活きた水・健康水としての「プロトン水」

〜電気分解で得られるプロトン(水素)リッチな水とは〜

水学者・ (株)エイチ・ツー・オー総研代表 松尾至晃先生

水の本質は「活きた水」にある

 理学博士の松尾至晃先生は、電気分解水(電解水)の第一人者として知られ、「還元水」や「プロトン水」の名付けの親でもあります。
 松尾先生は水の本当の働きを示す指標は「解離(水が水素イオンと水酸イオンに分離すること)」であることを明らかにされました。同時に、優れた解離度計測法や電解装置を開発されていることでも知られています。
 松尾先生は、「水の選択しだいでは生活習慣病に大きな優位差が生じ、その優位差は水の溶質(溶媒に溶けた物質)にもあるが、特に溶媒(ものを溶かす性質)の機能性にあり、「活きた水」であるかが問題である」といわれています。
 「活きた水」とはすなわち、生体が活性酸素によって酸化体に進行していくのに対応する還元性を有した水であり、還元性を持った水は電子活性が高いために、いわゆるおいしい水や水道水と比較して遺伝子を傷つけない水であることを松尾先生は検証されています。
 松尾先生に、プロトン水を中心に、水の本質である「活きた水」についてお話をお聞きしました。

水の本質と機能性
「水」の本質は溶媒にあり

松尾 水は酸素(O)と水素(H)とで合成された溶液です。
 水は、物理的な視点では電子結合水(H:O:H)とも解釈され、一方、化学的な視点では水素結合水(H2O↑↓H+ + OH-)とも解釈されます。
@水を電子結合から見ると、水の中では水素原子(H)が電子(e-)を放って自らは水素イオン(H+)となって存在しています。従って、水は電子を保有していることを考えれば、その電子は酸化還元反応の素粒子と解釈されます。従って、電子は私たち生物のエネルギーに深く関与していますから、活性酸素などの不対電子に対応したり、「反応速度」に関与します。
A水を水素結合から見ると、プラス電荷を持った水素イオン(別称:プロトン)とマイナス電荷を持った水酸基(水酸化物イオン:別称:プロトンドナー)とに解離した溶液であり、溶質反応つまり「溶解性」に寄与することが考えられます(図1参照)。
 この2つの性質を持った水は、外部からの地殻の放射線や、電磁界、電解などの現象に敏感に反応し、また温度にも反応して解離現象が進みます。
 私たちはこうした水を利用していますが、水元素の実態を調査しますと興味のある事実が浮かんできます。例えば、植物ではプロトン(H+)を出すビタミンCとビタミンCのラジカル性を抑制する水酸基(OH-)を多量に持つポリフェノール類が共存共栄している現象などは代表的です。
 私たち生物が、水に生かされている状況も、酵素反応や活性酸素の生成と消去、さらに解毒と排泄もこのような物理・化学反応の上に立ち、生かされているものと考えられます。
 その水の表現には、溶媒論と溶質論があります(図1・2)。
 おいしい水や遺伝子を撃つ水などに使われる言葉は水に溶け込んだ物質、つまり「溶質論」を表現したものです。
 一方、溶媒論は水自体を表現したもので、生体に良い「活きた水」を求めることができます。

体に良い「活きた水」は プロトンリッチ

松尾 体に良い「活きた水」とは中性領域の中で、水にプロトン(H+)やプロトンドナー(OH-)が入った種類と考えられます。
 その機能性は、
@プロトン(H+)が入った水は、活性酸素(O2-)を過酸化水素まで消去させ、また、細胞修復や消痛などのインパルスのカットなどに応用されます。
Aプロトンドナー(OH-)の水は、溶解性を高めます。植物などの水溶性栄養を補助し、プロトンを誘導する役割があります。
 これら溶媒の原子団の特長は、解離(孤立)してpHの影響を受けず、活性酸素などの不対電子を持った物質に特異的に反応するということが分かってきました。
 つまり体に良い水とは、水酸基を持ち、生体内で活性酸素に対応し、有機合成を促進させる電子活性の高い水と考えられます。
 いま、こうした水は溶質に汚染されて(図2参照)、皆無に等しいのではないかと考えられます。

