自分の声の素晴らしさに気づいて欲しい!自分の声を細胞レベルで共鳴させる「ジニアス・トーン」
〜記憶・学習能力増大効果から心身の健康向上効果も〜
日本大学工学部 「次世代工学技術研究センター」医療工学研究室
スウェーデン王立ウメヲ大学名誉博士 尾股定夫教授
最新のバイオメディカル工学(生体医工学)を駆使し、 "人の健康と幸福”に役立つ科学を創出
尾股定夫先生は、最新ハイテク医療機器を備えた日本大学工学部「次世代工学技術研究センター」を拠点に、医学と工学の連携による医療診断・治療システムや次世代医療機器等の研究開発に取り組み、数多くのバイオメディカル技術や次世代医療機器を考案・開発されています(表1)。
人の手のような触覚特性をもつ「ハプティック(触覚)医療技術」を応用した「触覚センサ」の医療応用研究では、平成15年にスウェーデン王立ウメヲ大学より名誉博士号を授与されました。
さらに尾股先生は、臨床現場だけではなく、一般の人が日常手軽に用いることのできる医療・健康機器の開発にも積極的に取り組まれています。
その一つ、 携帯サイズの「乳がんチェッカー」はマンモグラフィのような手間はかからず、痛みもなく、女性が自宅で手軽に乳がんをチェックできるものです。
また、自分の声を自分の身体に共鳴させる「ジニアストーン(Genius Tone)」は、学習やイメージトレーニングに大きな効果を発揮する画期的なヘッドフォンです。取材者も実際に使用して、知らないうちに構築されていた心身のバリアやトラウマ、ストレスから解き放された体験を味わいました。
尾股定夫先生に、「ジニアストーン」を中心にお話を伺いました。
医療診断・治療システム
次世代医療機器の開発研究
「位相シフト法」の開発と応用
尾股 「位相」という言葉は、一般の人にとりましてはなじみのない言葉で、理解するのが難しいですが、基本的には、山彦のように、自分の発した声が反射して返ってくる時に、直ぐに戻ってくる音と遅れて戻ってくる音がありますが、二つの声の反射に遅れが生じることを位相といいます。このような波の遅れは反射する対象物の特性や、波が伝播する時の媒質によって決まりますが、このような性質は、音波や電波など、身近なところで常に発生しています。
そこで、私は、この位相の特長に注目をしまして「位相シフト法」という新しい計測法を考案して、世界10数ヶ国で特許を取得しました。この特許を応用して出願したものは現在約70件ほどあり、そのうち30件が特許として認められ(表1参照)、その功績により、スウェーデン王立ウメヲ大学より「名誉博士」号を受賞しました。
手の触覚に匹敵する 「触覚センサ」
尾股 人間の五官のデバイス装置の開発研究では、目(視覚)や耳(聴覚)の分野はものすごく科学技術が発達していますが、人間の手(触覚)に関する研究開発はべらぼうに遅れています。
しかし、「目」のつく漢字は約126字ほど、耳は60字余りなのに、手になると640字余りもあります。手の触覚は情報量が断然多いことを昔の人は知っていたんですね。手はインプットしながらアウトプット機能ももっていますから情報量は多いわけです。そのくらい多機能であるにも関わらず、人間の手に相当する研究開発では何一つ実用化になったものはないのが現状です。
触診と手当ては今もって行われ、手技の重要性は変わることがありません。問題は、手技による触覚感覚を定量化・記録・伝達できず、普遍化できないことです。
私は1980年代から手の触覚の研究を始めて、位相シフト法の原理を応用して人間の手に匹敵するセンサを開発しました。
超音波を利用して、人間の指の代わりに数ミクロンのセンサーが細胞に触ると細胞のどこがどう硬いかを画像でイメージングができる装置では、がんの増殖過程を継続的に観察できるので、がん細胞増殖のメカニズムの解明、がんを初期に抑える新しい治療法の確立、有効な新薬の開発にもつながると期待されています。
女性が自宅で簡便に乳がんのしこりを検査できる乳がんチェッカーの開発では、まずプロトタイプ1号として、正常部位と病変部位との硬さの違いを測定して定量的かつ簡便に計測できる64 ch(チャンネル)型の乳がんチェッカーを開発しました(写真1)。さらにプロトタイプ2号として、血流量を高精度に計測するために開発した光センサをアレイ配置して、腫瘍細胞に増える血流量を検知できる乳がんチェッカーを開発しています(写真2)。プロトタイプ2号は片手でもてる携帯サイズなので、本当に簡便に自宅で乳がんチェックができます。
心身への無限の可能性
「Genius Tone」
自分の声を前頭葉に
響かせると…
こんなに素晴らしいことが
尾股 音は波を出してはね返ってくる時に当然、対象物の特性や物性の影響を受けて返ってきます。その返ってきた信号を全部拾って、私共が開発した「位相回路」という補正回路でその音を出す方に送ってやると、システム全体で共鳴現象が起きます。そうすると、感度が数千〜数万倍にも上がって非常に良くなり、いろんなことができるようになります。
この「位相シフト法」の波動共鳴現象が、感度を著しく上げるという特性は、人間の健康にも応用できるということで、今それを発展させた非常に面白い特殊な装置を開発しています(図1)。
4chのマイクで自分の声(「ア・イ・ウ・エ・オ」の母音)を左右の側頭葉にある聴覚で拾って位相回路で調整すると、(そこには聴覚はないのに)前頭葉で共鳴を起こしているように感じるようになります。この時、前頭葉の脳血管にはたくさんの血液が流れることを、「光トポグラフィ装置」(日立製)によって確認しました。その結果には皆、驚いています。
