日本でもオゾン量減少!!

オゾン濃度1%減で、紫外線量は2%増、皮膚ガンは4〜6%増

気象庁オゾン層解析室(理学博士)伊藤朋之室長に聞く

オゾン減少と健康障害 現実化された理論

 1974年、米カリフォルニア大学のロ―ランド教授、モリナ博士は「成層圏オゾンが、フロンの使用によって破壊され、生態系や人間の健康に重大な影響を及ぼす可能性がある」という実験に基づく理論を発表した。それから20年足らず、仮説は現実のものとなった。
 成層圏のオゾン層は、対流圏に住む我々地球生物を有害な紫外線から守る防御壁であり、地球生物はオゾン層の形成によって陸上生活が可能になった。
 しかし、何十億年というタイムスケールで自然に作られたオゾン層が、発明されてわずか60年という人工物質フロンによって破壊が進行しつつある。
 オゾン層破壊による有害紫外線の増大がもたらす健康障害はa皮膚ガンの増加、b白内障の増加と若年化、c免疫機能の低下――などがあげられている。皮膚ガンの増加は白人層の間では現実化しつつあり、日本人にも皮膚ガンの前ガン状態「日光角化症」が増えて来ているという。
 日本でもオゾン量の減少が観測されている現在、オゾン層破壊の現状を気象庁オゾン解析室・伊藤朋之室長に伺った。
※オゾン(O)
 酸素原子(O)3個からなり、酸素原子Oと酸素分子Oが結合している、臭気のある微青色の気体。
 強い酸化力を持つ活性酸素で、濃度0・lppmを超えると目を刺激したり、呼吸器官に影響を与え、5ppmで生命の危険がある。
 通常の酸素分子(O)が、空中放電(雷など)や紫外線の照射を受けて生成され、太陽光線などで自然分解して酸素Oに戻る。
 成層圏下部のオゾン層は、有害紫外線(315ナノメータ以下の中・短波長紫外線)の殆どを吸収し、地球生物を紫外線から守っている。
 また人工的に発生させたオゾンは室内空気の浄化、漂白、殺菌等に利用される。
※フロン(CFC、正しくはクロロフ
 ルオロカーボン)
 炭素(C)の回りに塩素(CI)、フッ素(F)が化合した構造を持つ人工物質。
 1928年、冷蔵庫の冷媒として使用されていた有害物質、二酸化硫黄、アンモニアなどの代りとして発明された。用途の拡大、新種の開発によって、1950年以降、生産量、使用量は急速に高まった。
 液化、気化の変換が容易で、冷却用冷媒、エアロゾル式スプレーの噴射剤、発泡スチロール、ウレタンフォームの発泡剤、電子・精密機器またドライクリーニングの洗浄溶剤等、広範囲に使用されている、現代の便利な文明を支える代表的な化学物質の一つ。
 毒性、可燃性、爆発性がなく、空気中(対流圏内)では不活性で安定した(難分解性で対流圏では光化学反応などを起こさない)物質であるため、パーフェクトな化学物質といわれてきた。
 しかし1960〜70年代にかけて、排出されたフロンは難分解性ゆえに成層圏にまで昇り、成層圏の強烈な紫外線によってはじめて分解され、塩素原子(塩素ラジカル)を放出、この塩素原子が触媒反応を起こして成層圏のオゾンを連鎖的に破壊することが分かってきた。

