スポーツは、活性酸素とストレスを生む

遺伝の仕組みにあった生活が"健康の鍵"

東京大学理学部(理学博士)加藤邦彦先生に聞く

 スポーツ万能時代といいたくなる程、スポーツがもてはやされている。
 「観るスポーツからやるスポーツへ」と運動が奨励され、最近はリクリエーションとしてばかりではなく、「スポーツ健康法」が一大ブームとなっている。
 成人病の予防から治療にまでスポーツが活用され、厚生省や文部省がそれを推進する。運動をしないと強迫観念に襲われる時代だ。
 しかし、スポーツ人口が増えるにつれて、スポーツによる健康障害も増加し、中でも"スポーツ中の突然死"は、その急増ぶりが社会問題になりつつある。
 加藤邦彦先生は専門の「基礎老化学」のデータを解析する過程でスポーツに疑問を抱き、研究を進めるうちに"運動は決して体によいものではなく、むしろ体にわるい"という結論に達した。
 研究の成果をまとめた『スポーツは体にわるい』では従来の常識が大きくくつがえされ、ショッキングな内容に発刊3ヵ月後の現在も、著者の加藤先生のもとには取材ラッシュが続いている。
 超人的なハードスケジュールの中、加藤先生に"スポーツの危険性"、中でも「ストレス」との関連、併せてご自身のストレス解消法も伺ってみた。
※『スポーツは体にわるい』
1992年11月25日初版発行
光文社カッパサイエンス
定価790円

スポーツは 体を老化させる 運動すると短命になる

||『スポーツは体にわるい』は反響がもの凄いようですね。
加藤 それだけ、現代社会では"運動は体に良い"という幻想が浸透しているということでしょうね。この本がその幻想を打ち破り、運動の持つ危険性を知らせ、皆さんの健康にささやかなりとも役立つようであれば、これ程幸せなことはないと思っています。
 特に最近は、運動が「突然死」の引き金となっているケースも多く、そういった不幸を未然に防げればと思います。
||運動の功罪を測るために、寿命を指標とされていますが。
加藤 今までは、"運動が体にいい"という指標には主に、運動能力の向上に重点が置かれていました。しかし、生物学的指標として最も端的に結論を示すものとしては寿命、老化速度でしょう。
 例えば、イエバエを小さな容器と大きな容器で飼うと、大きな容器で飼った方が短命になる。これは、大きな容器では運動量がそれだけ増えるからです。
 運動量と寿命の関係を、ネズミを使ってさらに精密に実験すると(図1)、
a運動ネズミ(運動を好むように訓練されている)は、運動をしないネズミより長命である。
bしかし、運動しないが餌を制限して肥満を防いだネズミは最も長生きした||という結果が得られました。
 力士などプロスポーツ選手、アマでもオリンピック選手などが意外に短命なのは割合知られていることですが、これは常識を越えた過激な訓練や、また力士などの場合は過度の肥満からくる結果であることが多く、一般的な基準とはなりません。
 最近発表された中で注目すべきデータとしては、体育学部を持つ国立大学の卒業生の死亡者から平均寿命を割り出したものがあります。平均寿命は体育系60・6歳、文科系66・8歳、理科系66・1歳となり、体育系は文、理科系よりも5・5歳〜6・2歳も短命となっています。(大妻女子大・大澤清二教授、筑波大付属中・小磯透教諭の研究。1872〜1981年迄の死亡者3、113人を抽出)
||運動すると寿命が短くなる原因は?
加藤 スポーツは活性酸素を飛躍的に増大させ、また、肉体的ストレスとなるからです。
 近年、病気や老化に最も重要にかかわっているのが「活性酸素」と「ストレス」であることがわかってきました。運動は老化の主犯格である両者を同時に生成します。

