「体内静電気」は、万病の元となる

その1 体内で「静電気」はなぜ発生するのか、悪さをするのか

昭和大学医学部客員教授 堀泰典先生

現代医学の盲点に、体内静電気の見落とし

 医学・歯学・薬学の三分野の博士号をもつ堀泰典先生。
 歯科医師時代は、筋肉の反射や筋肉を緩めることによる顎関節症の治療で注目されました。さらに、独自の理論と方法で、現代医学では完治の難しい難病の治療に取り組まれ、奇跡的といわれる治療結果を数多く出されています。
 今は直接の治療はされていませんが、当時の映像を見せていただいてビックリ。顎関節症で開口困難な患者さんに足首の治療を施してその場で完治。その他、6年越しの椎間板ヘルニア、交通事故によるむち打ち、杖をついて歩くのがやっとという患者さん達が次々と1回の治療で治っていきます。
 まさに「神業」。身体の仕組みを熟知しているからなせる業でしょうか。
 堀先生は、長年の研究と治療実績から、現代医学の盲点を見出し、その大きな一つに「体内静電気」をあげられています。
 「多くの病気の原因には体内静電気が関与し、それを抜くことが、健康の維持と病気の予防改善につながる」といわれる堀泰典先生に「体内静電気」についてお話をうかがいました。
 お話は、今月号では主に「体内静電気のメカニズムと人体への関与」について、来月号では「体内静電気のアース方法」を中心にご紹介します。

静電気と体内静電気
雷と静電気 ──体内でも落雷がおきている

堀 「雷」の正体は、静電気です。雷の元となる静電気は、雷雲が発生させます。雷雲の中では、水蒸気が凍ってできた氷の粒や、それが集まった霰らが激しくぶつかり合ったり、周囲の空気とこすれ合ったりして、その摩擦によって静電気が発生します。
 「落雷」は雷雲が生成する静電気の「放電」であり、雷は1億〜10億ボルトもの高電圧ですから、直撃されたらひとたまりもありません。
 私は、体の中では静電気が生成されていて、それが溜まることで体内でも落雷(放電)がおこり、さまざまな病気が発生していると考えています。逆にいえば、静電気を抜くと、病気が良くなっていくことが多いのです。
 これは、私のところにくる多くの難病の方の事例で証明されています。裸足で土の上を歩くと元気になるというのは、あれは静電気がアースされるからです。
 体内で落雷があればどんなことがおこるのか。
 細胞を直撃して、遺伝子に傷がつけば、がんになる危険性があり、脳で落雷があって脳神経細胞を直撃すれば脳がショートして、アルツハイマー病やうつ病が引きおこされるということも十分に考えられます。

静電気とは、 摩擦で生じる帯電状態

堀 では静電気とは何か。
 地球上の物質には必ず電気が存在します。電気は「+(プラス)」と「−(マイナス)」で構成され、物体は電気的に見ると+と−の電気配列で成り立っています。
 自然界は、原子核のもつプラスの電気量と、電子のもつマイナスの電気量とが等しく、原子全体は電気的に「中性」が大原則となっています。つまり、プラスとマイナスは、両方がバランスを保つことで安定して存在しています(図1)。
 この電気配列が、摩擦(接触)などの力(運動)が加わると、電気的に一方に片寄ります。これを「帯電(電荷が蓄えられていること)」といい、この帯電の状態を「静電気(状態にある)」といいます。つまり、静電気とは、プラスとマイナスにアンバランスが生じた状態です(図1)。
 静電気は基本的には、二つ以上の「絶縁体(電気または熱を通しにくい性質をもつ物質の総称)」の摩擦により生じ、摩擦によって生じる静電気のプラス、マイナスという極性は、絶縁体の組み合わせによって決まります(表1)。絶縁体は、プラスの電荷を生じるものから、マイナスの電荷を生じるものまで、一直線に並べることができ、この配列を「帯電列」といいます(表1)。
 帯電の極性は帯電列によって決まり、異なる物質間の帯電では帯電列が離れているほど高くなります。表(表1)では、硝酸セルロースとアスベストの組み合わせが最も大きな静電気がおこることになります。
 この表(表1)からは、人の皮膚は空気と摩擦がおこった場合、プラスに帯電しやすいこともわかります。よく広告で、皮膚は空気よりプラスに帯電しやすいので「マイナスイオン」によって中和(電気的に中性化)されるとうたっていますが、本来的にはマイナスイオンではなく、──「電子(電子は−)」によって──ということになります。
 静電気は絶縁体同士の摩擦だけではなく、電気を通す「導体」、つまり「金属」にも発生します。金属の一部がアースにつながっている場合は、自由に電荷が移動できるので帯電しません。つまり、導体の電位は常に同電位(0V)に保たれていますが、絶縁物の上に置いた状態では、電気抵抗が高い場合、電気が自由に移動できないので電子は逃げ場がなく、その場にとどまって静電気となります。
 電気をよく通す金属でさえ、ゴムの上に置けば静電気を溜めるわけです。人体ならなおさら、静電気を溜めて当たり前なのです。