紫外線の防御壁
「オゾン層」と、 破壊物質「フロン」

――有害紫外線の防御壁といわれるオゾン層の破壊が世界的に問題になっていますが、オゾン層の役割と形成過程からお話し下さい。
伊藤 オゾン層ばかりでなく、地球を取り巻く大気圏というのは膨大な時間をかけて自然に作り上げられたものです。
 地球が誕生して46億年といわれますが、まず、46億〜30億年位のタイムスケールで原始大気中の水蒸気が太陽の光(主に短波長紫外線UV|C波)にたたかれて酸素ができ、同時にオゾンが発生しました。酸素(O)というのは光を吸収しながら酸素原子(O)を解離します。解離した酸素原子(O)は酸素(O)と結合してオゾン(O)を発生しますので、酸素ができれば連鎖的にオゾンもできるわけです。(図2)
 このようにして、ごく薄いオゾンのベールができますと、生体にとって非常に有害なエネルギーの強い紫外線はストップされるため、少なくとも水中には生物が棲めるようになり、水中では葉緑素を持った生物(藻類など)が炭酸同化作用(光合成)で炭酸ガスをどんどん酸素に換え、大量の酸素が作られるようになります。
 酸素量が増えるに従ってオゾン量も増え、このような過程を経て、今から約5億年位前には薄いながらもかなり堅固なオゾン層ができ、こうして陸上には生物(シダ類、恐竜等)が生棲できるようになったのです。
 陸上生物の登場でさらに酸素とオゾンが増え、このように何10億年かかって現在のオゾン層が形成され、破壊力の強い紫外線の殆ど(99・9%)はオゾン層で吸収されるようになり、現在の地球の生態系が整ったのです。
――オゾン層は薄いものだと聞きますが。
伊藤 オゾンは地上約20〜25kmに最も多く(オゾン層)、そこには大体10ppm程度のオゾンがあります。そこから上下に分布し、地上約500km位までに広く分布しているわけですが、オゾン層だけでなく大気中のオゾンの全量を仮に地上と同じ圧力まで圧縮すれば、オゾンだけがしめる厚さは約3ミリ(300ミリアトムセンチメートル、300ドブソン単位)程度になります。このようにオゾンが全大気に占める割合は百万分の1以下と微量です。
――何十億年もかかって作られた微量なオゾンが、今世紀に発明されたフロンによって破壊が進行している…。
伊藤 主要なオゾン破壊物質がフロンであることは実験、観測によってまず間違いありません。
 大気中の不純物質は通常、太陽光で分解されたり、雨で洗い流されたり(約90%は雨で洗浄される)、海面で反応したり、酸化などによって除去されます。ところがフロンは非常に安定した物質で、地表に達する太陽光(可視光線、長波長紫外線UV|A波、中波長紫外線UV|B波のごく一部)では分解されず、水にも溶けないので雨で流されることもない、また酸化物質とも反応しないためにそのままの状態でかなり長期間(10年以上)、対流圏に漂っています。しかし最終的には成層圏に達し、そこで初めて強烈なエネルギーを持つ紫外線(超
高層大気で殆ど吸収された残りの短波長紫外線UV|C波と、中波長紫外線UV|B波の殆ど)を吸収して破壊されます。破壊されたフロンは塩素原子を放出して、それがオゾンを破壊するわけです。(図2)
 フロンの寿命はきわめて長く、大体75〜150年位とされていますから、今すぐ使用をストップしてもオゾン破壊の影響は21世紀中まで残るといわれます。
 フロンの使用が高まったのは戦後、それも1960年後半頃から用途の拡大などで急速に伸び、70年代にはハイテク産業の洗浄溶剤などでさらに伸びを見せ、生産された当初(1930年代)は約500トンだったのが、80年代には100万トンにも達しています。(図3、4)

オゾンホールは 自然が与えてくれた 我々への警告

―|気象庁は今年10月、南極で過去最少のオゾン量を観測したと発表しましたが、4年連続して大規模なオゾンホールが出現するなど、フロンによるオゾン破壊は年々進行しているとみてよいのでしょうか。
伊藤 オゾンホールはこの10年間で面積で13倍、深さ2倍総破壊量4・3倍にもなっています。
 10月4日、南極昭和基地上空の成層圏に高度13〜18kmにわたってオゾン空白地域が出現し、オゾン全量は過去最低の140DU(ドブソン単位)を記録しました。
また今年9月の平均オゾン全量は187DUで、これはオゾンホールが出現する以前の1970年代の9月の平均値305DUに比べ、36%の減少を示します。
 オゾン量は気象状況が大きく影響し、日本でも最近10年間で3〜4%程度のオゾン量の減少がみられますが、この程度の数値は力学的にも起こりうることで、即フロンの影響と断定はできません。
 しかし、オゾン層が極端に薄くなってオゾンホールが出現する程の激烈な変化は、フロンによるものであることは確実と思われます。
 南極におけるオゾンホールの出現(1980年代初期)は、フロンによるオゾン層の破壊が単なる学説ではなく現実に起こり得るものとして、自然が我々にたたきつけた警告であり、対策を講ずる契機となったのです。