スポーツは何故、 体に悪いか
|活性酸素とストレスの生成|
スポーツは活性酸素を 飛躍的に増大させる

||活性酸素については前回223号(92年7月号)でお話しいただきましたが、運動すると酸素消費量の増大に伴って活性酸素の発生がそれだけ増えるということですか。
加藤 a普通の呼吸の過程で、体内に摂り入れられた酸素の約2%が、反応性が高く細胞への傷害性が強い酸素の分子種「活性酸素」になります。酸素消費量が増大すれば、体内での活性酸素もそれだけ増えるわけです。スポーツによって、時には普段の10倍にも酸素消費量は増えるので、これは大変です。(図2)
bさらに、スポーツによって体温も上昇し、使用筋肉部では最大45度にも上がりますが、体温の上昇によっても活性酸素の発生率は増大します。(図3)
cまた、特定の筋肉に血液が集中するスポーツでは、スポーツの諸動作に関係のない臓器への血流が滞って虚血(局部性貧血)状態になります。活性酸素は「虚血・再還流||局所的に血流が極端に細くなったり止ったりした部分に、再び血流が戻る」時にも大量に発生するので、スポーツ終了時には、まさにそれらの臓器に虚血後の血液の再還流が起き、活性酸素が多量に発生します。ちなみにマラソンでは、肝臓や腎臓の血液量は平常時の20%に低下することもあります。
d他に、炎天下のスポーツでは紫外線被曝による活性酸素の発生、また、筋肉や関節を酷使することで特定の部位に炎症が生じ、この炎症に伴っても活性酸素が発生し、炎症をさらに拡大させることにもなります。
 このように、スポーツは活性酸素発生を促すさまざまな要因を孕み、当然、激しい運動ほど大量の活性酸素を発生します。

