全貌を解明すれば、がんやエイズの治療も可能!
糖鎖工学の時代がやって来た 〜糖鎖栄養素と黒酵母培養液〜
ジャーナリスト 上部一馬さん
糖鎖栄養素と黒酵母培養液
日・米・欧などの生化学国際共同チームによって、ヒトゲノム(人間の全遺伝子情報)の解読が終了したと言われています。21世紀のポストヒトゲノムの次なる研究の中核は、糖鎖工学≠ナあると発表されています(表1)。
あまり聞きなれない言葉ですが、世界中の医学・生化学者は、この糖鎖の全貌を解明すれば、がんやエイズの治療も可能となることから、こぞって研究していると言われています。
日本では国家的なプロジェクトとして国立大学や製薬メーカーも参入。健康食品の分野でも、この糖鎖栄養素となる多糖体を組み合わせることで、現代医療が困難としているがんや糖尿病、膠原病、リウマチなどの難治性疾患を改善している事例が報告されています。
この糖鎖とは、果たしてどのような働きをし、どのような世界が広がるのか? また、この糖鎖栄養素が含まれる黒酵母培養液とはどのようなものなのか?
有望な糖鎖栄養素を取材し、黒酵母菌にも詳しいジャーナリストの上部一馬氏にお話を伺いました。
"糖鎖”とは ノーベル賞受賞の 田中耕一さんも 糖鎖の研究をスタート
──現在、生化学分野ではヒトゲノム(人間の全遺伝子情報)の解析が終了し、次なる研究は"糖鎖工学”であると、日・米・欧などの生化学研究国際共同チームが発表しました(表1)。
なぜ、糖鎖の研究に世界中の学者が動き出しているのか、また、糖鎖とはどんな働きをしているのかその辺りからお願いします。
上部 15年ほど前、糖鎖はタンパク質(アミノ酸)、脂質、ビタミン、ミネラル、炭水化物と同じように必須栄養素であることが突き止められ、糖鎖を"6大栄養素”とする考え方が世界では潮流になりつつあります。
DNA、タンパク質に続く、
"第三の生命鎖(鎖状生命分子)”として注目され、糖鎖の研究は今、世界中が国家プロジェクトで研究されています。
中でも、糖鎖の研究は日本が一番進んでいると言われ、実に、これまで見つかった糖鎖遺伝子の50%が日本人によって発見されたと言われています。
現在、経済技術総合研究所(経済産業省)と島津製作所が、3年前ノーベル化学賞を受賞した田中耕一さんと研究しているのが糖鎖の測定器だと言われ、がんなどの難病の早期発見や治療に役立てようとプロジェクトをすすめているはずです。
また、東大、京大、阪大など国立系大学医学部や大企業がこぞって研究しており、都の老人総合研究所でも広範囲に、"ガンと糖鎖”、"傷と糖鎖”、"病気と糖鎖”などをテーマに研究を続行しています。
細胞の表面に密生し 細胞の働きを決定している
上部 糖鎖は、糖が鎖状に連なった栄養素で、細胞のタンパク質や脂質に産毛のようにくっついて、細胞同士の情報伝達に重要な役割を果たしている物質です(図1・
11頁図4)。
60兆個あると言われるヒトのすべての細胞は糖鎖によって覆われており、一つの細胞には約500〜10万個くっついていると言われますので、細胞全体ではその数は無限に近いですね。
糖鎖は、グルコース(ブドウ糖)、ガラクトース(乳糖)、フコース、キシロース、N─アセチルグルコサミン、N─アセチルガラクトサミン、N─アセチルノイラミン酸など、8種類以上の単糖(表2)が鎖状に複雑に組み合わされてできています。
これらの単糖が一個違うだけで細胞は別な働きをもつと言われています。
どの糖鎖がどのタンパク質にくっつくかで、タンパク質の働きが決定され、この糖鎖が"細胞間コミュニケーション”を行っていることが近年、わかってきました。
いわば糖鎖は、細胞社会を成り立たせる要となっているわけです。よって、糖鎖の異常(糖鎖の構造の異常や、もしくは糖鎖の減少)は細胞社会の乱れを生み、それががん、慢性疾患、感染症、免疫、脳、発生などの異常、老化などにつながると言われています。