オゾンホールにみる オゾン破壊のメカニズム
南極に発生するのか

――フロンによるオゾン破壊は南極のオゾンホールに象徴されるというわけですね。
伊藤 南極上空では塩素化合物の濃度が高い程オゾン濃度が低いことが観測され、フロンによるオゾン破壊のメカニズムが確認されています。
――何故、南極だけにオゾンホールが発生するのですか。
伊藤 冬期、南極の上空が非常に低温になることが、南極でオゾン破壊効果が増幅されるキーポイントを握っています。
 空気は地球を巡って西から東へと流れ、極の中心からみると右向きに渦を巻いています(極渦、ジェット気流)。冬から春にかけての南極上空では、この極渦の中の空気は周囲の空気から分断されて、非常に低温になります。
aまず、冬になると極点の上空は陽が全く射さないために、放射冷却でどんどん冷えていきます。そうすると温度の南北差が非常に大きくなるために渦巻が強くなり、冬季は非常に強い極渦が南極を取り巻く形で形成されます。
bこの強い極渦は強くなればなる程、ちょうど壁のようになって中低緯度地域の上空からの空気を遮断してしまい、渦は器のような役目を果します。
cこの器の中にたまった空気は太陽が射さず、周囲からの空気も流入しないためにどんどん冷えていき、冬の南極上空はマイナス測度以下、場合によってはマイナス90度以下の極端な低温状態になります。
d成層圏には極く微量の水蒸気(約5ppm)や硝酸の蒸気があります。このわずかに存在する水蒸気や硝酸の蒸気は、極端な低温下では凍結して、氷の粒の雲「極成層圏雲(PSC)」を形成します。
eさて、フロンなどから生じた塩素化合物は普通(ガス状の雲)では不活性なのですが、氷の表面では特殊な化学反応を起こし、塩素ガスにどんどん替えられていきます。この塩素ガスは太陽光で簡単に分解されて塩素原子になり、この塩素原子がまさにオゾンと反応してオゾンを壊す元凶となるわけですが、冬の間、南極上空では、塩素原子のもとになる塩素ガスが大量に生産されて貯えられます。
fこの塩素ガスが充満している南極上空の空気の塊に、春になって陽が当たると、塩素ガスはどんどん分解されて塩素原子を生産し、オゾン破壊が始まります。早い年で8月中旬、遅くとも9月上旬頃からはオゾンの破壊が始まり、10月の始めにはオゾン破壊は最大になります。南極上空のオゾン層は極端に薄くなり、ぽっかり穴が開いたように見え、これがオゾンホールであるというわけです。
gその後、太陽光の照射や外からの大気の流入などで、温度の南北差は少なくなってきます。そのため極渦は11月には大分弱くなり、12月の始め頃にはガシャッと一瞬に壊れ(オゾンホールは極渦いっぱいに広がっているので、極渦が壊れればオゾンホールも壊れる)、南極の周囲はかなり広い領域にわたって、オゾンの少ない空気がばらまかれることになります。