スポーツは ストレスである

||次にストレスの生成ですが、まず、"スポーツはストレスである"とはどういうことですか。
加藤 ストレスというのは本来、私たちの体を守ってくれる生体防御反応の一つです。外敵に出遇ったり危機に遭遇すると、戦うにしろ逃げるにしろ、体は瞬時にそれに対して身構える活動体制に入ります。
 そのため、活動(闘争や逃走)に重要な心臓や骨格筋に血液が集中し、活動に不要な消化器官や生殖器官などからは血が引き(虚血)ます。内分泌系では、交感神経が刺激されてアドレナリンやノルアドレナリンの分泌が高まり、また、脳下垂体からは副腎皮質刺激ホルモンが分泌されて血中には副腎皮質ホルモンが増え、エネルギー供給のために血糖値を上げ、心臓の脈拍を速め、血圧を上昇させ、呼吸数も上げ、こうして体は臨戦態勢を整えます。
 こういった体の反応を「ストレス反応」と呼びますが、スポーツはまさにこの緊急時のためのストレス反応を人為的に生み出したものに他ならず、つまり「スポーツはストレスである」というわけです。
||ストレスが老化や病気に深く関与するのは、どういう理由からですか。
加藤 ストレスが何故、病気や老化に重要にかかわっているか、最大のポイントはストレスが、
a活性酸素を生み、
b免疫力を低下させるからです。
 ストレスが解除された時つまりスポーツ終了時には、先程言ったように、血流が滞っていた臓器に"虚血後の血液再還流"が起き、多量の活性酸素が生成します。また、免疫をつかさどっているリンパ系は副腎皮質ホルモンに弱く、従って免疫力が低下します。
 医学にストレスの概念を導入したセリエ博士は、ストレスによって生じる身体の形態的変化として、a胃や十二指腸など消化管の潰瘍の多発、b免疫機能を担当している胸腺や脾臓などリンパ系組織の萎縮、c副腎の肥大の三つをあげています(図4)。
 aの消化管潰瘍は、虚血・再還流による活性酸素の大量発生が主な原因です。
 bcの変化は、免疫力の低下という体にとって重大な事態と関係しています。
 副腎皮質ホルモンは別名「ストレスホルモン」と呼ばれるほどストレスとの相関性が高く、ストレスが大きいほど血中の副腎皮質ホルモン量は増大します。
 この副腎皮質ホルモンは、リンパ球などの免疫担当細胞を障害し細胞死させてしまうので、副腎皮質ホルモンの増大は免疫系にとって大きなダメージとなります。
 免疫機能が生命維持にいかに大事かということは、「エイズ(後天性免疫不全症侯群)」によって大分知られるようになりましたが、免疫機能の低下は、a細菌やウイルス感染を引き起こすばかりでなく、bガン細胞の増殖を促進します。また、免疫機能にアンバランスが生じれば、c外敵と間違えて自己の成分を攻撃してしまうリウマチなどの自己免疫疾患や、d外敵への過剰防衛反応によるアレルギー疾患を起こしやすくします。
 スポーツ選手は意外と病気にかかりやすく、また、治りにくいのですが、これは免疫機能の低下と無関係ではありません。
||心理的ストレスも、同様な作用を及ぼしますか。
加藤 体が起こすストレス反応は基本的には同じです。
 精神的ストレスがかかっても副腎皮質ホルモンを代表とするストレスホルモンが生産され、血圧、心拍数、血糖値が上昇し、ストレスに弱い臓器では虚血が起こり、二次的に活性酸素が発生することも同じです。
 スポーツでは緊張感や集中力が伴いますが、これらが精神的ストレスであることはいうまでもありません。ですからスポーツは肉体的ストレスと精神的ストレスの相乗作用でストレスの害作用を増幅し、特に、勝敗を争う競技、タイムや技術の向上を目的とするものではその傾向が高くなります。
 ゴルフなど必ずしも激しい運動ではない種目に突然死が起きやすいのは、生体にとって精神的ストレスの影響が非常に大きいことを物語っています(図5)。ゴルフの場合、飛距離を出すために激しい動きとなるドライバーショットよりも、神経を集中させてボールをホールに入れるパットの方が突然死が起きやすいこともわかっています。
||過労死、突然死は精神的ストレスが大きな要因になるといわれますが、スポーツ中の突然死では肉体的ストレスと精神的ストレスのダブルパンチに遇った結果ともいえますね。
加藤 突然死の急増は驚くほどで、1990年代に入って死因の二位は突然死で、トップのガンに迫る勢いといわれています。
 突然死の死因の約65%は心臓疾患ですが、スポーツ中の突然死では心臓疾患が約80%と、それをはるかに上まわります。突然死は、脳の疾患を合せれば90%が血管系の疾患です。
 ブタはストレスに弱い動物ですが、ブタを拘束した実験では、たった1回12分間ストレス(精神的ストレスとなる)をかけただけで、その後24時間の間にブタの心臓の筋肉には点々と細胞死(壊死)を起こした部分が発見されています。心臓の筋肉細胞と脳の神経細胞は分裂増殖せず再生不能なので、ストレスが何度も繰り返されれば心筋の壊死部分が拡大し、ある日突然、働きがストップしても何の不思議もありません。
 従来、ストレスと心臓疾患の関係は、度重なるストレスで冠動脈(心臓に血液を送っている3本の太い動脈)の動脈硬化が進んで血管が細くなり、心臓への血液が不足し、やがて心臓の筋肉に壊死を起こすからだといわれてきましたが、ブタの実験ではたった一度のストレスで心臓の筋肉壊死が起こることを示しており、心不全の主因は冠動脈硬化だとばかりはいえません。
 なお、動脈硬化も活性酸素とストレスが主役になっています。動脈硬化は血管壁が傷んでそこにコレステロールが付着して血管を狭めたり、詰まらせたりするものですが、血管壁が傷むのは血圧の上昇とか、血流の速度増大などいくつか考えられます。また、コレステロールが活性酸素で過酸化脂質化すると必要以上に動脈壁にこびりつきやすくなることが最近判明し、注目されています。(図6)
||となると、ストレス解消にスポーツが奨励されていますが、スポーツはストレス解消にはならない?
加藤 スポーツが好きな人は、スポーツを楽しんですることで爽快感が生れ、気分転換がはかられ、それが精神的ストレスの解消に役立っている面はあります。しかし一方で、肉体はストレスによるダメージを確実に受けるので、それに対しての方策は必須です。
 爽快感ということでは、脳内麻薬物質の問題も見逃せません。ストレスは体の防御反応としてあるわけですが、肉体にとってはハードなものです。そこで、一時的にそれと適応するために生体は脳内麻薬物質(βエンドルフィン)を産生し、苦痛を和らげたり、麻痺させたりします。この物質は脳下垂体から副腎皮質刺激ホルモンと一緒に産生され、ストレス反応とその適応反応としての脳内麻薬物質の産生は完全にセットされています。どちらにしても緊急時のための特殊な反応で、体にとっては、日常的にそれが起こされれば不自然なものです。βエンドルフィンはモルヒネの約10倍もの鎮静作用があり、
習慣性もあるので、際限なく、トレーニングを重ねさせる危険性も持っています。よく、「適度な運動」なら良いと言いますが、麻薬物質の影響もあって、スポーツは適度に行うということがなかなか難しい側面があります。
 ですから、スポーツ嫌いの人が健康のためにわざわざスポーツするのは愚の骨頂といえます。嫌々やったり義務感でするのでは、それだけストレスを増やすばかりです。