体に溜まる静電気 ──「体表静電気」と体内静電気」

堀 静電気のおこりやすい素材の服を着たりカーペットの上を歩いたりすると、体の表面に静電気が溜
まります。これが「体表静電気」で
す。冬の乾燥した日、ドアのノブや車のドアに触ろうとするとパチ
ッと飛ぶ。これは、体表静電気を
一気に放電する現象で、放電現象をおこすには少なくとも3万〜4
万ボルトの電圧がいるといいます。
 体表静電気も体に悪影響しますが、もっと悪い影響を与え、ややこしい病気をもたらすのは、体の中の静電気、「体内静電気」です。
 体内では、心臓は1分間に60〜70回打ち、血管内を血液が流れ、リンパ管をリンパ液が流れ、気管を通って肺には空気が入り、食べ物は消化管を通る──という具合に、あらゆるところで摩擦が生じています。そこに静電気が発生するのは当然であると考えられます。

体内静電気は、万病の元
「赤血球」の観察から気づいた体内静電気 ──健康な血液はなぜサラサラか

堀 私が体内静電気の存在に気づいたのは、赤血球を観察していたときのことです。
 LBA(LIVE BLOOD ANALYSIS) という検査では、血管の中を流れる赤血球の様子がよくわかります。丸いピンポン玉のような赤血球が弾むように流れていく血液は、いわゆるサラサラの健康な血液です。一方、病気の人は、赤血球がくっついていたり、数珠状につながっていたりする、いわゆるドロドロの不健康な血液です(写真1)。
 この検査で健康な赤血球を見たとき、どうして赤血球はあんなに見事に離れているのか、疑問を持ちました。なぜならば、質量のある物と物の間には必ず引力が働き、ある距離まで近づけば、物と物は引力によってくっつき合う性質があります。しかも、本来、赤血球は吸着力の強い物質です。では、その赤血球を、どういう力が引き離しているのか。
 「離れる力」というと磁力があり、N極とN極、S極とS極を近づけると反発し合います。しかし、赤血球には磁力はなく、そうなると、@血流による拡散、A物質特性(赤血球の特性)、B電気的なエネルギー(つまり静電気)──しか考えられません。
 しかし、血流による拡散では、赤血球は粒子が小さすぎ、よほどの速度で流れないと拡散させられません。そうなると、Aの赤血球の物質特性と、Bの静電気が関係していると考えられます。
 赤血球は、血液内のさまざまな成分や水分、また血管壁とこすれ合いながら流れていきます。当然、そこには静電気が発生します。すべての赤血球の表面がマイナスに帯電しているとしますと、マイナスとマイナスですから反発し合い、赤血球はくっつかずに離れていくのです。
 しかし、赤血球表面の帯電のバランスが崩れて、ある赤血球はマイナスに帯電、別の赤血球はプラスに帯電していると、お互いが引き合い、くっついてしまいます。これが、不健康な血液ということになります。
 そんな経緯で、私は、体の中には常に静電気が発生していて、それが適度な量でバランスよく存在しているときには健康的だけれども、量が増えすぎたりバランスが崩れると、不健康になるのではと考えました。それが、体内静電気に着目したきっかけです。
 また、物質の特性からみると、赤血球がバラバラでくっつき合わないのは、血液の中には赤血球や白血球などの血球はもちろん、それ以外にさまざまな物質(ミネラル)がイオン化して流れています。
 ミネラルは体内に入り水に溶けるとイオン化し、イオン化したミネラルはプラスかマイナスの電荷をもちます。例えば、ナトリウムは水に溶けると+1、鉄や亜鉛、マグネシウムは+2、塩素は-1というように、各々の特性で電荷をもつようになります。
 当然、赤血球の表面にもさまざまな物質がついています。その代表が「シアル酸」というマイナスの電荷をもつ物質です。そのため、赤血球表面はマイナスの電荷となっています。
 赤血球同士がくっつかないのは、一個一個がマイナスに帯電しているからであり、血管壁も同じようにシアル酸でコーティングされていますから、赤血球が血管壁にくっつくこともないのです。

