バイ・デジタルO−リング・テストの発見と応用

日本バイデジタルO−リングテスト医学会歯学部会長・医学博士
福岡明先生

大村恵昭博士が開発した画期的な検査法「バイ・デジタルO|リング・テスト」

 今、東洋医学への興味や関心とあいまって「バイ・デジタルO|リング・テスト」という、指を使ったちょっと不思議なチェック法が世界の関心を集めています。
 人間の健康状態や体の悪い部分が、指で作った輪(O|リング)の開閉でいとも簡単に見分けられ、さらにがんの発見からその人に合う薬やサプリメントの選定まで幅広く応用されています。
 ヨーロッパの著名な医学雑誌にも取り上げられ、「21世紀の医学の条件を全て備えたO|リング・テストの発見はまさにノーベル賞に値する」と評価されたこともあります。
 O|リング・テストは1970年代、シカゴ医科大学やマンハッタン大学の教授なども務められた医学博士で物理学者の大村恵昭博士によって開発された検査法です。博士はまた鍼・電気治療の権威としても知られ、いわばO|リング・テストは鍼灸に代表される東洋医学と西洋医学との結合によって生まれたものといえるのでしょう。
 大村博士は現在ニューヨークを拠点にアメリカや日本でバイ・デジタルO|リング・テストの普及に努められています。
 今月号は、その大村博士に協力され、ご自身の歯科医療にも応用されながら著書や講演などを通じてバイ・デジタルO|リング・テストの普及に努められている福岡明先生にお話をお伺いしました。

O|リング・テストとは

福岡 大村博士は物理学を早稲田大学理工学部で学ばれ、同時に横浜市大医学部も卒業されるというユニークな学歴を持ち、さらに学生時代から独学で東洋医学を学ばれました。
 医師になられた後、医学研鑽のためアメリカで生活を始められ、O|リング・テストはその途上で西洋医学と東洋医学の長所を結合した画期的な診断法として開発されました。
 手の指で丸い輪を作り、その開閉で示される筋力を観察する簡単な方法ですが、その示すところは広範囲で多用な使い途を見つけられたのです。
 O|リング・テストを学んでこれを応用できるようになれば、現代医学の検査方法でもなかなか見つけられない病気や、壊れかけた臓器なども見つけることが可能になるのです。
 私自身、現代医学の検査ではなかなか見つからなかった大腸のがんをいち早く大村先生直々のO|リング・テストで見つけていただき、処置は現代医学にお任せしましたが、O|リング・テストの凄さを身をもって体験させていただいた一人でもあるのです。
 O|リング・テストのやり方は簡単にいいますと、まずテストを受ける人(患者さん)が手の指でO型の輪(O|リング)を作り、その輪に術者(医師ら)が指をかけ図のように両側に引っぱって相手の指の輪を開こうとします。そのとき、それが開くか開かないかで体の状態などを診断するのです。
 このテストは十分なトレーニングさえ積めば、病気の早期診断やがんの発見にも役立ち、さらに、被験者に出す薬やサプリメントに関しても「その薬やサプリメントが被験者に有効か無効か」、「毒性があるか」、「適量はどのくらいか」まで簡単に推測できるのです。
 なぜこんなことが可能かというと、人間の体内には元々コンピューターの「故障発見装置」にあたるものが備わっていて、異常な臓器を見つけると特有の信号を出しているのです。その信号はあるときは「凝り」や「痛み」として現われ、また筋肉や患部の化学的変化、あるいは電気的変化となっているのです。
 そこで大村博士が注目したのが指の筋肉でした。指は唇とともに筋肉の疲労がもっとも少なく、しかも大脳の中枢部で大きなシェアを占める非常に敏感な部分なのです。大村博士はこの指に現れる信号による変化を利用し、西洋医学的な検証も重ね、臨床に耐えうる画期的な診断法「バイ・デジタルO|リング・テスト」を考案したのです。