活きた水 「プロトン水」の本質と役割
プロトン理論

松尾 水は栄養補助食品として飲料水に利用されています。
 その水は体内に取り込まれると溶解能や熱容量、熱伝導、溶解潜熱、表面張力などが普通の液体の中で最も大きいとされ、利用されています。
 さらには、溶解能は物理現象と生物現象を結びつけ、栄養の移動による吸収や微量に溶けたミネラルなど種々の物質の生体に及ぼす影響は大きいものがあります。
 水の横造では水素結合をしており、プロトン(H+)と電子移動(e-)を促進させ、生体中の生理的─生化学的過程に影響を与えている最も重要な溶液です。
 このように、水は、溶解能の物理現象や水の構造から考えると、水を解く場合には化学的に検証しても解けるものではなく、物理現象など特に電気化学的に解析して初めて水の本質や役割が見えてきます。
 それを私たちは仮説として、プロトン理論は生物統一論から「すべての生物は酸化還元対の比に規定され、その平衡反応は電気化学的ポテンシャル差に従う」と提唱しています。
 従って生体内で不対電子(活性酸素)に対応する物は、水や植物由来の水溶性栄養に導き解析を行なってきました。

 活きた自然水について

松尾 自然界の水は地下水や電磁場にあうと、次のような現象が見受けられます。
@地下水は地殻の放射線に遭遇して電子(e-)が与えられて水素ガス(H2)を放ち、マイナスイオンの水酸イオン(OH-)が増加するようになります。
A電磁場の中ではマイナスイオンが与えられて、地殻の放射線と同様に水素ガス(H2)を放ち、マイナスイオンの水酸イオン(OH-)が増加するようになります。
 このことから、自然界での活きた水は、酸化還元反応により水素ガス(H2)を放ち、水酸イオン(OH-)が増加することから「水本来の本質」が見えてきます。

水の物理・化学的現象 ──水素(プロトン)の解離結合

松尾 水はプラス電荷を持った水素イオン(H+)とマイナス電荷を持った水酸イオン(OH-)とが水素結合をしてH2Oとして表現されています。
 この水素結合は常に解離結合を繰り返して振動をしています。
 温度が高いと高エネルギーで振動をし、解離結合しています。温度が低い氷状態では振動は停止状態です。従って、水は温度により解離結合の振動が起こっていると考えても過言ではありません。
 しかし、その解離結合は温度以外にも起こることが分かってきました。例えば、地殻の放射線では電子を受け取り、電磁界ではマイナスイオン化が促進し、さらには電気分解による電子が与えられると、解離結合が進行します。そこでは水素ガス(H2)を放ち、水酸イオン(OH-)が増加することが知られています。
 こうした水の特長からいえることは、水は温度エネルギーや、常温でも外部からの物理的な自然エネルギーが与えられると、解離が進行し、水酸イオン(OH-)が増加します。
 単なる水といえども、その本質は、特に生物にとっての水は解離した水酸イオン(OH-)、つまりマイナスイオンを用いて電子的な役割を果たして還元して、私たちは生かされていたとも考えられるのです。