活性酸素、ストレスに 対処する 遺伝の仕組みにあった
生活が健康の鍵 日常生活の中で 体をよく動かす

||糖尿病や高血圧など成人病に対する運動療法も奨励されています。『スポーツは体にわるい』では、その有効性がことごとく否定されていますが(図7)、現代人が運動不足の弊害に陥っているのもまた、確かなことだと思いますが。
加藤 まず、私はスポーツや運動療法の有効性を全て否定しているわけではありません。有効性があるにしても、同時に危険性があることを十分理解して欲しい、さらに危険性よりも有効性が勝っているかというと決してそうではないと警告しているのです。
 現代社会では生活の合理化や機械化で運動(活動)不足に陥り、そのために、現代人の多くは摂取エネルギーと消費エネルギーがアンバランスになって、1日おおよそ3百〜4百キロカロリーもエネルギーが余っています。その上に美食、飽食とくれば、ブクブク太るのは当たり前、成人病にもなります。
 人間というのは歴史的に長い間、肉体を駆使して食べ物にありついて来たわけです。遺伝子はそれに適応してできている。
 ストレスとは、あくまで非日常的な危機に対する生体防衛反応であり、日常的にストレスを受け続けることが如何に生体にとってダメージとなるかは説明しましたが、スポーツ、過食、生活の自動化、夜型の生活などは生体に不自然な生活を強いることになります。なるべく己の遺伝子にあった生活をすることが健康への鍵ということができます。
 運動不足に対しては、歩行を基本に、日常的な労働などで活動を増やすことです。
 たとえばマイカー通勤をバス・電車通勤にすれば歩数は1日約5千歩増える。冷蔵庫の大型化で食料買い出しが減ったのを毎日買物に行くようにすれば1日約3千歩増え、おまけにビタミンなど栄養の損失が少ない新鮮な野菜や魚を購入することができます。
 ふき掃除など家事労働もまめにする。それと力仕事。スポーツが盛んに行われている反面、子供から大人まで骨が弱くなっているのは、日常生活の中で体を動かさなくなったこと、特に力仕事をしなくなったのが、一つの大きな要因です。
 このように日常生活の中で体を動かす工夫は、いろいろな筋肉を動かし、頭を使うことにもなり、体も脳も活性化されます。
||歩くといえば最近、安全で適度な運動ということでウォーキングが脚光を浴びていますが。
加藤 運動不足を補うために、生体リズムを無視して、早朝や深夜、睡眠時間を削ってまで、排気ガスの中を脇目もふらず、ただひたすら早足で歩くというのでは能がありません。むしろ有害です。
 しかし、週1〜2回、緑の中に出て歩くのは非常にリフレッシュ効果が高く、それならお勧めできます。
||あと、運動の利点と思われているものに発汗があります。サウナに行くのも減量の他に、老廃物を排泄してすっきりしたい目的があり、実際、有害金属の排泄経路としても発汗は重要ではないでしょうか。
加藤 発汗は、水と塩分という自然界の中では貴重で、生命維持に不可欠なものを失うことになりますから、体は本来はなるべく出したくないものです。体温調節のために、やむをえず必要な量だけ放出するようになっているので、それをわざわざ出すのが健康にいいというのは、幻想です。エネルギーをそれだけ余分に使うわけですから、体にいいことはなく、老化を早めることになります。
 汗で失われる成分は水と塩分の他に、微量ながら各種ミネラル、ビタミンがあります。有害金属もそうですが、どれがどの位失われるかは、コントロール不能です。コントロールできないことを行うのは危険なことで、有害金属や老廃物を排泄するためにわざわざ汗をかくというのは、望ましいことではありません。

