若い頃からの骨塩量の貯蓄が骨粗鬆症を予防する

老人病だった骨粗鬆症が…

 年をとって来るとちょっとしたことで骨が折れやすくなります。骨からカルシウムが抜けてしまい、スカスカの骨になってしまうからです。
 この症状は骨粗鬆症と呼ばれ、骨粗鬆症は、一つ一つの骨の殻が薄くなり、目が粗くなって軽くなり、結果的に単位体積当りの※骨塩量が少なくなり、骨が弱体化した状態をいいます。
 老人で骨粗鬆症になると、ちょっと転んだ位でも足の太い骨が折れるようなことになってしまいます。こうなると治療費がかさむだけでなく、寝たきりで治療している間にボケが来たりします。寝たきり老人になる原因は、骨折が最も高い割合になっています。
 骨粗鬆症人口は、老齢人口が増えるに伴って増加し、今や五百万人が骨粗鬆症と推定されています。
 しかも、以前は老人特有の症状といわれた骨粗鬆症が、食事や生活様式の変化で今や若年層にまで広がり、骨粗鬆症人口はますます増えそうな勢いです。
 事態が今より深刻化して、現在約五百万人の骨粗鬆症の人が高い確率で骨折をするようになると、医療費も高額になってきます。
 寝たきりやボケにつながる骨粗鬆症は、一刻も早く、一人一人が正しい知識をもって、その予防に努めるべきでしょう。
※骨塩量 骨の中のカルシウム
 塩の量。

年をとると、何故、 骨粗鬆症になるのか
―特に多い 閉経後の女性―

 若年層に増えているとは言っても、やはり骨粗鬆症にかかる大多数は老人です。
 体が縮んで背が低くなってきたり、背中が曲ってきたりするのも、骨粗鬆症の一つの特徴です。
 骨の新陳代謝は、他の器官に比べればスピードが遅いのですが、やはり骨も新陳代謝をくり返して徐々に入れ替わっています。つまり一方で古くなった骨は壊され、新しい骨が生まれているのです。
 若い人、健康な人は新陳代謝がうまくいって、壊される量と作られる量が同じなのですが、老人や骨塩量の低い人は、骨が壊される量の方が作られる量より多いと考えられています。そのようなわけで老人になると骨が減ってくるわけです。
 また、老人の中でも、特に女性に多いと言われます。
 女性は更年期になって生理が不順になる頃から、急に骨の量が少なくなる人が増えます。
 これは、年を取って来たということに加え、女性ホルモンが骨の量が減るのを防いでいるためなのです。

老齢化以外の 骨粗鬆症の危険因子
―若年でも骨粗鬆症 になるわけ―

 老化の他にも、骨粗鬆症になりやすくなる原因、骨粗鬆症になりやすい危険因子というのがあります。
aカルシウム吸収率が悪い
 人間の体は千差万別ですから、カルシウムを同じ量とっても吸収の良い人もいますし、吸収の良くない人もいます。
 そういう意味では一般的に痩せている人、背の低い人は骨粗鬆症になりやすいといえます。
 胃下垂を始めとする胃部障害の既往歴のある人も、カルシウムを始め、栄養の吸収が全般的に悪いので骨粗鬆症になりやすいといえます。
b女性ホルモンのバランスが崩れる
 女性の場合、早期閉経や卵巣を両方とも取ってしまった人は、若くても警戒を要します。
c遺伝
 体質は遺伝するものですから、家族や親類に骨粗鬆症の人がいる人も特に注意が必要です。
dストレス
 ストレスの多いことも大きな危険因子となります。
 ストレスがかかると、体内では多量のカルシウムが消費されるからです。
e食生活の乱れ
 若い人の骨粗鬆症の原因は、加工食品の買い食い、外食、無謀なダイエットなど、食生活の乱れが大きな要因となっています。
 特に、緑黄色野菜、海草、魚の摂取が全般に少ない人はその傾向が大です。
 その他、甘い物(砂糖)、コーヒー、お酒、タバコなどの嗜好品も、体内でカルシウムを多量に奪う、または吸収を阻害するので、こういうものの多食、多飲は、骨粗鬆症の危険因子となります。
 蛋白質の過剰摂取もカルシウムの吸収を阻害します。
 乳、乳製品は脂肪、蛋白質が多く、また日本人にはアレルギー因子にもなるので、カルシウム摂取源としてはお勧めできません。欧米の女性に骨粗鬆症が多いことは、示唆に富んでいます。