O|リング・テストの方法

福岡 それでは実際にO|リング・テストをどのように行なえばいいのか、大村恵昭博士の著書『バイ・デジタルO|リング・テストの実習』(医道の日本社)から、その方法をご紹介しましょう。 

一、テストに入る前の準備

 テストを受ける人(以下・患者)は、
 ・指輪・メガネ・時計・シャープペンシルなどの金属物は体から外す。
 これは〈気〉が一種の微弱な電磁波と考えられているので、この流れを乱すような金属は取り除く必要があるのです(患者は本当は全裸がもっとも好ましい)。
 ・静電気を帯びた合成繊維やカーペットの上は避ける。そしてテレビやパソコンの近くや、スポットライトの当たっている場所も好ましくない。
 ・裸足で地面の上に立ってはいけない。地球の磁場が体に影響を与え、異常が正常と検出されてしまうからです。
 ・患者は両腕を、体側から20センチ以上離します(これは体の患部から出ている〈気〉の影響を受けないようにするためです)。
 たとえば腎臓に異常のある人は、腕が20センチ以上離れていないと誤診の原因になります。
 ・テストの前には排尿する。膀胱に尿がたまっていると、その代表点はマイナスになりやすい。3日以内に非ステロイド系抗炎症剤(アスピリン、インドメタシンなど)を飲んだ場合は、胃や下行結腸の代表点はマイナスとなりやすい。
 ・首は傾けない(頸部に異常がある場合には、首の傾きぐあいでO|リングを作った指の力が弱まることがある)。
 まっすぐな姿勢にして、テストの途中で体の位置を変えない。
 ・患者は立ったままでも、座ったままでもいいし、仰向けに寝た状態でも構わない。立位・座位では両足を少し開きます。
 さて、この体勢ができたら、患者は効き指(普通は人さし指と親指)できれいなOの字を作ります。そして検査する人(以下・術者)に向かい合います。

二、まず「テスト指」を選ぶ

 術者は、患者が作ったOの字形の指の輪に左右の指を入れて、やはりきれいなOの字を作ります。
 このとき術者はかならず肘を張って、患者のO|リングを一直線に開くようにします(5頁図)。そして患者は、指の輪を開かれないように力を入れます。
 このテストの第一のポイントは、患者のどの指をテストに使うかの「指探し」です。つまり、患者が「親指と人さし指」、「親指と中指」、「親指と薬指」、「親指と小指」の順でリングを作っていき、このリングがどの段階で、術者側が作ったリング、それも「親指+人さし指+中指」の3本の指で作ったリングで左右に開かれるかを見つけます。
 たとえば患者が「親指と人さし指」でリングを作り、術者も同じく「親指と人さし指」でリングを作って左右に引いてみます(写真・)。
 もしこれが簡単に開いてしまうと(こうした例はあまりない)、術者の指の力が患者に比べて強すぎるわけですから、テストはいったん中止となります。そして術者と患者との間に第三者を介在させます(これについては後述)。
 患者の「親指+人さし指」のリングが開かない。そのとき、術者は中指を加えて「親指+人さし指+中指」のリングを作り、これで左右に引いてみます(写真・)。そこで大きく開けば(わずかに開いたのは駄目)、患者の「親指+人さし指」がテスト指ということになるのです。
 術者が中指を加えてみても、患者の「親指+人さし指」のリングが開かない場合、この指の組み合わせは使えないということになります。
 そこで今度、患者側は「親指と中指」とでリングを作り、これを術者がまず「親指と人さし指」のリングで左右に引きます(写真・)。
 これが開かない(もしくはわずかに開いた)場合には、術者は中指を加えて「親指+人さし指+中指」のリングを作り、これで左右に引いてみます(写真・)。そこで大きく開けば、患者の「親指+中指」がテスト指になるのです。
 こうしてテスト指を決めるわけですが、この際のもっとも重要な第一条件は、患者の親指とどの指の組み合わせが、術者の「親指+人さし指+中指」のリングで開くかということであり、第二には「大きく」開くということです。これに加えて、もうひとつ第三の条件があります。
 患者が首を前後左右に曲げた状態にします。すると、患者のテスト指で作ったリングが、それまでは「親指+人さし指+中指」でないと開かなかったのに、「親指+人さし指」のリングで引いて簡単に開いてしまうことがあります。このときには患者の頸部に異常があるためで、そのままではテストは行なえません。この、首を曲げてみても変化はないか、というのが、テストに入る前の第三条件になります。
 この第三条件を満たさない場合は、先の術者と患者の指の力が違いすぎる場合と同様、第三者を介在させていきます。つまり、テストの段階で、写真・のように、第三者が金属棒で患者の体に触れていき、その第三者の指を、術者がO|リング・テストして、患者の体の状態をチェックしていくわけです。テストの精度は、術者と患者の二人だけで行なう場合と、まったく変わりません。