今まで糖は、体内でエネルギー源として使われているとしか考えられていませんでしたが、ここ15年の研究で、生体内で最も生命維持に関与し、糖鎖が細胞の顔を決め、受精から細胞の分化と成長、老化など、糖鎖が形成されないと細胞が死滅することもわかってきたわけですから、これは革命的なことです。
──糖鎖は、60兆個ある細胞のすべての表面に密生し、細胞の働きを決定し、糖鎖の異常が病気を生み、成長や老化にも関わっているということですね。
上部 そういうことですね。
糖鎖は服装と考えればよいと思います。わかりやすい例では、血液型は赤血球の表面にどの形の糖鎖がついたかでA・B・O・AB型が決定され、これも単糖が一つ違うことで血液型が変わります。
最も重要な働きは
"細胞間コミュニケーション”の
コントロール
〜免疫系を始め、あらゆる
生命維持機能に関与〜
上部 糖鎖の生体内での最も重要な働きは、"細胞間コミュニケーション”をコントロールしていることです。
免疫系やホルモン系、神経系に働きかけたり、酵素や細胞が正常に活動しているかどうかの識別を行ったりする、生命維持に極めて重要な役割を担っているとされています。
例えば、体内に細菌やウイルスが侵入した場合、糖鎖の触手がこの侵入者をアンテナのようにキャッチし、この異物は危険かどうかを識別します。
そして、「この侵入者は危険である!」と判断したら、全身をパトロールしている第一次防衛部隊の免疫細胞のマクロファージやNK細胞などに「この異物を排除せよ」と指令します。
これが手に負えない場合は、第二次防衛部隊のキラーT細胞に出動命令が下り、強力な抗体を身につけ、この侵入者に襲いかかります。こうして24時間、免疫システムを作動し、生体内への異物の侵入を阻止しているのです。この免疫細胞間でのやり取りも糖鎖が担っているというのです。
また、摂取された栄養はどのような働きをし、どこに運んだらよいかを判断し、各細胞に知らせたりもします。
さらに、体内のホルモン分泌や酵素が充分に分泌、機能しているかどうか、神経細胞が円滑に機能しているかどうかなどの"細胞間コミュニケーション”をとっているのも糖鎖だというのです。
脳が正常に情報伝達するにも、糖鎖がないと、高速の情報伝達ができないと言われています。
すべての病気は
糖鎖の異常によって起きる
糖鎖次第で
病気の発生、改善も
上部 つまり、糖鎖の構造は細胞の健康状態を示しているのです(6頁図1参照)。
したがって、免疫疾患やインフルエンザ、エイズ、リウマチ、花粉症など、すべての病気は糖鎖の異常によって発症すると考えられており、事実、発がんしたり、がんが転移したり、インフルエンザにかかったりすると、異常な糖鎖が細胞表面に発現することが観察されています。ですから、この異常な糖鎖を確認できれば、病気の前兆を示すマーカーとしても使えるわけです。
また、このウイルスや細菌が固有の糖鎖とくっつくと、異常な糖鎖を形成するので、ウイルスなどが糖鎖とくっつかない薬を開発したり、糖鎖を正常化できれば、その治療薬ともなるわけです。ですから世界中の生化学者が、糖鎖を研究しているのです。
実際、阪大グループでは、糖鎖をタンパク質にくっつける酵素の働きを阻害した遺伝子をもつマウスを飼育したところ、このマウスは一ヶ月後に、細胞に糖鎖を作れず、死んでしまうことを確認しました。
また、同大の谷口直之教授は、「ある特定のタンパク質に結合する糖鎖が欠損することで"肺気腫”を発症することを昨年10月、世界ではじめて明らかにした」と科学雑誌『ニュートン』が最近報じています。
また、老人総合研究所では、筋肉細胞の膜にも糖鎖がついたタンパク質があり、これが外の分子とつながることで構造が安定し、この構造が不安定になると筋肉が働けなくなることを突き止めました。その後の研究では、この糖鎖を合成する遺伝子に異常があると、筋ジストロフィーを発症することも判明し、この難病の治療の足掛かりとして期待されています。
糖鎖の全貌を解明すれば、 がんやエイズも改善!?
