ヨモギのすごい力

──その多彩な効能と活用法

よもぎ健康法研究会会長 日本ネオ灸燻蒸療法普及会会長 大城築先生

奥深いヨモギの魅力──よもぎ博士からのメッセージ

 ヨモギの研究を始めて30余年。日本で初めてアルテテラピー(ヨモギ療法)を創始し、健康指導に携わり、多くの方の症状改善、健康増進に驚くべき成果をあげ、そのすばらしい力には今でも日々感動の連続です。
 2200年前秦の始皇帝の命で徐福が不老長寿の薬として求めたのが「黒茎のヨモギ」です。信長は滋賀県境にある伊吹山にポルトガル人宣教師に命じて薬草園を設け、ヨモギを植えさせたということです。今この薬草園はありませんが、伊吹艾は今でも有名です。江戸時代中期、儒学者・新井白石は朝鮮の風習を導入し、ヨモギの多くの効能に注目し、よもぎ草もちを普及させたようです。
 環境破壊等でいくつかの生物が消滅し、医学の進歩とは逆に病が増加している中で、沖縄高齢者の多くはクーラー病の予防と健康維持に、手づくりのヨモギ座布団を使っておられます。
 ヨモギの薬効は、近年科学的に解明されつつありますが、なお、解明しきれない程、奥深いものがあります。
 一人でも多くの方々にヨモギがお役に立つよう、利用法をさらに研究し、ヨモギの利用が広まれば科学的分析は後からついてくることと思います。ぜひ実際にヨモギの神秘の力に触れてください。

ヨモギの出合いと アルテテラピー (ヨモギ療法)
古来、世界で愛されている 薬草のダイヤモンド

大城 「春は曙」、「花は桜」といわれますが、私は常々「春はヨモギ」、「花もヨモギ」といっています。しかも、四季を問わず一年を通じて、その恩恵に浴することができるのがヨモギなのです。
 ヨモギの学名「アルテミシア属(Artemisia princeps Pampanini)」は、ギリシャ神話で健康の守護神とうたわれた、女神アルテミスの名が由来です。
 その効用は古くから世界中で認められており、フランスでは俗名「エルプ・ロワイヤル(王の草)」、アイヌでは「カムイ・ノヤ(神の草)」、中国では「医草」・「愛の草」、韓国では「やせるお茶」などと呼ばれています。
 日本では春のヨモギ摘みは一種の風物詩となっており、身近にある薬草としても最もポピュラーに使われ、食用をはじめ、着る・浴す・寝る・塗る・癒すなど実に多彩に利用されてきました(図1)。
 科学万能主義、近代医学全盛の時代になって、こうした素朴な薬草利用の知恵の多くはいつしか忘れられてしまいましたが、今再びヨモギの旺盛な生命力をまるごと活用することが必要な時代になってきています(図1)。
 日本独特の気候風土に合ったヨモギは、日本人の生理機能を活発にするのにはうってつけの、まさに薬草のダイヤモンドなのです。

高血圧が改善!
アルテテラピーの研究へ

大城 私は高校教師をしていた30代、健康診断で「血圧が高い。要注意」といわれ、病院では良くならず、そこから薬草の研究が始まりました。
 研究の過程で、「ヨモギの青汁」が良いことがわかり、しばらく続けましたが、青汁に用いる生のヨモギを毎日確保するのは大変です。いろいろ考えたあげくに、ヨモギを春から夏に採取して乾燥させ、お茶として煎じて飲むことを思いついたのです。
 それを継続して飲むことで健康を取り戻し、ヨモギのすばらしい力を身をもって経験したわけです。身近にある植物で、こんなにすばらしい効果を体験し、病気で悩んでいる人々に伝えてあげられたらと思うようになったのが「アルテテラピー(ヨモギ療法)」の始まりでした。
 アルテテラピーは私の造語ですが、これは、アロマテラピー(芳香植物の精油を利用した療法)に優るとも劣らぬ効果と手軽さを備えた、ヨモギ活用法の総称です。

「ヨモギ」の健康パワー
身体を温める ──冷え症・虚弱体質に最適

大城 ヨモギは誰にでもすすめられる薬草ですが、特に、身体を温める性質が強く、虚弱体質や冷え症などには最高の健康食品となります。
 ヨモギにはビタミンA・B1・B2・C・D、ミネラルのカルシウム・鉄・カリウム・ナトリウムなどの微量栄養素がバランスよく含まれています(表1)。
 さらに、豊富に含まれるタンニンやクロロフィル(葉緑素)などの生理活性物質(ファイトケミカル)や、シネオール、アルファーツヨン、セスキテルペンなどのヨモギ独特の精油成分が総合的に働いて、血液循環や新陳代謝を高めてくれるのです。

