尿療法と栄養療法の非通常療法で、がんを治す

佐野外科病院院長 一遍療法友の会会長 佐野鎌太郎先生

尿療法のA to Z

 尿を飲むというと、たいていの人は眉をしかめるが、尿は血液を腎臓で濾し取ったもので、無菌。便が下水道なら尿は上水道。尿の95%以上は水分で、そこには酵素、電解質、ホルモン、ビタミン、抗体など、血清成分のすべてが含まれている。尿は自分の症状に一番よく効く、いわばオーダーメイドのワクチンなのだ。アンモニアなどの有害物質も含まれるが、ごく微量なのでまったく問題ない。
 ストレスのない健康な人の尿は、決して飲みにくいものではない。糖尿病、痛風、感染症の人、投薬中の人、妊娠中の人でも問題なく飲める。それでも飲みにくい、匂いが気になるという人は、氷を入れても水やジュースで割っても構わない。ただし加熱は厳禁。
 朝起き抜けのコップ1杯が基本。量や回数は体調や症状によって加減すればよい。末期がんの人などは、出る尿はすべて飲む。その他、点眼、点鼻、患部への直接塗布、シャンプーやリンス、洗顔料としての使用も効果絶大。
 好転反応(一時的な症状の悪化や新しい症状の現出)がある場合もあるが、これは治癒の過程で出るものなので、飲尿を続ければ自然に治まる。反応の出方(症状、度合い、期間など)には個人差があり、まったく出ない人もいる。どうしても気になる人は、飲尿を一時中断する、あるいは量や回数を減らすなどの対処で乗り切る。
(参考‥「医者がすすめる尿療法」)

微量栄養素不足の 命のない食べ物によって がんが生まれる

佐野 今、命のない食べ物があふれ、そのために微量栄養素が不足の傾向にあります。
 食生活の欧米化や、また井戸水を飲まなくなったせいもあって、ビタミンやミネラルがどんどん食事から減り、その上、人工食品や添加物などで食べ物が自然と乖離し、がんや成人病予防には必須のセレニウムとか、亜鉛とか、マグネシウムとかのミネラル類、またビタミン類がだんだん少なくなってきています。
 昔みたいに玄米を食べて、肥えた土壌からできた植物を食べていれば、ビタミンとかミネラルなどはあまり不足することはないのに、最近になって、ミネラルやビタミンのサプリメントがクローズアップされてきている背景には、命のない食べ物が多くなってきていることがあります。玄米は地面にまけば芽が生えてくるけれども、白米を地面にまけば腐るだけです。
 そうした食べ物事情から、人間の体も段々生命に溢れているものがなくなって、単純に分かりやすく言うと、腐敗発酵でエネルギーを獲得する"がん”というものも発生してきちゃうんですね。
 そういう現代では、アメリカでは3人に1人、日本でも4人に1人というものすごい高率でがんが発生しています。

がんの遺伝子は細胞が 滅亡しないためにある

佐野 私はもともと心臓外科が専門で、女子医大で榊原教授の下にいたんですが、こちらに来て開業医になってアウトサイドから大学病院というところを見た時に、大学病院の治療というものは、糖尿病に対しても、痛風に対しても、何でもそうですけど、全然進歩してないんです。特にがんに対しては、これという決め手は早期発見、早期手術しか持たず、ところががんを発見したときにはすでに早期じゃないというのが実情です。
 私達が今考えているがんに対するものの見方は、局所から全身に広がってくるんじゃなくて、がんというもの自体が、大豆大でも出た時には、既に10年は経っており、がんの出た所だけでなく、それはもう全身の病気だということです。
 がんは、決して局所の病気ではない。全身のメタモリズムが極度に乱れた病気で、このメタモリズムを左右するのが、いわゆるビタミン、ミネラル、ホルモンなどの微量成分です。
 がんはメタモリズムが極度に乱れた結果、一ヶ所弱いところにポチッと出てくる。だから、ポチッと出てきたのは早期発見じゃなくて、「お前、全身に気をつけろよ」と知らしめた一つのシグナルだと私は思う。ポチッと見えたのは決して早期じゃない。そこまでなるのは、体は相当な異常を来しているんですね。
 がんの遺伝子というのは、その細胞が永続するための遺伝子なんですよ。死なないために存在する遺伝子で、お城でいえば、いざ大奥に火がついた時絶対燃えないでそれを守っている鉄の扉のようなものなんですね。それががんの遺伝子だと私は考えています。
 そのがんの遺伝子には3種類くらいあるんですけれど、いよいよ危ないなという時、これがお出ましになるわけ。そうすると、彼らは絶対に細胞が根絶やしにならないように、滅亡しないように動いていくわけです。