体内静電気は 血液をドロドロにし 血流を悪くする
──ドロドロ血液は万病の元

堀 シアル酸のもつマイナス電荷は、シアル酸の個数に比例します。
 赤血球や血管壁ではシアル酸の個数は一定ですからマイナス電荷も変化しません。しかし、体内にマイナスの静電気が増えると、シアル酸が本来もつよりもはるかに大きなマイナスになり、逆に、プラスの静電気の量が多くなれば、シアル酸のマイナスが打ち消された上にプラスに帯電することもあります。
 つまり、体内で大量に静電気が発生すれば、それが赤血球表面の電荷を狂わせ、そのために、本来はマイナスに帯電している赤血球表面が、プラスの静電気によってプラスに帯電するものも出てきます。
 血液の中に、マイナスの赤血球とプラスの赤血球が存在すると、マイナスとプラスですから、くっついてしまう。これがドロドロの血液となるのです。
 赤血球は曲折しながら毛細血管を流れていきますが、それが二つ三つとくっついてしまえば毛細血管を流れていくことができず、血管を塞いだり、血管壁にくっついたりすることもあります。
 赤血球がくっつくと、血流が悪くなっていきます。体のすみずみまで血液が流れなければ、末端の細胞は、酸素不足や栄養不足をおこし、さらには二酸化炭素や老廃物が溜まって、不活性化し、最終的には死んでしまいます。
 手足が冷えるというのは、その初期症状です。その先には、内臓機能が低下し、さまざまな病気が発生します。赤血球がくっつかないようにしておくことは、健康のためにはとても大切なのです。

「ストレス」も万病の元
体内静電気を増やす

堀 ストレスが万病の元というのはすでに常識となっていますが、このストレスと体内静電気には、密接な関係があります。
 ストレスには自律神経が深くかかわっていて、ストレスがかかった緊張状態では、交感神経が優位になっています。交感神経が優位になると、心拍数が増え、浅くて速い呼吸になり、血管は収縮し、血圧が上がり、筋肉が緊張します。
 ストレスがかかったときの血管というのは、あたかもホースで水をまくときに、ホースの先をつまむとすごい勢いで水が出るのと同じような状態になります。ストレスがかかったときの血管は、流れに勢いがつき、流速が上がれば運動エネルギーも大きくなり、すなわち、血液と血管壁の摩擦は急に大きくなって、当然、静電気の量は増えることになります。
 ストレスがかかり続けると、血管内は非常に大きい摩擦にさらされ続けますから、リラックスしているときとは比べものにならないほどの静電気が発生するのです。
 現代人の生活は、満員電車の通勤通学、会社や学校では仕事や勉強で緊張、遅くまで残業や塾──等々、家へ帰っても落ち着けずなかなか眠れないという人は、交感神経の興奮状態がずっと続いているわけです。それは、大量の体内静電気が発生し続けていることが考えられます。

静電気は、脂肪に蓄積して悪さをする
──メタボの悪循環

堀 静電気とは文字どおり「静かな電気」、つまり一ヶ所に止まっている電気のことです。一方、導線を流れている電気は、動いている電気ということで、動電気と呼んでいいでしょう。
 静電気は、絶縁体(電気を通さない物質)に溜まります。体の中で、電気を通さないのは、脂肪やグリセリンなど脂肪分です。ですから、体内で発生した静電気は、脂肪やグリセリンに溜め込まれていきます。
 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の人は一般的には体重もあるわけですから、送り出される血液量も、運動エネルギーも多大になり、それだけ静電気の発生量も多くなり、その静電気はありあまる脂肪にたっぷりと溜め込まれます。メタボは、体内静電気の観点からも体に悪いのです。
 静電気は、体の中でいくら発生してもそのつど、体外へ流れ去ってしまえばたいして問題はありません。問題は、静電気が蓄積されること。脂肪はお腹まわりだけではなく、体の中のいたるところにあります。赤血球や血管壁の細胞には脂肪もグリセリンも大量に含まれていますから、血流によって生じた静電気は、アースやミネラルによって中和されない限り、赤血球の細胞膜、血管壁にどんどん溜まっていきます。

