発酵漬物は地球を救う!!

針塚式プロバイオティクス漬物のすすめ

群馬県渋川市 針塚農産 針塚藤重代表

自ら実証する、プロバイオティクス漬物の健康効果
──日本がSARS汚染を免れているのも……

 21世紀は予防医学の時代といわれ、その中で注目されているのが乳酸菌を代表とする「プロバイオティクス(口から摂取し、生きたまま腸に到達し、人体で有益な働きをする微生物群)」です。
 乳酸菌というとヨーグルトなどを思い浮かべますが、実は乳酸菌にはヨーグルトやチーズなどに利用されている動物性乳酸菌と、味噌や醤油、漬物などに利用されている植物性乳酸菌があり、伝統的製法で作られた発酵漬物は植物性乳酸菌の宝庫になっています(10頁・表3)。
 針塚農産代表の針塚藤重さんは、300年前から田畑の土づくりに工夫をこらしてきた農家に生まれ、ご自身も「美味しく安全な漬物は土づくりから」と田や畑で大自然に学ぶ傍ら、最新の技術や学問的成果を随時取り入れ、素晴らしいプロバイオティクスの漬物を作られています。
 その健康効果は1935年生まれ、もうすぐ70歳というのに、黒々した髪、艶やかな肌、爽やかな語り口、微生物の学術名が次々飛び出す記憶力、さらに自ら「百姓のフーテンの寅さん」と称し、世界を股にかけて"日本の伝統食は世界最高の健康食"と講演行脚される精力的なエネルギーからも証明されています。
 折しも中国を中心にSARSが世界的に広まっている中、隣国の日本や韓国が感染禍を免れているのは納豆やキムチなどの発酵食品の効果ともいわれています。
 針塚さんに、プロバイオティクス漬物の健康効果、家庭でもできる漬物づくりなどお話を伺いました。

21世紀は、プロバイオティクスの漬物 「保存漬け」から「健康漬物」へ
──漬物の多彩な効用──

──穀類に野菜と海の物、そして味噌・醤油・納豆・漬物と多彩な発酵食品を持つ日本の伝統的食生活が世界的に評価されています。
 そこで今日は、40年以上にわたって健康漬物の研究に取り組まれている針塚さんに、漬物の健康効果ということでお話をお願いします。
針塚 漬物は本来、野菜を長期保存するために、塩の浸透作用と殺菌作用を利用した保存食だったわけです。昔は野菜は限られた時期にしかとれなかったですから、世界中で漬物が作られています。
 中でも日本は「何はなくても香の物」という言葉があるくらい、昔から漬物の宝庫で、江戸時代にはすでに60種以上の漬物が考案されています(表1)。この頃には野菜の種類も増え、保存目的ではない当座漬けや一夜漬けなども研究され、新香という言葉も生まれました。今では全国で800種以上の漬物があり、日本でこのように多彩な漬物が作られたのは、多種類の豊富な野菜と、"麹"に象徴されるように、日本の風土が漬物を作る条件に適していたからだと思われます。
 漬物は、塩の殺菌作用と浸透圧作用で腐敗菌を抑えながら野菜の水分やアクを出すことにより、野菜の酵素の働きが高まり、さらに乳酸菌や酵母菌などの微生物によって発酵が促され、旨味や香りが熟成されます。
 ですから漬物を食べることで、・香りや旨味が食欲を増進し、消化器液の分泌を高め、
・水分が引き出されることで野菜を大量に、しかも野菜に豊富なビタミンやミネラル、食物繊維などの栄養分を損なうことなく、効率よく摂取でき、
・さらに発酵によって、機能性のある各種の有機酸やアミノ酸が生まれ、レベルの高い、日本人の腸に馴染む乳酸菌を体にとり入れることができます。
 これによって、・腸の健康(整腸作用、便秘予防、浄血作用等)、・疲労回復、・肥満や動脈硬化、糖尿病など生活習慣病の予防、さらに・抗がん効果や免疫賦活効果がもたらされるというわけです。
──日本食が評価される一方で、過去には"白米に漬物"は高塩分食、と指弾を受けたこともありました。
針塚 漬物の塩分は実はそんなに高くないんです。今は肉体労働も少なくなり、また冷蔵庫の普及で塩分を高くする必要はなくなっています。特に近年は健康志向や嗜好の変化で、低塩・増酸による低塩漬物、健康漬物の開発が進み、塩分は従来の2分の1〜3分の1になっています。かえって麺類やパン類の方が多いくらいです。
 野薬が腐るということは、野菜の中で腐敗菌や大腸菌などの有害な微生物が育っていくことです。人体に有用な微生物も、有害な微生物も、もともと自然界にたくさん散らばって、大気に含まれていたり、食品についていたりしますが、どちらが優勢かで食品の安全性が決まります。
 そこで、ポイントになってくるのが塩分です。有用微生物は好塩性で、有害微生物は嫌塩性。つまり、適度な塩分のあるところでは、腐敗菌などの有害微生物は抑えられ、人体に有益な乳酸菌や酵母が活動して発酵が起こるのです。
 ですから、塩分は保存のためというより、塩分を利用して新鮮な野菜の発酵を促す、すなわち塩を振って重しをかけ、水を上げ、しっかり漬けることが健康漬物として大事なことなんです。そうすることで、嫌気性の元気な善玉乳酸菌が活発化してくるんですね。