三、臓器の代表点を刺激する
――異常があるとリングが開く――

 このバイ・デジタルO|リング・テストの基本的な考えは、非常に簡単です。患者のテスト指のリングを、術者が「親指+人さし指」のリングで左右に引く。本来は「親指+人さし指+中指」でないと大きく開かなかったのに、患者がマイナス要因に触れると、術者の「親指+人さし指」だけで簡単に開くようになるのです。逆にプラス要因に触れると「親指+人さし指+中指」でも開かなくなります。
 つまりマイナス要因は指の力を弱め、プラス要因は指の力を強めるということです。言葉を変えれば、何がその人にとってマイナスかプラスか、よいか悪いかが、指だけでわかるということなのです
 その例を実際に見てみましょう。
 患者は、O|リングを作っている手とは別の手で、自分の臓器の代表点に触れる(写真・)。そしてその臓器に異常があるかないかを、O|リングが開くか開かないで調べるのです。
 人間は、異常のある部位に髪の毛一本で触れるほどのかすかな刺激が与えられても、指の力が弱まってしまいます。大村博士はそこに着眼され、人間の体の中の臓器の〈代表点〉を探したのです。そうして見つけられた代表点は、中国医学でいう〈ツボ〉や〈経絡〉とかなり似てはいましたが、すべて同じではなかったのです。そして、この代表点を刺激すると、その部位に異常があれば指の力は弱まるわけです。
 では臓器に異常があると、なぜ指の力が弱まるのでしょうか。
 これについて大村博士は次のように説明しています。
 「人の体の異常な部分は、正常な部分とは違った〈電磁場〉を持っています。そこを軽く刺激すると、それが脳に伝わって、脳はその部分が病的であるかどうかを判断して、指の力で表示します。このとき、脳はコンピューターの中央演算機構にたとえることができます。モニターの代わりに、指の筋力の変化で表示するわけです」
 人間の脳はどんなコンピューターよりも微妙に反応しうるので、CTスキャンやMRIが発見できない異常もバイ・デジタルO|リング・テストでは見つけだすことが可能なのです。
 臓器の代表点にかすかな刺激を与えれば、その場所に異常があるかどうかがわかるのですから、患者が自分で自分に触れなくてもいいのです。
 実際の診療では、医師の助手が細い棒などで患者の患部と思われる部分を刺激して、指が開くかどうかをテストしています(写真・)。棒が患部に当たれば、患者のO|リングは自然に開いてしまうのです。
 また、患者の片方の手にさまざまな薬やサプリメントを持たせてこのO|リング・テストを行なうと、その薬やサプリメントが患者の体質に合うか合わないか、適量はどのくらいかもたちどころにわかる(写真・、・)のです。
 このようにO|リング・テストは「体の異常部分の発見」や「薬やサプリメントの適量」などのチェックに、すぐれた効果を発揮できるのです。
 私も初めてこれを教えられたときには半信半疑だったのですが、この正確さにまず驚かされ、方法を一から学んで、今では私自身の診療にも導入しています。