むくみの正体は、体内静電気

堀 体内静電気が細胞に溜まることの弊害の一つに、「むくみ」があります(図2)。むくみは、その陰にさまざまな病気が隠れていたり、病気が発症する原因になったりしますので、要注意です。
 静電気が大量に発生し、それが血管壁に溜まって、血管壁や赤血球の表面がマイナスかプラスに傾くと、血管壁のあちこちに水分子の塊ができます。水分子は、酸素部分はマイナス、水素部分はプラスの極性をもち、さまざまな影響を与えています。
 体内静電気が発生して、血管壁の脂肪に溜まったとします。プラスの静電気が多く発生すれば血管壁はプラスに、マイナスの静電気が多いときには血管壁はマイナスに帯電します。血管壁がプラスになれば水分子の酸素側(マイナス極)が、マイナスになれば水素側(プラス極)がくっつきます。
 静電気が溜まれば溜まるほど、血管壁にくっつく水分子量は多くなり、血管の内壁が狭くなり、内径の狭くなった血管を血液が通ろうとして玉突き状態になり、血管は膨れ、血管が膨れると、血管内皮細胞のすき間が増して水分が外に出やすくなります。
 そうすると、「静電誘導」によって、外に出た水分も、血管の外側で血管壁にくっつきます。これがむくみの正体です。静電誘導とは文字どおり、帯電物が近づいた場合、物体の表面にその帯電物を引き寄せようとする作用です。血管内がマイナスなら、血管の外側はプラスになるわけです。
 静電気を抜くと、塊になっていた水分子がバラバラになり、血管の内側の水分子は、血流に乗って流れていき、外側の水分子もバラバラになって、血管に吸収されて同じように流れて、むくみは消えます。
 むくみ現象がおこって、血管が細くなったりつまったりすれば、脳梗塞、狭心症、心筋梗塞がおこっても不思議はありません。
 エコノミー症候群も、静電気が溜まる→むくむ→血流が悪くなることによっておこります。 水分(できればミネラル分の多い)を多くとって、尿意をもよおしたらトイレへ行くことが一番。足先を動かしたり、股関節をもむのも有効です。

静電気は、動脈硬化を促進する ──カルシウムと、シアル酸と、 体内静電気

堀 体内静電気は、血管を狭めるだけでなく、血管そのものも劣化させることで、動脈硬化を促進していきます。
 動脈硬化にはコレステロールのとりすぎがいわれますが、血管の内膜と中膜の間には内弾性板があり、コレステロールの進入をはじき返しています。
 しかし、5歳頃からカルシウムが入り込み、年齢とともに血管のカルシウムの量が増え、内弾性板をはじめ血管に弾力性を与えている「エラスチン」にカルシウムが沈着し、弾性を失わせるのです(図3)。
 血管壁は、赤血球表面と同じように、シアル酸でコーティングされています。シアル酸はマイナスに帯電していますから、プラスに帯電しているカルシウムイオンは当然、血管壁に生理的に引っ張られます。
 つまり、動脈硬化は、静電気がカルシウムを引っ張り、引っ張られたカルシウムが呼び水となって、血管にコレステロールが進入すると考えられます。同時に、マイナス側には水の水素側が、プラス側には酸素側が引っ張られ、連鎖的に水が血管壁にくっつくことになり、それがむくみとなります。
 また、赤血球などの細胞の表面は、リン脂質の二重層になっている細胞膜でおおわれ、二重層の間にはコレステロールなどが溜まっているので、細胞膜は脂質の塊ともなっています(図4)。この脂質二重層は、当然、絶縁体ですから、静電気が溜まります。
 血管壁に溜まった体内静電気はカルシウムを引き寄せて動脈硬化の原因となり、メタボをはじめとする多くの生活習慣病を引きおこすのです。

脳は、体内静電気の最大の被害者 ──脳内で起こる落雷が神経細胞を破壊!!