「死にもの漬物」と「生きもの漬物」

──そうした健康食としての漬物が見直される一方で、今は偽物食品が氾濫し、漬物もひどい状況にありますね。
針塚 漬物には、「生きもの漬物」と「死にもの漬物」があるということです。
 今、市場には「死にもの漬物」が多く出回っています。沢山の添加物を入れたアミノ酸調味液にカット野菜を漬け込み、パックに詰めて一丁出来上りという漬物です。この世界は旨味や機能成分を作り出す発酵菌をはじめ、生命全ては殺菌剤や熱処理等で抹殺され、高いアミノ酸含有はアンモニアやニトロソアミンになり、それが発がん性を持つという世界です。
 一方、「生きもの漬物」は、プロバイオティクスの漬物です。
 プロバイオティクスの代表的なものが乳酸菌ですが、生きもの漬物の世界は、生きている乳酸菌を中心に、生きている酵母、さらに日本の伝統的な麹の素晴らしい力を利用した、パワーのある、やばいアミノ酸が非常に少なく、有用なアミノ酸が多い世界です。
 最近の研究では、プロバイオティクスの中には抗菌・抗ウイルス作用、抗がん効果、免疫を高める菌も確認され、京都特産のすぐき(酸茎)漬けやしば漬けからは、抗がん性の高いインターフェロンを通常の2倍も産生する乳酸菌「ラブレ菌」が、京都のルイ・パストゥール医学研究センターによって発見されました(図1)。
 実は私は大学(東京農大)では細胞遺伝学、育種を専門に学び、その私が漬物を作るようになったのは、冬野菜の代表格の白菜を、品種改良を重ねて夏でも収穫できる立派な白菜を作ったことがきっかけでした。神田市場に持ち込んだら、「こんな腐ったものを持ちこむな!」と罵声を浴びせられ、試行錯誤した結果、日本で初めて白菜の漬物を世に出しました。昭和32年9月13日のことです。その頃はまだ野沢菜漬け、白菜漬けを商品として作っている人はおりませんでした。
 白菜は腐りやすい漬物ですから、何とか腐らない漬物をということで作ったのが、塩3%で重しをかけ、乳酸菌発酵させたプロバイオティクスの白菜の浅漬けです。
 以来、安心・安全の"健康食品としての漬物"作りに心血を注いで45年以上、予防医学の時代といわれる今世紀には死にもの漬物は淘汰され、プロバイオティクスの漬物こそ21世紀の漬物になると確信しています。