O|リング・テストの実験

福岡 実際にテストを行なってみましょう。
 まず前述のO|リングの準備条件を満たしたなら、片方の人さし指で床を指してください。そしてO|リングをします。……指は開きませんね。これはテストする部分の床に異常電磁場がないということですから、この場所でテストを行ないます。ところが、ダスキンのマットの上などは静電気があるため、リングはすぐ開いてしまうのです。
 (準備を終えた女性と向き合い)
 まず、たとえば饅頭がこの方に毒かどうかを調べてみます(と、女性の片手に饅頭を持たせる。写真・)。
 ……O|リングは開かない。
 今度は風呂場用の洗剤を持ってもらいます(写真・)。はい、これだと指は簡単に開いてしまいます。つまり、この洗剤を飲んではいけないということです。
 今度はちょっとおもしろい実験です。
 ここにまったく同じ形をした魔法瓶が2本あります。じつは一方には熱湯が、他方には冷たい水が入っています。では、どちらでもいいですから一方の魔法瓶にあなたの掌を当ててください(写真・)。そうしてO|リング・テストを行なってみます。
 ……O|リングは開く。
 今の瓶に、今度は手の甲で触れてみてください(写真・)。そしてまたO|リングの開閉を調べます。
 ……O|リングは開かない。
 これはどういうことかといいますと、つまり今あなたが触れた魔法瓶には「熱湯」が入っているということです。念のため、もうひとつの魔法瓶にもO|リングをやっておきましょう。
 ……O|リングはさっきとはまったく逆の結果となる。つまり掌では指の輪は開かず、手の甲を当てると輪が開いた。
 これにはつまり冷たい水が入っているということです。さあ、中を開けて確かめてください。……そのとおりですね。
 つまり東洋医学の「八綱理論」というものによると、人間の掌は「陰」であり「寒」なのです。だから熱を好みません。したがって熱湯の入った魔法瓶に掌を触れさせるとO|リングは開いてしまうわけです。
 反対に人間の手の甲は「陽」で「熱」ですから、冷たいものは好まないということになります。
 人間は悪い刺激に対してこんなに敏感に反応するものだということがおわかりになるでしょう。誉め言葉が心地よく、悪口が体によくないのも同じことですね。
 今度は体の部分を診てみます。
 まず心臓です。この場合、心臓の代表点は壇中というツボ、すなわち両方のお乳の先を結んだ線と体の正中線の交わった点の1センチほど上の所です。
 そこへ誰かに棒を当ててもらいます。棒を当てる人はできるだけ離れた位置に立ってください。磁場に影響を与えないためです。はい(と患者に)頑張ってください。……指は開きません。心臓は大丈夫です。
 次は肝臓です。
 この代表点は期門というツボです。お乳の下で、11と12助骨の間にあります。……はい、これも大丈夫です。
 胆嚢、膵臓もみな大丈夫ですね。腎、小腸、大腸、子宮、膀胱、みな異常ありません。O|リングは開きません。

O|リング・テストの共鳴現象

福岡 では次にO|リングの共鳴現象の実験をしてみましょう。
 まず10円硬貨を机の上に置きます。そしてあなたの片手にも10円硬貨を持って、その手の人さし指で机の上の硬貨、その側面を指して下さい。
 O|リングをしてみましょう。
 ……O|リングは開く。
 注意することは、硬貨の表面上には電磁波が吸収してしまいますので、必ず電磁波を出す側面を指すことです。
 第二の実験をしてみましょう。今度は鎮痛剤を机の上に置きます。そしてあなたは同じ薬を手に持ち、その人さし指でこの薬を指し示して下さい。
 ……O|リングは開く。
 これは硬貨や鎮痛剤が同じ波長の電磁波を出しているために、共鳴するからなのです。同じ理由で、もし体の中に何か悪い組織細胞や細菌があると、それと同じプレパラート(標本)を持って、O|リング・テストをすれば、その存在がわかるのです。
 従来のがん検査では、体表にがんが発生した段階、生長した段階でないと検知できません。ところが、O|リング・テストによると、それよりずっと早い段階でわかることがあるのです。