堀 神経細胞が密集している脳の消費するエネルギー量はエネルギー全量の20%にものぼります。それだけ脳は血液を必要とし、全血流の20〜30%が脳に行き、人間の知的な生命活動を支えています。
 静電気は、血液が流れるところに発生しますから、体のどの部分よりもたくさんの血液が流れている脳では、どこよりもたくさんの静電気が発生するということになります。さらに、脳の大部分は、リン脂質をはじめとする脂質でできています。つまり、脳内というのは、静電気が大量に発生し、それが溜まるのにも、絶好の環境なのです(図5)。つまるところ、脳内ではほかのどの部分よりも、落雷がおこりやすいのです。
 雷が落ちやすいのは、まずは突起の部分です。避雷針は空中放電をおこしやすくするために先端を尖らせた棒状の導体です。保護するべき物の先端部分に設置します。大電流に耐えられる接地線を避雷針本体から地面まで引き下げ、地中に埋設した銅板などに接続して使用します。雷がおこった際に避雷針と接地線が電流の通り道となり、建物の被害が防がれます。
 静電気にかかわらず、電気は尖ったところに落ちやすく、樹状突起など尖った部分を多くもつ神経細胞(図6・7)は、静電気の落雷が多い場所であると推察されます。
 最近では、加齢により脳の機能が衰えてくるのは、神経細胞の減少によるのではなく、最初は神経細胞の樹状突起が少しずつ消失し、まばらになっていくことで、脳の機能の衰えが始まると考えられています。さらに進行すると、軸索が萎縮し、続いて神経細胞そのものが萎縮し、最後には脱落すると考えられます。こういう流れのきっかけとなる樹状突起の消失に、静電気の放電、つまり落雷の影響があるのではないかと私は考えています。
 結論として、私は、脳内では、静電気の発生量が非常に多く、それを溜める脂肪も豊富にあり、神経細胞の突起の部分は雷が落ちやすい──ということから、神経細胞が体内静電気のダメージをもっとも受けているのではないかと考えています。
 コンピューターの内部では「静電破壊」という静電気放電が引きおこすトラブルがおこることがあります。静電気放電はICなどの電子部品にとって、とても恐ろしい存在です。コンピューターより繊細な神経細胞が壊れないと考える方がおかしいのです。
 神経細胞が情報を伝えている電位はわずか115 mv。1Vの10分の1という非常に小さい電圧で、すべてをコントロールしています。そこに落雷があったらどうなるか。体内での落雷は、3千〜4万Vくらいでしょうか(表2参照)。神経細胞が作り出している電位とは、けた違いの大きさです。情報伝達が遮断されたり、情報が狂ってしまったりするのは当然のことでしょう(表2参照)。
 認知症の二大疾患のうち、アルツハイマー病は脳の神経細胞が急激に減り、脳が委縮してしまう認知症、血管障害性認知症は脳の血管がつまったり破れたりすることで脳の機能が悪くなっておこる認知症です。
 認知症と静電気の関係でいうと、アルツハイマーは神経細胞への落雷でおこり、脳血管性認知症は静電気が血管壁に溜まり血管が劣化(動脈硬化)しておこると私は考えています。
 どちらも、静電気を抜くことで予防できる可能性は高まります。うつ病も然りです。アルツハイマー病は静電気を抜いたからといって治りはしませんが、脳血管性痴呆症やうつ病は改善可能で、うつ病は治る可能性もあります。

老化・万病の元 「活性酸素」の生成にも関与 ──オゾン・二酸化炭素

堀 活性酸素も、老化の元、万病の元といわれます。
 呼吸により体内に取り込まれた酸素は、その1〜2%が反応性の高い活性酸素に変わり、細胞の脂質やタンパク質を連鎖的に酸化させ、細胞を傷害していきます。
 酸化とはイコール錆びであり、活性酸素は細胞を錆びつかせるわけです。生体は活性酸素の防御系を備えていますが、処理しきれない大量の活性酸素がリン脂質の細胞膜を錆びつかせ、中の遺伝子(タンパク質)まで損傷すればがん化もおきてきます。
 活性酸素は呼吸の他に、@紫外線の曝露、A薬物や化学添加物などの摂取、B激しい運動、C感情の変化(特にストレス)、D炎症、E体内静電気の放電──等で体内で大量に生成されます。
 体内静電気が放電されると、オゾン(O3)や、二酸化窒素(ONO) が生成されると考えられ、これらは広義の活性酸素です。
 オゾンが落雷後に発生することはよく知られ、雷が鳴ると豊作≠ニいうのは、落雷放電により大量に発生したオゾンが作物の病原菌を激減させるからです。活性酸素には殺菌力(=細胞傷害性)があり、オゾンなども少量なら殺菌作用の功を奏しますが、多量になると命の危険すらもたらします。
 二酸化窒素も放電によって作られます。オゾンや二酸化窒素の害はあまりいわれていませんが、私は、よくいわれている活性酸素(狭義の活性酸素)以上に、これらが大きな害を及ぼしているのではないかと考えています。
 細胞は、静電気による落雷の攻撃を受け、さらに落雷によって発生した活性酸素からも攻撃されるということになると、静電気を抜くことが病気予防にいかに重要であるかがおわかりいただけたかと思います。