微量成分の不足が 細胞をこわす

佐野 細胞というのは細胞膜があって、細胞質があって、核膜があって、核質があります。その核質の中に染色体があって遺伝子が乗っかっています。
 その辺の細胞壁と核質に異常を来す原因の大きな一つには、微量成分の変化、あるいは活性酸素の影響があります。
 活性酸素は細胞膜を破って、核膜にいたずらをする。そうすると細胞外液は細胞内液に入り、細胞内液は細胞外液に行く。そうすると体は、「あれ何だかおかしいな、外はザワザワするな」と異変を感じてきます。で、何か細胞に異変が起きてるぞと感じた時に、遺伝子に乗ってるがん遺伝子がお出ましになるわけですね。
 活性酸素だって悪玉だけでなく、善玉の役割がある。必要だからこそ存在するわけでしょう。日向ぼっこして、そこで、活性酸素が出るから、布団の中のダニやなんか、皆、潰れたわけです。それから、ビタミンDが活性化されるということで、日向ぼっこは良かったわけでしょう。活性酸素が悪玉になるのは、本来、人間の体を守ってくれるためにあるものが、かえって守り過ぎちゃって、つまり過剰に発生して細胞をおかしくしちゃうんですね。活性酸素過剰発生、活性酸素の暴発にも、微量成分不足がかかわっています。

人間の世界は滅亡する ようにできている?

佐野 がんの遺伝子や活性酸素のように、本来人間の体を守ってくれるためにあるものが、かえって人間の命をむしばむようなことになってくるということは、天も地も、つまりお天とさんも、水も、空気も、土も、全部変化してきているということです。
 だから、人間も滅亡するんです。
 土は酸性の土になり、雨は酸性雨になり、空気は二酸化窒素だとか、オゾン層を破壊するフロンだとかで汚染される、そうなってくると、人間の住める自然界は滅亡するんです。
 だから今度は、クローン人間をつくって、そういう、がんの遺伝子を取り除いてしまえばいいという発想になる。だから恐ろしいことに、将来、クローン人間をつくって、クローン族しか残らないという可能性は十分あるわけです。
 天然水と水道水佐野 水ということでは、私達の世代は高校生ぐらいまで井戸水を飲んでたわけですね。ところが今の人達は小さい時から水道水を飲んでいる。
 水道水とはどういうものであるか。トリハロメタンがあるし、塩素があるし、それから何度も何度も殺菌を重ねればミネラルも変化してくる。
 一方、井戸水というのは、自然の雨水が大地にしみ込み、土壌のミネラルを少しづつ、10年から100年かけて溶かし込んだもので、それを地下10メートルくらいのところから汲み出しているわけです。それぐらい長い間かかってミネラルを吸収した水を飲むのと、水道水を飲むのとでは体に対する効果に大なる差がつくことはお解りの事と思います。
 塩はNaClじゃない佐野 それと、もっと大きい問題は塩ですよね。
 塩はNaCl(塩化ナトリウム)かというとそうじゃない。海水からとった塩にはNaCl以外のマンガン、亜鉛、セレニウムといった微量成分が入っている。ところが傲慢な人間は、そんなものはごくわずかしかないから、生体にとっては、あってもなくても同じだと、切り捨ててしまった…。
 ところが生体にとって塩はNaClじゃない。人間は海から生まれて、羊水も海水と同じような組成を持っています。そうした人体のミネラル組成を、ミネラルバランスを無視して、化学塩を用いてきた結果、体格がよく病気もこれといってないけど亜鉛等の欠乏により子供は生まれないとか、味覚異常だとかになっています。
 こういうような状態になってきたのは、長い間、微量成分が切り捨てられて出てきた結果だと思うんです。

沖縄の人には 明日があった?