極上の漬物は、多用な微生物が共生する肥沃な土から
──土作りにも発酵技術──

 針塚 20世紀は武器、原子爆弾、殺虫剤、抗生物質(アンチバイオティクス)に代表される、"殺す技術"の時代でした。その結果が、新興感染症や多剤耐性菌の蔓延、そして人の免疫の低下、がんの多発です。ベトナム戦争でベトコンにアメリカが負けたのも、アメリカ兵は軍支給の無菌コンビネーション食糧を食べ続けて抗菌力が無くなり、メコン川のウイルスや細菌にやられ、体調を崩し、精神がおかしくなったからです。
 対して21世紀は、"生物間共生(プロバイオシス)"の時代です。農業や食品においても、有益な微生物を生かした健康農法や食品加工法、機能性食品の開発が主流になっていくと思います。
 その鍵を握るのが発酵技術です。日本は世界一の発酵食品の技術国家として、麹などは平安時代に京都には種麹屋があり、1500年も前よりスターターカルチャー(種菌文化)を実行していました。
 実はプロバイオティクスの美味しい極上漬物を作るコツは、優れた「品種」づくりと、それを育む肥沃な「土」づくりにあります。私は、土壌改良にも発酵技術を用い、環境を改良しながら「緑肥」の農業をすすめています。
 サトウキビの仲間のソルゴー、豆科のクロタラリア、マリーゴールドなど10種類の緑肥の種を混ぜて畑に蒔くと、糖含量の多い有機質が畑に耡き込まれ、乳酸菌などの有用微生物が増殖したり、病害虫を抑制して、肥沃な畑ができるんです。
 硝酸塩が多い野菜で漬物を作ると、体の中で亜硝酸塩から発がん物質のニトロソ化合物が生まれますが、緑肥を使うことで野菜の風味も成分も向上し、畑の地力を把握して、それによって施す有機肥料の加減も的確にできるようになります。
 今、私の畑はもっぱら自家種(自ら育種選抜した種)作りの実験農場と化してまして、実際に漬物に使う野菜は、私どもの自家種を近隣の緑肥堆肥の畑で栽培してもらっています。こうすることで、地域の環境作り、農産の発展にもつながっていくわけですね。

日本人の腸に馴染む植物性乳酸菌ヨーグルトより強い漬物の乳酸菌パワー

──日本人の腸内細菌叢は味噌・醤油・納豆・漬物などで作られましたから、乳酸菌などもヨーグルトより、こうした伝統発酵食品からとって欲しいですね。
針塚 乳業メーカーなどが膨大な資金を投じて、ありとあらゆるところで「ヨーグルトを飲もう」とコマーシャルするので、消費者は「乳酸菌イコールヨーグルト」と信じ込まされてしまっているんですね。
 乳酸菌は炭水化物(乳糖やブドウ糖などの糖分)を餌に増殖し、その過程で多量の乳酸を作るところから、乳酸菌と名付けられたわけです。乳酸菌は自然界に広く分布し、非常に多くの菌種や菌株がありますが(表2)、大別すると・動物に付着する動物性乳酸菌と、・植物に付着する植物性乳酸菌に分けられます(表3)。
 今、乳由来の乳酸菌だけがすっかり一人歩きしていますが、ヨーグルトなど動物性の乳酸菌は意外と力が弱く、植物性の乳酸菌、例えば米糠、米麹、酒粕などにつく米由来の乳酸菌(ラクトバチルスなどのL(+)乳酸菌)の方が断然強いんです。
 私はそれを実務的に体験してますし、学問的にも東京農大の岡田早苗教授などは米由来の乳酸菌の方が耐性が強く、日本人の腸に馴染みやすく、腸への活性も強いのではないかといわれています。
 実際、日本人はついこの間までヨーグルトなんかとっていなかったのに元気でした。今とは比べものにならない劣悪な衛生環境の中で伝染病の蔓延を防げたのも、まさにこうした伝統発酵食品のお蔭だったんですね(表4)。

