みに利用しているだけなのです。
 微生物が関与していても、ものが腐ったら、それは発酵ではなくて「腐敗」です。ですから人間の側からすれば、発酵を起こす微生物(発酵菌)は善玉で、腐敗を起こす微生物(腐敗菌)は悪玉ということになります。
 腐敗菌は人間にとっては役に立たない毒素などを生み出しながら、生きるためのエネルギーを得ています。しかし、微生物の側からすれば、発酵も腐敗も生きるための生命現象で、メカニズムは同じなのです。
 例えば、牛乳をそのまま放置しておくと悪臭を放ってきます。腐敗菌が牛乳に入って腐ったからです。これを飲めば腐敗菌が作り出した毒素に当たって食中毒を起こしたりしますが、牛乳に乳酸菌が入ると美味しく、体によいヨーグルトになります。これが「発酵」というわけです。

 腸の中でも繰り広げられる         腐敗と発酵

小泉 微生物による発酵と腐敗は、私たちの腸の中でも繰り広げられています。
 善玉菌の代表格である乳酸菌やビフィズス菌は、食物繊維やオリゴ糖などの多糖類を好んで食べて乳酸や酢酸を生成して腸内を酸性に傾け、悪玉菌の増殖や病原菌の侵入を防いでくれます。また、ビタミンやアミノ酸、ホルモンなどの生理活性物質を産生して、私たちの健康を支えてくれます。
 一方、ウェルシュ菌などの悪玉菌は高脂肪・高蛋白の食物を好み、これらが十分に消化されないまま腸内に送り込まれてくると、アンモニアや硫化水素、インドール、スカトールといった有害腐敗物質を作り出して、免疫力の低下や老化促進、がんをはじめ様々な病気の引き金になります。

 「発酵」という現象は      地球・人類を救う

小泉 発酵微生物は1mmの5千〜1万分の1の大きさ、ナノの世界で生きています。それくらい小さいものが我々の世界を支えているんですね(8頁図2)。
 目に見えない微生物が人間のためにいろいろなものを作ってくれる発酵という現象は、食品だけではありません。日本での発酵総生産額の中で食品の占める割合は17%に過ぎず、80%以上は医療、環境浄化、農業などの分野に利用されています。
 特に医療分野での活躍はすごく、ペニシリンをはじめ、すべての抗生物質は微生物による発酵生産ですし、抗がん剤、ビタミンやアミノ酸、ホルモンなどの生理活性物質、点滴薬、臨床検査に用いられる酵素、胃腸薬に含まれる消化酵素なども発酵によって作り出されています。
 環境浄化の分野では、廃棄物や廃水の処理に活性汚泥やメタン発酵が用いられ、農業では生ゴミや屎尿を発酵させた完全熟成堆肥作りにも活躍しています。
 さらに、地球上には5千億〜1兆トンと推定される莫大な動植物の死骸が出ますが、それが微生物の作用で分解され、自然界の食物連鎖につながっていくのも発酵の領域に含まれます。

  三大発酵微生物と         発酵食品

小泉 発酵食品の歴史は古く、5千年前から賞味されてきました。
 ところが、微生物が発見されたのは17世紀に入ってからのことで、人類は発酵のメカニズムを知らなくても経験で発酵食品を作り出してきたのです。
 風土によって様々な発酵菌が生育しているために、世界各地にはいろいろな発酵食品があります(図1)。
 夏に高温多湿になる日本ではカビ食文化が発達し、乾燥したアメリカやヨーロッパ、アフリカにはカビ食文化はほとんどありません(図1)。
 発酵をつかさどる微生物は、カビ、酵母、細菌の三大微生物が主役として活躍し、他に、藻類やキノコ類(担子菌類)も発酵を行います(図2)。
〈カビ─麹菌〉
小泉 発酵食品に使われる代表的なカビはコウジカビ(ニホンコウジカビ‥黄麹菌)です。
 デンプンをブドウ糖に、タンパク質をアミノ酸に分解する酵素の力が強く、この発酵力を利用して日本では古くから、酒、米酢、味噌、醤油、甘酒、味醂などの醸造に使われてきました。コウジカビ(麹)はまさに、日本だけが使っている国菌なのです。
 コウジカビの中では、特にタンパク質をアミノ酸に分解する酵素が強いショウユコウジカビは醤油や味噌の製造に使われます。
 他に、焼酎はクロコウジカビ、アワモリはアワモリコウジカビ、鰹節はカツオブシカビが使われています。
 この他のカビでは、ブルーチーズに使われるアオカビ、カマンベールチーズなどに使われるシロカビ、また、中国の酒やインドネシアのテンペなどはクモノスカビが使われています。
〈酵母〉
小泉 酵母はカビより小さい単細胞菌類で、カビと同じように出芽したあと増殖しながら菌体内で様々な物質(アルコールや有機酸、二酸化炭素など)を生成します。
 発酵に使われる酵母菌は、ビール酵母、清酒酵母、ワイン酵母、黒酵母、パン酵母など、それぞれの食品に適した菌が使われます。
〈細菌─乳酸菌・酢酸菌・納豆菌〉
小泉 細菌は酵母よりさらに小さく、カビや酵母とは比較にならないほどの速さで増殖します。
 発酵をつかさどる細菌にはチーズやヨーグルトを作る乳酸菌、アルコールから酢を作る酢酸菌、煮熟大豆に繁殖して糸引き納豆を作る納豆菌などがあります。