解離度から見た水の提案 ──水の電気分解と 活きた水「プロトン水」の生成

松尾 水はH2Oとして周知です。その水は水素イオン(H+)と水酸イオン(OH-)とに解離結合していました。その解離度(Kw)は、標準状態(25℃、一気圧)では14一定とされているところから、水の研究はなおざりにされてきました。
 しかし、発電所などで水を400℃に加熱した場合には解離度は11に進行し、常温に比較すると水酸イオン(OH-)の解離度は1000倍もの解離度が進行しているわけです。
 そのことから、加熱エネルギーだけではなく、水を常温で電気分解すると、弱電解で水酸イオン(OH-)が13・5に解離し、また特殊な電解をすると水酸イオン(OH-)が12近辺に解離することが分かってきました。つまり、通常の水と比較すると、特殊な電解では水酸イオン(OH-)が100倍もの解離が進むことが計測により分かってきました。
 そうしたことから、水は弱電解ないしは特殊電解に求めると水酸イオン(OH-)が増加することから、私たちが「活きた水」として求めるには、マイナスイオンを過剰に持った水酸イオン(OH-)を求めることが必要不可欠と提案されます。

水酸イオン(OH-)の重要性 ──ビタミンCなどの水溶性栄養素と水酸イオン

松尾 元来水は、水酸イオン(OH-)を利用して機能性を求めていたのではないかと考えられますから、それを分かりやすい言葉で示すと、野菜などの水溶性栄養素で調べると理解されます。
 例えば、水溶性栄養素のビタミンCやポリフェノール類の関係を調べると、ビタミンCは2個の水酸イオン(OH-)を持ち、活きた水との反応で水素イオン(プロトン)を誘導して、活性酸素に対応しています。
 しかし、ビタミンCが活性酸素に対応した後は、プロトン(H+)が無くなります。そしてプロトン(H+)が無くなったビタミンCは自ら活性酸素になるために、植物由来の水酸イオン(OH-)を多量に持つポリフェノール類からビタミンCは水酸イオン(OH-)を受け取ります。従って、ビタミンCは酸化されずに活性化されてビタミンC本来の機能性を保つとされています(図3)。
 このような水溶性の反応は、私たちの細胞でも電子(水酸イオン(OH-)は過剰電子として機能)を用いて行なわれる現象です。
 従って、水の水酸イオン(OH-)や植物由来のビタミンCやポリフェノール類は生体を酸化させないような力を持ち、その機能性は活性酸素の立場から表現すると、水酸イオン(OH-)は「プロトンドナー」として重要な役割を果たしている可能性が示唆されます。

生命体の営みはすべて
「酸化還元反応」によるミトコンドリアでの酸化還元反応

松尾 すべての生物は、何がしかのエネルギーを用いて生かされています。
 植物は紫外線によるエネルギーを用いミトコンドリアで光合成を行ないます。動物も細胞のミトコンドリアでエネルギーを獲得し活動しています。
 つまり、動・植物は双方エネルギーの獲得方法は異なりますが、共通性としてミトコンドリアでコントロールされているといっても過言ではありません。
 そこで行なわれるエネルギーの獲得は、例えば食物からグルコースを得て、呼気による酸素と反応し炭酸ガスと水に分解されますが、ミトコンドリアでは生体内の仕事、生合成、筋肉運動などに必要なエネルギーの貯蔵でいわれるADP(アデノシン二リン酸)や、エネルギーの放出のATP(アデノシン三リン酸)が働いています。
 この結果、ミトコンドリアでは発熱反応を維持しています。この発熱反応は別の表現で表わしますと「酸化還元反応」ともいわれ、電子の移動によるものです(図4)。
 このことから、生体エネルギーは電気化学的に表現され酸化還元反応によるものと考えますと、酸化体である酸素(O)と還元体である水素(H)のバランスで反応しているものと考えられます。
 つまり、私たちの体はミトコンドリアでエネルギーを獲得しており、ミトコンドリアでエネルギーを獲得していくということは、細胞内部が中性でなければいけないですから、水酸イオン(OH-)が多くても困るし、水素イオン(プロトン: H+)が多くても困る。そこで細胞が、酸素イオンと水素イオンを調整しながら働いていることで、生命の恒常性が維持されているというわけです。すなわち、私たちの体は常に酸化還元反応を起こしながら、生体の恒常性維持を図っているわけです(図5)。
 式ではO/Hと表現されますが、分母のHが大きいと還元体であり、分母のHが小さいと酸化体と考えられます。従って、私たちの生体は酸化と還元の比によって活動しているものと考えられます。