佐野 現代はストレスが非常に多い世の中ですよね。
 沖縄の人のよく言う言葉に「明日があるさ」というのがありましたが、沖縄人というのは明日があるということで実にのんびりしていました。
 「くよくよするな、明日があるさ」というのは、どういう人間が言うかというと、自然の恵みがあるところの人ですよ。自然の恵みに富んでいて、果物も木の実も豊富。海へ行けば魚もある。だから明日があるというわけですね。
 ところが、私達本土の人間は「明日があるさ」と構えていられないから、くよくよしている。そこにも問題があります。
 医者の不養生と尿療法佐野 では医者はどうか。
 私は新潟医大出身で毎年クラス会に出てますが、そうすると毎年、3人ぐらいががんになってるんですね。中には有名病院の院長や大学教授もいます。結局、がんに対して何の手段も講じていない、講じられないんですね。
 患者に対しては制がん剤やコバルト、あるいは切除手術とか施していますが、いざ自分の身に降りかかるとそうした治療は怖くてやらない。ただじっとしているだけ。
 それなら、「俺の奨める尿療法やれ」と言うと、「バカヤロー、ションベンなんか飲めるか」と反論する。でも、「確かにお前の言ってることはわかる。尿は汚くない。尿から沢山薬がとれる」とも言う。
 実際、尿というのはすごいんですね。尿があれば石鹸も化粧品もいらない。私はオシッコで顔を洗い、目も洗い、鼻も洗っています。
 とにかくまず、一番助かるのは鼻の悪い人。もう、スースー鼻が通ります。蓄膿の人なんかは一発で治る。耳の悪い人もちょっと耳にさせばすっかり良くなっちゃう。それから頭の毛の薄い人も、フサフサしてくる人がいます。
 私は毛が多い方の家系ですけどそれでも薄くなった。それが尿を飲むようになってから、今は抜け毛もないし、むしろ増えてきています。

尿は全身の異常を知っている

佐野 こんな具合に、尿を飲めばたいがいの病気や、体のトラブルは好転します。体質も変わるんですね。
 それは、尿は情報を持った水だからなんです。「尿は何でも知っている」ですよね。
 体の情報を全部知っているんです。だから体がおかしくなればこれを飲むことによって元の体に戻る。正常な方向に戻って行く。
 尿に限らず、水にはものをメモリーする特性があるんですね。よく大雪の降った年は大豊作だって言うでしょう。それはどうしてかっていうと、雪の結晶が溶けた水は非常にクラスターの小さい水なんですよ。それは、ものすごく稲や何かに吸収されやすいんです。分子が小さい。重なってないんですよ。それと同じように、谷川の水を飲んで、「あー、まずい」って言う人はいないでしょう。あれは、水が10メートル流れてくると、重なったものがほとんど粉々になって、非常に美味しいんだそうです。だから私は普通の水よりも氷水を飲んでいる。
氷が溶けるのも雪が溶けるのも同じだから。
 そういう観点から言うと、人間のオシッコっていうのは毛細血管を通って全身を廻ってきたやつでしょう。全身の異常を知っているわけですよ。だから出たものを飲むと、こいつはがんになってる、こいつはホルモンが足りない、これは糖尿になってるちょっと危ないと。そうすると、インスリンが出るようになる。あるいは、腸内細菌が変化してくるわけです。もっと端的な例を示せば、淋病も濁ったような淋病に罹った患者のオシッコを飲ませて治してしまったのです。
 がんについても、膀胱がんで人工膀胱を使っている人がいます。それで肝臓に飛び火したんですね。その人は人工膀胱ぶら下がっているから、すぐ尿がとれるでしょう。それで尿を飲んで、すぐに変化がわかる。目で見えるから。3日も経たないうちに、赤茶けたような尿は黄色になってきた。そういう例もあるんです。
 尿は聖原水佐野 オシッコなんてのは、自分の体に合ったミネラルとビタミンが均等に出てきますからね。それを飲めば一番奇麗だし、一番バランスのとれた水ということです。だからオシッコは最高に体に良い水、聖原水って言っても過言でないと思います。
 それから年を取れば、免疫をつかさどっている胸腺が少なくなってきます。それに対しても、尿で補ってやることができます。
 だから、年を取ってきたら、若い女性の尿を飲めば、若返りますよ。銭湯なんか行くと、赤ちゃんなんかオシッコしちゃうでしょう。その後、老人が入ると、肌から吸収されるから、老人は、初風呂に入れるなと。一番最後の風呂に入れろと。そういった日常の戒めみたいな言葉は、そこから出たんですよ。
 尿を飲むのは私のアイデアではありません。6000〜5000年前にインドから発生し、西太后も飲んでいたという記録もあります。インドでは今年、第一回尿療法世界大会があって、2年後にはドイツで開催される予定です。一旦忘れ去られたといえ、それだけインターナショナルな療法に今なっているんですね。