そのように自分の声を調整した上で、「私は素晴らしい」とか、「ありがとう」とか、肯定的で、プラスイメージの言葉を発すると、集中力が高まったり、記憶力が良くなったり、学習効果が非常に上がるんです。
もっと素晴らしいのは、気持ちが安らかになって、優しくなったり、自分自身に感動できるようになることです。精神的なバリアやストレスが取り除かれて、新しい自分に生まれ変わったような、あるいは、本来あるべき自分に立ち返ったような、そんな感動を覚えるんですね。
これは、この装置を開発中に私自身が体験したことですが、自分自身や、妻や子、両親、研究室スタッフなどに心を向けて、この装置を使って「○○さん、ありがとう」と感謝の言葉を毎日声に出していましたら、1週間ほどで、これまで被っていた鎧兜、自分を飾っていたものが全部取れて、非常に素直になった感覚を覚えたんです。
この装置は「ジニアス(才能)を見出すトーン(声)」という意味で、「ジニアストーン(Genius Tone)」と名付けましたが、今、このジニアストーンを、子供から大人までいろいろな人に試してもらっているところです。そうしたところ、登校拒否やうつ病になっていた子供たちが突然学校に行き出したり、難聴気味の人が突然聞こえるようになったり、鳥肌が立つような素晴らしい効果がどんどん報告されています(図2)。
自分の声が遺伝子レベル、 細胞レベルで共鳴する
尾股 では、そのメカニズムは一体何かというと、自分の声による共鳴現象が、遺伝子レベル、細胞分子レベルで行われているということだと思います(図3・4)。
この声は自分だけの声であり、先祖の遺伝子がずっとつながっている結果がこの自分の声です。そうすると、自分の体をつくっている1個1個の細胞も、まさに自分の声と同じ遺伝子をもっていますから、この声が自分の細胞に直接、全身に行き渡るわけです。
ですから、自分の声が発する言葉が、脳や心臓をはじめとする臓器や組織レベルに共鳴し、骨にも伝わっていきますから、体にも心にも良い影響が出てくるというわけです。
原理は自分の声。これはもう最大の武器です。他の人の声ではここまで、要するに、原始的な人間の心の深部にまでは共鳴しません。もちろん、声は他人とのコミュニケーションのためにあるわけですし、私たちは素晴らしい音楽に共鳴も感動もしますけれど、自分の声との共鳴とは、その感動の質が違うのです。
原点に戻す細胞のメカニズム 「ホメオスタシス」と、 体の水分とストレス
尾股 実は人間の体は、原点の健康に戻そうという細胞のメカニズムがあります。「ホメオスタシス」、恒常性という機能ですね。
病気でも、自己治癒力という、本来の健康に戻す力があるから治るのであって、細胞自身が元の姿に戻るための一つの方法が、医薬であったり、食事や水であったり、自分の声であったり、あるいは、癒しの音楽であったりするわけです。
そうした方法を用いることで、もともと細胞自身に元の原点に復帰しようという力がありますから、ストレスなどによって生じたいろんなアンバランスが調整されて、中には奇跡的といわれる治癒効果も生まれます。
でも、実際は奇跡でも何でもなく、変調を来したバランスが支配していたのを、単に元に戻してあげた結果なんですね。
我々の遺伝子からつくられる蛋白質などは、細胞の中に入ってる体液に影響を受けています。
体液の主成分である水≠ニいうのは非常に外部の影響を受けやすく、もともとプラスとマイナスの電気を帯びているので、ストローをキュッキュッと帯電させて水道水に近づけると、水道水の水は簡単に曲がります(図5)。
ましてや、我々の体はほとんどが水ですから、ストレスが溜まったら影響を受けないはずはないんです(図5のキャプション)。
というのは、我々の原始的な細胞は「危ない!」と思ったら、自分を守るために細胞はキュッと萎縮して他の情報を受け付けないようにします(図6)。
その後に、リラックスすると、ウワーッと細胞が伸びてきます。その緩急のバランスがうまくとれていればいいわけですが、萎縮しっ放しだと筋肉が緊張し血流が滞り、極端になると元の細胞になかなか戻れなくなります(図6)。
その細胞を元に戻してやる原点は、やはり我々のもっている遺伝子であり、我々の声を細胞にフィードバックして戻してやれば、細胞のホメオスタシスが働いて、ちゃんと元に戻るというわけです。
自分の声の素晴らしさに
気づいて欲しい!
自分の声は最良のビタミン
尾股 我々人類、一人ひとりがもっているこの声は、先祖や父母から受け継いだ遺伝子の情報から生み出された結果として、この声の質が決められているので、自分の声が父親の声と似ていたり、母親の声と似ています。
電話の息子の声を父親の声と間違えたり、娘の声を母親の声と間違えたりするのは、まさにこの遺伝情報から生まれた固有の特徴をもった声が自分自身であり、世界の60億人の人々と全く同じ声の質をもった人はいないのです。
このことから、自分自身のこの声が、私たちの体をつくっている細胞レベルから組織レベル、骨格にまで共鳴することになり、オギャッと生まれた時から今も、私たちの細胞は毎日、自分の声に共鳴しながら元気になったり、元気を失ったりして、今日まで生きてきたわけです。
しかもこの声は人類の響きとして、時にはワイングラスの響きと同じように(グラスの形、厚み、ワインの中身などによって響きが様々に変化するように)、共鳴を強め合ったり、弱め合ったりして、また、不協和音になったりもしますが、永遠に続きます(図7)。
この声は誰でもない、自分自身の声なので、この自分自身の声の素晴らしさに気づくことによって、自分自身を勇気づけたり、励ましたりするのに最良のビタミンとなるのです(図8)。