人間の腸の中は重しをかけた漬物樽と同じ
──麹の素晴らしさ──

針塚 「人間のお腹の中と重石をきかせた漬物樽の中は同じ」と私はよくいいますが、乳酸菌は腸の中でも、食品の中でも、乳酸や酢酸などの酸を生成してpHを下げ、悪玉菌の増殖を防いでくれます。
 農家では昔からあまり衛生的とはいえない方法で味噌造りをしてきましたが、味噌で食中毒を起こしたという話は聞いたことがない。これも、麹菌(写真)にはアスペルギルス酸という一種の抗生物質が含まれ、サルモネラ菌や大腸菌といった食中毒菌を抑えているわけです。
 この日本古来の米麹はすごい力を持っています。麹には乳酸菌が集まってきますし、麹菌が増殖する時には澱粉を分解する「アミラーゼ」や、蛋白質を分解する「プロテアーゼ」などの酵素を生産します。酵素が分解した糖類やアミノ酸は旨味成分となって、甘酒や日本酒、味噌、醤油、酢、漬物、味醂など、日本の素晴らしい伝統発酵食品(表4)を生んだわけです。
 こうした歴史的に安全性が確認された麹、乳酸菌、酵母などの微生物を生かした発酵食品こそ、日本人のお腹に馴染む、最高の健康食品となるんですね。

針塚式、ヘルシーなプロバイオティクス漬物
3%の塩で風味豊かな「麹浅漬け」

──では、その針塚流プロバイオティクス漬物の極意をご伝授下さい。
針塚 私はヘルシーな漬物として、薄塩でサラダ感覚で食べられる浅漬け、即席漬け、中でも麹浅漬け、糠みそ漬けをすすめています。
 まず漬ける野菜は、私どもでは「美味しく安心・安全な漬物は土づくりから」と提唱していますが、家庭ではとりあえず酵素がたっぷりの新鮮な旬の野菜を選び、小指の頭ほどの傷んだところや土がついたところには10億個もの腐敗菌がいるといわれますから、バッサリ切り捨て、流水でよく洗うことが大切です。
 麹浅漬けはまず、よく洗った野菜に野菜の重量に対し3%の塩で手でもみもみ(キュウリなどは板ずり)します。ちなみに女性は手だけでなく全身良い乳酸菌の固まりです。美味しさを保ちつつ、腐敗を防ぐ塩分のボーダーラインは3%。これ以下だと腐敗菌が繁殖し、これ以上だと乳酸菌が発生して腐敗を防ぐのです。
 そして一晩くらい重しをしっかりかけて水を上げます(キャベツなど水が上がりにくい野菜は塩水につける)。重しをすることでラクトバチルスなど嫌気性の乳酸菌が増えます。
 水が上がったら、その水は農薬やアクがいっぱいですから捨てて流水でもう一度よく洗います。そうすると塩分も半減します。あとは乾燥麹を一つまみと、乳酸菌のえさとなる白ザラメを少し加えて家庭用漬物器でも密封容器にでも移し替え、冷蔵庫で保存します。
 3%の食塩でもみもみし、アク抜きをした野菜に麹、こんぶ、唐辛子の三種の神器(表5)を入れた麹漬けは、漬物の乳酸菌の働きでこんぶのアミノ酸からは精子の主成分のアルギニンや、野菜のアミノ酸からは高血圧やボケ予防に注目のギャバ(γ―アミノ酪酸)が出て、とてもよい健康漬物になります。
 薄塩ですから保存は冷蔵庫、傷みやすい季節はこれに酢を少量入れてもいいでしょう。普通、浅漬けは5日くらいで酸敗してきますが、私の漬け方だと3週間は持ちます。1週間は若い女性の味、2週間で熟女の味、3週間で田舎のお婆ちゃんの味になります。それ以上になりますと、乳酸菌もへたってきて腐敗菌が増えてきます。