精油のリラックス効果

大城 青々としてみずみずしい香りの主成分は、シネオール、アルファーツヨン、セスキテルペンなどの精油成分です。
 全草重量の約0・02%と微量ではありますが、日常ヨモギの香りに接することで、アロマテラピー効果が期待できます。ヨモギの香りに包まれることで、心身をゆったりとリラックスした状態にするのです。
 シネオールには、交感神経を抑えて副交感神経を高め、脳の神経を鎮静化し、睡眠を促す効果があります。
 アルファーツヨン、セスキテルペンは目の充血を改善する有効成分ともいわれ、パソコンなどによる疲れ目、花粉症の涙目にすすめられます。

クロロフィルの宝庫 ──浄血・造血等の効果

大城 ヨモギに含まれる豊富なクロロフィル(葉緑素)は、他の野草や薬草に比べて良質で効力が強く、体内での働きが迅速かつ活発という特徴があります。
 クロロフィルは青い血液ともいわれ、血液をきれいにする作用(浄血作用)があります。さらに、ヨモギクロロフィルには、造血、殺菌・制菌、末梢血管の拡張、新陳代謝促進、抗アレルギー、肉芽形成などの作用があり、がんをはじめとする多くの生活習慣病の予防効果、傷の治りが早くなる効果があります。
 また、クロロフィルと食物繊維を一緒に摂ると、食物繊維のもつコレステロール低下作用が強化されます。私が指導した中では、便通の改善、肥満防止、糖尿病改善などに効果がありました。

苦味・アクが、 身体を活性化

大城 少々のアクは生理作用に対して刺激となり、いくつかの効用があるともいわれているので、ある程度残っていても気にせず、むしろ珍重すべきものです。
 ヨモギに含まれる苦味成分(タンニン等)は、虚弱な臓器を刺激し活性化する働きがあり、強い刺激を与えるにはもぐさ灸(熱)として、弱い刺激を与えるにはお茶(温)にして飲みます。
 アデニンをはじめとする苦味の成分群には、老化防止、心臓機能の正常化、血液循環の促進、消炎、止血、保温等の各作用があります。
 これらの成分はクロロフィルなどとの相乗作用で、患部の痛みを抑えたり、潰瘍の進行を防いでくれると考えられます。

ダントツの活性酸素消去力と 老化・がんの予防

大城 近年多くの病気や老化に、活性酸素の関与がいわれています。
 愛媛大学医学部の奥田拓道教授は、ヨモギやオオヨモギの乾燥葉から取り出したタンニンが、老化を促進する過酸化脂質の生成を、強力に抑制することを確認されています。
 熊本大学医学部の前田浩教授は、活性酸素の中でも凶悪で、がんや動脈硬化に深く関わっている過酸化脂質ラジカルの消去能を200種類以上の野菜、山菜で調べられ、ヨモギ(熱水抽出液)のラジカル中和能は最も強いことを突き止められました(本誌08年5月号・bS14インタビュー)。
 東京大学医科学研究所の佐丸義夫講師も、各種の野草・野菜をマウスに与えた実験の結果、ヨモギを与えたマウスの寿命が長く、抗がん効果があったと報告されています。

コリンと若返り促進

大城 ヨモギに含まれているコリンも老化防止、心機能の正常化に働き、動悸、息切れ、肝臓障害を防ぐのに有用な成分です。また、腸内でビタミンA・B1・B2・B6、ニコチン酸、葉酸、ビタミンKなどが合成される上でも欠かせない物質です。
 ビタミンB1は粘膜や皮膚を強くしますし、B6も皮膚、粘膜の修復再生を促進し、皮膚の抗アレルギー作用を強化しますので、アトピー性皮膚炎や、その他のかゆみを伴う皮膚病にもヨモギはおすすめです。

有用酵素の宝庫

大城 栄養素の消化吸収、体内で生成された不要な物質の分解・排泄には各種の酵素群が必須です。
 ヨモギに含まれる酵素については戦前、熊本薬学専門学校の酒井亮次、北島酉一両氏の報告があり、報告によるとアミラーゼ、インベルターゼ、カタラーゼなど10種類程が確認されています。
 他の植物は一般に、せいぜい2〜3種類の酵素を含むだけです。ヨモギはその豊富な栄養を有効に利用する条件も備えた野菜だということです。