細菌のプレパラートによるO|リング・テスト

福岡 ここにある検査用のプレパラートは、大村恵昭先生の指導で作られたものです。いろいろな種類の細菌が入った標本です。O|リング・テストではこれを使って、患者さんがどういう細菌に感染しているかを判定しています。ブドウ状球菌、肺炎双球菌、連鎖状球菌、淋菌、クラミジア(鼠径リンパ肉芽腫やオウム病などの病原体)などの菌、そしてその抗体が用意されています。そのほか、悪性リンパ腫、胃がん、食道がん、膵臓がん、骨肉腫など、たくさんあります。
 ここで今テストはしませんが、たとえばクラミジアが出たとします(クラミジアの標本で、O|リングが開いた場合)。そして次に、エリスロマイシン(薬)を患者さんに持たせてテストして、O|リングが開かなくなったとしましょう。ということはつまり、エリスロマイシンがその患者さんのクラミジアには効くということです。

胃がんの発見率が23・8パーセント
──集団検診では0・1パーセント──

福岡 O|リング・テストは大村博士によって開発されて以来、科学的検査(X線・CTスキャン・心電図・血液科学検査など)でいろいろと追試が重ねられてきました。アメリカ・ニュージャージー州ハリ審議会のキ・ホ・キム博士による臨床テストでは、O|リング・テストで見つけられた異常の95パーセントがCTスキャンで確認されたということです(『ザ・ニューヨーク読売』森健一記者)。
 九州久留米市の内科医下津浦康裕博士を始めとする先生方は、胃がんの検診にこのO|リング・テストを応用してみました。手に持った胃がんのプレパラートの電磁波が患者さんの胃がんのそれと共鳴すれば、O|リングは開くという方法の応用です。
 初診日、胃透視前、内視鏡前の3回にわたってO|リング・テストを行なったところ、23・8パーセントと高率で胃がんを発見できました。このO|リング・テストは非常に高い発見率だといえるのです。
 大村教授はこのほかにもまた大変な発見をされています。がん患者が抗がん剤を服用した場合、がん病巣にその薬が届いているかどうかを調べるのに、このO|リング・テストを使ったのです。
 がん病巣の周囲は、血行が滞っていることが多いのです。このように血液循環の悪いところには、トロンビンと呼ばれるものが壊れたトロンボキサンBが出てくるといわれています。そこでこのトロンボキサンBを手にしてO|リング・テストを行なうと、電磁波の共鳴現象でO|リングは開くのです。そのことから循環障害があることがわかるのです。
 ハリ低周波通電、指圧や気功などを行なって血行を促し、循環障害を取り除くとO|リングは閉じたままになります。
 さらにありがたいことには、このO|リング・テストは私たちの日常生活の上にも大いに活用できます。たとえば、タバコや酒が、今の状態でその人の体に合うかどうかも調べることができますし、寿司屋のネタが古かったり腐ったり、また自分に合わないネタであったりすれば、O|リングは開いてしまうのです。悪い電磁場を確実にキャッチするのがO|リング・テストといえるでしょう。
 しかしいったいなぜ、こういうことになるのか、つまり人間の脳の演算機構がどうやってこれをとらえるのかについては、残念ながら現代の大脳生理学では、まだ、はっきりとはわかってはいません。元昭和大学医学部長の故武重千冬教授は、
 「指をO|リングすることは随意運動である。たとえば胃なら胃という臓器に病変があると、皮膚の表面にその情報が伝わって、なんらかの変化が起きる。その皮膚の部分に刺激を加えると、それに応じるように、随意運動の命令系である脊髄神経の途中で抑制作用が起き、O|リングは開くと考えられる。O|リング・テストが非常に斬新な診断法であることは確かだ」
 と感嘆しておられます。