「活性酸素」は電子の過不足現象 ──活性酸素の消去と、生体酵素と水

松尾 恒常性が破綻すると病気になります。例えばガンは、細胞が熱エネルギーを出して酸化している電気化学的な現象と捉えることができます。
 それを俗に「活性酸素」と表現されますが、活性酸素とは電子の過不足現象です。ですから、電子が多かったら少なくし、少なかったら足してあげなければいけない。これが酸化還元反応、すなわち発熱反応の大きなポイントです。
 私たちの生命反応で生じる活性酸素は、ミトコンドリアの発熱反応によって生じ、活性酸素の生成と消去反応が発生します。
 活性酸素の消去には、生体の還元酵素(活性酸素消去酵素)を用いて消去されていますが、その生体酵素は水分子の電子(e-)を伴ってプロトン(H+)が誘導されて生成されます。すなわち、水でなければ生体酵素は働かないのです。
 ここが非常に重要なポイントです。電子が水から与えられて、そしてプロトンが誘導されて活性酸素に対応するわけですから、プロトンでないと活性酸素は消せません。
 水を私たちが飲むというのは、電子を供給するという意味では、活性酸素を消すためでもあるのです。ですから、電子の多い水が一番有難いわけです。
 例えば、生体内で働く還元酵素の代表に、チトクロームCだとか、NADだとか、ユビキノンなどがあります。
※チトクロームC(cytc)は、水からもらってきた電子が1個与えられて、その酸化体が還元されていきます。Fe3+-cytc+1e=Fe2+-cytc(-350mV)
※NADは、2電子をもらってプロトンが誘導されて消していくわけです。NAD++2e-+H+=NADH
※ユビキノン(UQ)は2電子を受けて、2H+が添加されて二つの水素になります。UQ+2e-+2H+=UQH2
 このようにして、私たちの体は常に酸化還元反応を起こしながら、生体の恒常性維持を図っているわけです。
 従って、私たちの健康を考えるときに大切なことは、いかに生体酵素を働かせるようにもっていくかにあり、それには水の電子の役割が大きく関与していますから、水を忘れて健康維持を考えるには無理があるように思えるのです。
 恒常性維持には、活性酸素に対応することが重要です。それには水が最適だと示唆され、さらには電子の多い水が求められるわけです。活性酸素自体が電子の過不足現象ですから、プロトン理論は、生物統一理論として重要で、「すべての生物は酸化還元対の比に規定され、その平衡バランスは電気化学的ポテンシャル差に従う」という仮説に従えば、恒常性維持すなわち活性酸素に対応するには水が最適だと示唆されます。
 あるいは植物由来の水酸イオンを多く持つ栄養物(ビタミンCやポリフェノール類)の活性を促進させるような水が求められます。

プロトン水と健康
活性酸素の消去と プロトン水の供給

松尾 私たちの生命活動は活性酸素にどのように対応するかが大きな課題といえます。
 活性酸素はあらゆる食事や薬そして生体反応で産生され、水酸ラジカル(・OH)が生じ細胞を傷つけることから、今ではスーパーオキサイド(O2-)よりも非常に問題視されています。
 図(図6)は、活性酸素(O2-)がプロトンの免疫機構で4(H++e-)を用いて、最後に水に消去されていく過程を示しています。
 呼吸から得られた酸素(O2)が電子(e-)を受け取り、病気の元とされる活性酸素種のスーパーオキサイド(O2-)が生じ、それを消去させるために生体ではさらに免疫機構が働き2個のプロトン(H+)を供給して、過酸化水素ラジカル(・OOH)を通して過酸化水素(H2O2)にまで消去しています。
 しかし、過酸化水素が過剰に発生すると発がん性が生じますから、生体ではさらに電子(e-)が与えられて、過酸化水素は水酸ラジカル(・OH)と水酸化イオン(OH-:別称・水酸基)とに分解されています。
 この水酸ラジカル(・OH)は電子1個不足しているために強酸化性を示しますので、さらに電子を受け取り水酸化イオン(OH-)となり、最終的にプロトン(H+)が供給されて「水に消去している」ことが示されています。
 ここで問題なのは、水酸ラジカル(・OH)の消去です。それには電子の供給が必要ですから、過剰電子水ともいわれるプロトン水を供給する手段が有効的ではないかと考えられます。