オゾン減少は 南半球に顕著
南のオゾンを減少

伊藤 この最後のステージ(g)は非常に重要でして、オゾンホールが壊れる時には、南極周辺のかなり広い領域にわたって、オゾンホール破壊の影響がみられます。
 過去10年間のオゾンの減少速度を緯度別に調べてみますと、赤道域(緯度0)では殆ど減少していない。北半球では中緯度から高緯度に向って3%位の減少がみられる。ところが南半球では緯度が高くなるに従って(南極に近くなるにつれて)急激に減少率が増えるのです。(図6)
 南極上空を中心に、平年比で30%以上の減少領域がみられ、南米南端では10%以上の減少がみられています。
――工業が発達している北半球の方がフロン使用量が多いと思われますが、何故、北極ではオゾンホールがみられないのですか。
伊藤 まさにその通りで、フロンの放出量は北半球に多いのです。
 しかし、北半球と南半球の空気は2年間で殆ど入れ替わる位に激しい動きをしています。ですからフロン濃度は南も北もそう差がないのです。
 北極にまだオゾンホールが発生しないのは、主に北と南の気象の違いによります。
 気象の違いを作っている大もとは、陸地と海洋の分布の違いですが、南極では非常にきれいな円形で強く安定した極渦が5月頃から発達し始め、11月頃まで残るのに対し、北極上空の極渦は形がいびつで非常に期間が短く、大体2月頃(南極の8月に当たる)には消えてしまう。まさにオゾンホールができ始める頃に極渦は弱くなってしまうのですね。従って極成層圏雲の発生頻度も少く、雲の密度も薄いために、オゾンホールが発生しにくいのです。
 現在のところ、北極でも特定の場所で1〜2日程度の短い期間、似たような現象がみられることがありますが、これは空気の運動でできたものと考られています。
 しかし、フロンがこのまま増大していけば、いずれは北極でもオゾンホールが発生するでしょう。

オゾン破壊による影響
紫外線の増大と、 天候の変化

―|気象庁は昨年、オゾン量が1%減少すると、生態系に悪影響を及ぼす有害紫外線が2%増大すると発表しましたが。
伊藤 オゾン量1%減少で有害紫外線(中波長紫外線UVB波)2%増大――というデータは理論的には予測されていたものですが、観測による実測値が出たのは世界で初めてです。
 気象庁が紫外線量の観測を始めたのは90年1月からですが、90年度でみたオゾン量と紫外線の関係は、オゾン量が1%減少した場合、有害紫外線は1・65〜1・9%増加となっています(茨城県つくば市の高層気象台)。この紫外線増幅率は地域によって異なりますが、つくばの観測データをもとに北半球で試算すると2%を超える地域もあります。
 しかし、この数値はあくまで他の気象条件が同じであることが条件で、オゾン量1%減ですぐさま紫外線が2%になるということではないのです。紫外線量は、オゾンの他に、雲の影響、大気の汚染などにも左右されます。
――白人層では南半球の豪州は勿論、カナダなど欧米でも皮膚ガンが増えていると聞きます。また最近、南米チリの野生羊が白内障に似た眼障害で簡単に捕まえられると報道されていましたが、やはりオゾン破壊の影響とみていいのでしょうか。
伊藤 そういった報道は知っていますが、私どもでは報告を受けていないので何とも言えません。
 南極など極端にオゾンが減っているところでも、もともと南極は紫外線が非常に弱い地域なので、科学的な目で冷静に見れば、たとえば昭和基地にいる人間にすぐさま影響を及ぼすとは考えにくい。
 ただ南極の、紫外線が非常に少ないところで生息しているプランクトン、稚魚などは紫外線の大幅な増大で影響を受けるであろうと思われます。
――オゾン量が1%減少するごとに皮膚ガンは3%、或いは4〜6%も増加すると聞きますが。
伊藤 その数値もセンセーショナルに報道されがちですが、紫外線の強い地域は赤道を中心とした低緯度地帯で、しかも赤道付近ではまだオゾン量の減少が見られていません。
 しかし南極にみられる如く、オゾン破壊をこのまま放っておけば、いずれはフロンを原因とする紫外線増大による皮膚ガンの増加などの健康障害が現実化されるだろうということです。
――紫外線の増大の他に、オゾン層破壊での地球環境への影響は?
伊藤 我々がフロンによるオゾン破壊を心配するのは、紫外線の増大だけではないのです。
 もう一つ重要なのは、気候、つまりお天気に影響を及ぼすことです。
 成層圏にあるオゾンというのは、太陽熱を吸収して成層圏の空気を温めています。つまり我々が今馴染んでいる気候状態というのは、成層圏が温まった大気の状態に馴染んでいるわけで、オゾンが壊れると成層圏で熱を吸収する役割がなくなりますから、いろんな気象現象を起こす可能性があります。そして気象の変動は紫外線と違って、オゾン層の僅かな変動でも影響が及んでくると評価されています。
――たとえば地球温暖化を促進するとかですか。
伊藤 どういう変動が起こるかということは、そこがまだデータ不足ではっきりしたことが言えないのですね。
 温暖化については、今起こっている程度のオゾン層の破壊はむしろ地球温暖化を弱める方向に働いている――というリポートがWMO(世界気象機関)、UNEP(国連環境計画)から出ています。しかしこのリポートも、モデル計算がそれ程しっかりしたものではない、現段階での観測結果もそれ程しっかりしたものではない――などの理由で、確実なものではないのです。
――それにしても気候が変れば生物への影響が心配ですね。
伊藤 その通りでして、オゾン破壊は現実に起こっており、可能性として、このまま進行すれば今の段階では測り知れない生態系への影響が考えられます。全てが分かってからでは遅いわけで、それを現実化しないための方策が各方面で急務とされているわけです。