マラリアへの効果

大城 中国では昔からマラリアによる悪寒・発熱の治療にヨモギの一種が用いられ、1960年代には単なる解熱作用だけでなく、マラリア原虫を殺す有効成分「アルテミシニン」も見つかりました。
 その後、WHO(世界保健機構)やUNDP(国連開発計画)などが米陸軍の研究機関に製薬化を要請し、「アーティシア」と名づけられたマラリアの新薬、注射液が開発されました。

インターフェロンを増やす

大城 インターフェロンの発見者である小島保彦博士は、ヨモギのクロロフィルに結合している物質が、体内でインターフェロンを増やすことを突き止められました(本誌03年10月号・bR58インタビュー)。
 その後、がんをマウスに移植し、ヨモギ抽出液を飲ませたところ、がんが小さくなってくることも確認され、さらに飲用を中止すると元に戻ることも確かめられ、ヨモギ葉の抗がん作用を明らかにされました。

最近の研究 ──肝機能改善効果

大城 最近の研究では、肝臓疾患の目安であるGOT、GPTを低下させる働きが明らかになっています。胆汁分泌促進作用もあり、体内脂肪を減らし、抗がん効果も証明されています。
 これらの作用は、ヨモギに含まれるベータピネン、カピレン、ジメチルエスクレチンなど精油成分によるもので、また、クロロフィルとの相乗効果も見逃せないと考えられます。

医療現場での 応用・研究

大城 以上のようなヨモギの力を、実際の治療に応用する試みや研究は医療の現場でも進められています。
〈がん予防・肥満防止・美肌効果
──斉藤隆・斉藤医院院長〉
 ヨモギ茶は余分な脂肪を分解して体外に排泄する働きがあるとして、すすめられています。
〈心臓病など
──伊沢一男・星薬科大学名誉教授〉
 ヨモギの成分には、老化防止作用と心臓の機能を正常にする働きがあり、さらに血液循環を良くするとされています。
〈動脈硬化
──尚弘子・琉球大学教育学部教授〉
 ヨモギの煎じ汁には、血液中のコレステロールなどに好影響を与える作用がありそうだといわれています。
〈冷え症・婦人病・貧血
──久保道徳・近畿大学薬学部教授〉
 ヨモギはあらゆる婦人病に用いて良いといわれ、生理不順、不正出血、膀胱炎、貧血など、女性に多い身体のトラブルに優れた効果があるとされています。お茶代わりに、ヨモギ3〜5gを水3カップで20分程度煮て飲むと効果があるとのことでした。
〈ひざ痛・腰痛など
──三村和男・三村外科医院院長〉
 10数年前から、ヨモギの煎じ汁の内服・外用で病気の治療に役立てておられます。その中で、ヨモギとしょうがの煎じ汁で関節痛や筋肉痛、神経痛を改善する方法を紹介されておられます。
〈腎臓透析──田中孝夫・
はまゆう会王子病院副院長〉
 腎臓透析の最大の悩みは痛みとかゆみですが、ヨモギローションやヨモギ石けんなどは乾燥した皮膚に効率よく潤いを与える効果はあるでしょうといわれています。
〈かゆみ・床ずれ──中里トメ子・
聖ヨゼフ病院総婦長〉
 寝たきりで床ずれを訴える患者さんに、ヨモギ汁を使って効果を上げられ、小児科ではアトピー性皮膚炎のかゆみにも効果があり、患者さんの家族にも歓迎されているということです。