非通常型治療(表1、2)で がんは治る

佐野 医者が健康を左右するんではないんですね。病気になったら治すのはその人自身なんです。
 だけれど、今のがんはただ自然治癒力にまかせていても治せないという。それなら、がんにならないように普段から健康を保持するためにはどうしたらいいか。
 これからは、体に良い食事、早寝、早起き、適度な運動、快食、快眠、快便といった、ライフケアをサジェスチョンできる人、つまりヘルス・インストラクター、あるいはヘルス・キーパーというものが必要とされてきます。健康を指南するヘルス・インストラクター、あるいはヘルス・キーパー、そういうような役割があっても私はいいと思います。
 医者というのは、人の言うことに反対するとかケチつけることはしても、自分の研究、医療だけは素晴らしいということを主張する科学者なんです。非常に度量が狭い。医者であるが故に、プライドがある故に、あれもいいこれもいいっていうわけにいかない。
 たとえば、おっぱいの手術はできるけど盲腸ができないという外科医、脳の手術はできるけど脱腸の手術はできない、そういう外科医はいっぱいいます。そのぐらい医療の細分化が進んできてしまったわけなんですね。その結果、医者は専門の部門以外はほとんど何も知らない。
 だから、「患者よがんと闘うな」の著者近藤医師が、医者は患者を目茶苦茶にしている、制がん剤でかえって患者を殺してると大発言をするわけです。
 確かに、そういう通常型医療でものを見た時には近藤医師の言う通り、制がん剤は飲まない方がいい、コバルトもかけない方がいい、結局がんになったら何もしない方がいいし、患者は知らない方がいいということになってしまう。
 そこで、微量栄養素、微量成分、また尿を飲めばいいとアドバイスすればいいけれど、そういうことは殆どの医者は言わないし、通常型治療以外を知ろうともしない。
 でも、ただ手をこまねいて何もしない方がいいと言っているのでは、それでは駄目なんです。
 私に言わせれば、がんの治療には、通常型治療と、非通常型治療がある。非通常型治療、つまり尿療法や栄養療法の面からみると、これを十分にやれば、がんは決して治らない病気ではないんですね。がんでも尿療法で随分治っていますし、ましてやその大きな武器の中に、ビタミンとかミネラルを入れて、徐々に徐々に修正していけば、これは相当な治療効果が上げられると、今までの治療体験からいうことができるんですね。
 それと、食べ物を元に戻す。長い歴史につちかわれてきた食生活こそ日本人の体質にあう。旬のものを食べるにしても、まず土壌を豊かにするということから始めて、元に戻す。がんにしても糖尿病にしても、やっぱり栄養からくるわけだから、やっぱり栄養革命、自然環境を破壊しないものからということでないと。私達の治療を進めていけば、要するに自然環境をよくするという、大きな社会運動になっていくと思いますね。