 発酵食品と、その特性・効用

〈第一は保存性─抗菌性物質〉
小泉 発酵食品の最大の特徴は、保存性です。冷蔵庫などない時代から人々は発酵食品の保存性を発見し、利用していたのです。
 微生物の世界では、他の菌を抑えて自分やその子孫だけが生き残り、繁殖するという拮抗現象があります(図3)。この現象を引き起こす物質が「抗菌性物質(抗生物質)」です。
 例えば、麹菌は麹酸を作ってブドウ状球菌を抑えますし、青カビはペニシリンを作って様々な悪性菌を抑えます。乳酸菌の作る乳酸は抗菌性をもっているのでヨーグルトは腐らないのです。
 魚をご飯と一緒に乳酸発酵させた「熟鮓(なれずし)」は滋賀県の鮒鮓(ふなずし)が有名ですが、秋刀魚や鯖(さば)、鱒(ます)でも作られます。「鯖の生き腐れ」といって腐りの早い鯖でも熟鮓は何10年も保ちます。
 熟鮓を食べている人達を調査したところ、便秘の解消や下痢止めといった整腸作用、風邪に効くなどの答えが各地から出てきました。
 納豆菌では、病原性大腸菌O−157と納豆菌を混合培養すると、ほとんどの場合、O−157は増殖できなくなります。
 「味覚人飛行物体」と呼ばれる私は海外旅行には必ず納豆を携帯してますが、それは若い頃に恩師から「食中毒の防止には納豆」と教えられ、その教えを守って救われた経験があるからです。地球の果てまで旅して、怪しげな物を口にしても一度も体調不良に陥らないのは納豆のお陰なのです。
 くさやが低塩分でもほとんど腐らないのは、くさや菌が子孫を守るために天然の抗生物質を作って外から来た雑菌をブロックするからです。伊豆七島の新島では昔から風邪や下痢、便秘などにくさやのつけ汁を飲んで対処し、特に切り傷などに塗るとてきめんに効きます。これは、つけ汁の中のくさや菌が抗生物質を作って、様々な菌をやっつけているからです。
〈第二は栄養価を高める
─甘酒は最高の栄養ドリンク〉
小泉 二番目の特徴は、原料自体の栄養を高めることです。発酵微生物は、酵素などの作用でビタミンや必須アミノ酸といった栄養物質をどんどん作ってくれます。また、核酸やホルモン、免疫賦活物質などの機能性物質も作り出します。
 例えば甘酒(米麹を湯に溶かして保温)にはブドウ糖が20%超、米のタンパク質が麹菌の酵素によって変えられた必須アミノ酸群も豊富で、さらに、米麹には麹菌が米の表面で繁殖する時に生成するビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなどの天然型吸収ビタミン群が多量に蓄積され、それらの成分が甘酒に溶け出しているのです。これはまさに点滴の成分と同じで、最高の栄養ドリンクなんです。
 江戸時代末期の書物『守貞漫稿』には「江戸京坂では夏になると甘酒屋が横行する」と記述され、また甘酒の季語は夏です。
 なぜ甘酒は夏の飲み物だったのか。最近の猛暑も酷ですが、当時は夏の死亡率が最も高く、江戸の人々は滋養強壮にもってこいの甘酒を飲んで体力を増強し、夏を乗り切ろうとしていたのです。
〈第三に、独特の匂いと、うま味〉
小泉 発酵食品には、神秘的ともいえる特有の匂いとうま味があります。発酵微生物が原料を分解して、それぞれ固有の匂いと味を醸(かも)し出すからです。
 味噌や鰹節の独特の匂い、世界一臭いスウェーデンのニシンの塩漬缶詰シュール・ストレミングや納豆やくさやの臭い、また、日本酒やウイスキーの芳香、パンの香り等々、誰もが食欲を高める豊饒(ほうじょう)な香りもあれば、慣れてない者には鼻をつまむような強烈な臭いもあります。それでも人は安全な匂いか危ない臭いか嗅ぎ分けられるのは、皮膚をはじめ人体にも膨大な微生物が棲みついて発酵臭を醸し出しているからです。
 味も、煮た大豆に比べ味噌や醤油、牛乳とチーズ、米と酒等々、そのうま味には歴然とした違いがあります。発酵食品のうま味の代表例といえば鰹節ですが、核酸系のイノシン酸とグルタミン酸などアミノ酸のうま味物質との相乗効果で驚くべきうま味を醸し出しています。
〈第四に、発酵微生物がひしめく
─糠漬け〉
小泉 発酵の現場では、それをつかさどる微生物群でひしめいています。
 例えば、糠漬けの発酵中の糠床(糠味噌)の中には実に様々な発酵微生物がひしめき合い、1gの糠床中に日本の人口の8倍もの乳酸菌と日本の人口に匹敵するほどの数の細菌や酵母が存在して様々な様式で生活しているのです。
 これらの微生物の働きで、米糠のタンパク質は19種の重要なアミノ酸に分解され、ビタミン類が作られ、さらに米糠そのものに含まれる栄養成分と相まって糠床は栄養成分の宝庫となって、野菜などの漬物食材に運ばれるのです。