運動するなら 微量栄養素・抗酸化物質の 十分な確保を

||現代社会の弊害は、個人の努力では如何ともし難い面があります。また、スポーツが好きという人も多いと思いますが、対策としては?
加藤 まず、食事、栄養ですね。活性酸素とストレスに対抗するためには、俗に抗酸化ビタミン、抗酸化ミネラルといわれる「活性酸素消去に関する物質」の十分な補給が重要な鍵となります。ビタミンではA、C、E、カロチン。ミネラルでは銅、亜鉛、マンガン、鉄、セレニウムが代表的なものです。ストレスがかかると、これらの微量栄養素は非常に消耗されてしまいます(表1)。
 これらの活性酸素消去物質の抗ストレス効果は、先程述べたブタを拘束した実験で、実験に先立って、あらかじめ一ヵ月前からビタミンEとセレニウムを与えてから同じストレスをかけると、心筋には壊死を殆ど生じないことでもわかります(図8)。
 ビタミン、ミネラルの他にはタンニンなどの食物成分も抗酸化力が強いことがわかっています。
 それと核酸。核酸は遺伝子を作る材料です。生命現象の本質は核酸にあるといってよく、人間の生理機構、調整機構というのには必ず核酸がからんでいます。ですから栄養学でいう三大栄養素というのは少しおかしい部分がある。栄養成分としての核酸というのが全然顧みられていませんね。ただし、最近はやっている核酸健康法というのはちょっと危険な面があります。レバーや白子などには核酸が非常に含まれていますが、核酸は微量栄養素として有効で、摂り過ぎれば弊害が多く、痛風などの疾患を起こしやすくします。核酸に限らず、微量栄養素は不足させること
ネく、バランスよく、適量摂ることが大事です。
 ついでに言うと、最近新たにお茶が健康食品として脚光を浴びています。お茶にはビタミン、ミネラルが豊富に含まれている上、タンニンも豊富です。ただ農薬とカフェインやアルミニウムが多いのが問題ではありますね。アフリカ産の植物から作られたルイボスティなどはその点心配がなく、抗酸化物質が豊富で優れた飲み物といえます。
||自然食は微量栄養素が豊富で、安全性も高いという意味から、本誌はそれを推進していますが。
加藤 食性も、サルから進化したところの食性が重要と言えます。ゴリラはヒトに最も近い霊長類で、葉っぱ、木の実、果実と完全に菜食です。菜食にもっと留意すべきですね。
 それとはかけ離れた食生活、たとえば脂肪や糖分が多い食事、また、消化吸収がよすぎる食品(健康飲料なども含めて)の摂り過ぎは体が機能的に対応しきれず、健康を損ねてしまいます。現代は、精白穀類、白砂糖、精製塩など精製食品、動物の筋肉部、油などが完全に摂り過ぎ傾向にあります。
 ビタミン、ミネラルなど微量栄養素が豊富な野菜や海藻などはバクバク食べる位でないと、活性酸素やストレスの生成要因が多い現代社会では、とても対抗できるものではありません。
 自然食で注意したいのは、蛋白質の不足。抗酸化酵素を含めて、酵素の主成分は蛋白質(アミノ酸)ですから、貧栄養にだけはならないように注意することです。それに、先程いった核酸の不足に注意する。また、完全菜食の場合は、ビタミンB12など欠乏する栄養素が出てきます。
 これら食事、栄養面と、あと心の持ちかたが非常に重要になります。いつもニコニコマイペースを保つこと。下らないことにクヨクヨしない、イライラしない術を身につけることです。
||研究、執筆、講演、取材と超ハードなスケジュールで、先生ご自身はストレスにどう対処していますか。
加藤 まず、ストレスに強い体をつくる食事。緑黄色野菜、魚介類、海藻を極力摂るようにしています。飲み物はお茶類が中心です。
 抗酸化剤の摂取も重要。ビタミンC、Eをセットで摂っています。微量栄養素のサプリメントをうまく利用するのは現代人には必須です。安全性を考えれば、全ての栄養素は自然の食物から摂ることが理想ですが、食事からだけでは、とても現代社会のストレスには対応しきれなくなっている。まして、食品の劣悪化が進んでいるので、野菜なども昔と比べると大分、栄養が不足しています。栄養量を昔の露地野菜と同じく摂ろうとすれば、今は二倍以上は食べなければならないことになります。
 そして、気分転換をうまくはかること。登山や自然の中に出ることが好きなのですが、なかなかその時間は取れません。それでも研究の合間に好きなアンティークの本を眺める、電車では可愛い女性を見つける(笑)など、日常、ちょっとしたことで気分転換をはかるようにしています。
 さまざま複雑な現代社会では、精神的ストレスによる健康障害は予想以上に大きいと思われます。スポーツにこだわらず、各人の趣味、嗜好にあったストレス解消法を是非、見つけ出して欲しいものです。それが人間性を深めることにつながれば、それこそ望ましい。その人にとって、スポーツをすることがそれに当れば、大いにやるべきです。ただ、医学的な立場では、体に害作用のあるスポーツよりも、他のストレス解消法を考えるべきだということです。
(インタビュー構成・本誌 功刀)