この人に聞く 35
食べもの学から、湾岸戦争の構図を読み取る
湾岸戦争で、ハルマゲドン(世界最終戦争)は秒読みに入った
―人間の奢りと貪りが、自滅を招く―
文明評論家 太田竜さん
緊急インタビュー
「速度をいや増して、人類は滅亡に向かって進んでいる」太田竜
(マルタ会談後の、昨年一月に)
一昨年の相次ぐ東欧諸国の民主化…。東西の冷戦に終止符が打たれ、世界に平和の期待を持たせたマルタ島で行われた米ソの和平会議の直後、太田さんは、「今、非常な加速度で、人類は滅亡に向かっています。今年(90年)は昨年にも増して、人々が思ってもみなかった予想外のことが次々と起るでしょう」と語った。
昨年八月、イラクのクウェート侵攻。それから五ヵ月半、国連安保理のイラクのクウェート撤退期限切れにともなう武力行使容認決議によって、日本時間一月十七日午前、米軍を中心とした多国籍軍はイラクを空爆、湾岸戦争勃発となった。戦争は、短期終結の当初の楽観的予想を裏切って、長期化、ドロ沼化の様相を呈してきた。もう一方では、ソ連軍のバルト諸国独立運動に対する武力制圧…、リトアニア、ラトビアの流血惨事は湾岸戦争と時をほぼ同じくした。
世界は太田さんの言葉通り、破滅に向かって驀進しているかの様に見える。太田さんはかねてより、東西対立終結の後に世界政治の表舞台に登場するのは南北対立で、その対立は「世界最終戦争」に発展するだろうと予見して来た。
自然食ニュースは、湾岸戦争によって誌面を急遽変更。
『食べもの学入門』で、常々「人類の奢りと自滅」を警告し、人類の軌道修正は「食性の変革」を第一歩にする以外にないと提唱してきた太田竜さんに、今回の戦争をもたらした現代社会の隠された構図と、破局を回避するべき人類の在りかたを語ってもらった。
持てる側が、 富の独占維持拡大に 努めると?
東(共産主義)と西(資本主義)の対決が姿を消した後で来るのは、南(開発途上国)と北(先進工業国)の全世界的な対決でしょう。持てる者と持たざる者の戦いです。そしてその戦いは、このまま人類が今までの生きかたを断念しない限り、ハルマゲドン―世界最終戦争に行き着くと私は思っています。
今度の湾岸戦争はその前哨戦、予行演習だと私は見ています。
北の持てる国の人口、八〜十億人に対し、南の持たざる国の人口は四二〜四四億人と推定されます。持てる者は、多数の持たざる者の搾取と犠牲の上に立たなければ存在し得ません。限られる地球資源を土台にしている以上、共存共栄は成立ち得ない。持てる者は常に少数にして、持たざる側は常に大多数です。
そして持てる側は、人間の本性として、富の独占と拡大に努めるので、それにともなう貧富の格差は拡大する一方になります。これが現在の世界の仕組みなのです。
さて、アメリカを始めとする先進工業国は、産業革命以後、石油資源を土台にして、その富を築きました。それはここ当面、石油資源が消費され尽くすまで続くでしょう。そこで、石油資源の殆どを中東に依存している彼等が、中東を彼等の自由にしたいと思うのは当然のなりゆきです。
特に、深刻な経済危機を迎えているアメリカは、中東の石油を何としてでも確保したい…。
アメリカの新秩序作りと 邪魔者フセイン
アメリカは、冷戦後の世界の新秩序を作ると提唱しています。それは表向きは、南北問題(貧富の格差)を解決し、恒久平和に向けての秩序ということになっていますが、実際は、北側の利益の独占を恒久的に維持し、南側の貧民を抑えつけるための国際的な警察力を打ち立てることにあります。
この秩序作りには、中東イラクにおけるフセインのような独裁者的民族主義者は邪魔です。
イラク寄りであったソ連が西側と手を結んだ。この時期にフセインがクウェートに侵攻する。アメリカにとって千載一遇のチャンスです。正義の刃をかざして、国際的警察力‖多国籍軍をもって邪魔者イラクを倒せるからです。
中東地域の各諸国は、
・アラブ首長国連邦、サウジアラビア、クウェートなどの王政、
・イラクのバース党に代表されるアラブ民族主義による支配、
・イランの故ホメイニに代表されるイスラム教原理主義によって支配されています。
このうち、原油価格の引下げを主張している王政国家は、欧米から援助を受けている傀儡国家で、一部の支配者階級のみが富を占有し、支配階級と非支配者層との貧富の差が甚だしい。一方、原油引上げを主張しているイラク、イラクは反欧米派の代表で反シオニスト(反イスラエル)の急先鋒で、これからのアラブの主導権を握るとみられています。