健康の鍵となる 「植物性抗酸化物質」と 「プロトン水」の組み合わせ

松尾 健康の基本は、水とファイトケミカル(植物性化合物すなわち植物性抗酸化物質)であると私は思います。例えば、いかにガンを消すかは、いかに生体酵素を生かすかというところにもってこなければならない。ところが、抗がん剤では生体酵素は活性化されず、体を弱らせてしまいます。ではどうやって治すのか。
 プロトンの非常に多い水をファイトケミカル(植物性抗酸化物質)を利用して飲ませる。そうしますと、ガンが消えてなくなるというケースを多く私は見てきています。
 例えば、治癒率が低いといわれる膵臓ガンの方を5例の報告では、一番最初にいえるのは血液造影剤だとか高濃度注射液は絶対打ってはいけないということです。なぜなら、膵臓ではモヤシみたいな皮膚ができています。そこに高濃度薬液を入れたら、モヤシになった細胞は破れて2〜3日で亡くなってしまうのです。その教えを守られた人は生き残って今でも現役です。
 今、抗酸化をうたう健康食品が沢山出ています。そのときに大切なのは、水酸基(OH-)をどのくらい持っているかです
 例えば、ビタミンCは水酸基(OH-)を2個持ち、水が与えられて1個プロトン(H+)を出して活性酸素に対応します。では、ビタミンCを沢山飲んでガンが治せるか。そんなことにはならない。
 熊本大学医学部の前田浩教授(現名誉教授)らの研究では、野菜スープはガン増殖に最も凶悪な過酸化脂質ラジカルを消すことが分かりました(図7)。結論は水酸物の力であるということです(図7)。
 他の抗酸化物質、カテキンにしてもポリフェノールは水酸基を沢山持ち、それが水との反応で増強されて、効果を示していくということを考えてみれば分かることです。鍵は、水の力と植物由来の栄養ですね。ビタミンC然り、ポリフェノール然りです。
 水素(H)を誘導するものはビタミンCだけしかなく、水酸基(OH-)を沢山持って、Hを誘導するにはポリフェノールだけしかない。そうすると、野菜はビタミンCもポリフェノールも持って共存共栄しています。従って、水素と水酸基を沢山持った植物性抗酸化物質とプロトン水とを組み合わせれば、大抵の病気は防げる、改善していくことが期待できるのです。
 結局、プロトン水は植物への増強作用と考えていただけたらいいのではないでしょうか。植物の持つ抗酸化作用を増強させるということですね。

皮膚の細胞修復

松尾 怪我をして縫合すると傷が残る。酸化水で湿布するとどこを切ったかわからないようになります。
 頭から天ぷらの揚げ油をかぶって大火傷を負い、「明日、皮膚移植をしましょう」ということで包帯を巻かれたケースでは、そこに酸性水を頭からかぶったところ、火傷の痕がなくなりました。これが酸性プロトンの役割ですね。
 火傷でできる水疱はアルカリ性だから緑膿菌が出てくる。それでどんどん患部を蝕んでいく。そのために強烈な消毒剤を塗って手術するのでしょうけれども、強烈なものを塗るが故に蛋白変性を起こします。ところが、酸性水で湿布すれば水疱は酸性側に傾きますから、それで自分の細胞の方へくっついて治ってしまうということですね。
 某病院では糖尿病壊疽にも酸性のプロトン水を用いて効果を上げています。
 アトピーではステロイドを塗りますが、一過性で次の瞬間また再発する。ところが強烈な酸性プロトン水をつくって親水軟膏クリームをつくり、ずっと塗っていると治ってしまうことがあります。