 健康・長寿と発酵食品

〈老化・生活習慣病予防の乳酸菌
─発酵乳・発酵漬物〉
小泉 発酵食品と健康の関係が研究されたのは20世紀初頭、ロシアの生理学者メチニコフが、バルカン半島南東部のブルガリアに長寿村を発見し、そこで食べられていたヨーグルトに不老長寿の効能があると唱えたのが最初です。
 その後の研究で、ヨーグルトに含まれる乳酸菌が整腸作用をもたらすことがわかってきました。尚乳児の腸内から分離される「ラクトバチルス・アシドフィルス菌」は整腸剤に使われています。
 近年では、納豆や味噌に多い血圧の上昇を抑制する「アンジオテンシン変換阻害酵素」がヨーグルトにも存在し、また、乳酸菌の免疫賦活作用ががんの進行を抑制すること、乳酸生菌を大量に体内に取り込んだ時の高いがん予防効果もいわれています。
 さらに最近では、乳酸菌の仲間には、内臓脂肪を減らす効果の高い「ガセリ菌SP株」、大腸がん抑制効果があるとされる「BB536」、虫歯菌や歯周病菌を退治してくれる「L8020乳酸菌」、肝機能を強化するオルニチンを増やす「乳酸菌6004」など新しいタイプの乳酸菌ではないかと思える乳酸菌が次々見つかっています。
 「乳酸菌6004」は山形県鶴岡市特産の「温海かぶ」の漬物から発見されました。
 糠漬け、スンキ、韓国のキムチ、ドイツのザワークラウトなどの発酵漬物には乳酸菌が多く、整腸作用のある乳酸菌を多量に体に送り込んで腸を健康にし、生活習慣病予防効果が高いことが知られています。
 中でも糠漬けは糠の豊富な栄養分が漬物の中に吸収されている上に、乳酸菌や酵母、酢酸菌などの微生物によって生成されたビタミン類も多く、脱水により食物繊維量が相対的に多く、優れた健康効果があります。
 江戸時代には“糠味噌そのものも飲むべし”といわれていました。糠味噌に含まれる種々の豊富な栄養成分と乳酸菌をより確保するための教えなのでしょう。
 日本は漬物大国として知られていますが(7頁図1参照)、漬物にした野菜から、乳酸菌や食物繊維、抗酸化物質のポリフェノールなどを体に十分に摂り入れていたんですね。
〈メタボの予防と酢〉
小泉 お酢には、糖尿病や肥満の予防、血圧やコレステロール低下作用、抗腫瘍効果などが確認されています。
 アメリカで一番の長寿州といわれるバーモント州は全米一のお酢(りんご酢)の消費地として知られています。
 ピクルス、ラッキョウなどの酢漬けは発酵漬物ではありませんが、酢の持つ効果と食材の持つ栄養成分が相乗効果を生みます。酢は調味料も含めて1日大さじ1杯摂取するのが望ましいといわれています。
〈がん予防・美白効果の麹
─味噌・酒粕〉
小泉 日本では昭和50年に、当時国立がんセンター疫学部長の平山雄先生が「みそ汁を飲む人ほど胃がんによる死亡率が低い」と発表されたのを機に、発酵食品と老化の予防に関する研究が始まりました。
 味噌の原料には麹が使われます。味噌に使われる麹には、米麹、麦麹、豆(大豆)麹がありますが、いずれも蒸した穀類に麹菌を植え付けて繁殖させたものです(表2)。
 麹を作る日本の国菌である麹菌は、優れた消化酵素を作るので胃腸薬にも添加されていますが、麹菌が作る機能性物質のアスペラチンにがん細胞の増殖を抑える効果があることが最近わかりました。
 また、麹菌が作る麹酸には強い還元作用(抗酸化作用)があり、美白効果や養毛効果により、美白クリームや育毛剤にも使われています。麹酸の美肌力は酒造りの杜氏の手の美しいところから発見されました。
 清酒にも美白や養毛効果がありますが、しぼりかすの酒粕は清酒よりも栄養価が高く、麹酸も豊富です。酒粕を湯に溶かして簡単に作る甘酒や粕漬け(表3)で美味しく健康効果が望めます。
〈特筆すべき納豆の疾病予防効果〉
小泉 納豆は血栓予防や血圧降下、抗がん、O−157をはじめとする大腸菌の殺菌など特筆すべき健康効果に優れた食品です。私自身は1日2食は納豆を食べ、海外には1ヶ月内であれば生の糸引き納豆、それ以上の時は乾燥した糸引き納豆を必ず持っていきます。