食用から外用まで
ヨモギまるごとの利用
活用法8つの柱

大城 こうした効果を発揮するアルテテラピー(ヨモギ療法)を、私は大きく分けて8(から9)の柱を持たせました(表2)。
 これらアルテテラピーは、人間が本来もっている自然治癒力を最大限に引き出すことで、心身のトラブルを解消する方法です。
飲む
大城 ヨモギの効用は多岐にわたりますが、特に飲用では、血液を浄化、身体を弱アルカリ性にし酸性体質を改善、薬毒を分解・体外に排泄──などの効用があげられます。
 症状によって次のようないろいろな形で使い分けます。
〈基本のヨモギ茶(乾燥葉の煎汁)〉
 簡便で飲みやすく、香りと薬効の日常的摂取法として全ての方にすすめられます。また、あらゆる慢性疾患に対する健康補助飲料であり、特に冷え症や胃弱の方は継続的に飲むことで血液をきれいにし、細胞を元気にします。
 1リットルのお湯に乾燥葉10〜15gを弱火で10数分煎じ、1日3〜4回、食前の空腹時にお茶代わりに飲みます。
 風邪や下痢の時はもちろん、基本的に必ず温かくして飲みます。ただし、吐き気のひどい時は少し冷やしたものを少量、鼻血、吐血にも冷やしたものがすすめられます。
〈ヨモギ酒〉
 葉(乾燥・生)や根を、焼酎、酒、白ワインなどに浸けた薬用酒です。基本の乾燥葉をホワイトリカーに浸けた薬酒は、虚弱体質や胃弱の人の体質改善におすすめします。
〈ヨモギ青汁〉
 新鮮なヨモギの若葉を早朝に摘み、採取後直ちに水洗いし、水気を切らずにジューサーかすり鉢ですり、しぼります。つくり置きはせずに直ちに、飲むか料理に利用します。黒砂糖や蜂蜜、りんごなど好みの果物や野菜をまぜたり、自然塩を少し加えても飲みやすくなります。
 青汁約20 cc(盃1杯ぐらい)を1日分とし、胃弱の人は薄めて飲むか1日10 cc程度にするか、健康料理に使ったりすると良いでしょう。
〈ヨモギ粉末〉
 ヨモギを洗浄・乾燥し粉末にしたものは、飲み物や食べ物にまぜたり、料理に用いるなど、幅広く利用できます。
 全身の強壮には最適で、毎日継続して服用していると身体に活力がみなぎり、疲れ知らずの健康体になります。他に、利尿剤、消化剤としての働きもあり、また神経痛、腎臓病、糖尿病などにも結果が出ています。
〈ヨモギエキス、エキス粒状〉
 携帯に便利で、成人病予防、冷え症、胃弱などさまざまな症状に効力を発揮します。
 以上の全ては、当研究会が開発・製品化しておりますので、それらを利用するのも便利です。

食べる──スーパー緑黄色野菜

大城 食品としてヨモギを見てみると、ニンジンやホウレンソウなどの緑黄色野菜以上に身体に良い栄養素を豊富に含有し、スーパー緑黄色野菜であるといっても過言ではありません。
 栄養成分は、品種や季節により若干の変動はありますが、表(7頁表1)に見られるように、体に必須なビタミン・ミネラルなどの微量栄養素を豊富に含み、さらに食物繊維の含有率は21%、蛋白質はお米と同じ7%と、総合的なバランスで優れています。
 沖縄では昔からヨモギ(フーチバー)は畑で栽培し、ホウレンソウ、春菊などと一緒に並べてスーパーなどで野菜として売られています。「おひたし」「和えもの」「炒めもの」をはじめ、「フーチバー麺」「フーチバージューシー(雑炊)」などいろいろな料理に用いられています。
 ここ数年は、学校給食や病院給食にもヨモギを入れた料理が増え、血液浄化、健胃などに役立つ健康食としてとり入れられています。
 調理のポイントは、塩ひとつまみ入れたたっぷりの湯でさっと茹で(おひたしの場合は柔らかくなるまで)、すばやく冷水に放ち、ざるにあげて水を切り、各料理に用います。なお、茎は固いので、蒸煮すると良いでしょう。
 私が特におすすめしたいのは、雑草として生えているヨモギの新芽だけを摘んで、アク抜きせず、味噌汁にネギなどの薬味代わりに2〜3枚入れて召し上がる方法です。難しい理屈を抜きにした手っ取り早い食べ方で、食べ続けると体の変化を体験できます。香りも漂い、アクは味噌で中和されますから、成分は破壊されません。