乳酸菌リッチの糠床で、糠みそごと食べる「糠みそ漬け」のすすめ

針塚 糠漬けの一つで、即席漬けの糠みそ漬けは日本が誇る漬物です。糠床は糠に含まれる酵素や澱粉、蛋白質、脂肪などの成分が、自然に混入した乳酸菌や酵母菌の発酵作用によって、旨味や甘味、酸味、香味成分に変化します。
 私はこの糠床に独自の工夫をこらしてさらに乳酸菌リッチに仕上げ、この糠床で漬ける漬物は非常に素晴らしいプロバイオティクスの漬物になります(図2)。さらに、効率的なプロバイオティクス摂取源として、私は糠みそ漬けを糠みそごと食べるのをおすすめします。
 糠床(表6)の作り方は簡単です。・新鮮な米糠3・2kgを75℃で3分程炒って、手でかき回して中心温度を温度計で測り、・そこに塩約800g(塩分が心配なら半量を、グルコン酸ナトリウムかカリウムに置き換える)、・これに新ビオフェルミン細粒(フェイカリス、アシドフィルス、ビフィドバクテリウムの3種の乳酸菌が混合された整腸剤)を大さじ2〜3杯ほど入れてかき回し、・あとは生ビール(水でも可)を入れて耳たぶくらいの固さに練ります。
 これに麹や山廃仕込みの酒や、酒粕など入れ、風味を高めるためにこんぶと唐辛子、さらに好みで煮干しや鰹節、卵の殻、ウコン、炒り大豆、黄粉、ニンニク等適宜入れれば、旨味も機能性成分もグンと増します。
 この乳酸菌リッチの糠床では、床を作ったその日から野菜を漬け込むことが出来、軽く塩をすり込んでアク抜きし(キュウリなどは板ずり)、よく水気を切った新鮮な野菜などを入れればいいわけです。
 私が研究開発したこの糠みそ漬けでは、多種多様の乳酸菌群の他に、野菜や果物の酵素も糠の脂質の分解を助けますから、非常に機能性の高い食品になり、さらにアルギニンやギャバなどの機能性のあるアミノ酸もグンと増え、補酵素のビタミンB群の増加も高まります(表7)。
 毎日の手入れは、糠漬けを取り出し、新しい野菜を入れ、床底までよくかき回せば、新鮮な空気が入って、好気性の菌も棲みやすい環境となり、これでOK。床が水っぽくなったら布巾に吸わせ、時々、糠や塩などを補充していけばいいのです。乳酸菌は、手でかき回すことで補給されます。
 糠には脂肪が約15%ありますから古いものは酸化しているので必ず新鮮なものを用い、また、糠は美味しいので昆虫やネズミなどが寄って来ますから、炒った方が安心です。ビオフェルミンを入れることでアミノ酸の腐敗物、アミンやスカトールなどは少なくなり、有用菌が増えてきます。
 糠床は年間を通じていつでも作れますが、発酵適温は20〜25℃なので、春先から秋が特に向いています。夏場は酸味や悪臭が出やすいので毎日の手入れを決して怠らず、糠床を冷蔵庫に入れるのもおすすめです。その日の汗のかき方などによって漬け時間を加減すれば、塩分のコントロールもできるわけです。
──糠漬けと糠みそ漬けの違いは?
針塚 糠漬けは塩と糠で漬けた漬物の総称です。
 長期保存を目的にした糠漬けは水を加えずに重しで脱水して漬け込んだ本漬けたくあん(表8)や、魚介類の糠漬けがあります。