オゾン減少、日本の状況

10年間で顕著に減少
――日本でもこの10年間、オゾン量の減少がはっきりして来たとのことですが。
伊藤 私達は日本国内のオゾン層の長期変化傾向(トレンド)を調べるために、札幌、つくば、鹿児島、那覇の4地点に観測点を設けて、観測を続けています。(図7)
 過去20年間で見ると全体的にはごくゆるやかな減少傾向をみせるものの、統計的に特に有意な数値ではありません。
 しかし最近10年間では、札幌で全年で4〜4・5%減、冬期(12〜2月)は10%減と有意な減少傾向がみられています。
──10%も減るとなると、やはり紫外線が心配になりますが。
伊藤 札幌ではその季節、地球上でオゾン量の最も多い地域の付近で、従って紫外線量がもともと少なく、まして冬期ですから、仮に紫外線が20%増になったとしても健康に影響が出る心配はまずありません。
 冬に札幌で紫外線が倍に増えたとしても夏の紫外線量よりは少なく、冬の沖縄などと比較してもかなり少ない量です。
 札幌で10%減という数値はジェット気流などの気象の影響でも出るので、まだはっきりはしませんが、我々はこの数値をフロンの影響があらわれている兆候を示すものではないかと重要視しています。
 我々がこの数値から皆さんに警告するのは、即皮膚ガンが増えるとかいうことではなく、今すぐフロンをやめなければオゾン層の破壊は確実に進行し、将来的には生態系の破壊、紫外線による健康障害がもたらされるだろうということなのです。

環境問題の根本にあるもの
捨てる時にもお金がかかる

伊藤 地球には50億を超える人間が住んでおりますが、この50億を超す人間を全地球の表面積(海域や極大陸を含めて)に均等に配置すると、大体1人300メートル四方となります。この占有面積に人間1人分が消費したものを全部廃棄することになると膨大なものになるわけです。
 現在、50億のうちのかなりの人口が、我々には想像もできない程の低いエネルギー消費で生活しています。人間平等という考え方からすれば、彼等も我々と同じエネルギー消費、高い生活レベルで暮す権利がある。そうした場合、世界はどうなるかを考えると、彼等を抑えるのでなく、やはり我々のエネルギー消費を抑えるべきであり、我々の生活の在り方を見つめ直さなければいかんのではないかと痛切に思いますね。
 今、中国などもかなりの勢いで経済発展を進めていますが、あの10億に近い人口が日本と同じ経済水準に達した時のエネルギー消費はどれだけのものになるか、空恐ろしいものです。
 現在起こっている地球規模の環境問題の根本は、我々が恣(ほしいまま)に生産し、消費してきた結果であると思わざるを得ないですね。
 それと、ゴミは燃やせばなくなる、埋めればなくなる、流せばなくなる、しかもゴミを出す時はタダだ――という考え方のツケが今、環境問題になって我々に突きつけられているのだと思います。
 今後はクリーンなエネルギーの開発と同時に、経済中心で動いてきた我々の生活を、環境を中心にした発想に。また、物を消費すればゴミが出る、ゴミを処理するにはお金がかかる――という発想から物を作っていくことが環境問題を考える上で重要だと思います。
 11月にはコペンハーゲンで"特定フロン全廃を定めたモントリオール議定書の改訂会議”が開かれ、フロン全廃の時期を当初の2000年から1995年に早めることが採択されました。フロン全廃は緊急の課題なのです。
(インタビュー構成・本誌功刀)