ですから、アメリカは、イラクを倒せば、永久に中東を支配できると考えているのです。
パレスチナ問題の核
―イスラエルは、
中東における
先進諸国の出店―
イスラエルとアラブの対立は、既に一〇〇年近くの積み重ねがあります。
一八九七年に、第一回国際シオニストの会議が開かれ、紀元二世紀頃からアラブ人が住み着いていたパレスチナに、ユダヤの国を作ろうという運動が正式に決議されました。
それを支援、後押ししたのは、英国政府です。
十九世紀の英国では、ユダヤ勢力(アシュケナジー・ユダヤ人。八世紀頃にユダヤ教に改宗した白人系ユダヤ人で、聖書時代のユダヤ人とは別民族)が優勢で、英国の有力勢力とユダヤ人が結託した結果です。
そして、十九世紀前半には英仏を完全掌握していたユダヤ人の金融王、ロスチャイルドは、パレスチナの土地を買っては、世界中のユダヤ人にパレスチナの土地を居住用に与えていました。
それからまもなく、二〇世紀入って、石油の七〇%が中東に埋蔵されていることがわかったのです。ここに欧米は、戦略的拠点を中東に持つ必要性が生まれました。
そして、第二次世界大戦後の一九四八年、国連の後押しでパレスチナの地はユダヤ人とアラブ人の居住区に分割され、ついにイスラエルが建国されました。
イスラエルは、欧米の中東における重要な拠点となったのです。
その後、アラブ居住区へイスラエルが侵略をかけ、中東戦争が勃発することになりましたが、今回のイラクのクウェート侵攻と違い、国連は、その戦争に関して、殆ど無力だったのは周知のことです。
アメリカは、クウェート侵攻をケシカランと、六〇万の兵力をもって正義の戦いを始めましたが、なぜ、イスラエルの侵略には、黙しているのでしょう。
人類至上主義と フリーメーソン。 その目的は?
英国上流階級の秘密結社であった近代フリーメーソンは、世界の金融業を取り仕切っていたアシュケナジー・ユダヤ人(世界の頭脳と呼ばれている)を取り込み、ロスチャイルド・ユダヤ財閥が台頭してからは、十九世紀前半には英仏の実権を掌握しました。さらに十九世紀末、ロスチャイルドはアメリカの石油財閥ロックフェラーと手を結び、フリーメーソンは、二十世紀には、ロスチャイルド・ロックフェラーを核とする、欧米白人の指導層、支配層による世界支配をめざす秘密結社となったのです。
フリーメーソンの奥儀は、「人類(の理性)こそ神である」ことにあります。
神である人類は、人類のエゴの追及を全肯定し、人類以外の生物を自己の奴隷と化し、地球の奴隷化を図りました。
これが、ヨーロッパの、近代精神(近代合理主義)であり、今に引き継がれている精神なのです。
フリーメーソンの最終目的は、彼等を絶対権力者とする世界共和国を作り、地球をまるごと彼等の財産とすることです。そのためには、まず、邪魔となるイスラム勢力を解体処分し、第三世界の貧しい人々を抑圧する地球軍、地球警察力を作ろうとしているわけです。
一九九〇年代は、 人類の歴史、 数百万年の総決算
今、長い間の人類の奢りと貪りよって、
・人口爆発
・地球環境汚染
・人類による動植物の絶滅
・人類自身の生理的退化
・人類相互間の憎しみと闘争の激発|などの人類終末の諸条
件が積み重なっています。
一九九〇年代は、人類の歴史、数百万年の総決算の時となるでしょう。
ノストラダムスの大予言は、一九九九年にハルマゲドン(世界最終戦争)が来るとしており、ハルマゲドンは、新訳聖書に預言されたイスラエルを舞台にした世界最終戦争です。
これは、持てる者―フリーメーソンを頂点とするユダヤシオニスト・偽キリスト教連合と、持たざる者の代表―イスラムとの対決です。
これを回避する道は、日本が持たざる者の側に立つしかないと私は見ていましたが、どうもそうはならない、世界最終戦争は必至と言わざるを得ないようです。
肉食を放棄することが、 人類再生の第一歩
しかし、破壊の過程は、もう一方で、再生の場を作る過程になります。
人類の新秩序のための設計書を作ることが、焦眉の急務です。肉食禁断、穀菜食を入口とする「食べもの学」こそ、私達が真人類(神人類)に進行して行くための、設計書の第一巻だと私は思っています。
肉食は、人類のエゴ――奢り、貪り、地球の奴隷化の象徴です。