朝鮮人参のギンゼノシドと大豆サポニンの働き
中国長春中医学院名誉教授・薬学博士(財)東洋医学国際研究財団評議員 林輝明先生
最後に頼りになるのは「朝鮮人参サポニン」
インタビューの合間に「たった一人で無人島に行かなければならなくなったときにたった一つ、健康食品の携行を許すといわれたら、朝鮮人参の健康食品を持って行く」とお話しされた林輝明先生。
薬学博士として西洋、東洋医学を問わずさまざまな研究を積み重ねてこられた林先生は現在、食医として「食養生を通じて健康をつくる」ことの重要性を、執筆や講演活動を通じて啓蒙されています。
該博な知識はとどまることを知らず、正確な記憶力に支えられたユーモアたっぷりのよどみないお話しぶりからは、「健脳」のすごさが伝わってきます。
そんな林先生から直接、「年をとっても朝鮮人参を毎日欠かさずとっていれば、ギンゼノシドと呼ばれる朝鮮人参サポニンの働きで、加齢による脳細胞の脱落が相当少なくてすむ」というお話を伺うのは何と説得力があることでしょう。
生命のカギを握る食生活
日本人が今、長寿を誇れるのは
林 日本人の平均寿命は男性は78歳を越え、女性は85歳以上と、世界の最長寿国となっています。
ではなぜ、それを支えている日本のお年寄りたちは、それほどの長寿を保っていられるのか。
まっ先に考えられるのは食生活の違いです。明治、大正生まれといえば、食べ物も麦飯に味噌汁、目刺し、芋の煮付けに代表されるように今の食事から見るとかなり粗食だったわけです。
反対に、現代の若者は肉やパンにチーズといった欧米型の高脂肪・高タンパクの食事になっています。そのせいで、肥満児童や青少年の生活習慣病が急増するという社会問題が起きています。
ご存知のように日本人の三大死亡原因はがん、心臓病に、脳出血や脳血栓症といった脳血管病であり、これはまた40〜50代の働き盛りに最も多い生活習慣病でもあります。
ということは、このままの食生活を続けていけば、日本人の生活習慣病による死亡率はさらに高まり、平均寿命は大幅に短縮されるだろうということです。
アメリカでは70年代に高脂肪・高タンパク食の弊害に気づき、議会が中心となって食生活改善に取り組んでいますが、日本では今やっとその端緒に着いたばかりです。
食べ物に気を配れば大概の人が90歳、百歳位までは明朗で健康な生活を送れると思います。そして、これくらいまで健康に生きてはじめて、本当の意味での長寿といえると思います。
ところが現実には、動脈硬化が引き起こす脳出血や脳血栓症など脳の血管病によって、脳細胞の活動が阻害され、"ボケ"の症状が多発している人が多い。この脳の血管を老化させ、脳細胞の活動を低下させている主な原因もまた、我々の食生活にあります。
伝統的な日本型の食事でしたら十分な食物繊維が便秘を解消し、老廃物を速やかに体外に排泄し、体の外から入ってくる有害物質や体内でつくられる悪玉コレステロールも吸着・排泄してくれます。さらに、インスタント食品や冷凍食品、加工食品のもたらす有害物質の除去にも大きな効果を示すことが注目されています
そして動脈硬化だけではなく、高血圧、糖尿病、さらにがんなど多くの生活習慣病の予防にもつながるのです。
老化の最大の敵
「動脈硬化」と「過酸化脂質」
命取りにつながる「粥状動脈硬化」
林 老化の第一歩は血管の衰えから始まります。血管の老化とはすなわち「動脈硬化」です。
動脈硬化には粥状(アテローム)硬化、細動脈硬化、中膜硬化の三種類があり、中でも粥状硬化と細動脈硬化は問題です。
粥状硬化は大動脈や脳動脈、また心臓に栄養を供給する冠状動脈など太い血管に多発し、血中のコレステロールや中性脂肪などが増えると、脂肪を含むリポタンパクが血管壁にしみ込んで血管の内膜にまで入り込み、そこにコレステロールなどが付着して内膜がちょうど粥状に腫れたような状態(腫瘤)になります。
さらに浸蝕が進むと、血管に石灰(カルシウム)が付着し、繊維質が増大して動脈は肥厚し、硬化します。こうなると当然、血管の通路がせばまり、血液の通りが悪くなってしまいます。