シンプル・ヘルシーな日本食が地球を、世界を救う

針塚 21世紀は「シンプルかつ、発酵食品の宝庫の和食こそが健康の元」ということで、それを世界中に広めることが私の責務だと思っています。
 今年も、1月17日から26日まで"ベルリン国際緑の週間"に出展しまして、「日本人が世界一の長寿なのも、お米のご飯に、具沢山の味噌汁、そして漬物と海のもの、このシンプルな和食が健康によいのです」と声をからして10日間、大声でさけびました。
 今回で6回目のメッセの参加ですがまさに「継続は力なり」で、ベルリンではこのシンプルな和食のファンが増えて、日本の出展コーナーには人がいっぱい集まりました。
 肉食過多・野菜不足のあちらでは体のミネラルバランスが悪く、男も女もデブデブで、60代で寝たきりになり、人生をリタイヤするという人も多く、70歳近い私の黒々とした髪が話題になったり、若い女性からは「Tojyu(藤重)は、体がやわらかくてさわると気持ちいい。エネルギッシュで素敵」ともてはやされました。
 この源は漬物の乳酸菌であり、「Tojyuの漬物は、酵素漬けであり、ギャバ漬けであり、プロバイオティクスの乳酸菌の塊であり、高食物繊維食なので、腸の中の100兆個からの元気な細菌達が活き活きする。人間はこの100兆個からの微生物の働きで生きていることを知り、からだの細菌達に感謝しなければいけません」と話すと納得します。
 女性記者からは日本の出展コーナーの中で「Sexが強くなる食べ物はどれか」という質問が多く、先進諸国では少子化が一番の問題になっていることがよくわかります。答えは「日本人は、愛のミネラルといわれる亜鉛や、精子の主成分であるアルギニンが多く含まれている海藻をよく食べる。精力をつけるには特別な食品でなく、腹八分目で発酵食品に繊維食、そして海産物がよい。アルギニンは魚卵や海藻にも多いけれど、味噌にもいっぱいある。それも即醸ではなく、きちんと発酵熱成させた味噌でないとアルギニンは出ない」。
 ロンドンでは甘酒を牛乳に混ぜたら、若い娘さんがわんわんきまして「うまいうまい」と言う。ここでも日本の和食は非常に健康に良いと話をしますから、とにかく若い女性に非常に人気がありまして、年はとれないんですよ(笑)。
 これからも、シンプルな日本食こそ地球を救うという信念で、生きもの漬物づくりの辻説法を続け、そして日本の食糧自給率を100%にするまでは死なないぞ!! という意気込みでおりますから、毎日が楽しくてしょうがありません。
表1 『漬物塩嘉言』で紹介されている64種類の漬物
沢庵漬
刻漬
大阪浅漬
糠味噌漬
生姜味噌漬
青梅漬
印籠漬
捨小舟
紫蘇漬
菊漬
刀豆粕漬
冬瓜味噌漬
初夢漬
百味加薬漬
菜豆青漬
山葵粕漬
小大根三盃漬
精舎納豆漬
漬昆布
十六さゝげ粕漬
柿粕漬
笋塩漬
三年沢庵
大阪切漬
菜漬
大根味噌漬
日光漬
千枚漬
渦巻
雷千瓜
梅花漬
塩山椒
守口粕漬
花丸糟漬
鼈甲漬
巻漬
蕗水漬
辣蕎三杯漬
土筆粕漬
枝豆塩漬
糸瓜粕漬
天王寺蕪
柚青漬
同百一漬
浅漬
京糸菜漬
奈良漬瓜
梅干漬
牛房味噌漬
達磨漬
茄子塩圧漬
桜漬
辛皮
独活味噌漬
西瓜粕漬
麹漬
阿茶蘭漬
漬蕨
三葉溜漬
家多良漬
塩松茸
胡蘿葡味噌漬
梨糟漬
金柑塩押
『緑の風』針塚藤重著、針塚農産刊より
表6針塚式ぬか床の乳酸菌、酵母、
こうじ菌、種菌など
・耐塩性乳酸菌Tetragenococcus halophilus.
・Enterococcus faecalis.
・Lactobacillus plantarum.
・Tetragenococcus cerevisiae.
・酵母(耐塩性)Zygosaccharomyces rouxii.
・麹Aspergillus oryzae.
・新ビオフェルミン・細粒
(ビフィズス菌、フェカリス菌、アシドフィス菌)
・bifidus.
・ラクボン(有胞子乳酸菌)(三共ラクリス)
・ビール酵母
・トレハロース(商品名トレハオース)
・オリゴ糖
・米ぬか 3kg
・小麦ふすま 500g
・食塩(海水自然塩)400g
・グルコン酸ナトリウム400g(ヘルシヤスA)
・生ビール 2・
・吟醸酒(生)300m・
・その他こんぶ、とうがらし、うこん、大豆
・Lactcoccus lactis IO−1
『緑の風』針塚藤重著・針塚農産刊より