入浴・寝具・衣料 ──保温・安眠・美肌に

大城 抜群の保温効果で血液の循環を良くし、心身をリフレッシュ、リラックスし、消炎作用や鎮痛・鎮静作用で興奮している神経をおだやかにしてくれるのが、入浴や寝具、衣類への活用です。
 ヨモギ入浴剤(全草を陰干し乾燥し袋に入れる)を入れたアルテバス(ヨモギ風呂)では、精油やクロロフィルなど数々の有効成分が皮膚から深く浸透し、抜群の保温効果をもたらします。揮発した有効成分は浴室を良い香りで満たし、アロマテラピーも同時に行なわれ、美肌はもとより、神経痛やリウマチの痛みをやわらげたり、痔や冷え症にもよく効きます。
 ヨモギの乾燥葉を枕やマット、座布団の中に詰め、その上で休息をとったり、睡眠をとると、体が温まり、心身が安らぎ、安眠を約束できます。特に、冷え症、夜間頻尿、不妊症で悩んでいる方、床ずれで困っている方、睡眠薬を飲んでも不眠症が治らない方に、ぜひおすすめします。沖縄の高齢者の多くは、クーラー病の予防と健康維持のために手づくりのヨモギ座布団を使っておられます。
 古来の草木染めの技法を応用したヨモギ染めは、自然のやさしい色合いを楽しめるだけでなく、直接肌に触れる下着類などに利用すると、健康回復、健康増進のために役立ちます。抗菌作用にも優れ、皮膚細胞の活力を増進し、防臭の効果もあります。ヨモギ染めの布は殺菌力が強く、あせもにならないということで産衣に愛用されてきました。

究極の、和風アロマテラピー

大城 民間療法で、痔や水虫にヨモギ葉の煎じ殻(出がらし)を当てると良いといわれていますが、それだけではなく、燻蒸療法といって、ヨモギの乾燥葉をいぶした煙を患部に当てる方法もあります。
 ヨモギは元々、艾の原料としてさまざまな効果を発揮しています。私は、これを進めて「大城流香煙燻蒸療法」として、ヨモギを活用した線香を数年前に開発しました。
 私が開発した「世茂喜香」は、心と身体をリフレッシュする香りの健康≠テーマに、ヨモギを中心とした芳香高等植物のみで製品化したものです。主原料のヨモギに自然の薬用植物をブレンドすることで相乗効果が得られ、消毒、鎮痛、催眠、強壮、ストレスや疲労の解消、疲労からくる目の充血の改善などに有効です。用途に応じて「洗浄香」「安静香」「うず巻香」「畜産用香」なども開発しました。
 大城流香煙燻蒸療法では、「世茂喜香」だけでなく、特製の用具(温灸・艾煙チェアー。温灸ベッド)を開発し、痔の療法に良い結果を上げています。

湿布・塗布・洗浄・吸入

大城 ヨモギのエキス(飲用療法で用いるエキスとは別)、煎液、生葉のすりつぶしたものなどを、湿布、塗布、洗浄、吸入などで利用します。
 特に、神経痛、関節炎、打撲、虫刺され、皮膚炎、腰痛、肩こり、肝臓障害などに効果があり、患部が冷えている時は温湿布を、熱をもっている時は冷湿布を行なうのが原則です。
 ヨモギエキスを塩水で薄めてうがい薬に使うと、風邪やぜんそく、扁桃炎、咽頭炎などの予防に効果をもたらします。
 傷・虫刺されには、ヨモギを揉んで汁をつけてやっても有効です。夏場の蚊には、庭先のヨモギがあればそれを摘んで乾燥させていぶす。いぶすとヨモギの香りに除虫効果があります。

採集・保存

大城 道路端の汚染源は避け、湿気の少ない日の午前中、朝露が消えたばかりの時に採集します。必要な部分だけを採集し、量も必要最小限にとどめましょう。
 採集時期や採集部分は品種や用途によって違います。図表(13頁図2・表4・5)を参考にしてください。
 採集にはナイフかはさみを使用し、根などは園芸用スコップを用いて傷つけないよう深く掘ります。採集したヨモギは葉、茎など部分に分けて新聞紙などで包み、できるだけ早く持ち帰ります。
 生葉で保存する場合は、葉を水でよく洗ってから水気を切ってビニール袋に入れ、中の空気を完全に抜いて輪ゴムでしっかり口を密閉して冷蔵庫に入れます。冬なら10日以上はもちます。
 長期保存には乾燥します。葉、茎、根、花穂など部分的に利用する場合にはざるなどに広げて乾燥し、全草乾燥の場合には10本ぐらいずつ根元をひもでくくって、軒下などにつるして乾燥させます(表5)。

栽培

大城 ヨモギは地下茎で繁殖する多年草で、一度植えれば毎年春には新芽が出ます。
 家庭でも簡単に栽培ができます。根ごと苗をとってきてプランターや鉢に植え、いつでも好きな時に葉を摘んで、アルテライフができれば最高です。
 庭や畑では、日当たりと水はけの良い場所を選んで植えます。
 どの栽培方法でも、土が乾燥したらすぐに水をやるようにしてください。