さらに悪いことには、最近の日本人は肉食中心になっているので血液中に過酸化脂質が増加し、血液が東洋医学でいう「■血」状態になり、粘度の高いドロッとした液状になっている人が多いのです。本来はサラサラした血液が血管の中をスムーズに循環していなければならないのが、血管が脂肪分でせばめられているところに、ドロッとした血液では通りにくくなるのは当たり前です。
それどころか、血管が詰まってそれから先に血液が流れなくなるという事態まで生じます。血液中の血小板は、傷などがあると血を固めて止血する働きをしますが、過酸化脂質や活性酸素などの刺激で血管の内膜が傷つけられると、血小板の凝集能が高まり、血小板が血管内膜に附着して凝固し、コレステロールなどと結合して血栓を形成することがあります。
血栓ができると血液の流れが悪くなり、血栓が血管の中で詰まるとその先に血液がいかなくなり、これが脳に起これば脳梗塞、心臓に起これば心筋梗塞と、生命も危ぶまれる事態におちいります。
そこまでいかなくても、心臓の冠状動脈の血流が悪くなって、筋肉に虚血が起こると、強い痛みが起きます。これが狭心症です。
脳細胞の機能を低下させる「細動脈硬化」
林 一方、体内のすみずみにまで張りめぐらされた細動脈が硬化する細動脈硬化は、特に脳と腎臓に起こりやすく、脳の細動脈の硬化が進行していくと脳血管性痴呆、いわゆるボケになります。
最近は働き盛りの40〜50代の人たちにもボケが多く見られ、俗に「壮年ボケ」といわれています。前日まで元気に会社に行っていたサラリーマンが翌朝急に頭が痛くなって病院でみてもらうと、「身体は大丈夫だが、脳の血管が使い古したゴム管のように老化している」と診断される。
見た目は今まで通りで、食事もトイレも支障なく、食欲も旺盛、病人らしいところは少しもない。ところが、見舞いに来る同僚の名前が思い出せない、計算も小学生程度の足し算しかできない。一家の大黒柱がこんな病気になったのでは家族はいたたまれません。
動脈硬化の最大の敵は「過酸化脂質」
──活動力を失った血液「■血」の弊害──
林 動脈硬化には過酸化脂質が大きく影響します。私たちが食事からとっている脂肪は、体内に吸収されると脂肪酸という単位に分解されます。脂肪酸は水素との結合の違いによって2種類に分けられ、一つは炭素がすべて水素と結合している飽和脂肪酸、もう一つは水素と一部結びついていない不飽和脂肪酸です。
不飽和脂肪酸のうち、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸は体に必須、かつ体内では合成できないことから「必須不飽和脂肪酸」といいます。不飽和脂肪酸は酸化されやすく、血管内で活性酸素と結合して「過酸化脂質」になると、それから生じた活性酸素と共に血管の内膜を傷つけ、そこヘコレステロールや中性脂肪がしみ込んでいくので、血管の平滑筋が硬化し、繊維化して古いゴムホースのようになってしまいます。
それと共に老化の原因には、この過酸化脂質の体内吸収からくる「■血」の問題も見逃せません。■血は東洋医学で、全身あるいは局部的な血液の循環障害(血液粘度の亢進や血液の渋滞)をあらわす言葉で、体の老化は過酸化脂質が作り出した■血が元凶だといってもよいでしょう。
人間の身体の各組織へ必要な酸素や栄養素を送り届けるのが血液の役割ですが、末端の組織ヘは髪の毛の十分の一ほどの細い毛細血管を通っていくわけで、そのためには血液はサラサラした状態でなければなりません。
ところが、血中に過酸化脂質が増えると、血液はドロドロした状態(■血)になって毛細血管を通りにくくなり、腸から吸収した栄養分や新鮮な酸素を末端まで送り込むことができず、途中のバイパスをぬけて静脈へと戻ってしまいます。
そのため、末端組織は栄養不良となり、免疫力や抵抗力が衰えてきます。