「日本バイ・デジタルO|リング・テスト医学会」

福岡 ほんの数回の講習を受けただけでO|リング・テストを行ない、「あなたにはこの漢方薬が効きます」とやる人がいますが、これは多分に危険性がつきまといます。
 また現実に、ある化粧品業者がこのO|リング・テストを悪用し、商品の押し売りをしていたという話も伝わっています。
 このO|リング・テストは、いまだ確定した診断法ではなく、目下のところ研究追試中の技術なのです。それだけに安易な取り組みは慎むよう、発案者の大村教授自身も訴えておられます。
 いつの時代にも新しいことはなかなか受け入れられないし、抵抗感を持つ医師や科学者も多いわけですが、「科学は偶然によって出現し、必然によって発展する」といわれます。科学的な裏付けを重ねていく中で、やがては平均的な診断方法として定着していくものなのです。少しずつO|リング・テストが、世の中に認められてきているのは事実です。

興味深いのは、O|リングが〈色彩〉にも反応することだ

福岡 たとえば「青色」の紙を持つと患者のO|リングが開くとしましょう。するとその人は肝臓もしくは胆嚢に異常があると考えられます。「赤色」でO|リングが開けば、心臓か小腸に障害があるということになるのです。「そんなバカな」という人がいるかも知れませんが、これは人間の五臓が「5つの色」に対応していることを現わしているのです。
 中国には〈五臓の色体表〉というのがあって、これを参考にすれば〈色〉と〈体〉の関連がひと目でわかるようになっています。
 ちなみに残りの3色についていえば、「白色」は肺と大腸、「黒色」は腎臓と膀胱、そして「黄色」は胃と脾臓(膵臓)に反応して、その状態を示します。
 色に対するこの反応を利用すれば、たとえばO|リング・テストによる家庭での健康診断も夢ではありません。ただし、そのためにはかなりのトレーニングと習熟とが必要なのはいうまでもありません。
 寿司屋のカウンターで
O|リング・テスト福岡 O|リング・テストは医師や薬剤師、鍼灸師など医療担当者がその治療の一助として役立てるものですが、一般の人びとが日常生活のなかでこれを利用することはできないでしょうか。
 以前、私は大村教授と京都で寿司屋へ入ったことがあります。その寿司屋で遊び心も手伝って大村教授は、寿司ネタをすべてO|リング・テストで調べたのです。
 たとえばサバのようなヒカリ物が自分の体に合うかどうかを確認したわけです。それを食べてもアレルギーが起こらないか。つまりそんなこともチェックできるのがO|リング・テストの便利な点なのです。
 もちろん家庭でも、たとえば冷蔵庫に何日か入れておいた生魚が傷んでいれば、O|リング・テストは正直に反応します。

O|リング・テストの例外とは
──「胸腺代表域」というポイント──

福岡 繰り返しますと、体のどこかに異常があれば、その部分へのほんのわずかな刺激(たとえば1平方ミリあたり0・01グラムほどの刺激)を加えるだけで、患者さんのO|リングは開いてしまいます。健康な部分は絶対開きません。しかし、じつは一つだけ例外があるのです。
 免疫機能と関連する「胸腺」の代表域です。この代表域だけは、そこを刺激すると健康な人のO|リングはかならず開いてしまいます。
 つまり逆の現象が現われるのですが、それは免疫機能がきわめて活発である証拠なのです。
 もし患者さんのO|リングが開かなければ、免疫機能が弱っています。

O|リング・テストの正しい用い方
──最新診断技術との併用──

福岡 大村教授によって開発されたバイ・デジタルO|リング・テストは、このように画期的な診断法であり、数々の長所を持っています。この長所が現代の医療の中に活かされつつあるのは事実ですが、O|リング・テストに関する大村教授の研究はまだ終わったわけではありません。
 大村教授も、たとえばO|リング・テストががんの反応を示したとき、患者さんに、「検査をきちんと受けてください」というに留めて、現代の医学の診断技術を用いてすべてをチェックすることをすすめています。
 このように補完的に行なっていくのが、O|リング・テストの正しい用い方だといえるでしょう。長所と限界をよく理解し、同時に十分な練習を積んでこれを役立てれば、医療の新しい道もまた開けるに違いありません。