若い時からの 骨塩量の貯蓄が、 骨粗鬆症を予防

 若い時に骨を沢山貯めた人は、たとえ同じ量づつ毎年減っていっても、骨粗鬆症と診断されるまで減るのは、かなり先ということになります。
 老年になって骨粗鬆症で苦しみたくなかったら、まだ骨の量が増えやすい若い時に、カルシウムを始め各栄養素をしっかりと摂り、骨に適度な力が加わるような運動をして、骨の量を多くしておくことが、非常に重要なポイントになります。
 しかし高齢でも、カルシウムの摂取量、吸収量を増やしていくことが出来れば、骨の量が減るのを防ぐことができます。
 骨粗鬆症と分かったら、食事内容のチェックと改善、そして、転んで骨折をしないよう十分に気をつけながら、毎日の軽い運動を欠かさないことです。こうすることで、少しでも骨の量の減少を防ぐことができます。

骨粗鬆症を防ぐ 日常生活
―若者から老人まで―

(1)カルシウムを摂る
 第一は、日常の食生活で、カルシウムを多め多めに摂ることです。
 厚生省では成人で一日六百ミリグラムを摂るように指導していますが、現実はこれをかなり下回っている人が多く、こういう食生活を長期続けた人が骨粗鬆症になりやすいのです。
 食事中にカルシウムが足りないと、血液中のPHの恒常性を保つために、骨からカルシウムが溶け出して、血液に補給する仕組になっています。だからカルシウム不足の食事を続けると、骨はカルシウムをどんどん失っていきます。
 カルシウムの摂取で注意することは、マグネシウムと合わせて摂る必要があることです。カルシウムとマグネシウムの比は2対1が理想的で、サプリメントでカルシウムを摂る場合、特に気をつけたいものです。カルシウムだけを単独に大量に摂ると、動脈硬化などの要因になります。
(2)ビタミンDを摂る
 第二には、カルシフェロールと呼ばれ、カルシウムを骨に運ぶ運搬役をしている「ビタミンD」を皮下で作るために、適度に日光を浴びることも大事です。 日本ではわざわざ海や山に行ってまで日光浴をする必要はありませんが、最近、紫外線防止剤の入った化粧品や衣類の乱用で、ビタミンD不足になる若い女性が増えています。これらの乱用は肌荒れの原因にもなり、うまく使いこなす知恵が必要です。
 またビタミンDは、摂取したカルシウムが腸からうまく吸収され、骨に沈着していくためにも必要です。
 魚やきのこ等に、食べ物から入ってきたビタミンDと、先に述べた皮下で作られたビタミンDは、肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDとなります。
(3)毎日の適度な運動
 第三には、適度な運動を欠かさないことです。運動は骨を刺激し、代謝を盛んにして結果的に骨を増やします。
 若い人でも、一ヵ月間も入院生活が続けば、骨塩量はグンと減ってしまいます。無重力状態で生活しなければならない宇宙飛行士も、同じ理由で、地球に帰って来た時は骨塩量がかなり減ってしまっていることが分かっています。
 若い頃からその人にあった運動を続けるということが大事です。マラソンなど、著しく体力を消耗させる運動は却って骨の量が減ってしまうこともありますので、老齢期に入った方は、ウォーキングやゲートボールなど、軽い運動を適度に毎日続けることが重要です。

骨粗鬆症の自己判断

 自己判断をするには、
a背が曲ってきていないか、
b身長が低くなっていないか、
c背中や腰の痛みがある――などということがチェックポイントになります。
 このチェックで要注意が出た人は、毛髪分析や病院の検査を受けることを、是非、お勧めします。
 大きな病院などには、簡単にその人の骨の量を測定する機械(骨塩量測定装置)があり、それで測ってみれば骨の状態が測定できますし、毛髪分析では、カルシウム、マグネシウムの脱出現象が分ります。