 和食は育菌・食菌の王道食 日本人は世界一のベジタリアン

小泉 日本の伝統的な「和食」が2013年末にユネスコの無形文化遺産に登録されました。私も「登録に向けた検討会」の委員としてお役に立てて喜んでいます。
 私が70歳を過ぎてもこんなに元気なのも、低脂肪・低カロリーで、ミネラルや食物繊維が豊富な和食を食べ続けてきたお陰だと思います。
 日本人は2000年にわたって主に7つの食材──
@「根茎類」は大根やニンジン、芋、ネギなど土中で育った根茎。
A「葉菜類」は白菜、ほうれん草、小松菜など。
B「青果」キュウリや、リンゴ、ナシ、ブドウなどの果物。
C「豆類」では特に大豆は「畑の肉」と呼ばれるほど豊富なタンパク質源であり、味噌や醤油、納豆などの発酵食品としても活躍します。
D「山菜・キノコ」の山の恵み。
E「海藻」昆布、ワカメ、ヒジキ、ノリなどの海の恵み。
F「穀類」主食の米や、麦や蕎麦──を主に食べてきました。これらはすべて植物です。
 手に入った時は肉や魚、卵などの動物性タンパク質も摂りましたが、これがなくても和食は成立します。日本人は世界一のベジタリアンだったんです。肉や魚を食べなくても、タンパク質は味噌や豆腐、納豆などの大豆とお米の組み合わせで必須アミノ酸は充足できます。
 和食の基本は、ご飯や、味噌汁、香の物(漬物)や煮物といった、「一汁三菜」が基本ですが、これは腸内の善玉菌を育てるのにも優れています。
 根菜や豆類、海藻、キノコなどに多い食物繊維やオリゴ糖は、腸内善玉菌の好物となって善玉菌を育ててくれます(プレバイオティクス‥育菌)。また、味噌や発酵漬物、納豆からは生きた菌を摂り入れるプロバイオティクスとして腸内善玉菌を増やしてくれます(食菌、表4)。
 戦後70年、健康にいいと和食が世界に注目されている一方で、日本人は肉や油の多い高脂肪・高カロリーの食生活に変わってしまいました。草食のウサギが肉ばかり食べたら病気になってしまうのではないでしょうか。
 糖尿病やがんなど生活習慣病の激増ぶりを見ても、欧米化した食生活によって、日本人は日本人らしさと健康を失いつつあると痛感します。
 食育の大事さが注目されていますが、食育すべき相手は子どもではなく、お母さんやお父さん、つまり大人なのだと思います。