また、血液には末端組織で新陳代謝によって生じた老廃物の回収という役割もあります。老廃物を毛細血管から静脈へ集め、腎臓から尿として排泄するわけですが、■血の状態では毛細血管に血液がいかずに、回収が不充分になってきます。
■血によって、血液が栄養や酸素の運搬と老廃物の回収という重要な役割ができなくなれば、その部分に老化現象が起こるのは当たり前です。
特に顔の皮膚や歯茎、眼、脳などには毛細血管が多く集まっています。顔の皮膚では肌のツヤがなくなりシワが増え、老化色素が沈着してシミができてきます。歯槽膿漏も同様で、歯茎の色が悪くなるばかりか、バイ菌に対する抵抗力や免疫力が弱まって、傷ついた場合には簡単に化膿してしまうのです。
その他、偏頭痛、肩こり、不眠症などのいわゆる不定愁訴症候群を引き起こすのもこの■血です。
過酸化脂質や活性酸素は最近ではがんの発生にも影響を及ぼしているといわれ、その解明が進められています。
血の巡りを悪くする食生活
林 肉食の多食の他に、過酸化脂質の温床になっているのが加工食品の氾濫です。
加工食品は"薬品(化学添加物)づけ食品"であると同時に、製造・流通過程で油が過酸化脂質化した"老化促進食品"と化しているものが多く、問題はこれらの老化促進食品を知らないうちに食べさせられているということです。
加工食品の代表といえばインスタントラーメンですが、これが食卓に登場したのは昭和33年です。またたく間に日本人の食生活に定着し、今や加工食品全盛の時代となっています。現在このラーメンにはほとんどが抗酸化剤が配合され酸化を防いでいますが、他の多くの加工食品にはこの配慮がなされていません。
過酸化脂質の温床になっているもう一つの食品が冷凍食品です。魚肉や獣肉などの脂質の過酸化は、「時間・日光・熱」の三要素のどれか一つでも満たされると急速に進み始めます。
冷凍室に入れて氷結してしまえば、食物は腐らず絶対安全だと思われがちですが、冷凍室に空気のある限り、脂質は酸化を受け、過酸化脂質は確実に増えていきます。例えば、ラップに包んだ白身魚のフライを冷凍庫で2ヶ月間保存するだけで、食品中の過酸化脂質は約5倍に上昇しています。
私たちが口にする魚は今ではほとんどが遠洋ものです。船の冷凍庫の中に保存して4〜6ヶ月かけて運搬してきた魚肉が過酸化脂質化しないはずはないのです。
白砂糖も血の巡りを悪くする林 最近では、過酸化脂質と並んで白砂糖の害も問題になっています。
過剰の白砂糖によって、手足の毛細血管に重度の動脈硬化が起きますし、心臓に連なる冠状動脈も弾力性を失い硬化します。
白砂糖が血中のコレステロールを急激に増加させ、高脂血症を招いたり、糖尿病を進行させたり、種々の生活習慣病の原因になることは学界の常識になっています。過剰な白砂糖の多用は「命を縮める」ことを銘記すべきです。
小児の糖尿病も増えています。缶ジュース類の中には、少なくとも5個の角砂糖に相当する白砂糖が入っています。白砂糖の摂取の減少こそ、若者の生活習慣病を未然に防ぎ、血管の硬化や■血を防いで、頭を良くすることにつながるのです。
朝鮮人参のサポニン「ギンゼノシド」の驚異的な老化予防効果
──血の巡りを良くする食生活を!──
原点は、大豆サポニン
──長寿村に共通する食材「大豆」──
林 一方、健康長寿に"食"が重要な鍵を握っているらしいということで、私たちは各地の長寿村の調査データをあたってみました。
いずれも食生活が質素で、長寿食は加工食品が登場する以前の日本の伝統的な食べ物であり、さらにどの長寿村でも共通している食材として「大豆」が浮かび上がってきました。
当時、大豆は栄養効果については知られていたものの、薬用効果を持つ有効成分についてはほとんど研究の対象になっていませんでした。そこで我々は大豆の主要成分として知られる「大豆サポニン」の研究に着手したわけです(図1)。味でいえば採れ立ての新鮮な大豆が持つかすかなえぐみ、苦みが大豆サポニンです。