水を変えれば 腸内がきれいになる

松尾 自然界の水ではH2と水酸基(OH-)が出てきます。これが自然界の水の摂理です。
 そうすると、私たちの体であまり汚れたものを食べすぎると、小腸はその毒を消すために過酸化水素を生成します。
 消化管の中では乳酸菌などの微生物が働いています。乳酸菌が働きすぎるとまた、過酸化水素が生成されます。
 では過酸化水素をどうやって消すかといいますと、水酸基が働いて消すことができます。ですから、水を変えただけで消化管内がきれいになるのは頷けるわけです。

プロトン水Q&A
プロトン水は安定 ──電解水の呼称の違い

──電解水の呼称にアルカリイオン水・還元水・プロトン水などがありますが、その違いはなんでしょうか。
松尾 還元水もプロトン水も私が名付けたのですが、生成方法は全て電気分解で、反応系は同じです。
 違いは、アルカリイオン水は、陰極側にミネラルが移動してアルカリになるという化学的表現です。
 還元水は、電解したときに出てくる水酸イオンと水素ガス(H2)の還元力を表現したもので水素ガスは持続性が低いとされています。
 プロトン水は、主に水(溶媒)の解離した水酸イオン(OH-)に求めたものです。溶存水素はガスですから持続性がない。そうすると、本来の溶媒の水の性質から考えると、安定した水の力というのは水酸基(OH-)にあり、水酸基は過剰電子といいまして安定しているのです。安定して存在するために、植物由来の水酸イオンを多く持つ栄養物(ビタミンCやポリフェノール類)の抗酸化作用を促進させます。
 プロトンと植物の融合、ファイトケミカルの美容への応用などを考えていく時には、水の溶媒が安定していなければならない。それはガスでは意味がないのです。
 還元水という言葉は、自分がつくっておいて否定するのはおかしいですが、「安定性」とか「持続性」という意味からは、やはりプロトン水と表現するのが一番妥当かと思います。

還元水と酸性水の違い

──プロトン還元水とプロトン酸性水の違いはなんでしょうか。
松尾 電解装置は、水に隔膜を介して直流電圧を印加し、酸・塩基性の水および溶媒の解離度を進行させる生成装置です(図8)。
 陽極槽内では過酸化水素やスーパーオキサイドが生成されますが生成された水では消滅されています。また次亜塩素酸などが発生します。これが陽極水、プロトン酸性水と呼ばれるものです(表)。
 陰極槽内では水に含まれている塩素系及びトリハロメタン類を1電子還元し無害化します。また溶媒の特長である溶存水素(H2)や水酸基(OH-)が多く発生します。これが、陰極水、プロトン還元水と呼ばれるものです(表)。
 その用途については別紙(20頁)を参照にして下さい。

アクアポリン

──プロトン水はアクアポリンも通るから効くというのは本当ですか?
松尾 アクアポリンは水分子の輸送に関係するシステムで、細胞膜に存在する細孔を持ったタンパク質のことです。水分子のみを選択的に通過させることができますが、イオンや他の物質は透過させない水チャネルでもあり、水チャネルが働くことで水の細胞膜透過性が上がっています。
 なぜプロトン水がアクアポリンを通過するかというと、プロトン水自体、溶媒をHとOHに解離させたものですから、そうすると、H2Oの分子数が約9、OHの分子数は8で、1個Hが足りません。アクアポリンは、水分子を一つずつ切って通すわけですから、9の水を通すよりも、8の水を通した方がいいわけですよね。
 そういう意味合いでは、解離させた水の方は通しやすいという風に理解できるのではないかと思います。