上部 老人総合研究所によれば、「私たちは60兆の細胞でできていますが、どの細胞も細胞膜を構成するタンパク質と脂質に結合した糖鎖で密に覆われています。この糖鎖が結合していない状態は糖鎖不全症と呼ばれ、神経系や運動神経に障害が見られるほか、慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患の原因にも関連しています。糖鎖の全貌を解明できれば、エイズやガンなどの難病の原因の解明が期待できます」とも報告しています。
糖鎖栄養素成分の補給と
疾病の改善
現代人は、糖鎖栄養素不足
上部 糖鎖を作る単糖類は本来、食べ物から摂取され、肝臓で糖鎖の栄養素に分解されます。
しかし、グルコースは炭水化物、ガラクトースは乳製品から日常的に摂ることができますが、残り6種類(6頁表2)は食品から摂るのが難しいとされ、糖鎖栄養素の不足が指摘されています。
それは二つの理由があり、一つは太陽光を充分に浴び、ミネラル豊富な土壌で栽培された本来の野菜や果物を摂取すれば、糖鎖は合成されるのですが、今日の野菜や果物はビニールハウスで促成栽培されたものが多く、昔の野菜とは、栄養素が格段に劣っており、どうしても糖鎖の栄養素が不足してしまうわけです。
もう一つは、食べ物に残留する農薬や加工食品に使われる着色料や防腐剤などの合成化学物質、医薬品の多用などによって、肝臓が疲弊し、糖鎖が充分に合成されなかったり、糖鎖異常が起きたりし、様々な難治性疾患を生んでいると考えられています。
糖鎖栄養素成分の補給で 疾病が改善!
──糖鎖を作る遺伝子が異常になると、様々な症状を誘発するとのことですが、逆に言えば、糖鎖栄養素を補充すれば、糖鎖が正常化し、病気の治療・改善が可能だということでしょうか。
上部 前出の老人総合研究所によれば、現在、人気を集めているサプリメントの中でも、グルコサミンやコンドロイチン、キチン・キトサン、酵母菌、キノコなどの細胞壁に含まれる多糖が、糖鎖栄養成分であるとされています。
これは未確認情報ですが、米国国立衛生研究所(NIH)では、100人の喘息患者に「人体に必要とする8種類の単糖を摂取させたところ、100%効果が見られた」と公表し、衝撃を与えたという話も出ています。
また、ある米国の健康調査財団で、あるメーカーの糖質栄養素を4年半にわたって高齢者に投与した結果、「バランスよく糖質栄養素を摂取した人々は、通常よりも20年以上元気な状態を保つことができる」と医学誌でも著名な博士が論文を発表したというのです。
糖鎖栄養素を豊富に含む
「黒酵母培養液」
黒酵母菌が糖鎖を正常化
代替療法での驚くべき効果
──黒酵母培養液は糖鎖栄養素となり、難病改善に役立っているそうですね。
上部 私自身では、サトウキビ由来の黒酵母菌(図2)を種菌にし、米糠やミネラル水などで培養し、その代謝産物である黒酵母培養液(図3)を3年ほど取材しています。
これも大変な改善例と動物試験でのバックデータが完備しています。とくに代替療法系の医師が難病の治療に使っており、とても信じられない報告が集まっています。
この培養液の主な成分には、水溶性β1,3─1,6グルカン、及び分子量が50万前後を中心とした単糖、低・中分子、約1000万の高分子の多糖体のほか、オリゴ糖、食物繊維、イノシトール、リンゴ酢酸などがマイナスイオン状態で溶け込んでいるため、体内の吸収率が高いのが大きな特徴です。
実際、ある学術機関で培養細胞に黒酵母を添加し、その変化を観察したところ、添加前にはのっぺりとしていた細胞表面に、見事に触手のような糖鎖が無数に突き出ていることが電子顕微鏡で発見されています(図4)。
細胞表面のアンテナのような糖鎖の数量が正常に戻ることで、免疫系やホルモン系、神経系などが正常に働き出し、体の恒常性を復元、その結果、健康が回復されると考えられています。
驚いたのは、末期がんでも延命されている方が続出しており、エイズとの共存例、膠原病やリウマチなどの難治性疾患、筋ジストロフィーが改善したというのもあります。
「糖鎖が正常化すれば、ガンやエイズの治療薬の開発も可能」と言われていることが現実に起きているわけですから、まさにこの黒酵母菌は、糖鎖を正常化したのだと思います。
末期がんの治療に希望が 見えてきた