サポニンの"サポ"は泡立つものを意味し、シャボンも同類語です。すなわち、サポニンは著しく泡立つ、水にも油にも溶けやすい植物成分の総称で、植物にとっては外敵から身を守る防御物質の一つなのです。
サポニンに属する成分はこれまでいろいろな植物から発見され、その種類は百種以上にものぼっていますが、以前はサポニンはアクの一種で、血液中の赤血球を壊す作用(溶血作用)もあるといわれ、価値あるものとしては研究する人はいませんでした。
ところが、私たちが大豆サポニンを抽出していろいろな実験をしたところ、大豆サポニンには溶血作用をはじめとする有害作用は全くないばかりか、細胞の老化を防ぎ、若々しさを保つ上で非常に効果があるという重要な結論を得たのです。
私たちの研究によって解明した大豆サポニンの働きには、
・過酸化脂質の体内生成を防ぐ、
・体内の過剰な脂肪を素早くエネルギーに変え、腸からの脂肪吸収を抑える、
・血中の中性脂肪やコレステロールを排除する、
・肝臓機能を保護する働き──の4つがありました。
中でも重要なのは、・の過酸化脂質が体内にできるのを防ぐ働きです。大豆サポニンは老化の元凶である過酸化脂質を分解し、体内での生成を抑制する強い力を持っているのです。つまり、大豆サポニンこそ我々が求めていた老化防止のための驚異的な新物質だったわけです。
もう一つの大きな働きは、・の体内への脂肪の吸収を抑え、すでにできている脂肪を素早くエネルギーに変えて体外に排泄する働きです。すなわち、血管に付着した中性脂肪やコレステロールを溶かして洗い流すと同時に、血中に溶け込んだ中性脂肪やコレステロールを除き、血中の脂質の濃度を常に正常に保ってくれるのです。
つまり、大豆サポニンはこれらの働きによって、肥満や高脂血症を防ぎ、引いては動脈硬化や生活習慣病を予防してくれるわけです。
朝鮮人参のサポニン「ギンゼノシド」に辿り着く
林 大豆という身近な植物が老化防止物質の宝庫だったように、他にも必ず同じような植物があるはずだと、私たちはそこでもう一度大豆のときと同じように、医食同源を基本にする東洋医学の原点に帰ってみることにしました。
まさに「灯台もと暗し」で、昔から漢方の秘薬として用いられてきた「朝鮮人参」が実は大豆をもしのぐ有効なサポニンを含む植物だったのです。朝鮮人参は古くから万能の霊薬として珍重され、学名「パナックス・ギンゼン(Panax ginseng)」とはギリシャ語で「万能薬の人参」を意味しています。日本でも江戸時代には労咳(結核)の特効薬の代名詞でしたが、庶民にはなかなか手に入らない高貴な薬種でした。
朝鮮人参の研究は韓国、中国、日本を中心に進んでおり、がんや血栓を予防・改善する作用や、身体への吸収促進作用、薬の副作用を防止する作用などがあることが判明しています。
朝鮮人参の成分上の特徴は、微量栄養素の宝庫であると共に、幅広い薬効をもたらす「ギンゼノシド」というサポニン群を3〜4%も含んでいるところにあります(図2・表)。
このギンゼノシドこそ、私たちが大豆の中に見出したサポニンと同じように、脳細胞の賦活作用もあるサポニンだったのです。そして、このギンゼノシドにも、大豆サポニン同様、溶血作用は全くありませんでした。
ギンゼノシドが細胞の寿命を延ばす
林 サポニンは骨格の部分と、これに結びついた糖の部分から成り立っています。結びつく糖の種類や結びつく位置が異なると、性質の違ったサポニンになります。
朝鮮人参サポニンのギンゼノシドは、Rbc系、Rg1系、Ro系の三通りの骨格を持つサポニン群に分けることができます。
Rbc系のギンゼノシドは、自律神経の交感神経に対して抑制的に働き、神経衰弱、不眠、ストレス性潰瘍の改善といった鎮静的な役目があり、一方、Rg1系のサポニンは交感神経の興奮に働き、強壮、疲労回復、抗がん等の細胞を賦活する作用が明らかにされました。
したがって、朝鮮人参サポニンの健康食品では、Rbc系とRg1系のギンゼノシドがバランス良く入っているものが、人間の身体に幅広い効果をもたらすことになるのです。
血圧を正常にし、頭脳の栄養補給を!