上部 先週、九州に取材に行き、日本のがん治療の最前線のセンター長さんがこの博士を知らない人はいないとおっしゃっている、ある著名な医学博士にお会いしました。「現代医療では、進行がんを治癒させるのは難しいが、末期がん治療に希望が見え、死ぬ人が少なくなった」と喜んでおられました。
この先生が患者さんに勧めるのが、黒酵母培養液やフコイダンなどの糖鎖栄養素のほか、コロイドミネラル水、タヒボ茶、排毒系サプリの数種類などそれぞれ作用メカニズムの違うサプリメントを多角的に使用するカクテル療法≠ナす。
すでにのべ300人ほど、患者さんを指導されてきたそうですが、QOLが向上し、ほとんどの患者さんの体調が改善するというのです。もう少し実績を作ったら、医療界にこのカクテル療法を積極的に提案するとのことです。
この場合、低分子の栄養素が腸管から吸収され、腸内細菌叢を改善し、血液を浄化し、さらに、高分子の栄養素が腸壁のパイエル板という免疫を司る部位にからみつき、糖鎖を正常化するという二つのメカニズムが考えられます(図5)。ここで、免疫細胞のマクロファージやNK細胞が発動し、自然治癒力が高まるのだろうと思います。
この黒酵母培養液は市販されて15年ほどたちますが、10年ほど前、旧厚生省からは安全性試験や変異原性試験をクリヤし、『β1,3グルカンとβ1,6グルカンを主成分とする天然食品添加物』として、記載(厚生省告示第120号)されています。
血糖・血圧の正常化から 腎・肝臓機能向上、 アレルギーの改善、美肌作用も
上部 モニターや体験談だけでなく、北里大学医療衛生学部や鈴鹿医療科学大学院などによって、黒酵母基礎試験や動物試験での無数のバックデータも取れています。
数ある健康食品群の中でも、これだけ揃えた研究データは珍しく、両大学から報告された薬理作用は、@腫瘍抑制作用、Aインターロイキン産生作用、B抗アレルギー作用、C抗炎症作用、D抗酸化作用、E糖代謝促進作用、Fコレステロール低下作用、G血圧調整作用など、18項目にも及びます。つまり、高血糖、高血圧症はもちろんのこと、がんから腎臓・肝臓障害、高コレステロール症、便秘・美肌作用にいたるまでの幅広い改善作用が期待できるのです。
これらの働きの重要な作用機序は、第一に腸壁の正常化です。黒酵母培養液の成分では、オリゴ糖や多糖体、食物繊維などが含有され、水分の保持能力と腸内の浄化作用が高く、腸内の異物や老廃物を凝集し、整腸作用があるのです。
近年では、とくに「腸管免疫」が注目を集めており、免疫細胞の実に70%が腸管で作られていると言われています。
黒酵母の研究に携わっている鈴鹿医療科学大学大学院の長谷川武夫教授によれば、「黒酵母培養液に含まれる多糖体や代謝産物などが腸管の細胞にからみつき、糖鎖が正常化され、免疫力が高まるのです。がんやエイズ、リウマチ、アトピー(表3)、膠原病、喘息などの改善例が多いのは、この糖鎖が正常化され、免疫システムが作動した結果と考えられます」と述べられています。
黒酵母の多面性はこれだけではありません。「肌がしっとりしてきた」「角質が柔らかくなり、肌がきめ細かくなった」「顔が色白になってきた」など、女性の間での反響も大きいのです。中には、直接、顔や手足につけることで保湿や美白・美肌を目的に使っている女性もおります。
黒酵母には、活性酸素を除去する抗酸化作用も強く、黒酵母による皮膚の紫外線防御機能や細胞賦活作用なども鈴鹿医療科学大学での研究で確認されています。マウスの背中に紫外線を照射し、炎症の度合いと皮膚組織の損傷度を観測したところ、黒酵母投与群では、日焼け止め剤と同等の細胞損傷度の抑制が見られ、透明で保湿作用が高いことから、細胞賦活作用が高いことがわかりました。
活性酸素消去作用では、放射線治療の副作用がなく、最後まで放射線治療ができ、がんを克服できたという臨床報告が出されており、長谷川武夫教授は「とくに黒酵母は放射線防御機能も強く、通常療法を行っても副作用を軽減でき、治療を円滑に行うこともできます」と述べられています。
今後は、西洋医学だとか代替療法だとかは別にして、患者の命を救うことを最優先する医療を構築していただきたいと願っています。
ともあれ、糖鎖栄養素を補給することで、信じられないような難病の改善例が報告されており、糖鎖の全貌が明らかになれば、革命的な医療が登場するかもしれません。