林 朝鮮人参サポニンは「益血復脈」といって、血液を造り、低血圧、心臓衰弱を改善して血行を良くする働きがあることが知られています。
終日頭を使って机に向かいづめの受験生にとっても、頭脳への栄養と酸素補給が行われ、勉強の能率アップにつながり、まさに福音だといえましょう。
動脈硬化・高脂血症・血栓の予防と改善
林 動脈硬化は血液中の脂肪(コレステロールや中性脂肪)と過酸化脂質が過剰になって引き起こされるので、予防・改善には、過酸化脂質の除去と、血中のコレステロールの正常化が必要です。
コレステロールには悪玉のLDL(低比重リポタンパク)コレステロールと、善玉のHDL(高比重リポタンパク)コレステロールの二種類があり、悪玉は比重が低く、血管に付着して動脈硬化を促進するのに対し、善玉は比重が高く、血管内膜に付着した悪玉コレステロール等の垢を取り除いて、掃除してくれるのです。
したがって、動脈硬化を予防し改善するには、血中の総コレステロール値を正常値に戻してやることと、善玉コレステロールを増やし、悪玉コレステロールとの割合を1対2・5の状態にしてやらねばならないのです。
さらに、血液の粘度を増やす血小板の凝縮能を下げてやる必要もあります。
朝鮮人参サポニンはこのような重要な役割を全てこなし、動脈硬化の予防と改善に大きな貢献を果たしてくれるのです。
神経衰弱・不定愁訴の改善林 ストレスからくる不定愁訴やノイローゼ、自律神経失調症などは、忙しい現代人のかかりやすい"心の病い"です。そんな心の病いにも朝鮮人参サポニンは効力を発揮するのです。
ギンゼノシドは不定愁訴からくる手足の冷え、立ちくらみ、目まい等にも効くのです。
糖尿病の予防と改善に役立つ
林 朝鮮人参は中国では最良の糖尿病の薬物として古くから使われています。ネズミを使った動物実験でもはっきりその効果が裏付けられ、また、人間での臨床実験でも、やや有効であったものを含めて55%の患者の血糖を降下させることができ、しかも、そのうちに治療が困難とされている眼底出血まで安定した人もいたとの報告もあります。
同じような例は他にもあり、こうした結果から朝鮮人参サポニンが糖尿病の改善に有効であることは明らかなのです。
咳を鎮め、痰を切る林 朝鮮人参は昔から喘息、肺結核などの咳を鎮め、痰のからみを切るのにも用いられてきました。
この鎮咳去痰には、サポニンを含む植物の根がよく使われていますが、これはサポニンが炎症を治す消炎作用を持っているからです。
このような作用により、朝鮮人参は昔から、喘息や肺結核といった長期にわたる病気に使われてきたのです。
胃弱・胃潰瘍・肝臓病の改善にも効果
林 朝鮮人参はまた、食欲不振、胃腸炎、慢性の下痢、便秘など長期の胃腸病で苦しんでいる人々にも使われてきました。
朝鮮人参の効果の特徴は、病状に対する一時的な抑えではなく、衰弱した胃腸を元気にし、正常で健康な胃腸に戻すという根本的な働きをしてくれるところにあります。
下痢と便秘という相反する症状を治すというと「そんなバカな」と思われるかも知れませんが、要は胃腸を根本的に治して機能を正常にすれば、下痢も便秘も治るのが当り前なのです。
朝鮮人参が身体を構成する細胞の寿命を延ばし、細胞の基礎になっているタンパク質、脂質、核酸(DNA、RNA)の合成を促進し、胃腸の細胞に栄養を与え、細胞の分裂再生と賦活に大いに力を発揮することは、ギンゼノシドを中心とする豊富な成分の働きによるものなのです。
ステロイドなど薬の副作用の除去
林 人間の平均寿命を延ばすことができたといわれる画期的な効果を持つ薬が第二次世界大戦後に、二つ発見されました。
一つは細菌を見事に殺してくれるペニシリンやストレプトマイシンといった抗生物質であり、もう一つは炎症やアレルギーを抑えてくれるステロイドホルモン薬です。
ステロイドホルモン薬は、喘息、自己免疫疾患、腎臓炎、慢性肝炎、白血病、リウマチ性関節炎等の難病の治療や、結膜炎、角膜炎といった眼病、火傷、打身に至るまで幅広く使用されています。
しかし、この薬は長期間使うと副腎を萎縮させ、顔が満月のように腫れるムーンフェースになったり、という副作用が出てきます。
しかも、この症状にいったんなると、薬をやめても容易に治らず、逆に心臓がドキドキしたり、強度の偏頭痛になるという悪影響が出がちです。しかし、医者は難病を治すにはどうしてもステロイドホルモン薬を使わざるを得ないため、こうした副作用を消す薬の開発が期待されていたのです。
この期待に応えたのが朝鮮人参サポニンです。ネズミを使った研究でも、人間での試験でもその効果は確かめられています。
ステロイドホルモン薬の副作用を起こした患者に朝鮮人参サポニンを1日100〜200mg、3〜6ヶ月間飲んでもらったところ、副作用が大幅に改善されたという報告があります。しかも、ステロイドホルモンと同時に朝鮮人参サポニンを50〜100mg服用すると副作用が発現せず、事前に予防できることも発表されています。
伝統的な食生活に朝鮮人参サポニンの活用
林 こんなにすごい効果がある朝鮮人参サポニンですから、私は食生活は穀類と豆類、野菜や芋類を中心にした伝統的な和食をベースに、朝鮮人参サポニンを豊富に含んだ朝鮮人参の健康食品を上手に利用すれば、健康長寿は間違いないと確信しているのです。